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社内ネットワークの強化をサポート

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:社内ネットワークの強化をサポート

 

イワニチ高速オフセット株式会社は,岩手県一関市に平成2年に設立された東北屈指の印刷会社である。岩手日日新聞社のグループ会社として一般商業印刷を一手に引き受けるほか,近隣地域および他県の外注から依頼を受けた印刷も行っている。高速輪転機2機および平台印刷機のほか,断裁・製本機器などの設備と,高度な技術でニーズに対応している。また,制作関連では主に岩手日日新聞の記事下広告を中心に,東京を始めとする他県からのチラシ・パンフレット類の制作も行っている。
 岩手日日新聞社グループはイワニチ高速オフセットのほかにも,ケーブルテレビやビジネスフォーム,また他社の新聞印刷を受託している別会社と合わせて9社あり,さらに東京・仙台・盛岡に営業所を構え,東北から関東までのネットワークを形成している。
 同社が多様化する印刷,そしてDTP制作のニーズに対応するためDTPターボサーバーを導入し,その後どのようにワークフローが変化しているのだろうか。今回は同社生産品質管理室部長 須藤武彦氏,画像センター主任 小笠原誠氏にお話を伺った。 
 

■サーバの役割とは?
 「サーバに何をさせるか?ということを考えた結果,『一元管理』であるというところに行き着きました」と須藤氏。3年ほど前から考えていたサーバ導入の大きな目的はそこにあったと言う。
 「DTPデータがデジタル化されてから,各オペレータごとにMOでバックアップを取っていましたが,1日15分だとしても,積み重ねれば相当の時間になります。制作に関係ないバックアップやデータ管理という部分で,オペレータが多くの時間と気遣いを必要としてきました」(小笠原氏)MOでバックアップを取ることがデータの二重化につながり,逆にどれが最新のデータなのかが分からなくなるという混乱もあったそうだ。制作側同様,営業側でもデータ集配信に関する問題が存在した。「お客様のデータを,今までは営業が取りに伺っていました。1往復1時間が3件として,約3時間,営業全員が毎日,短納期が迫られる中,本来の営業活動ではないことに時間を取られていました」(須藤氏)。
 同業他社からCTP化のニーズが高まる中,MO内のデータをCTPへ出力することには対応できたが,その間のデータの受け渡しという部分が大きな問題となってきたというわけだ。DTPターボサーバー導入後,同社ではどのような変化が起きたのだろうか。
 「制作側ではサーバ内のデータのありかが整理され,検索やプレビューですぐにデータを探すことができるようになり,また営業側では顧客自身にデータを探してもらえるようになったので,今まで費やしていた時間がゼロになりました。DTPターボサーバーを導入してからそれぞれのムリ・ムダだった部分が削減され,まるっきりワークフローも変わったと感じています」(須藤氏)
 

■実際のサーバ構築とサーバによる自動処理
サーバ内の実際のデータ構成に関して小笠原氏は,「RAIDを(1)商業印刷向け(2)グループ会社および新聞広告向け(3)入稿受け付け,の3つのパーティションに分けています。さらにそれぞれの中で制作中のもの,在版のものと分けており,(1)ではデータベースのVentureを使用,よく再利用される画像データに対してはクライアント別,商品ジャンルとフォルダを分けることで流用しやすくしています。制作中のものは地域別,クライアント別に分け,受注番号をフォルダごとに付けることによって管理しています。在版はデータ削除などを防ぐためにダウンロードのみ可能にしています」。
データをサーバ内で整理したことにより在版データの検索フローが大きく変化し,利用者にも分かりやすくなったと言う。また,DTPターボサーバーを使用したフローの自動処理も行っている。
 「顧客が入稿フォルダにデータをアップロードすると,自動で担当者にメールが送られるように設定しています。特に顧客が急いでいる場合でも,すぐに気がつくことができます」(小笠原氏)
 「メール通知など,かゆいところに手が届くシステムで,お客様の突然の依頼や短納期にも対応できるようになりました」(須藤氏)
さらに今後は,Ventureのオートメーション機能を利用したさまざまなワークフローを構築したいと言う。「例えば制作用のフォルダにあるデータが3カ月たったら自動で在版のフォルダに移動する,校正のチェックが入ると自動的にリモートプルーフ出力やメール配信が行われる,またPDFデータ入稿限定で,アップロードされたら自動で専用のフォルダに移動され,RIP,CTP,印刷と自動で流れるフローを構築する…といったことを計画しています」(小笠原氏)。

■サーバベースリモートプルーフ
同社がDTPターボサーバーを導入した理由の一つに,リモートプルーフがある。これは,制作側がサーバに校正用PDFデータをアップロードすると,相手側のプリンタから出力され,相手はそこに赤入れを行った後にスキャニングすると,再度PDFとなってサーバに戻り,制作側はそれを見ながら修正を行うというものである。同社はグループのうち5拠点にリモートプリンタを導入した。「遠隔地とのやり取りであるため,従来は宅配便の利用が主で,その分の時間のロスがありました。現在では朝校正データを送れば,その日のうちにはこちらに校正されて戻るので,校正で時間を取られることがなくなりました。設置先も喜んでおり,営業の動きが早くなったと好評です」(須藤氏)。
 

■社内体制のさらなる強化へ
導入時を振り返り,「いろいろなサーバを見て検討しましたが,私どもがサーバの役割として挙げた『一元管理』『データ受け渡し』『在版管理』『データプレビュー』に合致したのはDTPターボサーバーだけでした」と須藤氏。今後の展望としては,社内制作部門の生産管理システムとの連動を挙げている。「プリプレスの制作過程は経営的に見ればブラックボックスな部分が多い。生産管理システムの導入により,経営者側は制作部門の実際を把握し,社員には自身の仕事に対する自覚を促すことで,問題改善に向け経営者と社員が一体となって解決できるのではないかと考えています」「自社でもっている環境を生かし,ささいなことを見逃さず『アイデア』を生むことで,企業がまい進でき,お客様を囲い込んでいくポイントだと思います」(須藤氏)。

イワニチ高速オフセット株式会社
 本社 〒021-0822 岩手県一関市東台14-37
 TEL 0191-23-9333
 URL http://www.isop.ne.jp/iko/

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『プリンターズサークル』2005年11月号より

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(2005年12月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

ダイレクト宛名印字がもたらすソリューション

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:ダイレクト宛名印字がもたらすソリューション

 

SJ-20Kで作業効率アップ、業績もアップ!超高速宛名プリンタSJ-20K

【特 徴】
●最大20,000 枚/時の超高速印字。大量の印刷作業や、短納期の処理に最適。
●顔料系の速乾インクでもカスレないSIS 機構と自動キャッピングを採用。
●別納マーク・会社ロゴ等のイメージ印刷にも対応。
●2種類の給紙装置で封筒ハガキから小冊子まで用途に合わせて選択可能。
●大容量インクタンク方式新登場!ランニングコストを大幅に削減。

有限会社アドレスプロモーション
東京都江東区亀戸2-12-7
TEL 03(3683)3871

有限会社アドレスプロモーションはDM 発送代行を専業として30 年以上の経験を持つ老舗だが、須藤一夫新社長にバトンタッチしたばかりの若々しい会社だ。同社はこれまで現会長の元、タナックの提案するダイレクト印字機を導入しており、5 月には最新鋭の超高速宛名プリンタ『SJ-20K』を導入した。

 専業として、官公庁をはじめに印刷会社からの委託も含め、さまざまな業種からの依頼をこなし、導入機器は常にフル操業の状態だ。そうした状況から同社では常に最新の機器を求めており、須藤氏は「ラベルよりも宛名印字が美しく、手間も省けるのでダイレクト印字機の第一世代機を5 年前に導入したのですが、SJ-20K はさらに高速で作業時間の短縮が図れる事から今年導入を決めました」と語る。

 導入の決め手にはいくつかのポイントがあった。これまでの4 ヘッドから8 ヘッドに増えた事で印字幅に余裕が出て「宛名と別納マーク」「宛名と差出店名」などが1 回で印字でき、時間短縮が図れるようになった。また、これまではコーティングしたハガキを使用した場合、乾燥させる必要があり、そのために外注する事があった。SJ-20K には乾燥ユニットが搭載されており、作業工程の効率化はもちろん、外注コストの削減も可能になった。

なんと言っても最大のポイントはその作業速度だ。「ラベルの打出・貼付作業は何万件ともなれば1 日がかりです。外注の必要も出てきます。SJ-20Kは印刷物にもよりますが、平均1 時間に1 万から1万2 千件印字してしまいます。この速度による稼働率アップは、社内でこなせる仕事量にそのまま反映されます。業績にもプラスになりました」と須藤氏は語る。須藤氏は「これまでどおり現業を大事にしつつ、SJ-20K を武器に地道な新規開拓も狙って行きたいです」としている。

9,500 通を翌日発送!DA-6300 で省力化
SJ-20Kで作業効率アップ、業績もアップ!超高速宛名プリンタSJ-20K

【特 徴】
●タナックだけの縦型設計。コンパクトで場所を取らず、キャスター付で移動も簡単。
●最大5,000 枚/時の高速印刷。フォントも文字サイズも自由自在。
●用紙を縦に積むことにより、一度にたくさんセットできる手間無し設計。
●印字品質・レイアウトともSJ-20K と共通、サブ機としても最適。
● ジャムリ易い封筒も開封口でないほうから送れるのでスムースに印刷可、専門反転ドライバー標準装備。
●最大1m/m の厚さの物まで印字可能。

ミツバ綜合印刷株式会社
東京都千代田区神田神保町1-25-8
TEL 03-3291-2243 FAX 03-3293-1476

ミツバ綜合印刷株式会社は、都内千代田区に本社を構える印刷会社だ。同社では2005 年3 月にタナックの縦型ダイレクト宛名印刷機『DA-6300』を導入した。

 同社では以前より官公庁の印刷発送業務を承り又特に医療系の社団法人から会員向け月報の発送業務を依託されている。発送業務の内容は、封筒(長3、角2)に宛名ラベルを貼付け、10 ページ程度の月報を(他に入れる場合は4 パーツ程度)を封入して発送するという内容で、一度につき3,000 ~4,000 通の発送が、月に一、二度発生していた。この時点ではラベル貼付けを手作業で行っており、丸一日を要する大変な作業だった。

ところが、3 月より依頼数が9,500 通に激増することとなった。現状の手作業ではすでに限界が来ている事がわかっていたので、対応策として『DA-6300』を導入して作業効率化を図ることとなった。導入後はこれまでの数で丸一日かかっていたものが、DA-6300を導入した事で、9,500 通が諸作業を含め、8 時から夕方までには終了する事ができるようになった。

DA-6300 の操作を担当する伊藤康弘氏は、「DA-6300 を導入したことで、お客様より1 万通近い数を発注をいただいても、翌日の発送が容易に実現できるようになりました。作業もお客様からお預かりしたExcel などのデータをWindows でWordに貼り込み、後はDA-6300 で出力するだけですので、慣れてしまえば使いやすいと思います。当社のように都心に構える印刷会社にとっては、この省スペース設計は本当にうれしいですね」と語っている。

 現在はメインクライアントからの月1、2 度の依頼の他に、イレギュラーな依頼として、1000 ~2000 通程度のものもあり、今後もメインクライアントを中心に堅実な事業を展開しつつも、ダイレクト宛名印字の良さを十分活用した営業活動も進めていきたいとしている。

記事及び機械に関するお問い合わせ先
タナック株式会社
 〈本 社〉〒105-0014東京都港区芝2-15-3
TEL.03(3454)4141
〈仙台営業所〉〒984-0051宮城県仙台市若林区新寺4-1-6-1101
TEL.022(293)1076

『プリンターズサークル』2006年1月号より

ソリューションレポート募集中

 

(2006年2月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

ビジュアル・ワークフローの確立で課題を解決 -ActiveAssets-

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:ビジュアル・ワークフローの確立で課題を解決 -ActiveAssets-

 

2006年2月23日にエプソン販売株式会社会議室で、社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)主催「今、求められるビジュアル・ワークフロー」セミナーを開催した。
 同セミナーでは、印刷・メディア制作業務のIT化が進む中で、ワークフローを改善し、より効率を上げる方法を株式会社毎日コミュニケーションズ 書籍・ムック編集部 小木昌樹氏が実際の事例を元に提案した。

いい本をより安く作るために

毎日コミュニケーションズでは『Mac Fan』『PCfan』を始めとするパソコン雑誌や書籍、就職情報誌を手掛けている。
 「出版を取り巻く環境が厳しい状況の中、いい本をより早く、より安く作る仕組みを構築していかなければ、出版業界では生き残れない」と小木氏は語る。
  これまでの書籍制作におけるワークフローの問題点として
 1. データの受け渡しにバイク便や宅急便を使い、費用と時間が掛かる
 2. 色校正のやり取りが多い。一度で済むことはなく、2校、3校と時間も手間も掛かってしまう
 を挙げている。
これらの課題を解決するのが、フルデジタルのワークフロー確立である。そのためには、デジタル化が大きく立ち遅れている業務やコミュニケーション環境を改善しなければならない。しかし、単にデジタルでのやり取りを実現すればよいということではなく、画像原稿・校正などのイメージ情報を発注側・受注側・制作側でネットワークを活用して即座にやり取りすることが必要である。言わばビジュアル・ワークフローと言うべきものであり、それによって印刷・メディアにおいて大幅な納期短縮とコストダウンなどの実現が図れる。
 「出版制作を大まかに分けると、入力(素材の制作)、制作(デザインや組版)、出力(製版)といった流れになる。DTPやデジカメ、CTPの登場で入力、制作、出力それぞれの工程のデジタル化は進んでいると言えるだろう。しかし、これだけでフルデジタル化になったとは言えない。実は、各工程と工程をつなぐ部分のデジタル化が大切だ」(小木氏)
ワークフローのフルデジタル化、つまり具体的には、電子送稿や、ネットワーク送稿といった環境を整え、カラーマネジメントによるワークフローを作るということだ。
 「印刷の安定化も大事だが、印刷機の色をどの程度再現できるかも大切だ。カラーマネジメントを確立して、デザインの工程に、印刷機のプロファイルをフィードバックすれば、モニタとプリンタによる色のシミュレーションができたことになる。
また、AdobeのCreative Suite2は、カラーマネジメントに対応したアプリなので、これらを利用すれば、印刷に入る前段階で色のシミュレーションができる。この段階である程度色の確認ができれば、校正紙が行ったり来たりすることはないだろう。平台校正どころか、DDCPも不要になる」(小木氏)

ワークフローを改善し、仕事の効率を上げる

毎日コミュニケーションズから2月に発売された本『プロが教えるDTPのキメ技』は、エイビス・テクノロジーズの「ActiveAssets(アクティブアセット)」を用い、ビジュアル・ワークフローを確立した。これにより、コスト削減と制作スピードアップを実現できた。
ActiveAssetsは、データを管理するデータベース機能と、作業進行の進捗管理をするプロジェクト機能という2つの機能があり、これらをインターネットを通じて複数の人と、ブラウザ上でやり取りをしコミュニケーションをするものである。
 各担当者はテキストや画像をActiveAssetsに入れることで、データを一元管理し、スピーディな素材収集を図った。
 「例えばデザイナーから提案されたカバーに『文字の色をもう少し濃くしてほしい』『グラデーションをもう少し狭くしてほしい』といったコメントを付けて返し、さらにデザイナーからコメントが来るということを繰り返して、ActiveAssets上で案を練り込んでいった。
デザイナーとリアルタイムでやり取りができ、画面上に即座に反映される。またデザイナーと自分以外の人も参加でき、いろんな人の意見を集約できる。こういった機能もうまく活用すればとても利便性が高い」(小木氏)
ActiveAssetsは、登録ファイルをサムネールやアイコン表示で管理できる。アクセス権限をファイルやフォルダごとにユーザ別に設定できるだけでなく、有効期限も設定可能だ。
 「それまで使っていたFTPでは、ファイルネームしか分からないし、ソフトによっては日本語名を付けると化けてしまい、中身が全く分からないということがあった。サムネールによって画像が何であるか一目りょう然だ。この中のどれを使うか、差し替えるかといったコミュニケーションも取りやすく、この機能によって間違いがだいぶ減った」(小木氏)
データは、PDF/X-1aにして、ActiveAssetsで岐阜にある印刷工場にネット入稿、CTPで印刷という流れになる。
ICCプロファイルはAdobe RGBを使用している。デジカメの画像もレタッチもすべてAdobe RGB上でファインデータを作り、編集サイドですべてJapanColor 2001 coatedにプロファイル変換し、デザイナーに渡して組む。色校正は、カラーマネジメントされたモニタとカラーレーザプリンタで行い、毎日コミュニケーションズのオフィスの中で済ませた。それ以外の人が色を確認したい場合は、それぞれがモニタで確認し、関係者全員がビジュアルについて同じ意思の疎通と感覚をもてるようにした。
 「良いものを作りたいという思いから何度も色校を出したのだが、結果的に印刷費に跳ね返ってきて、なかなか思いどおりに仕上がらない。こうした無駄を何度も繰り返し、いろんな人たちの話を聞いてやっとこうしたワークフローにたどり着いた」(小木氏)
クライアントのもつデジタルデータを資産化して活用価値を上げ、データ資産を生かすワークフローを提案する。そうすることで、関係者がより楽になり時間短縮が実現できるだろう。キーワードはグループコミュニケーションである。

 

 ■問い合わせ
株式会社エイビス・テクノロジーズ
〒140-0004 東京都品川区南品川5-11-45
 TEL 03-3474-0128 FAX 03-3474-0174
 URL http://www.abistech.co.jp/
*ビジュアル資産をフル活用するActiveAssets(アクティブアセット) 体験サイトを
 ご使用いただく際には、メールアドレスなどの登録が必要になります。
http://www.abistech.co.jp/よりアクセスください。

 『プリンターズサークル』2006年4月号より

(2006年5月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

WebNative導入で営業展開を方向転換

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:WebNative導入で営業展開を方向転換

 

株式会社ランドマークプレスは、静岡市を中心にDTP制作や製版を中心に活躍されている企業です。藤枝市に本社を構える株式会社石垣印刷の関連会社として1992年に設立。石垣印刷の静岡営業所と隣接したオフィスを構え、密に連携を取りながらDTPターボサーバーでのデータ管理を絡めた営業スタイルで独自の顧客層を広げつつあります。同社は1999年にSGI O2ベースの「DTPターボサーバーII」を導入し制作ワークフローを固めた後、2003年ファイル管理システム「WebNative」と画像データベースオプションである「Venture」が搭載されたXserveベースのDTPターボサーバーである「スーパーCUBE」を導入。データ管理はもちろん、さまざまな用途で活用されています。
 今回は、DTPターボサーバー導入によって変化した顧客・外部デザイナーとの協力体制や、今後の展望について、同社取締役・本間和人様にお話を伺いました。

 

■WebNative導入で営業展開を方向転換

DTPターボサーバー導入の数年前、同社は多くの競合他社の中から生き残るためにDTP以外にも何か新しい仕組みや事業を行いたいと感じ始め、当初はXserveベースでのストリーミング事業などを考えていたそうです。しかしその後、ファイル管理システム「WebNative」と画像データベースオプションである「Venture」が搭載されたDTPターボサーバーを知りました。
  「さまざまな展開の可能性を秘めていると感じて導入しました。また技術サポートの対応や新しい情報を提供してくれる姿勢もうれしいところでした」(本間氏)
  現在導入いただいているDTPターボサーバーの構成は、基幹サーバにXserve、RAIDシステムとしてXserve RAID 180GB×7、バックアップシステムにSONY AIT-3テープ装置を8巻タイプ。ソフトウエアはワークフローソフトウエアFullPress6クライアント、WebNative、Ventureです。「自社のデータ管理はもちろん、レンタルサーバのようにお客様にサーバ領域を使用していただくサービスを行いたいと思いました。それ から、WebNativeやVentureを利用した営業提案も可能だと感じました」(本間氏)
そして実際、同社ではDTPターボサーバーを中心にクライアントや外部の協力会社、デザイナーと効率的なワークフローを構築されていきます。

■大手通販会社との自動組版ワークフロー

 ランドマークプレスではDTPターボサーバー導入後、大手通販会社のカタログ制作に画像データベースオプション「Venture」を利用した自動組版フローを取り入れました。「最初は画像データベースとして提案し、ご利用いただいていました。その後自動組版の要望があり、Ventureを利用したInDesignとProDIX AutoSpeeder(プロフィールド社が開発した自動組版エンジン)での自動組版の仕組みを構築していきました」(本間氏)。
クライアントである通販会社は、今までの作業は細かいレイアウトの調整から組版、印刷まですべて一つの印刷会社に丸投げしていたため、手間は掛からなかったものの高いコストが掛かっていました。「当社のサーバを利用していただき、最終データまで制作できれば、後はクライアントが好きな印刷会社を選択できるようになります。コスト削減にもつながります」(本間氏)
 現在、InDesignの組版部分とIllustratorの組版部分の調整などを行いながら、徐々に実稼働を始めています。このほかにも、通販カタログに掲載されているモデルの画像データベース作成など、クライアントの要望に応じたサービスを随時展開し、ニーズにこたえています。

 

■アミューズメント関連企業への提案

<clear=all>ランドマークプレスが手掛ける営業展開のもう一つの例として、時間と場所を選ばないWebNative・Ventureのメリットを利用した、近隣の県や都心部に展開するアミューズメント施設に対するデータ管理・配信サービスが挙げられます。「施設内で利用されるポスターやPOPは共通して利用できるものが多く、チラシなどは住所と場所を入れ替えさえすればどこの店舗でも流用できます。WebNativeを生かして、各店舗で必要な時にすぐデータをダウンロードしたり、印刷を発注できるシステムを構築し、徐々に運用を開始しています」(本間氏)。サーバ使用料やパスワード発行に対し課金を行う代わり、ダウンロードに対し課金は行っていないので、プリンタをもっている店舗であればいつでもPOPやポスターのデータを利用することができます。また大量印刷が必要な場合は、同じサイト上に置かれているPDFの依頼書からファックスで見積もりや印刷を注文できる形式を取っています。 「WebNativeのメリットは、当社が他都県のクライアントへ営業提案できるのはもちろん、コンテンツが一元管理されていれば、クライアント自身が他都県に進出する際にも簡単にデータを流用する手助けになります」(本間氏)

 

■外部デザイナーとの協力体制

ランドマークプレスではWebNativeを介した外部のデザイナーとのデータ集配信を通じ、この1、2年で売り上げが伸びていると言います。
 「デジカメ入稿のほか、デザイナーとクライアント間の校正のやり取りがWebNative上でPDFデータを使用して行われるようになりました。クライアント側からも好評を得て、そのまま校正済みデータの製版を当社に発注いただく場合も増えました。WebNativeを使い始めてから自然に顧客の囲い込みが行われているのを感じます」(本間氏)
そのほか、都心を中心に業種を問わずさまざまな顧客がコンテンツ管理やPDFでの校正フローにランドマークプレスのサーバ領域を利用しています。「距離を感じず営業活動が行えるようになり大きなメリットを感じています」(本間氏)。

 

■PDFワークフローの充実を目指して

今後ランドマークプレスの課題として、PDFを活用したワークフローの充実を挙げています。「今話題になっているPDF/XとVentureを利用したフローの自動化を実施や、地元の協力会社の間で主流になっているTrueFlowの運用への対応、また最終データをOutlinePDFにしてフォントを問わず印刷できるようにすることで、例えば印刷だけは中国で行うということを可能にしたり、PDFでの在版管理も行うようにする…など、PDFの多くの活用方法が考えられます」「ランドマークプレスの目指すものは、『クライアントの作業の手間を省き、コストを削減する』ということです。WebNative・Ventureの仕組みをうまく利用しながらお客様をサポートすることで、良い品質のコンテンツを提供し、信頼を得ていきたいと感じています」(本間氏)

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■関連情報
 株式会社ランドマークプレス
 〒420-0035 静岡市葵区七間町8-20 毎日江崎ビル8階
  TEL 054-250-8403
 URL http://www.landmarkpress.com/
株式会社 ビジュアル・プロセッシング・ジャパン
 印刷・出版システム事業部
  東京都渋谷区南平台町16-25 養命酒ビル11階
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『プリンターズサークル』2006年5月号より

ソリューションレポート募集中

(2006年6月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

ワンソースマルチユースによる新たな事業展開への取り組み

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:ワンソースマルチユースによる新たな事業展開への取り組み

 

株式会社精興社

 電子情報システム課 マネージャー 
 木村 素行 様

  株式会社精興社は本社・工場を青梅市に、事業所を神保町に構え、大正2年の創業以来、活版印刷を経て、現在はDTP・CTSによる組版システムとオフセット印刷で、時代とともに変化を遂げている印刷会社です。コンテンツをワンソースマルチユース化する仕組みを作ることで新たな事業展開につなげることをテーマに「プロジェクトS」を発足し、2005年9月にサーバを導入。今までの手書き台帳での管理方法から、デジタルデータ管理への移行の経緯や、今後の展開について、同社マネージャー・木村素行様にお話を伺いました。システム構成は、サーバ本体にSUNV240、RAIDにEMC-RAID、バック・アップアーカイブ機器にSONY AIT4 チェンジャー16巻を2台。ソフトウェアはWebNativeVenture、FullPress 10クライアント、FlashNet、FlashWebがインストールされています。

  ■「プロジェクトS」が発足

 「プロジェクトS」はワンソースマルチユースによる新たな事業展開への取り組みとしてスタートしました。歴史の長い会社なので、沢山の在版データがあり、重版や再版の間隔も長く、その間にも様々な新刊データが生まれています。従って、それぞれを組版システム毎に管理して来ましたが、お客様に対して何をお預かりしているのかを把握していても、いざ探すとなると時間がかかってしまい、データ管理システムによる標準化・体系化が必要と思っていました。さらには、印刷物のコンテンツデータ管理をすることで、クロスメディア展開できるようにしたいという思いがありました。導入する前に調査した時点では、保管データの点数は1万6000点以上。年間でも約2000点ずつ増えて行きます。重版、再版で上書きされる物もありますし、フィルムでの在版も含むと相当な点数になります。将来的には、古くなってしまったフィルムを、そのまま画像としてInDesignに貼り込み、順次デジタルデータとして保管しようと思っています。

  ■導入の流れ
 お預かりしているデータをお客様にも検索をして頂きたかったのです。印刷業界では、置版としてお預かりしている版は、貴重な財産をお預かりしているにも関わらず、普通は預り証も無く、もっぱら信頼関係だけで成り立っています。DTSによる顧客への閲覧サービスによって「確かにお預かりしています」という一つの証しとして、預金通帳の照会のような感覚で、利用をして頂きたかったのです。これをふまえて、まずは検索機能やセキュリティの課題をしっかりクリアしたいですね。お預かりしているデータが入ったテープの複製を、バックアップとして遠隔地の青梅本社工場へ保管もしています。きちんと管理し、そこから今後の展開をご提案することにもなるでしょう。

  ■VPJのシステムに決めたポイント
 当社受注の1/3は人文系の学術書、1/3が出版多色物という絵本などのビジュアルもの、1/3が商業印刷で成り立っており、この主力の3分野に対して使えるということが条件でした。保管点数では、文字物が多いのですが、他の用途にも展開が出来ると思いました。データ保管するだけのシステムは、他社製品でもあります。欲張りですが、もうちょっと発展できるプラットホームが欲しかったんです。VPJ製品は汎用性があり、ユーザ側でカスタマイズできるということが、当社として選択のポイントになりました。在版アーカイバというと、どうしても専用機的な考え方をしてしまいがちですが、クロスメディアやデータベースとしての発展につなげたかったのです。WebNativeでDTPデータがファイル名だけじゃなく、ビジュアルで閲覧できる、さらにはPDFでも確認できるというのも便利でした。今まではCTSで組んできたのですが、それをお客様にご理解頂き、古いやり方から切り替えて、今後は全面的にWindowsのInDesignに切り替えていこう、と取り組んでいます。またカスタマイズし、今まで蓄積した写研のデータも入れて行こうとしています。DTPになるとデータ容量が大きくなるのは必至なので、これからの増設、拡張性、カスタマイズに関して強いというのも大きなポイントだと思っています。

  ■時間面での変化は?

  受け渡しの時間がかからなくなりました。今までの「媒体で渡す」という感覚ですと、作業が媒体単位で工場を動いていました。今ではオンライン上でのデータ受渡しを工場、営業、生産管理が行っています。「営業が入稿して来たデータをそのままサーバに突っ込んで、作業が進んで行く」という流れが予想外に上手く進んでいます。絵本などのInDesign、カラー系は、ワークフロー(FullPress)の領域を使っています。Webで接続してダウンロードしてアップロードしてとなると思っていましたが、マウントしたままどんどん制作上で使っています。

  ■導入後の社内での流れは?

  当社では、「スカラボ(Seikosha Contents Aggregator LABoratory)」と名付けてカスタマイズし、社内で頻繁に使っています。「最初にパスワードを入れてから」と教育はしましたが、結局使わないのではないか、という不安もありました。しかし簡単に使えたので、普及に時間はかかりませんでした。慣れてしまえば、いろいろと使い道が出て来ますね。現在100個のIDパスワードを設定し、見るだけの人も含め、アクセスグループを細かく分けて使っています。またお客様とやり取りするのは、セキュリティを社内できっちり立ち上げてからです。不特定多数とやり取りするのではなく、お客様編集部、編集プロダクション、デザイナー、当社と当社工場の間でのやり取りを1つのサーバでやるという流れを想定しています。印刷会社のWebでよくあるような「データ入稿の際にはここに入れて下さい」というのではなくて、仕事単位で一つひとつ領域を分けていこうと考えています。

  ■今後の展開

  5月以降から、開始したいと思っているクロスメディア展開の一つは24ページの月刊物のフリーペーパーです。印刷物のデータから、Webでも情報配信して行くというものです。データ入稿から校了までを24時間で終わらせ3日後に納品し、その後データをMOでWeb制作に持っていかなければならない仕事です。WebNativeを使うことで、この流れを大幅に改善して行けるだろうと期待をしています。 (木村氏)

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『プリンターズサークル』2006年6月号より

ソリューションレポート募集中

(2006年7月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

PrintSureを活用したオンライン入稿データ管理

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:PrintSureを活用したオンライン入稿データ管理

 

 東京カラーフォト・プロセス株式会社

 営業統括本部長 高木 尚之 様  班長 倉内 誠 様

 東京カラーフォト・プロセス株式会社(東京都新宿区市ヶ谷)は、昭和39年創業の印刷全般の総合プリプレス企業です。平成5年にはデジタル部門として「Cloud Nine」が、平成16年からは「Digital Shop CLOUDNINE」(東京都新宿区新宿)としてリニューアルオープンしています。
 制作部門の若松町事業所とはMacOS Xサーバでデータを共有し、オンラインデータ入稿を「PrintSure」を使って行っています。

 

◆サーバでつなぐ2つの事業所

 同時に何冊もの月刊誌を中心に制作物を扱う東京カラーフォト・プロセス株式会社では、ワークフローの管理用にPDFワークフローマネジメントシステム「Prinergy」を使用しており、何が現在どこまで進行中なのか一目で分かるようになっています。プリプレス生産管理支援システム「Konica NeoStream Pro」とVPJのオンラインデータ入稿ゲートウェイサーバ「PrintSure」の組み合わせで、ワークごとにセキュリティ、アクセス権を管理しています。
 入稿から印刷までの流れは、まず、「PrintSure」経由でサーバへ入稿され、CLOUD NINE事業部の営業が入稿データを把握し制作に流します。組版されたデータはPrinergyでアウトラインPDFにされ、印刷工程へと流されます。「現在の所、若松町事業所にある制作側でPrintSureを使っているとはいえ、従来のサーバへデータが入ってくる時との大きな違いは感じていません。それゆえ、違和感無く作業は進んでいます」(若松町事業所:三角氏)

 ◆「PrintSure」導入するきっかけ

出版社/印刷会社向けのデータ入稿システムとして「PrintSure」を2006年7月から稼働させています。
ますますデータ入稿が増えてくる現状を踏まえ、データ入稿における基準が作りたかったのです。どういったデータがいつ入っているのかを担当者が管理しなくてはなりませんし、制作と営業の拠点が離れているので、電話で「サーバにデータを入れました」という一言では現場も混乱します。
 雑誌制作では記者、デザイナーがそれぞれいろいろなデータをサーバに入れます。そのため、いつ、どのデータが入って来て、足りないのは何か、営業がそれをとりまとめるのが大変でした。社内にいてサーバの中身を見ないと、詳細は把握できません。一つの雑誌制作にはけっこうな人数が関わりますし、それを「ネーム」「レイアウト」と「素材」と、まとめていかなくてはいけません。
 求めていたのは入稿時に必要な情報を入れられて、入稿されたことがすぐ担当に通知される仕組みでした。そして、メール添付やAFPサーバ経由並に、だれでも簡単に入稿できるものであることが重要でした。
 最近は完全データ入稿が増えており、Illustrator、QuarkXPressなどの完全データ入稿で、チェックして面付けし、フィルムを出しておしまい、という自動的な流れができています。雑誌によっては、8割方が完全データ入稿をしています。将来的にPDF入稿になってもそのまま「PrintSure」で対応できます。データの種類によって入稿システムが違うのは混乱の元ですので避けたい所です。現状のワークフローの問題点を解消することはもちろん、将来的なワークフローの構築もできる点も「PrintSure」を選んだ理由です(CLOUD NINE事業部:高木氏、倉内氏)。

 

◆期待する変化

メールや無料ファイル転送サービスなどを使った入稿のトラブルが絶えず起こっており、その都度、再送をしてもらうのですが、最初からファイルが壊れていたのか、転送方法に問題があるのか、受け取った側では判断できないため、無駄な時間を取らせてしまうこともありました。「PrintSure」では、Macのファイル形式に完全対応しているのでそういった問題が無くなるといいですね(倉内氏)。

 

◆実際に稼働してみて

「雑誌名」「担当者名」「ページ名」「種類」などを簡便に入力できるようにして入稿側の負担を増やさないように工夫しています。そして入稿があったら担当営業と制作部門にメールが届くようにしてあり、素早い対応ができます。
 実際に、PrintSureを使ってデータが入って来た際のメール通知をとおして見てみると、ぽろぽろと頻繁にいくつもデータ追加や「間違えたので差し替えてください」などと、何度も入れ替えていたことが、今回になって分かりました。今までのように一つのサーバでやっていた時と、イメージが違いましたね。サーバにどんどん入れられていた物が、今までどうなっていたか分からないですね。正直こんなに差し替わっているとは思わなかったんです。今は履歴が残るので、差し替えたのがいつで、何かが、はっきり分かるようになりました。データの流れは完全な一方通行なので、いつの間にか差し替わっていることも無くなり安心です。営業側からは、こういうのが欲しかった、という声もありました(倉内氏)。

 ◆コミュニケーションの変化

 従来はMOなどでの入稿が基本でしたので、営業が取りにいく時に用件を聞いたりしていましたが、AFPサーバを使うようになってからも、「いつに入れました」というような連絡などの直接的なコミュニケーションは取っていました。
 今ではPrintSure上で、データを送信する時に入力する品目やコメントなどの情報だけで済んでしまうため、逆にコミュニケーションが無くならないだろうか? という不安感は無くは無いですね。
 土日に営業が居ないこともあるし、メールでの通知を見ることで、データを入れてくれているのだな、ということは把握できるようになり、フォローはすぐできるようになりましたよ(高木氏)。

 

◆今後の展開

 印刷も着実に進化しており、フィルムからCTPへと移り変わりつつあります。今まで4台稼働していたフィルムセッタも、現在は2台だけの稼働になっています。
PDF/X-1a形式などのPDF入稿から、アウトラインPDFを書き出して印刷、という流れの印刷工程になると、仕上がりまでの時間も短縮されるようになります。制作・印刷工程では、PDF入稿が増えるということは、作業が簡略化されていくためには、ありがたいことではあるけれど、出版社がPDF入稿をするに至るまでには、編集部側でのPDFフォーマットのスキルが必要になってきます。その基盤が育たないと難しいでしょう。PDF入稿も今現在まだまだ1~2割を数えるほどで、増えて行くにはこれから少し時間がかかるのかもしれません。これからは、PrintSureでの必要条件を満たしているかどうかPDFをプリフライトチェックしてくれる機能に期待しています(三角氏)。

 

このソリューションレポートは、ビジュアル・プロセッシング・ジャパンが発行する無料情報誌「VPJNews」に掲載されております。

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■関連情報
 東京カラーフォト・プロセス株式会社
 【CLOUD NINE 事業部】
   〒160-0022 東京都新宿区新宿1-30-16
ルネ新宿御苑タワー1F
  TEL 03-3354-3343
  URL http://www.cloud-nine.co.jp/
【市ヶ谷本社】
   〒162-0056 東京都新宿区市谷加賀町1-1-1
  TEL 03-3235-1474

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『プリンターズサークル』2006年9月号より

ソリューションレポート募集中

(2006年10月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

スクリーン印刷機でも拡大

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:スクリーン印刷機でも拡大

 

 印刷業界は価格競争が厳しく、特殊印刷や特殊加工を施すことで、印刷物の付加価値を高め他社との差別化を図るために、スクリーン印刷技術を利用することで、インパクトの強い提案が可能になる。 スクリーン印刷機、オフセット印刷機を扱うメーカー販社で、特にスクリーン印刷については業界トップメーカーとして知られる桜井グラフィックシステムズのショールームで、実際の印刷サンプルを参照しながらスクリーン印刷の技術とその可能性についてお話を伺った。

会社の沿革と主力製品について

1928年東京日本橋において紙商として創業。1946年(株)桜井製作所を設立し、1961年には営業部門である桜井機械販売(株)を設立。1992年に両社を合併し、現在の(株)桜井グラフィックシステムズになった。1964年よりスクリーン印刷機の開発に着手し、現在の主力製品は中型多色オフセット印刷機と自動スクリーン印刷機である。同社のスクリーン印刷機は、工業用途のみならず商業印刷分野でも広く利用されているバキュームシリンダー方式の自動枚葉機である。以前は欧米も含め、多くのメーカーが競合していたが、最近では世界市場で見てもほとんど独占的に製造販売している。主力のマエストロシリーズの原理は、活版印刷機に使われていた一回転ごとに停止して用紙を印刷胴へ咥え込むストップシリンダー方式である。もう一つの方式は、1964年の製造開始以来創り続けている印刷吸着胴が往復運動を繰り返す方式の「SC-AⅡシリーズ」である。

 

スクリーン印刷技術の多様性

スクリーン印刷機は、かつて陶磁器の転写紙製造に大きな役割を果たした。現在でも陶磁器の絵付けのための転写紙は、サクライ製のようなシリンダー式スクリーン印刷機での印刷によっている。しかし現在は、より広範囲の仕事に利用され、シートものなら何でも印刷が可能であるという利点が生かされ、シリンダー式スクリーン印刷機はさまざまな工業分野で利用されている。 また、シルク(スクリーン)印刷という呼び方も、印刷の版になる紗(スクリーン)に、今ではシルク(絹)は使っていないので次第にスクリーン印刷に統一されている。原理的に布を通してインキを出すため、物理的にスピードや機械形状などに大きな変化をとりにくい分野でもあるが、インキの消費量が多く、印刷皮膜が厚いことに特徴がある。そのことで、厚みが必要なものへの印刷を可能にし、オフセットの後工程で装飾を施したり、工業部品などにも採用されたりする理由でもある。特に電機業界で、非常に多く利用されており、圧膜ICのような微小なものから60インチから100インチ近くのプラズマディスプレイパネルのような大きなものを印刷するスクリーン印刷機械を使用しているメーカーもある。

 

最近の傾向として、ブックカバーへの利用や電車の中刷り広告などの利用も増加している。オフセットだけでなく、部分的にスクリーン印刷の併用で蛍光色を施すなどの工夫を加えることで、店頭に並ぶ書籍や電車など公共の場で目立たせることができる。ポスターなどでは、UVクリアーインキなどで印刷物の一部を盛り上げたりという装飾を施すケースもある。また、同じ原理で証券類、紙幣など偽造防止用にスクリーン印刷を利用するということも広く知られている。

 

最近、利用が多いのは遊戯機械関係(ゲーム機)の仕事である。この分野の製品はプラスチックフィルムにインキ皮膜を比較的厚く印刷するため、スクリーン印刷である必要が多分にある。オフセット印刷だと被膜が薄いため透き通ってしまうが、スクリーン印刷だと厚みが出てプラスチックフィルムの透過を防げるので、より人の視覚に訴えることができる。スクリーン印刷では、幾重にも重ねて印刷できるので、重ねる回数が多いほどビジュアル効果が出てくる。オフセット印刷ではこうしたことができないため、ゲーム関係の印刷のほとんどがスクリーン印刷である。また、絵画の複製の作成でも多回数のスクリーン印刷の刷り重ねでより忠実に再現することができる。

 

サクライ全自動シリンダースクリーン機はこのほか、ビデオ、DVDのケースに使われるポリカードネートやポリプロピレンなどの硬い素材にも使われる。サクライシリンダー印刷機は、素材の厚みにおいてもコンマ0.05mmぐらいから1ミリぐらいまで対応できるので幅広い分野での利用が可能な所以である。

●記事に関する問い合わせ先
 桜井グラフィックシステムズ(株)
 東京営業部 澤田・郷原
 〒135-0032 東京都江東区福住2-2-9
 TEL 03-3643-1131 / FAX 03-3643-1138
 E-mail information@sakurai-gs.co.jp
 URL http://www.sakurai-gs.co.jp/

『プリンターズサークル』2006年7月号より

 

(2006年8月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

伝統と先進技術の融合でお客様の立場に立った印刷物を提供

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:伝統と先進技術の融合でお客様の立場に立った印刷物を提供

 

 

 代表取締役社長 丸山恵右氏

 丸山印刷株式会社(本社:兵庫県高砂市)は、1914年(大正3年)創業、従業員数210名の歴史ある総合印刷会社である。主な製造品目は、カタログ、パンフレット、チラシ、カレンダーなどの商業印刷物を中心に、商品ラベルなどの包装資材、ビジネスフォームなど広範囲に及び、環境保全にも配慮した顧客密着型の企業である。
いち早く先進技術を取り入れることにより製品の品質を高め、顧客へのサービスを品質保証と環境保全の両面から実現している。1999年にはCTPプレートセッターKodak Trendsetter(トレンドセッター)をいち早く導入。現在は、2004年にKodak Prinergy(プリナジー) ワークフローシステムと同時に導入したKodak Lotem(ロテム)とサーマルCTPプレートKodak ExThermo(エクスサーモ) TP-Wの組み合わせで、毎月5000版前後のCTPプレートを出力している。同社は常に、お客様の声をお聞きして、より良い印刷物の企画・提案を続けてきた。その成果として、現在では、年商数十億もの売り上げの企業へと成長した。
 本稿では、こうした同社の実績と今後の取り組みについて、代表取締役社長 丸山恵右氏、専務取締役 丸山元氏、製版部部長 福本祥克氏、製造部部長 北野芳朗氏にお話を伺った。

常に時代の流れに合わせた最新技術を導入

 同社は、創業時の活版印刷から、着実に事業を拡大させながら歩んできた。
なかでも1958年、MU式カーボン印刷を共同開発したことが大きな転機になった。この技術は、従来のカーボンペーパーによる手法から、印刷用紙裏面に直接カーボンを印刷する複写方式である。複写事務の能率を大幅に改善するものであり、この方式は現在も使われている(実用新案 昭33-12509)。
1966年にプロセス製版工場を建設、1996年には製版のデジタル化への移行を完了するなど、常に最先端の技術に取り組んできた。自社工場内にプリプレス工程をすべてもっていたので、早期のデジタル化への取り組みが可能であったと言う。

デジタル化により生産性が大幅に向上

 同社では、企画・デザインからDTPを中心としたプリプレス工程、CTP、印刷、製本、加工、納品までを行っている。取り扱う製品も幅広く、品質、価格はもちろん、短納期に対応することで顧客ニーズにこたえている。
 製造工程では、プリプレス設備としてMacintoshを始め、インクジェット・レーザープリンタ、フラットベッドやドラムスキャナがある。PDFワークフローサーバPrinergyを中核に、DDCP(Direct Digital Color Proof)のKodak Approval(アプルーバル)、CTP出力機Trendsetter、Lotemが使用されている。さらに、枚葉オフセット印刷機やUV枚葉オフセット印刷機、ラベル用凸版輪転機、ビジネスフォーム印刷機を始め、さまざまな印刷物の加工に対応するためのポストプレス設備も多々導入している。
PrinergyシステムをセンターRIPに位置付け、Print ready PDFを運用することで、CTPプレート出力はもちろん、プルーファへの出力などを行い、正確なプルーフの提供と効率化した安定生産を実現している。
いち早く、CTPシステムを導入し、プリプレス側から出力されたCIP3データを印刷機にオンラインで指示するシステムを活用していた。これにより、印刷時の色バランスを瞬時に解析し、色合わせに費やす時間を短縮すると同時に、色合わせ時のロス紙を削減するなどの効果を上げてきた。
また、2台のCTPシステムは、時差出勤による勤務体制(7時~23時)で、目標値の月産平均5000版を上回る稼働を続けている。
 福本氏は、「クライアントとの校正のやり取りやデータ修正で下版が遅れることはあるが、プリプレスワークフローにおいて、システム上のボトルネックはない」と語る。
 本機校正、平台校正、DDCPのApproval、カラープリンタ、リモートプルーフによる校正手法を、印刷品目によって使い分けている。Approvalやカラープリンタ、リモートプルーフなど、デジタル出力機は標準印刷物を基本としたApprovalをターゲットに、ICCプロファイルによってカラーマネジメントされている。
 定期的なキャリブレーションによって、どのようなプルーファで出力しても色のバラツキが基準内になるよう管理しているため、リモートプルーフでもある程度の色の校正が可能である。最近では、営業担当に目標値を設定してアナログの校正刷りからDDCP、カラープリンタ、リモートプルーフなどのデジタル校正へ積極的に移行を促進している。 福本氏は、「本社と各営業所をVPN(Virtual Private Network)で接続し、色が管理されている同型のプリンタを用いてリモートプルーフを行っているため、距離感なく仕事ができる」と言う。
さらに、デジタル検版機やセキュリティ関連システムも積極的に導入するなど、クライアントの信頼を勝ち得るためのツールを駆使している。そのため、地方自治体の発行する証明書や金券、商品券などの印刷を指名されることも多い。

 

こだわりの品質を提供する-Kodak Staccato(スタッカート)スクリーニング

同社では、従来からの高精細印刷(300lpi)に加え、Kodak Staccatoスクリーニング(FMスクリーニング)によって、モアレ、ロゼッタパターンなどの問題を解決しつつ高度な印刷品質を実現している。
 北野氏は、「Staccatoを使用すれば、滑らかな階調表現など印刷品質が向上するとともに、インキが乾燥しやすいなど効率化が図れ、インキ使用量の削減による経済性へも寄与する」と評価している。
 「高精細印刷の代わりに使用しており、細かい線や文字がある印刷物、アパレル関係などモアレが発生しやすい印刷物などでStaccatoは威力を発揮している」と続ける。 今後は、Staccatoスクリーニングによる印刷を付加価値印刷と位置付け、より戦略的な武器としても有効活用すると言う。
また、近年UV枚葉オフセット印刷機(A2判6色+コーター)を導入した。 北野氏は、「UVオフセット印刷によって、フイルム、プラスチック素材などの特殊素材への印刷に拡大し、より幅広い製品の提供ができるよう努力している」と言う。
この印刷機では、光沢部分とエンボス部分の質感を同時に再現し、今までにないメリハリの効いたユニークな仕上げが可能となる。このような表面加工を提案し、あらゆる面で差別化を図ろうとしている。
 北野氏は、「CTPによって版の管理が容易になったので、今後は温湿度などの印刷環境やインキの見極め、印刷機のメンテナンスがより重要な要素になる」と言う。

品質保証と環境保全により安心できる印刷物の提供

 同社はお客様に役立つサービスの提供を企業理念に掲げ、印刷物としての品質保証はもちろん、環境マネジメントシステムの国際規格「ISO 14001」においても、兵庫県下の印刷企業として初めて認証を取得する、地元企業のパイオニアとしてリードする存在である。 また、品質管理や個人情報保護活動の一環としてISO 9001:2000、プライバシーマークの付与認定、さらにFSC森林認証制度の「FSC COC認証」を取得するなど、品質保証と環境保全の両面を考慮した印刷物製作を行っている。 丸山社長は、「当社は、品質・価格・納期の3要素はもちろん、法律を順守しているため、どこでどのように製造、印刷したものか自信をもって明記できる。そのためお客様に安心していただける製品を提供できる」と、同社の顧客への姿勢を強調した。

お客様を始め、地域からも信頼される企業であり続けるために、さらなる進化

 本社は、正門から敷地内へときれいに整備され、社屋内の管理部門から製造部門おいても整理・整頓が行き届き、改善意識のしっかりとした企業であることが実感できる。本社工場では、各部署をガラス越しに見渡すことができ、風通しの良い職場の雰囲気を作り出していることも特徴の一つである。
また、時差出勤による勤務体制で効率良く仕事を流せるよう工場内では、製造物が西側から東側に流れて配送システムに至るよう一貫した生産ラインを構築するなど、生産効率を上げる工夫が随所に見られる。
お客様に役立つサービスの提供を理念とする同社は、印刷事業以外にも、印刷物製作のためのデータやCG、3Dなどの技術を活用した電子カタログ(CD-ROMなど)制作、データの2次利用の企画提案・システム開発、ホームページ制作、コンテンツ制作・一括管理サービスなどのマルチメディア事業も手掛けている。 ワンソース・マルチユースをベースに、印刷から電子カタログにとどまらないWebサイト構築までの一括管理を担い、制作コストの軽減やサポート強化を図り、何でも頼める会社であることをセールスポイントにしている。
また、金具を使用しないエコカレンダーや型抜き製本加工「ワンダフルカット」など、ユニークなサービスも展開している。
 丸山社長は、「厳しい価格競争の環境の中、Staccatoを始めとした前述のプラスαを評価していただき、今後もお客様の信頼を得られるサービスを提供し続けていきたい」と、今後の抱負を語った。また、「従業員の多くは地元の住民であり、大切なステークホルダーである。地域で操業するには、このステークホルダーを大切にしなければならない」と締めくくった。

 
会社概要
・会社名 丸山印刷株式会社
・代表取締役 丸山恵右
・所 在 地 兵庫県高砂市神爪1丁目11-33
・資 本 金 47,500,000円
・従 業 員 約200名
・本社・工場 工   場 TEL.079-432-1511 / FAX 079-431-1040
 本社営業部 TEL.079-432-1515 / FAX 079-432-7046
 事 業 所 神戸営業部 〒651-0085 神戸市中央区八幡通1丁目1-12
         TEL.078-251-4141 / FAX 078-251-3147
          大阪営業部 〒530-0042 大阪市北区天満橋1丁目4-16
         TEL.06-6358-5331 / FAX 06-6358-5341
      東京営業部 〒104-0033 東京都中央区新川2丁目1-10
         TEL.03-3553-7951 / FAX 03-3551-6269
クレオジャパン株式会社 TEL 03-5259-9300
コダック ポリクローム グラフィックス株式会社 TEL 03-5282-1541
http://graphics.kodak.com/

『プリンターズサークル』2006年10月号より

ソリューションレポート募集中

 

(2006年11月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

デジタルプレスとクロスメディアにより印刷の未来をつくる

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:デジタルプレスとクロスメディアにより印刷の未来をつくる

 

朝日プロセス株式会社
クロスメディアと最先端の技術で印刷の未来を加速

 

 同社は、昭和50年に製版会社として創業し、業界でもいち早くコンピュータ化を行い、コダック社のデジタル印刷機Kodak NexPress(コダック ネクスプレス)をかなり早い時期から導入した。本稿では、同機の提供するソリューションはもとより、一代にして創業し、製版業界トップにまで会社を成長させ、今やなお勝ち続ける、豊泉社長であるからこその言を伺った。

ネクスプレス導入契機とその効果

 同社は、マッキントッシュの導入など、デジタル化への設備投資など、生産性向上に早くから着手してきたことが成功の要因である。コダック社のネクスプレスを導入したこともその一つである。パソコン上で作成したコンテンツをフィルムや人員を介さずにダイレクトに出力できることに目を付けた。ネクスプレスが開発される前から、待ち望んでいた機械でもあったとのこと。また、製版業界が競争時代を迎えるに当たり合理化に踏み切ったことも、勝ち続けていることの理由と語る。「ネクスプレスのようなデジタル印刷システムを導入しない会社は、製版業自由競争時代に勝ち残れない」とまで豪語する。
ネクスプレスを選んだのは、用紙を限定しないこと、表裏が同時に印刷できること、多様な紙の種類に対応しデザイナーの要求どおりの紙を使用できることなどが挙げられる。また、色再現性は、コンテンツの有する色を再現するという使命を十分に果たし、必要十分であるとのこと。

Kodak NexPress(コダック ネクスプレス)ならではのシステム

 コスト面で言えば、カウンター料金がゼロであることが大きい。つまり、試し刷りに要する枚数や損紙などがカウントされないため、メーカーには、無駄なカウンター料金を払うことがない。そのため、ユーザー側の利益が生まれるシステムになっている。印刷という仕事は、より良いものを作ろうとなると、刷り直しを要し、試し刷りにヤレを出さなくてはならない。そのため、余分な紙を使い消耗品にも費用がかさむ。インキも当然、残業代や光熱費も払うという多重なコストが発生することになる。それを考えるとカウンター料金ゼロというのは、ユーザーの立場を考えた当然のシステムであると語る。

デジタル印刷機は将来展開に不可欠

デジタル印刷機は、例えば、海外で行われたスポーツの試合結果を、通信によって各国にデータを送り、その2時間後には世界各地でカラーの新聞を手にすることができる。こうしたことができるのは、ネクスプレスのようなデジタル印刷機が生まれたからこそである。即時性が高いのは当然ながら、最新の情報を世界中の人たちと共有できるのが、大きな利点である。オフセット印刷機も使ってきたが、工場の環境など、機械性能以外の不安定要素もあり、完全自動化による無人運転は不可能である。工程管理には、どうしても人を要するのである。ネクスプレスは、無人運転ができ、オフセットと比べ、広いスペースも要さず、同社では社屋の5階に設置している。短納期要求が高まる中、ロットの少ないものや、サイズの小さいものはすべてデジタルに置き換わると予測する。

 

超一流だからこそできる総合力の実現

 同社では、早くにクリエイティブ部門と写真スタジオを社内に設置した。川上部門をもたなければ競争に勝てないと思ったのである。ただ、ネクスプレスを導入したからといって競争に勝てるわけではない。今や、企画提案からデータ作成、出力までを一気通貫で行い総合的に仕事を請けなければ、自由競争時代に取り残されると予見していた。それには、各部門に優秀な人材と最高の設備を配し、各部門が超一流でなければ総合力は生まれない。ネクスプレスも一流であるからこそ選んだ。目先の利益を優先せず、導入効果が現れるまでの先行投資として考えた。今では、投資費用対効果としての見返りは十分と語る。

デジタルとアナログの有するメリットを複合展開

 同社では、デジタルとオフセットの長所を生かしながら使っている。納期、品質、ロット、使用目的など、お客様のニーズによってどのやり方が良いかを提案している。最近では、デザイン会社や企画会社からの受注が多い。ネクスプレスの仕事としては、バリアブル機能を生かした仕事が多く、DMを始めバーコード、QRコード、連番チケットやカードゲームの番号などというのもある。「わが社では、お客様とは常に対等の立場で提案し、一緒に利益を出そうというパートナーシップの考え方をもって営業している」と豊泉社長は語る。
 同社のスローガン「クロスメディアと最先端の未来と印刷の未来を加速します。」の意味するところは世の中が通信ということを複合してさらに進化していくこと。印刷だけにこだわるのではなく、何かの社会事象や催しがあれば印刷物も作られる。そうなれば、印刷という概念もメディアの一つであり、通信やデジタルで想像以上に印刷メディアは進化していくことになる。これも、豊泉社長だからこその未来思考的な着眼点があるからこそである。

 

NexPress 2500デジタルプロダクション カラープレスの真価を探る

 デジタル印刷機は、各社とも余念なく技術開発に取り組み、ビジネスモデルの立ち上げなど、既に市場を確立したといえます。この度は、コダック社より発表されたカラーデジタル印刷機Kodak NexPress(コダック ネクスプレス)の新機種について、その真価を探るべく中央区新川のショールームにおいて、ネクスプレス ソリューションズ 鈴木浩二氏にショールーム機能も含めてうかがった。

 

ユーザーとのコミュニケーションを築く情報発信拠点

このショールームは、NexPressの性能をいかに引き出してどのように活用するかということをお客様に知っていただく場として2004年10月にオープンしました。実機を見たいという方向けに、デモルームとして利用いただくほか、実際に機械を操作しながらオペレータートレーニングルームとしても役立てていただいています。既に導入されているお客様をお招きして、弊社から情報を提供したり、ユーザー同志の意見交換を行う場としても利用されています。

 

また、新規のお客様には、データを持ち込んでいただいてテスト出力したり、使いたい紙をテストしたり、導入前の検証にお越しいただくこともあります。来訪される方の多くは印刷会社様で、新しいビジネス展開のために導入いただくケースと、今まで外注に頼っていたオンデマンドの仕事を内製化し、外注費の削減や短納期対応などを目的に導入いただくケースがあります。
 弊社では、機械を導入いただくだけでなく、お客様と一緒にビジネス開発も行い、要望があれば、システム会社や各種コンサルタントを紹介するなど、一緒にビジネスを立ち上げることも行っています。
 最近では、印刷会社だけでなく、今までお付き合いのなかった異業種(印刷業以外)の方々も来訪され、テストや仕様の確認をされることが増えてきました。新しいビジネスを模索されているのでしょう。そうしたニーズも見据えて、今年は世界最大規模の映像見本市フォトキナ(PHOTOKINA)にも出展しました。今後も、そうした啓蒙活動は広がると思います。

NexPress 2500にみる高生産性と高品質

2500では、現行機種2100 plusの印刷スピードを20%アップし、さらなるハイボリューム印刷の生産時間短縮や、短納期を要求するお客様に対して大変大きなメリットを提供します。通常デジタル印刷機で生産スピードを上げると、印刷品質が落ちる傾向にありますが、品質を維持しながら、スピードを向上することを実現したのです。最大で一月約190万枚の印刷が可能で、24時間体制の運転にも対応でき、長時間稼働と色管理に優れ、色合わせや見当合わせに要する時間を短縮できますし、用紙についても、専用紙ではなく通常の印刷用紙が使えるため、同クラス機種と比べて扱える紙の種類は格段に多いです。

 

NexPress 2500にみる改良点

NexPressのような電子写真方式のデジタル印刷機は、トナーインキを熱定着させるフューザー部の役割が非常に重要といえます。印刷速度を上げる場合、フューザー部分の通紙時間を短縮させながら定着の熱温度を上げなくてはならないため、印刷品質や紙の耐久性への影響を心配しましたが、フューザーローラから紙に対しての圧力を可変させることでこうした問題を解決しました。紙幅も470mmから520mmまでに拡張させました。

 

各種特徴を活かした印刷アプリケーション

 バリアブル機能を活かした印刷として、弊社のお客様である太陽プリンティング様では、パーソナル絵本を作っていらっしゃいます。お子様自身の名前を物語の主人公にして専用の絵本を作るのです。
NexPressの仕事の特徴としては、表裏見当精度が高いため、ページ物の印刷も多く、本やカタログなどの印刷にも用いられています。また、金色やパール調の光沢色の印刷表現が可能です。これは、光沢色を印刷するのではなく、例えば黄色系トナーの印刷にクリアートナーを印刷することで金色を再現しています。他の光沢色も同様の手法で可能になり、これは、NexPressでしかできない印刷表現として、お客様の提案の幅を広げました。
その他の特徴として、「カウンター料金ゼロ」というのは、お客様に利益をもたらせる大変大きなメリットです。また消耗部品の交換などもお客様が自身でできるような特殊な設計になっていますので、休日や深夜のオペレーションも安心ですし、万一のトラブル時にメーカーのサービスマンを待つ必要もありません。

ニアラインのNexGlosserは、NexPress本体上でバーコード印刷された用紙特性や仕上げ情報を読み取り、人的エラーを減らすことを目指しました。インラインではなく、ニアラインにした理由は、NexPress本体の汎用性と生産性を最大限に引き出すためです。

 

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(2006年12月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

事業の3本柱を機軸に変革を目指す

※本記事の内容は掲載当時のものです。

事業紹介インタビュー:事業の3本柱を機軸に変革を目指す

 

 株式会社ミヤコシ 代表取締役社長 宮腰 巖氏に聞く

 

ビジネスフォーム印刷(以下BF)市場は低迷傾向にあると見られてきたが、情報用紙の需要量は特に減っていないことから、工夫次第で事業拡大の見込みはある。本稿では、 BF機械メーカーとして知られるだけでなく、開発技術をコアにビジネスを多様に拡大しているミヤコシに、BF市場における今後の方向性について伺った。

――BF印刷機械メーカーとして知られます御社の現在の事業についてお聞かせ願います。

宮腰 現在弊社では、事業の3本柱を機軸にビジネスを展開していますが、一つは従来からのビジネスフォームの印刷機械です。弊社では一番のメインでやってきました。そして、その技術を応用したラベルの印刷機械。それともう一つが、弊社では「印刷革命」と称しているインクジェットのデジタル印刷機です。これを今、「3本柱」として展開しております。
ご承知のように、BF業界は決して景気が良いとは言えません。要因の一つには、デフレになってきて値段が下がったことの影響もあります。それで、弊社のユーザー企業にも 当然波及してしまったとの見方もあります。かつては、売上構成比の7割から8割がBF機械でしたが、最近では、その割合も3割程度に落ち着いた感じです。

――そこで事業の3本柱を立て、今までと違ったビジネスも展開されているということですね。2本目はラベル印刷とのことですが。

宮腰 ラベル印刷は、実はビジネスフォーム印刷会社にもっと元気になってもらいたい、また、新しい分野に進んでもらいたいという思いで開発しました。BFは印刷か ら加工まで全部受けられますから、その技術を生かすのはラベル印刷ではないかと思い開発に至りました。当然今までにない、新しい業種の顧客を獲得していくことも視野に 入れております。
そして、ラベル印刷の分野では、今年は売上構成比の15%を目標としています。しかし、ここへ来て逆にビジネスフォームの機械が出始めてきました。その要因は、BF印刷市 場自体、それほど仕事の量は減っていないのと、機械の入れ替えの時期に来ていることかと思われます。また、生産性をさらにアップしようとか、それと付加価値を高めよう という傾向もあり、色数が多い機械の出荷が増えています。

――3つ目の柱となる、デジタル印刷機はいかがでしょうか。

宮腰 デジタル印刷は、まだまだ特定のユーザーに限られているのではないですかね。注目はされていますが、依然としてインキの値段も含めてコストが高く、ランニ ングコストが高いという問題を解決しなくてはならないのかもしれません。

――ただ、近年御社では、パッケージ印刷機械やページ物の印刷機械など、いろいろなものを出されておられますね。そのように、今までとかなり異なる分野の仕事も手掛け ておられるようにお見受けしますが。

宮腰 弊社の長年にわたるDNAのようなものでしょう。顧客と一緒に、一体になって仕事をすることが、昔からのやり方で、それを発展させたということだと思います が。顧客の要望に一緒になってこたえていくのが弊社の姿勢です。

――新しい仕事にはそれなりに開発コストが掛かりますが、やはり新しい市場を作っていかなければならないことも考えなくはなりませんね。

宮腰 弊社のコアビジネスはBF印刷機械ですが、これを発展させていわゆるページ物の印刷機になり、牛乳パックの印刷機械にしたわけです。そのように、いろいろな 展開ができるエンジニアリング力が、弊社のコア・コンピタンスと言えますし、他社と差別化できることでもあります。それと顧客にも恵まれていて、共同開発的な仕事です と、従来品の改良の指示はあっても、「こういった仕事をやりたいから、こういったものを新しく作ろう」という考え方は、逆に中堅企業のほうが多いですね。

――自社の独自製品を作るとなれば、やはり御社のような機械メーカーと一体になって仕事をするのも必要ですね。印刷も業態変革の時期にきましたし、御社の事業開発営業 部というのはそうした一環でしょうか。

宮腰 弊社では今、「ルック・フューチャー(look Future)」つまり将来を見据えた事業開発を計画しており、頭文字を取ってLF事業部と称しています。今は、ある 製造会社と手を組んで、生産ラインの一部をロボット化しています。そうした印刷以外の新しい事業も今後開発していこうというのが、この事業開発営業部のスタートです。 つまり、生産ラインのFA化ですが、これもBFの搬送が基本になっていますが、これは印刷と異なる今までなかった分野です。

――御社としては、メカトロのノウハウも売りにできるということですね。ただ、従来の印刷物の仕様でやっていくと、やはり手作業が入る部分があって、製本に及ぶと人手 が掛かってしまい、今はまだ、理屈どおりにFAが進まないこともあるようですが、それを将来に役に立てるために開発をされているということですね。
 最後に、3本柱の一つ、デジタル印刷で「印刷革命」と言われましたが、具体的にはデジタルによる革命的な部分はどの辺りでしょうか。

宮腰 弊社のデジタル印刷機は「非接触」ということです。つまり、「印刷というのは表示と記録」と定義されるそうで、その意味でいくと、印刷分野は、かなり広が っていきます。さらに、「非接触」により印刷できるとなると印刷媒体があらゆるものに変わってくるのです。

――確かに今、電子部品や建材、テキスタイルの分野にもインクジェットの印刷分野が拡大し、その媒体も大きな広がりを見せています。

宮腰 そのことを応用すれば印刷業の業態変革も実現できると思っています。だから、それには、やはりデジタル印刷機は、すごくいいのですよ。印刷会社だけでなく 異業種でも応用されており、例えば、外壁材などにも応用されていたりします。これは、弊社のノウハウですが、インキ噴出の角度を変えるなどして凸凹のある媒体にもきちんと印刷ができるのが強みで、これはやはりメーカーだからこそできるのです。

株式会社ミヤコシ 本社 〒275-0016 千葉県習志野市津田沼1-13-15
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(2006年10月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)