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Eメールを利用したPDFリモートカンプでの校正業務改善と今後への期待

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:Eメールを利用したPDFリモートカンプでの校正業務改善と今後への期待

 

 雑誌『Mac Fan』(株式会社毎日コミュニケーションズ発行)では最新DTPワークフローの検証として,校正と赤入れの戻しをEメールベースのPDFリモートプリント(リモートカンプ)で行った。編集部では,2002年12月に当社のA3ノビ対応カラーレーザプリンタDocuPrint CG835(以下CG835)を導入し活用をいただいている。
  本レポートでは,このデザイン会社と出版社編集部の事例から得られた内容を,制作(受注側)と,クライアント(発注側)の校正に関わる日常的な課題に対する改善事例としてご紹介する。

CASE Review:雑誌『Mac Fan』編集部 ・編集部(ものづくり)の課題
  編集部ではインターネットの普及の中,「誌面内容の充実と速報性の両立」を目指しながらさらなるコストダウンが求められていた。そして,フルデジタル化の流れの中で各工程において責任範囲が重要な課題となっていた。
・上流工程における外部とのワークフロー改善
  編集部では数社の外部デザイン会社と制作会社および複数のライターとの連携で出版を月2回のペースで行っていた(2004年より月刊化)。
  納期が短い中,校正はファックスで確認していた。その中で誌面デザインでは往々にして背景を高濃度にして白抜き文字,細線,パターンを載せることがある。ファックス送信による可読性の悪さは皆さんがご存じのとおりである。そのためデザイナーはわざわざ高濃度部を除いたデータを作成し,プリントした後,ファックス送信している。
  ファックスで送っているのでカラー紙面であっても色みの確認はできず,その確認は宅配便・バイク便・担当者持参となり,コスト(実質的な費用と人件費)と時間を掛けて補っていた。
・原稿責了による印刷入稿で得た色再現性とリモートプリントの実現性
  2段目のワークフローがファックスで行っていた改善前の流れであり,現在(2003年12月)は3段目のワークフローへ移行しつつある。
 この移行を一言で言うと「遠隔地へのカンプ自動プリントとカラーファックス感覚による赤入れ戻し」となるが,順を追って説明すると,
 〔1〕Macからネットワークを介した遠隔拠点へのPDF自動プリント
〔2〕自動プリントによるカラーカンプの納品と紙面への直接の赤入れ
〔3〕スキャナによるカンプイメージのPDF化とこれを添付したEメールの自動送信
 〔4〕カラー赤入れカンプイメージ(PDF)の自動プリント
 である。検証時の懸念・期待事項は,
懸念事項
 〔1〕設備投資はできず,従来資産の活用が前提
 〔2〕担当者への操作変更は混乱を来し短納期での制作にはリスクが大きい
〔3〕未知数な技術の導入はリスクが伴う
期待事項
 〔1〕原稿責了での入稿実績からカンプでの色み予見の実用性
 〔2〕単純操作と従来手法の組み合わせで実現性・実用性の高さ
〔3〕A3見開きカラー紙面への赤入れで校正業務の可読性・視認性・効率の向上
 〔4〕Eメールアドレス(赤入れ戻しには汎用推奨スキャナが必要)をCG835へ設定するだけですぐ試せる

PDFリモートカンプを成功させた要因
  編集部でのCG835は,2003年2月1日号MacWorld SanFrancisco2003速報記事では,8ページを8時間で制作し,デバイス・リンク・プロファイルによる色みの予見を行い,原稿責了の後,印刷会社への入稿,翌々日全国配本という実績を支援した。
・ゼロックス製プリントサーバ
 当社,CG835のサーバおよび富士ゼロックス製プリントサーバは,国内開発の強みを生かし,開発者が市場のニーズやトレンドから新機能をサーバソフトウエアに追加し,数万円程度の価格で,およそ年1回程度バージョンアップキットをリリースしている。今回はその実績を基に,サーバソフトウエアのバージョンアップ(V4.0→5.0)で追加されたEメールによるPDFリモートプリントと赤入れ戻しを想定したスキャンto Eメール(PDF添付)機能を利用した。
 〔1〕既存インフラと標準技術(Eメール,PDF)の組み合わせで技術的実現性を提供
 〔2〕安価にサーバソフトのバージョンアップができ購入後も性能をアップすることが可能
 〔3〕2色印刷シミュレーション機能に代表される市場ニーズを反映
・Eメールを使ったPDFリモートカンプの有効性
  生成したPDFデータ(A3見開き)は,校正用が8MB,スキャナから生成したイメージで4.5MB(解像度:200dpi)であった。現状のメールの添付ファイルサイズとしては突出したものではないが,運用制限にはファイルサイズ設定で自動分割送信も可能である。
 この事例にあるEメールでの運用が唯一絶対の方法ではない。Eメールがもっているぜい弱性や添付メールサイズなどの運用ルールとの整合性など課題もある。しかし,今後デファクトスタンダードになるであろうPDF入稿に対し,投資リスクを抑えながらも実践的に自らその可能性を判断しておく必要があり,今回の『Mac Fan』編集部の取り組みはそれを示唆するものであると考える。
  そして印刷・制作会社の経営戦略においては,ビジネス提案を一手進める可能性を秘めているのではないだろうか(有料取引先の囲い込み,営業生産性の加速度的な向上など)。
  今回の検証内容は,冊子(『Mac Fan』11月1日号から抜粋:帳票番号SOG-009)で報告しております。希望の方は最寄りのゼロックスまたは筆者までご連絡お願いします。

 販売本部 マーケティングセンター
 ソリューションマーケティング開発グループ 安部弘樹
TEL:03-5352-7698 / FAX:03-5352-7819
 Eメール:dpc-ga@fxpsc.co.jp

■関連情報
富士ゼロックスプリンテングシステムズ(株)
Mac Fan

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(2004年3月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

XMLドキュメント入力編集システム「ウェルDOC-WX」

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:XMLドキュメント入力編集システム「ウェルDOC-WX」

 

  XML入力ビジネスとの出合い
 1999年12月,あるXMLビジネスが全国で注目を集めた。それは大蔵省印刷局(当時)による「官報のXML化プロジェクト」である。これは約90万ページの官報の印刷物(1947年以降)を,28ブロックに分割してXML化する大規模プロジェクトで,うち3ブロックを当社は落札した。しかしこの案件は激烈な価格競争の中で入札され,XMLという付加価値の高い作業ながら,「いかに安くできるか!」が大きなテーマとなった。そのため当時はまだ少なかったXML技術者が直接作業に対応することは考えられず,一般入力スタッフがXML技術の理解なしでも,取り組むことのできる仕組み作りが早急に求められた。
  では,この「安く・早く・正確で大量な処理」をこなすにはどうすればよいのだろう。そこで注目したのがMicrosoft Wordである。当社は過去十数年にわたって在宅スタッフを活用した入力ビジネスを手掛けてきた。このスタッフの中でXMLを理解していた人は皆無だったが,Microsoft Wordを扱うメンバーはかなりそろっていた。そこで当社では,入力ルールの整備による「Microsoft Wordの活用+XML変換プログラム」により,Microsoft Wordのレイアウト済みファイルから,自動的にXMLデータが取り出せるシステムを社内で構築することとした。結果,入力段階ではXMLを意識せず,Microsoft Wordテンプレートで入力編集し、最終段階でXML出力するXML入力編集システムを独自に開発,ほかの業者が納期対応に苦心する中,99.95%の文字精度のハードルもクリアし,2000年6月の納期に対応することができた。実はこのプロジェクトにおける技術・ノウハウが,「ウェルDOC-WX」の源泉である。

  ウェルDOC-WXとは
 ウェルDOC-WXとは,Microsoft Wordをバッチ処理によるドキュメント編集・整形システムに変身させるアドインソフトである。例えば,基本パターンが定まった大量ページの報告書をページアップする場合,ページごとに手作業編集をしていては手間・時間が課題となり,分散入力をする際もスタイル・項番・全角半角の不統一が発生する。こんな大量ドキュメント編集の課題を自動編集によって解決すること,これがウェルDOC-WXである 。
  主な機能は次の3点である。
 〔1〕Text⇒Microsoft Word自動変換機能
  Text内の章・節・項などの項番・項目,表・図のタイトル,項番配下の段落などと,Microsoft Wordテンプレートのスタイルの変換対応を,変換フィルタ画面で設定するのみで,レイアウト整形されたファイルが自動出力できる(Text内の表は,タグで囲まれたタブ文字区切りの文字列を表へ変換)。
 〔2〕Microsoft Word整形支援機能
  全角・半角文字,組文字,タブとスペース送り,漢数字→半角数字など,分散入力や年度別に作成され,その入力ルールがバラバラのMicrosoft Wordファイルのルール統一(正規化)を行い,ファイル統合ができる。
 〔3〕XML⇔Microsoft Word自動変換機能
  XML変換フィルタにおいて,任意のスキーマ(XML)とテンプレート上のスタイル(Microsoft Word)の変換対応をひも付けし,双方向での変換を実現している(現バージョンではスキーマを一部に限定)。
   ウェルDOC-WXのターゲットとは
 文書構造が明確で,ルールが定まった次のような大量ドキュメントがターゲットである。
 〔1〕自治体:条例・例規,議会会議録,計画・報告書
 〔2〕金融機関:事務取扱規程集などのマニュアル
〔3〕各種マニュアル:メーカー系~ISOマニュアル
 従来のバッチ組版とは,大量ページ,しかも大量部数のものが中心であった。つまり印刷コストの中で,バッチプログラムコストを吸収することも可能であったが,ターゲットドキュメントの現状は,オンデマンド化へ流れ,大量ページ・少部数対応の方向が進む中,一層のコストダウンが求められる。そこで,Microsoft Wordレベルのスキルと変換・整形ルールを定めるだけのウェルDOC-WXでの対応は,大幅コストダウンにつながっている。
  またXML入力変換システムとしては,XML専用エディタが主流の中で,クライアントの一般オフィスにも導入可能な手軽さによって,XMLドキュメントの増加に寄与するシステムと考えられる。
  「XMLとは敷居の高いテーマ」「普段の文書作成からXMLへそのままつなげたい」。クライアントは皆,このような考えをもっている。ドキュメントデータベースによる文書の利活用,スタイルシートとの連動によるWeb配信など,XML化の入口がMicrosoft Wordというのは,クライアントも理解しやすく,クライアントとともにウェルDOC-WXを運用するというドキュメント連携により,XMLドキュメントの普及促進ビジネスを目指していくものでもある。
  こんな大量ドキュメントの入力編集の現場をもった当社の実務現場から生まれたウェルDOC-WXは,印刷会社の皆様に,組版の効率化からXMLドキュメントビジネスへの進出に役立てていただきたいと考え,一般システム販売にも対応している。そしてクライアントのドキュメント分析から,XMLドキュメントを活用した業務フロー設計,ドキュメントマネジメントシステムの構築など,印刷会社の皆様,そして皆様のクライアントを,実務現場のノウハウからご支援していくことを当社では目指している。

■関連情報
総合オフィスサポート株式会社

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『プリンターズサークル』2004年2月号より

(2004年3月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

多言語オンラインヘルプ校正システム

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:多言語オンラインヘルプ校正システム

 

株式会社十印
 東京都港区芝1丁目12番8号 十印ビル
TEL: 03-3455-8711 FAX: 03-3455-8616
http://www.to-in.co.jp/index.html
ksato@to-in.co.jp

 XML化の目的
  製品開発の工期短縮が叫ばれて久しい中,製品のマニュアル制作,翻訳をやっていく上で,当然ながら効率化というものを考えていかなくてはならない。さらに昨今製品の世界同時発売や仕向け地による多品種化などでその要求は増すばかりだ。
  工期の短縮,コスト削減はもとより,多言語をいかに早く仕上げ,また,印刷物のみならず電子媒体への対応ができるかが大きな課題である。
  これらの要求を満たすにはやはりXML化が必然の流れとなる。また,SGMLの利用のころに比べ安価なツール,ソフトウエアが数多く出てきたこともXML化への流れに加速を付けている。
  XML化の大きな魅力は自動化と,文章の再利用である。

  ソフトウエアの選定
  XML化への移行に当たっての最大の問題は,既存マニュアルの文章をどの単位で部品化(素材)していくかというところにある。
  ここで方針を見誤ると,作り上げたシステムがうまく機能せず結果,何ら効率化が図れないことになってしまうが,幸いわれわれには,長年のマニュアル制作およびSGMLのノウハウがあった。
  次に問題なのが,どのソフトウエアを使用するのかだった。
  機能面で優れているのは当然だが,選定の大きな理由にクライアントの厳しい要求にこたえられるか,つまり開発元が迅速にカスタマイズしてくれるかという部分だった。
  この観点からわれわれは,データベースには日立ソフトウェアエンジニアリング(株)のEnterprisePublisher,自動組版ソフトはアンテナハウス(株)のXSL Formatter/PDFオプションを選定した。翻訳支援ツールは業界標準となりつつあるTradosを使用することにした。
  
  システム概要
  第1段階として,XMLを使った多言語オンラインヘルプ校正システムを開発した。
  クライアントの要求は,現状のペーパーマニュアルと同様にHTMLベースのオンラインヘルプをAcrobatを使って校正作業が行えることだった。当然ながら本文中のリンクやトピック,レイアウトが最終納品物と同一であることが求められる。
  そこで,納品物となるHTMLベースのオンラインヘルプの機能,レイアウトが再現できるXSL-FOのスタイルシートを作成,EnterprisePublisherからヘルプに必要な素材(文章,図)を抽出し,XSL Formatterで自動組版して,PDFに変換するシステムを開発した。
  これによって校正もペーパーマニュアルと同様に,Acrobatの注釈機能を使用した的確な校正が可能となった。
  また,Tradosをもっていない翻訳者に発注する場合も,注釈欄に翻訳してもらいコピーペーストでデータベースに登録することができる。
  さらにわれわれは,EnterprisePublisherとXSL Formatterを連携するGUIをもったソフトウエアを自社開発し,徹底した自動化という意味で簡単な操作でだれでも簡単にヘルプ,PDFが作成できるようにした。

 

 XSL Formatterの選定理由
  以前は,FrameMakerでXML素材(画像・文章)を読み込んで,マニュアルで組版して校正用のPDFを生成していたが,マニュアル作業による人為的なミス,納品物作成とは同時に行えないことに起因する納品物と校正PDFファイルの同期の問題,また,仕上がりのPDFの画像などの質が,納品物(Web系オンラインヘルプ)に比べて劣る,といった点が校正の問題として浮上していた。
  特に,FrameMakerから生成されたPDFのJPEG画像ファイルの品質については,アドビ系の製品群を使った流れでは解決できない問題として存在し,この問題を解決し,比較的安価で,開発工数の許容範囲内での開発が可能,そして,Web系オンラインヘルプ自動生成のWebアプリケーションに組み込める製品が求められていた。
  XSL Formatterはこれらの要件を十分に満たし,多言語組版機能に関しても十分にシステムの要求を満たしていることから導入となった。

  展望
  このシステムを開発し,大幅な効率化が実現できたことで,現在は第2段階としてXMLを使ったフリーレイアウトのマニュアルを作成できるシステムを開発している。
  XML化への移行はかなりの初期投資が必要だ。この点で導入を躊躇(ちゅうちょ)されることを聞くが,将来を見据えるととても魅力あるものだと考えている。
  XMLをベースとしたCMS(Content Management System)は,今後さらなる広がりをもっていくものと思う。

■関連情報
アンテナハウス 株式会社
株式会社 十印

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『プリンターズサークル』2004年3月号より

(2004年4月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

高効率フルデジタル・ワークフロー基盤として最新のsm@rt_Serveを導入

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:高効率フルデジタル・ワークフロー基盤として最新のsm@rt_Serveを導入

 

 熊本県に本拠を置く後藤印刷株式会社は,1991年創業の新進の印刷会社である。コスト競争に打ち勝つために高効率の制作・出力と,フロントエンドの比重を高めることを大きな目標としている。そして,そのための切り札として,株式会社インテリジェントワークスがインテグレートするsm@rt_Serveを導入した。

後藤印刷株式会社
 〒861-2234 熊本県上益城郡益城町古閑106
代表取締役社長 後藤伸二
TEL/FAX 096-287-1212/096-287-1231
 URL http://www.gotoworks.co.jp/

sm@rt_Serveはセキュリティ対策としても有効
  最近は,顧客情報の漏洩(ろうえい)が各所で問題になっている。顧客の最新データを預かる印刷会社としては,この点にも配慮する必要性が高まっている。
  また,顧客の側でもこの点について神経質になっており,印刷発注の場合にデータ管理の方法を問われる例も多くなっている。この点でも,sm@rt_Serveは有効だ。まず,単純にファイルサーバとして利用した場合に,制作中のワークステーション上のローカルディスクよりも高速に書き込み,読み込みができる。このため,後藤印刷では,すべての制作データは,サーバで一元管理できるようになっている。つまり,制作データはサーバから読み込み,作業終了後はサーバに保存する。このため,ローカルディスクには制作データは存在しない。
  多くの印刷会社では,サーバを利用していても,まず,ローカルディスクに転送し,作業後,サーバに書き戻すというプロセスが採用されている。これは,ネットワーク,サーバともに機能(転送能力と安全性)が十分でないために,サーバ上のデータを直接読み込み,書き込みをしていては作業が渋滞するからだ。
  この場合,一つのジョブに対して,常に複数のファイルが存在することになり,データ転送時や出力時にファイルの取り違え,という別の問題を生じがちだ。後藤印刷では,ファイルの一元管理によって,セキュリティと版管理の両面で安全性と高効率とを実現しているわけだ。
  さらに,サーバのデータは特定のメンバーしかアクセスできず,そのデータをコピーする権限は,一人のスタッフだけがもっている。実務上も,MOなどのメディアを利用する必要がないし,実際利用していないので,情報漏洩対策も万全である。

全国展開も視野に入れたフロントエンドの変更とネットワーク配送システム
 後藤印刷では,サーバに加えてフロントエンドシステムも大きく変更した。従来は,「MacOS 9+Adobe Illustrator」での制作作業がメインであったが,これを「MacOS X+Adobe InDesign」に移行しつつある。
  「弊社はこれまで端物中心でしたが,ページ物に移行しつつあります。MacOS X+Adobe InDesign のシステムは,こうした受注状況をにらんだものです。さらに,InDesign はXMLへの対応度が高く,将来想定されるXMLによる自動組版,データベースパブリッシングに備える意味もあります」(後藤氏) 
 

数年後には爆発的に展開
  中長期にわたる展望では,さらに発展的な展開を考えている。「日本の産業に関する将来見通しについては悲観的な見解が多いですが,私はそうは思いません。淘汰(とうた)されるべき企業が淘汰され,成長すべき企業が明らかとなり,数年後くらいには,大きな飛躍があるのでは,と予測しています。その時に爆発的に展開できるように,筋肉質の企業として弊社を構築しておこうと考えているのです」(後藤氏)。
  そのための基盤として,後藤氏は顧客,出入り業者との関係についても独特の見解をもっている。「企業間の取引というのは,お互いにメリットのあるものでなければなりません。 現状では,顧客に振り回される印刷会社は,紙業者を叩くというように,だれにもメリットのない関係に陥っているケースを多く見掛けます。しかし,それでは長続きしません。というより,いずれ破たんします。その点,ネットワーク,プリプレスのワークフローに多くの実績とノウハウをもつ株式会社インテリジェントワークスさんは,ユーザの立場に立ったサポートやコンサルティングを強力に行ってくれています。今後もコンサルティングとサポートで技術支援していただき,さらに先進的でより良いワークフローを構築していきたいと考えています」

高効率生産の切り札,sm@rt_Serve
 「弊社が価格競争力をもてるのは,いろいろな局面で高効率を目指し,かつそれを実現しているからです」(後藤氏)。その最も顕著な例は,HELIOSをインテグレートしたsm@rt_Serve(HELIOS WebShare 1.0, EtherShare 3.1, PCShare 3.1, ImageServer 2.5)の導入であろう。これは,Webからも利用することができるサーバで,遠隔地からのファイル転送,マルチプラットフォーム,ファイルサーバ,高速プリントサーバなど多機能に利用できるトータルサーバである。例えば,FTTH(光ファイバー)回線経由で顧客のデータをサーバに直接転送,製版処理後,CTP出力,印刷と遅滞なく制作ができる。入稿時にMO,CD-ROMなどのメディアを利用しないので,人手を介する必要がなく,迅速に制作工程に移ることができる。
  また,制作の際,OPI(Open Prepress Interface:画像置き換え)を利用することもできる。これによって,コンテンツを制作中のワークステーションは,軽いビュー画像で作業を行うので,制作作業を軽快に行うことができる。また出力時には,面付けデータの大容量出力で,OPIでの出力フローを100%利用している。実画像データとのフロー比較で数十分の一の出力効率化が行われている。
 

■関連情報
株式会社 インテリジェントワークス
後藤印刷 株式会社

『プリンターズサークル』2004年9月号より

ソリューションレポート募集中

 
(2004年10月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

DTPターボサーバーを利用したデジタルデータ運用

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:DTPターボサーバーを利用したデジタルデータ運用

 

株式会社サンビアーツセンター
東京都荒川区西日暮里2-49-2 三美ITビル3F
 TEL 03-5850-4540 / 4541 URL http://www.sanbi.co.jp/

 株式会社サンビアーツセンター(以下「SAC」)は株式会社三美印刷の出力・製版部門として1990年に誕生した。三美印刷は学術書・専門書・学会誌,論文誌などの編集・組版・印刷を精力的に行っており,Macintoshはもちろん写研システムを使用した組版を得意としている。現在でもその6割がTeX,写研システムによって制作される理工系学書である。一方,SACにはフィルム・印画紙・CTP・大判プリンタとすべての出力環境が整えられており,プリプレス事業部での作業後回ってきたデータをSACで用途に合わせて出力,さらにそれを自社工場で印刷というフローで運用されている。
  また,現在出力部門の70%がCTPに移行するなど,常に新しい技術を取り入れて活用している。フルデジタル化に向け大学のシラバスのパッケージ化やデータベースのオンライン検索サービスなど新しいサービスを打ち出し提案している。自社ホームページでは,「sanbi-i-com」というメールマガジンを発行し,変化する印刷業界の動向を自ら配信するなど,顧客満足度を上げる試みも怠らない。1895年創業という伝統にとらわれることなくさまざまなアイデアを打ち出し,実行することが同社の強みであろう。

  DTPターボサーバーでのデータ管理運用
  DTPターボサーバーIIを99年の終わりに三美印刷で導入したのを皮切りに,数回の増設を重ね2003年にSun EnterpriseベースのDTPターボサーバー5をSACで導入した。三美印刷グループで使用された顧客の画像・レイアウトデータがすべてSACに集約されるため容量の確保と,より高い安全性を考慮してのことである。
  DTPターボサーバーはプリプレスに特化したワークフローサーバである。プリプレスで使用されるデータのデジタル化に伴い,Webブラウザでのデータの一元管理・在版管理やインターネット経由のデータ集配信,リモートプルーフ,Webサービスなどへの展開を可能にするサーバとして全国約200の印刷・製版・デザイン会社に導入されている。

  (1)バックアップ・アーカイブサーバとしてのDTPターボサーバー
 SACでのDTPターボサーバー運用の中心はアーカイブデータ管理である。三美印刷内のDTPデータがすべてDTPターボサーバーに集約されているが,DTPターボサーバーに搭載されたブラウザベースのファイル管理システム「WebNative」と,それに連動するバックアップソフトウエア「FlashNet」の組み合わせを最大限に生かし,管理作業の負荷の軽減に成功している。担当の山田貴紀氏は「主に1bitTIFFなどのCTPデータのアーカイブとRAID内データのフルバックアップに使用しています。数カ月で処分してよいデータもあるのですが,万が一,再利用したいという要望があった時のために約10年分くらいのデータをアーカイブしています。データの再利用の依頼があった時は,検索を掛ければすぐにデータを取り出せるので,本当に管理が楽になりました」と,Webブラウザから簡単に該当のデータにアクセスできる点を評価している。一つの仕事で10GBもの容量になる大きなデータもあるが,そのようなものでもAITテープ装置でのバックアップにより一つのテープにすべて収まるので管理がしやすく,またオンラインのデータ同様にWebからデータのありかを検索することができる。

  (2)データベース構築で実現する顧客との連携
  SACでは,現在請け負っている雑誌広告のデータ管理に,WebNativeのデータベースオプションである「Venture」を利用している。顧客からは,「○月号XXページの広告を流用してほしい」というような指定の仕方で流用依頼があるため,それに見合ったデータベースの項目を設定する。流用の指示があった時には,そのキーワードでWebブラウザ経由で検索を掛ければ,該当のデータをすぐに見つけることができる。探し回る時間や手間も掛からないので,オペレータへの負担も激減している。

  DTPターボサーバーの優位性
  ここでDTPターボサーバーの優位性をいくつか述べてみたい。
  (1)ファイルシステムをベースにサーバ内にデータを一元化
  DTPターボサーバーでは,ファイルシステムがネットワークシステムと連動しているので,データをサーバに保存するだけで良い。データベースにあえて登録する必要はない。ファイルサーバとは別にデータベースサーバを構築した場合,データの不整合がよく問題になるが,同じサーバ内に自動でデータベースを構築していくので,そのような問題が起きない。また当然ながら後からキーワードを付けることも可能であり,SACではその機能を広告データの再利用の際に生かしている。

  (2)ブラウザからデータへのアクセスが可能
  ファイルシステム内のデータがWebブラウザから閲覧可能なので,グループ間・顧客間とのデータ共有が可能になる。従来データは個人ベースでMOやHDDにバックアップ・アーカイブされていたため,データの所在が個人でないと分からなかったり,データの二重化や紛失などの事故が少なくなかった。DTPターボサーバーで一元管理されているデータは,アーカイブされているデータでさえもサムネイル表示を見ながら直感的に閲覧・検索することが可能である。

  (3)顧客とのコラボレーション
 SACでは顧客からの依頼を受けた後,自分たちで検索し流用へのプロセスを進めているが,インターネット経由で顧客にサーバを公開し,直接ダウンロードしてもらうこともできる。顧客ごとにユーザID,パスワードを付与し,特定のボリュームのみにアクセスするように設定できるので,関係のないボリュームを閲覧される心配もない。さらに強力なセキュリティ環境を整えたい場合もニーズに合わせた環境構築が可能だ。

  デジタル時代の課題
  印刷・製版会社にとって,いかにデジタルデータ資産をきちんと管理し活用するかということが今後の経営をも左右する重要課題である。デジタルデータの活用は,従来のように生産設備への投資だけでは得られない生産効率の向上やコスト削減,新たなビジネスへの展開への可能性を秘めている。SACの事例は特にバックアップ・アーカイブデータをDTPターボサーバーで効率良く一元管理できている好例だが,「印刷業はサービス業,顧客との接点はデジタルデータ管理から」を実践するさまざまな事例をVPJホームページよりご覧いただくことができる。

■関連情報
株式会社 ビジュアル・プロセッシング・ジャパン
株式会社 サンビアーツセンター

『プリンターズサークル』2004年11月号より

 ソリューションレポート募集中

(2004年12月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

WebNativeを導入しコスト削減

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:WebNativeを導入しコスト削減

 

セキスイハイムクリエイト株式会社
メディア・コンテンツ部 事業開発グループ
課長 
 荻野 元宏 様

  セキスイハイムクリエイト株式会社は住宅および住宅資材,プラスチック製品などのメーカーである積水化学工業(株)のグループ企業であり,住宅・不動産事業を行なうセキスイハイムグループで使用される販促ツールの管理・配信を行なっている会社である。2002年,従来のポジによるデータ配送からWebNativeを導入しインターネット経由のデータ集配信に切り替え,その後の2年間で2000万円以上のコスト削減に成功している。
 今回は同社 メディア・コンテンツ部 事業開発グループ課長の荻野元宏氏に,WebNativeを使用したコンテンツデリバリ手法について話を伺った。

■合計650拠点にデータ配信,年間1000万円以上のコスト削減に成功
 同社では,WebNativeをセキスイハイムグループの新築戸建住宅に関するコンテンツデータ配信サーバとして使用しているが,従来はコンテンツのポジフィルムを各拠点に渡していたという。「必要なポジをデュープする費用が年間で約1000万円かかっていましたので,その費用を何とかしたいと思っていました。また,仕様変更をすることが多く,変更を重ねて,撮影したポジがオリジナル画像とは呼べないものになってしまい,最新のデータを使うべきところを異なったデータを使用していたということもあったことから,画像データ管理も出来るシステムを導入したいと考えていました」。
 常時配信可能なデータは約4000点に上り,そのデータを全てWebNativeで一元管理している。各販売会社の本社,営業所,住宅展示場を合わせて全国に約600もの拠点,さらにカタログやチラシ制作を請け負う印刷・製版会社が50社以上存在。現在は250クライアントがデータの集配信を行なっている。カタログやチラシなどを独自に制作する販売会社やそれに関わる印刷・製版会社では印刷用の高解像度データをダウンロード,また営業所・展示場などでは,直接お客様に渡すPowerPoint提案資料を作成する際の画像をWebNativeのカスタムイメージオーダーを使用してJPEGファイルにしてダウンロードすることが多いという。
ポジフィルムの配送からデジタルデータのインターネット経由での配信に完全に切り替えたことにより従来のポジフィルムのデュープにかかっていた料金がゼロになり,年間で1000万円のコスト削減に成功。さらに各拠点で重複してポジを分解していた費用,及びポジ配送のための宅配便,バイク便代を考慮すると,よりコストが削減されていることになる。
 同社が導入されたシステム構成は,基幹サーバにXserve,RAIDシステム120GB×8,またソフトウエアはサーバソフトウエアFullPress4クライアント,データ管理にWebNative,Ventureを使用。完全にコンテンツ管理システムとして特化して利用している。
 「画像管理システムを探していたところ,協力会社にDTPターボサーバーを紹介されました。他社の画像データベースシステムやシステム開発などもいくつか検討しましたが,DTPターボサーバーを選んだ理由は,画像データベース管理に加えてQuarkXPressやIllustratorなどのレイアウトデータもプレビュー管理できる点に惹かれたからです」。

■カスタマイズを加えた使いやすいGUI
同社では画像やレイアウトデータなどの静止画の他に別サーバで動画の管理もしており,また将来的にはMSOfficeデータの管理システムの構築も予定している。全ての拠点で使いやすいようにGUIをカスタマイズし,トップページからそれぞれの管理サイトにリンクできるようにしている。
 画像及びレイアウトファイルに関してはWebNative・Ventureを使用しているが,「商品名」「背景用カット」など分かりやすいように大まかな分類をし,さらにそこから検索出来るようにしている。該当のデータはショッピングバスケットに入れ,そのままダウンロード,もしくはカスタムイメージオーダーでファイル形式を変更しダウンロードする。「従来,プレゼンテーション用にカタログで使用していたデータをJPEG化し,CD-ROMに焼いて各販売会社に配送していたこともありましたが,手間などを考えると半年に一度程度しか出来ませんでしたし,コンテンツもカタログに限られていました。現在では図版やロゴデータなど,いつでもダウンロードすることが出来るようになりました」。
また,一元管理により製版データの品質がほぼ一定になったことも導入したメリットであると荻野氏は感じている。「ポジを受け取った製版会社が各々で製版を行なっていたため,同じ画像でも仕上がりが大きく異なっていましたが,現在では全てオリジナルデータで渡せるので,仕上がりの差が少なくなり,色調管理にも役立っています」。

■生成物全てのコンテンツ管理システムへ
WebNativeを導入してまもなく3年,同社は販促素材だけでなくグループ全体のコンテンツの一元管理に乗り出した。「将来的には,素材だけでなく提案資料などビジネスドキュメント全ての一元管理を行なえるようにしたいと考えています」と荻野氏。MSOfficeファイルの管理を予定しているのも,そこにつながっていく。「たとえば各営業所で作成されているようなPowerPointでの営業ツールです。それらのデータも一元管理することで,各拠点でどのようなことが行なわれているかという確認にもなり,また営業ツールの共有という意味でも有効です。提案資料でも,社名さえ変えればどの拠点でも使用できるといったことが可能になります」。すでに数千万円規模のコスト削減を実現している同社であるが,さらなる効率化,情報共有に向け,セキスイハイムグループの販促活動を支援している。

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■関連情報
セキスイハイムクリエイト株式会社
  本社 〒105-8450 東京都港区虎ノ門2-3-17
 TEL 03-5521-0770
 URL http://www.sekisuiheim.com/(セキスイハイムホームページ)
 株式会社 ビジュアル・プロセッシング・ジャパン
 印刷・出版システム事業部
  東京都渋谷区南平台町16-25 養命酒ビル11階
  TEL 03-5784-1180 FAX 03-5784-1184
 URL http://www.vpj.co.jp/

『プリンターズサークル』2005年5月号より

ソリューションレポート募集中

 

(2005年6月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

DVDによる自動データバックアップシステム

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:DVDによる自動データバックアップシステム

 

株式会社ディジタル・ストリームス

 印刷業界においても日々の業務で蓄積されるデジタルデータは膨大化している。こうしたデータの管理とその保護は,業務効率化および個人情報保護の観点からも重要課題と言えよう。ディジタル・ストリームスでは,こうしたデータ管理の重要性をいち早く捉え,製品の開発から販売までを行っている。同社社長の三宅義治氏は商社の出身で,Rimage(リマージュ:以下リマージュ社)社のCD,DVDに書き込みのできる製品と出合い,同製品の可能性の高さに着目していた。また同製品の有する潜在的な市場性にも着目して,国内販売権を取得したことも同社設立の契機になっている。ちなみにリマージュは,世界で7割のシェアをもつ。特に印刷業界でも需要の多い,「DIGI WARP(デジワープ)」と3月に発売された新製品「サムライガード」について,三宅社長,榎本技術本部長,ギルバート技術部長にお話を伺った。

  蓄積データ管理とバックアップ機能に優れた「DIGIWARP(デジワープ)」
  印刷業界では,膨大化するデジタルデータの保存への対策として,サーバによるデータ管理を進めているところも多いであろう。しかし,サーバによるデータ管理にはそれなりの費用が掛かり,サーバ増設にはスペースも必要となる。膨大な蓄積量のデータから必要なデータを探し出すことも,大変な手間と時間が掛かっていた。こうしたデータ管理上の問題を解決することも同製品開発の動機であった。
  蓄積データが増えてくると,各データの属性ごとの管理とそのバックアップに煩わしさが発生する。この「DIGIWARP(デジワープ)」では,複数の監視ディレクトリを有しており,管理ディレクトリを変更することによって,ディレクトリ名をそのまま盤面印刷できるため,盤面を見ただけで管理データが認識できる。またWindowsやMacintosh,UNIXなどのOSの互換性もデータ管理上不具合を生じさせていたが,本製品では,そうしたOSの環境の違いを選ばないのが利点である。データの管理をCD/DVDで行うため,大きな設備投資や管理スペースなどを必要としない。また,サーバ増設のスペースも不要となる。CD/DVDのバックアップについては,その内容を今までは,1枚1枚,PC上でデータを呼び出して確認をしていたが,こうした作業についても,盤面印刷の一部にデータ内容と関連した可変データを印刷された盤面で認識できるため利便性を生むことができる。
  プリンタ搭載ドライブ「プロテジェ」では,データの容量を判断し記録媒体をCDかDVDのどちらにするかも判断してくれる。多くの印刷会社は,データの蓄積,管理にはサーバを用いていると思われるが,蓄積データのクライアントへの返却時にデータの内容を見間違えるようなことが防げる。
  出版社の用途を例とすると,雑誌ごとにデータを管理しており,編集が終わるとバックアップはCDに記録させる作業を行っていた。そして,そのCDをほかの部門で使用する場合,一定量までデータが蓄積されてからバックアップを行っていた。こうしたデータ蓄積後に行う手間と時間が軽減できる。「DIGIWARP(デジワープ)」はカスタマイズ機能も有し,導入時には顧客のニーズにより,自動スケジューリングやデータ内容,バーコード,顧客名,データ名も自動レイアウトできるような機能ももっている。
  印刷会社では,ハードディスクに入っているフォルダをクライアントごとに分類管理して印刷会社自身がバックアップしていく方法と,顧客にバックアップデータを返却する場合の利用方法が考えられる。そうした際にもデータの中身を見誤ることもない。また管理スペースを考慮した場合,ハードディスクやMOで管理を行うよりも省スペース化ができる。プリンタ搭載ドライブ「プロテジェ」では300枚のCD-Rが収められ,チェンジャーを内蔵しているため,CDもDVDも同時に記録できる。Windows上で管理しているがMacintoshやUNIXのデータも記録できるようになっている。

  デジワープ画面サンプル
  デジワープ1はCSVファイルに生産JOBをあらかじめ登録して,一括で異なった作業が可能なソフトウエアである。
  ローカルディスクやネットワーク上のデータをファイル,ディレクトリ,イメージファイル単位で書き込みの指定ができる。印刷データも簡単にレイアウトでき,可変情報もCSVに登録するだけで処理できる。
 

 
 主な機能
  監視モード(CSV一括処理機能)・印刷データ可変機能(テキスト,日時,バーコード,画像,ほか)
  JOB処理後バックアップ機能(元データを別ディレクトリへ移動)・処理枚数機能(固定)
  固定ファイル追加機能(ディレクトリ+固定ファイルを追加書き込み)
  ログ履歴管理機能・出荷チェック用ログ印刷機能・処理状況確認機能・選択ログ再発行機能
  過去のログ表示機能・全JOBキャンセル機能・データの残し機能(元データを削除移動しない)

  用途展開について
 今後は,記録媒体としては,DVDに統一されていくものと考えられる。それは,DVDのほうがCD-Rに記録するよりも,48倍速と格段に早いことにある。そのため,CD-Rドライブだけに対応する機種は今後少なくなると予測する。現状印刷会社のデータは,約7割方CD-Rで管理されていると言われており,DVDを使うほどデータ量が増えることは,まだそう多くないかもしれない。しかし今後,ページ数の多い出版物や増大していく画像データへの対応に,この製品は適切なソリューションを提供するものであると言えよう。
  なお盤面の印刷は,昇華型リボンプリンタのため,インクジェットプリンタと異なり,表面の印刷が色落ちしにくい。そのため,卒業アルバムや結婚式など永久的に残したいデータ管理には最適と考えられる。 
 
CD-Rコピーガード「サムライガード」世界に先駆けて発売
  「サムライガード」も同社が開発した製品で,情報セキュリティ強化が叫ばれる時代に,世界に先駆けて開発された全自動CD-Rコピーガードデュプリケータである。
  その最大の特長は,情報セキュリティへの安全度の高さであろう。それは,「ほかのCD-Rへの複製やリッピングができないこと」「ハードディスクにコピーしても,オリジナルCDがないと閲覧できないこと」が挙げられる。全自動で連続してコピーガードができ,市販のCD-Rを使用できるため手間とコストも省ける。Word,Excel,PowerPointなどあらゆるソフトで作成されたデータを暗号化して書き込んでいくことができる。暗号化されているため,PCにCDを入れて操作すると,文字化けしてデータ内容が識別できない状態になり,コピーやハードディスクに移動させたりするようなこともできなくなり,またCDなどの媒体にもコピーすることはできない。読み込み用のCDを使えば,データを見ることはできるが,特にビューアは必要としない。他社でも類似の製品を販売していが,それらと比較してもコピーガードの強度が非常に強い。現在モニタリングを行っているがまだそのガードを破ったという報告はない。
  他社では専用のCD-Rを購入して,それにデータを書き込まないとコピーガードができないようになっているケースがあるが,サムライガードでは,市販のCD-Rでコピーガードができるので,非常に安く済ませることができる。また,他社製品では,CD-RをPCに入れて1枚1枚手動で作業しなくてはならないが,そうした作業を軽減させる自動装置により設定した枚数分を作成できる。 個人情報や会社の重要な技術情報やデータを入手させない方法として活用できる。現在,同社の取引先としては,官公庁を始め医療関係,学校,金融業界など,機密情報を取り扱う企業・団体が多く,こうした取引先には大変重要な製品である。今後は情報セキュリティの重要性から,印刷関係での利用も増えていくものと考えられる。
  印刷業界参入に当たっては,こうしたデータのバックアップのシステムがなかったことに着目をしていた。現に印刷会社に製品の提案をすると,こうした製品のあることに驚く会社もあるため,まだこうした製品を求めている企業が潜在的には多いと考えられる。ガードは,ソフト上でのイメージで設定されるが一部装置上でもガードが掛けられ特許となっている。パスワードは4桁あるいは8桁,16桁などと組み合わせて設定でき,その範囲で,例えば2000個であれば2000個それぞれ違ったパスワードを設定することができる。このことにより,クライアントごとにパスワードによる用途と管理が可能である。 
 

  用途展開について
 この商品は,今年3月に発表したばかりにもかかわらず早速予備校への導入が決まった。同校では,ある有名な先生の講義内容を入力したCDを販売していたが,一人がそれを購入し,勝手にコピーをされるという問題を抱えていた。しかし,この「サムライガード」によって,そうした違法コピーを防ぐことができる。印刷業界においても大事なコンテンツデータ,画像データ,個人データなどもこの製品で管理すれば流出を防ぐことができる。今後は,サムライガードとほかの製品の機能を合わせた商品も想定される。展開先としては,製薬会社,電機メーカなどを想定しており,他社に流出しないためにコピーガードを求めることが考えられ,印刷会社では,発注クライアントからの情報保護に関する要望に対応できる。発注クライアントからサムライガードで入力したCDを手渡されるというケースやサムライガードの導入により,クライアントの重要なデータを管理できる体制のあることを提案することは十分可能である。

  事業展開について
 同社では,単に物を売るだけでなく何かしらの付加価値を提供することを方針としている。世界の主要企業を始め,自社のオリジナル製品にこだわりあらゆる業種,企業を対象に展開をしている。開発においてもいろいろな顧客のニーズを聴きながら,数年を掛けて製品開発を行っている。今後も同社にしかないものを作り,販売していくことにより「オンリー・ワン」として展開することを目指している。どの製品にしても対象とするマーケットは大きいが,今後も大きなマーケットに対して,資金と人材を投資したいと考えている。 
 
■関連情報
●会社概要
 株式会社ディジタル・ストリームス
URL:http://www.digital-streams.to/
所在地:東京都台東区上野2-11-6 黒澤ビルB1
創立:2000年1月21日
 代表取締役:三宅義治
 従業員:10人
 事業内容:
  (1)米国リマージュ社製CD-R/DVD-Rパブリッシング・システム販売および技術サービス
 (2)米国Primera(プリメラ)社製CD-R/DVD-Rパブリッシング・システム販売および技術サービス
 (3)フランスIMT(アイ・エム・ティ)社製CD-R/DVD-Rパブリッシング・システム販売および技術サー
    ビス
 (4)CD-Rコピーガード「サムライガード」システム販売および技術サービス
 (5)CD-R/DVD-Rコピーサービス
 (6)日立マクセル,太陽誘電,他のCD-R/DVD-R販売
  (7)米国Litton社製硝子旋盤輸入販売
  (8)エレクトロニクス機器,電球製造機,硝子製造機輸入販売

●沿革
  1989年:米国MST社(現リマージュ社)が世界初のフロッピーディスク高速コピアーを発明。丸紅マ
       シナリー(株)が同社の日本総代理店契約を結ぶ
 1990年:MST社がRimageに社名変更 三宅が販売課長となる
 1998年3月:世界初のネットワーク対応・全自動CD-Rパブリッシャー・オートスターを輸入。記念す
         べき第1号は現在(株)ディジタル・ストリームス社内に保管中
  1999年11月:丸紅マシナリー(株)とリマージュ社の代理店契約が消滅
  2000年1月:三宅が丸紅マシナリー(株)を退社
          日本のリマージュ専門会社として,(有)ディジタル・ストリームスを設立
          リマージュ社と正式販売代理店契約を締結
  2001年3月:米国Digital Now社と日本総代理店契約締結
  2002年8月:フランスIMT社の国内総代理店となる
 2003年5月:資本金1000万円に増資し,(株)ディジタル・ストリームスとなる
 2003年10月:日立マクセル(株)の販売代理店取得
  2004年11月:米国Primera社の国内販売代理店契約締結

 『プリンターズサークル』2005年7月号より

ソリューションレポート募集中

 

(2005年8月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

DTPターボサーバーによって向上したチラシ制作フロー

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:DTPターボサーバーによって向上したチラシ制作フロー

 

株式会社広研

 
▲管理事業本部 管理事業部 部長 蘇我 章一 氏
 企画制作事業部 データ管理グループ 課長 金子 幸弘 氏

導入されたDTPサーバー

株式会社広研は,大阪市西成区を本拠地とし,チラシを中心とした広告の企画・制作を強みとしている総合広告会社である。東京と名古屋に営業部があり,それぞれを拠点として各種小売店を代表とするクライアントへの総合広告計画からプロモーション戦略,ディスプレイの企画・制作と幅広く活躍している。
 同社は2004年10月,クライアントである大手量販店とのより強固な連携・協力体制を構築するため,DTPターボサーバーを導入,チラシ制作における画像データ管理に関し効果を高めている。
 今回は同社管理事業本部管理事業部部長蘇我章一氏,同じく企画制作事業部 データ管理グループ 課長金子幸弘氏より,DTPターボサーバーでのコンテンツ管理によって向上したチラシ制作フローについて話を伺った。

クライアントとのシステム連携

DTPターボサーバー導入のきっかけは,重要クライアントである大手量販店のシステム変更に伴うものであった。「クライアントとの関係を強くしていくためには,画像コンテンツを自分たちで管理できることが重要と考えました。そのためには,画像データベースを早くもちたいと考えたわけです。私どもが最終的に構築したいシステムをいくつか探したところ,一から開発するか,もしくはDTPターボサーバーという選択になりました」(蘇我氏)。システムの導入には期限があり,また一から開発するには非常に大きなコストが掛かるたため,独自システムの開発という選択肢はなかった。「またユーザ事例が多くあるので安定稼働しているという安心感がありました。画像はわれわれにとって命ですので,サーバが問題なく稼働していることを重要視しました」(蘇我氏)。

▲広研のチラシ制作フロー

同社が導入されたDTPターボサーバーのシステム構成は,基幹サーバにSun V440,RAIDシステムにStorEdge3310を146.8GB ×12,バックアップシステムとしてAIT3の16巻タイプ。ワークフローソフトウエアFullPressを32クライアント,ファイル管理システムWebNative,データベースオプションVenture,バックアップソフトウエアFlashNetである。今回の同社が導入したチラシ制作のためのワークフローはどのようなものなのだろうか。
 商品情報の大元は大手量販店で管理されている商品マスターにある。量販店側はチラシで必要とされる商品のテキスト情報(商品コード,価格など)を広研に配信する。広研はそれを受け取ると,テキストデータベースに一度保存し,広研が制作で使用するためのテキストデータに変換する。一方画像はDTPターボサーバー内に保管されており,DTPターボサーバー側ではテキストデータベースから送信される商品コードを元に画像をバスケットで収集,テキストとともに一括ダウンロードを行って組版がスタートする。
 組版は,市販の組版ソフトウエアを組み合わせ,主にInDesignでレイアウト。「現在はある程度マニュアルの組版も行っていますが,XMLを利用することも考え,InDesignを選択しています」(金子氏)。「テキスト情報と画像情報を一緒にダウンロードできるので,商品画像に対するテキストの間違いがなくなります。また,精度の高いデータを元に制作することで,作業全体のスピードアップにも貢献します」(蘇我氏)

▲DTP制作室

またこの制作フローのメリットとして,作業の効率化と精度のアップが挙げられる。「従来は『写真課』という部署のものが専任で画像を管理しており,その部署のスタッフしか必要な画像を収集することができませんでした。現在ではリスト検索から簡単に目的のデータを取り出せますので,素早い対応ができるようになりました」(金子氏)。
 外注スタッフとのやり取りにも変化が現れている。「今までは必要な画像は渡し,もしくは外注スタッフの手元にあるものはそのまま流用して使用されていたので,どれが最新のデータなのか分からなくなるということもよく起こりました。現在は手元にあるデータは絶対使用しないよう指示し,すべてサーバで一元管理された最新のデータでチラシ制作を行っているため,外注に対するデータ管理の精度も上がりました」(蘇我氏)。

外部公開へ

広研では現在セキュリティなどのルール化策定中であり,外部へのサーバ公開は控え,アナログフローも並行して行っているが,「Webからの外部公開は必要と感じており,準備や対応は順次行っています」(蘇我氏)。クライアントや多くの外注先と協力しながらの制作フローであり,顧客の資産であるデジタルデータを取り扱う同社にとっては慎重に公開準備を進めざるを得ないが,将来的には実現したい課題の一つであると述べている。また,このチラシ制作の実績から,ほかの顧客からの信頼も得ることができ,「小売店などを中心にコンテンツ管理の依頼など,業務が広がるケースも出てきています」(金子氏)。
 同社が現在実現しているこのチラシ制作のワークフローはまだ踏み出したばかりである。外部公開を実現することで,さらに2歩,3歩と新たなフローの展開を実現するのではないだろうか。

▲株式会社広研 本社ビル

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 株式会社広研
 本社 〒557-0015 大阪市西成区花園南2-6-13
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『プリンターズサークル』2005年8月号より

 

(2005年9月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

商品の魅力作りに挑戦し続ける包装のパッションカンパニー

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:商品の魅力作りに挑戦し続ける包装のパッションカンパニー

 

Oce TDS800HBとOce Exec 株式会社東京自働機械製作所

Oce TDS800HBとEngineering Execの導入により,電子ファイリングシステムを刷新, 1日2500枚の図面出力とスムーズな図面入力を実現
 包装機器メーカーの最大手である東京自働機械製作所は,設立以来「たばこ包装機」の歴史とともに歩み続け,その技術を発展,さまざまな分野へと応用してきた。現在では,たばこ製造・包装機械に加え,一般各種自動包装機械,廃棄物処理システムなどを,開発・設計,製造,販売を行っている。生産性の高い包装の実現により,顧客の問題・課題を解決するために,絶えず新しい包装形態や新技術の開発に取り組んでいる。常に創造性,革新性を求め,日本で最初にたばこ,キャラメルなどでオープニングテープ付きの包装を実現した。また,ボックスティッシュ5個パックの取っ手付き包装を可能にしたのも同社の技術である。そのほか,世界最速のたばこ製造用フィルター供給機,新世代ベーリングシステムなど革新的で高品質な製品を提供している。 同社は,新製品の設計・既存製品の設計変更業務において,日々膨大な数の図面データの処理を必要とする。既存の電子ファイリングシステムでは,1日当たり1500枚弱の印刷がせいいっぱいで,また図面の登録でも,煩雑な作業に時間と手間を費やしていた。しかし,Oce TDS800HBとOce Engineering Execを導入することで,2500枚の図面を6時間以内に印刷が可能になり,入力作業も簡略化できた。また,30%のコスト削減を達成した。 製品開発の業務を担う同社の研究所では,新製品の開発・設計に加えて,既に顧客に納入した製品の改善のための設計作業も行っている。電子ファイリングシステムは,設計した図面の管理や出力するために必要になる。 設計図面の管理は,扱う製品の数,種類が膨大で,また部品の数も多岐にわたるため,正確性と確実性と迅速性が必要とされる。

不十分だった既存の電子ファイリングシステム
同社では1998年から電子ファイリングシステムを導入し,包括的な管理をしていた。顧客の要望する製品を短期間で製造,納品するために,製造作業に必要な図面を迅速に準備できることが不可欠であり,電子ファイリングシステムには,優れた性能が必須となる。しかし,同社で運用していた既存の電子ファイリングシステムは,以下のような問題を抱えていた。
 図面出力に掛かる時間
 当初,電子ファイリングシステムの導入により,A2~A1サイズを主に,1日当たり2500枚の図面出力を計画していたが,結果的に1日当たり1500枚しかできず,出力の計画を調整したり,残業をする必要が生じていた。
 図面出力とスキャンの同時処理ができない
電子ファイリングシステムへのCAD図面の登録は簡単に実行できるが,同社には,50万枚にも及ぶ既存の手描き図面があり,それを登録する作業は困難で,図面が必要となった時点でその都度スキャニングを行っていた。また,既存の他社入出力機器では,図面の入出力を同時に処理ができないため,大量出図の際は,入力作業を止めざるを得なかった。
 事前処理作業が必要な手書き図面のスキャン
古く劣化した手描き図面を既存の他社入出力機器でスキャニングする際は,場合によっては1枚当たり30分近い時間を掛けて,前処理を施す必要があった。同社では,スキャナの性能が優れていれば,この作業に費やす時間を減らすことができると考えていた。

Oce TDS800HBを導入
 新システムでは,より作業効率を高められる入出力機器と,その能力を100%引き出すことができる簡単・確実な電子ファイリングシステムを実現することと,同時にランニングコストの低減も目指していた。既存のシステムから容易に移行ができ,運用も満足できることから,最終的にOce TDS800HBとOce Engineering Execを導入した。 「日本オセの製品は,2002年6月のCADシステム入れ替えの際に,Oce TDS 600をCAD図面の出力機として3台導入しており,評価も高く,既になじみがありました。今般導入したTDS800HBの性能は,既存のシステムでは満たすことができなかった弊社の要件を十分に満たすものであり,Oce Engineering Execも,既存のシステムより使い勝手が良いと感じました。
 最終的に,TDS800HBは,大量出図にも余裕で対応できる高速プリンタである。他社機では対応できない不鮮明な図面であっても確実に読み取ることができるスキャナである。出図と入力を同時に処理ができる優れたコントローラである。また,Engineering Execはだれでも簡単に操作ができ,確実な管理とTDS800HBの能力を発揮できる。
システムがオープンであり,将来の拡張時も柔軟に対応できる。といった点が,導入の決定要因だったと言えると思います」と研究所管理課の薄井課長は語っている。
また,研究所管理課の佐藤係長も,「他社の電子ファイリングシステムで,システム専用のプリンタ以外で出図するとさまざまな制約がありました。例えば,ポストスクリプトデータの高速プリントや,図面上に必須となる機械のロット番号,種別のスタンプをほかのプリンタでは印字できないといったことです。しかし,日本オセのOce Engineering Execには,ほかのプリンタでも要望どおりの図面を出図することができる機能を提供してくれました」と述べている。

Oce TDS800HBとOce Engineering Execを導入したメリット
同社が,Oce TDS800HBとOce Engineering Execを導入して得られたメリットをまとめると以下のようになる。 出図枚数が1日1500枚から,6時間以内で2500枚になった
TDS800のプリンタは,図面の印刷を高速,確実に行え,製造のために要求された図面を迅速に出図できるようになった。
 入力作業の簡略化
TDS800のスキャナは,優れたイメージ処理機能により,判読し難い劣化した手描き図面を,だれでもワンタッチで高品質のスキャニングができるようになった。従って,スキャンするための前処理・後処理が以前よりも簡略化された。
 作業の効率化
TDS800のコントローラは,コンカレント処理に対応しているため,図面の出力作業と入力作業を同時に並行して行える。従って,業務が滞ることもなく,生産性が飛躍的に向上した。
 検索,閲覧する人の増加,多様化
 既存の電子ファイリングシステムは,同時利用が5ユーザまでだったが, Oce Engineering Execでは,Web方式により,現在は20ユーザまでに拡大し,関係部署で見たい図面をリアルタイムに見ることができるようになった。
 「CADの図面をOce Engineering Execに登録することで,例えばCADを使えない人でも,図面を簡単に検索して見ることができるようになりました。だれでも簡単に運用できるので,工場以外の各営業所からもOce Engineering Execを使いたいという声も上がっています」と佐藤係長は語っている。
 別の小判プリンタでも,Oce TDS800HBと同じ図面を出力可能になった
日本オセが提供するソフトウエアは,ネットワーク上のほかの小判プリンタでも,用紙サイズ以外はOce TDS800HB同様の出図ができるため,社内全体で図面を柔軟に利用できるようになった。
 運用管理負担の低減
 既存の電子ファイリングシステムはUNIXベースであったため,管理と運用に専門的な知識が必要だった。しかし,Oce Engineering Execは,Windowsベースであるため,容易に管理・運用することができる。

日本オセ株式会社

 『プリンターズサークル』2005年10月号より

ソリューションレポート募集中

 

(2005年11月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

お客様との関係をサポートするダイレクト宛名印刷~DMソリューションレポート

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:お客様との関係をサポートするダイレクト宛名印刷~DMソリューションレポート

 

Noと言わない社風が業務改善の原動力!それを支えるのがBUSKRO

 (株)ブンカは1948年の創業以来、商業印刷を中心として印刷媒体の作成を受注してきたが、現在、これに加えデータベースの運用管理、ダイレクト宛名印刷ソリューションを導入したメーリングサービス事業を展開し、大いに成功を収めている。この事業は、総合小売業大手(以下はクライアント)との密接な関係に基づくものであり、同社がクライアントから勝ち得てきた「信頼」がどのようにして生み出され、どのようにメーリングサービス事業に発展していったのかについてお話をうかがった。

まず、お客様中心に考える!

 同社は当初、クライアントが店頭で使用する店頭POPや店舗内サイン関係、ノベルティなどの販促物といった印刷物を受注していた。しかし、さまざまな対応を要求される小売りの現場からは、実に多種多様な要望があった。同社のシステム部データベース課課長の樋口久和氏は次のように語っている。

 「中にはハッピやブルゾンなどの布物から、灰皿や貯金箱に至るまで実にいろいろな仕事をご依頼いただいています。流通は情報に対していかに敏感に反応できるかが売り上げにつながるので、印刷物作成のスピードやレスポンスの高さが非常に重要になってくるのです」

 同社ではそうした要望にどのように対応しているのだろう? 樋口氏は「まず、お客様中心の考え方がベースにあります。クライアントからの要望が印刷機をまわす時間だけしかないような、とても短納期の場合でも、営業はできないとは口が裂けても言わないところにあります」と語る。一見すると印刷業であればどこでも言っているような営業対応ではあるが、そうした営業の言葉を社内全体にある「やってやろう」という「NOと言わない社風」が支えている。もちろん中には解決できないこともあるが、それでもまず動いてみるということが結果的にはクライアントの信頼を得ることになった。

いち早く個人情報保護法に対応

そうした関係を構築していく中、クライアントより特定の顧客層に対して会員を募集し、DMを発送する業務を受注した。さらに、このデータベースを全国で統一して管理・運用する運営業務を受託して欲しいという要望が出た。当初、新規事業ということもあり小規模で行い、大量受注時には外注もしていた。しかし、クライアントからの新しいことをしたいという要望があり、各店舗から発送というローカルなリレーションを維持するためにバリアブルデータの高速印字を実現する必要性があった。
 樋口氏は「それ以上に数十万件のデータを外注するのはリスキーすぎる、という危機意識が社内に生まれました。これを克服するために完全内製化に踏み切ることになったわけです。これは逆にクライアントからの信頼を得るいい機会でもあり、納期を確実に守れるという考えもありました」と語る。そうして同社は個人情報保護法が施行される一年前の2004年6月にISMSの登録認証を取得した。

BUSKROはシンプル、堅牢が決め手

 同時に、セキュアなメーリングサービス事業の確立に重要なものとして、ラベルではなくダイレクト宛名印刷を活用することとなり、『BUSKRO HPQ』が導入された。BUSKROを選定した経緯を樋口氏は「BUSKROを選んだ理由はその性能もありますが、販売会社(フロンテック)が当社で実際に作っているサンプルを持ち帰り、それに印字したものをプレゼン資料として提出してもらったのが、実際の仕上がりをイメージするのに役立ちました」と語る。
 実際にBUSKROを管理している同社の業務部次長の山内薫氏は「BUSKROのセッティングはとても楽ですね。シンプルだし、簡単に手早くセッティングできます。それがイコール、スピードにつながり、業務効率のアップになるわけです」としており、データベース課の秋元生也氏も「大変に堅牢だということも非常に高いポイントですね」と評価している。BUSKROでバリアブル印字をすることで、店舗名や顧客属性、バーコードなどにも対応している。バーコードを使ったデータベースとのチェックシステムは、数十万件の中に必ず数千は存在するエラーリストをつぶす上で大いに役立っており、さらなるコストセーブにもつながっている。
 今後の展開について樋口氏は「今後はメインクライアントの中にさらに大きい柱を増やし、その上で、その他の企業ともお仕事ができればと思います。小ロットでも印字を受注し、利益も十分確保できるノウハウを会得したいですね。ただし、下請けではなく総合的なサポートからエンドユーザとの関係性を構築し、印刷の仕事に拡げていきたい。」と語った。

 最後に同社の企画提案力についてたずねると樋口氏は「まず、顧客の要望に対して真摯に対応する。そして、その要望の100%より、少し高い110%ぐらいを提案できるように心がけていることです」と語った。

 『プリンターズサークル』2005年12月号より

ソリューションレポート募集中

 

(2006年1月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)