「協会情報」カテゴリーアーカイブ
【4/26開催】流通小売業マーケティングの現在と課題
【4/25開催】映像コンテンツと印刷ビジネス
5ゲン主義で取り組む印刷現場の標準化
属人化の打破と標準化への取り組み
生産性向上に向けての印刷工場の改善活動は 待った無しの状況である。品質管理を徹底し、不良品を減らし、生産性を向上することで価値を上げなければならない。課題のひとつに属人化対策がある。印刷工程や作業は、職人の価値や気質で支えられた時代もありブラックボックス化している場合がある。属人化は、人材確保や品質管理のボトルネックのひとつにもなっている。解決するために必要な取り組みが標準化である。標準化改善に効果的な手法にSDCAサイクルが上げられる。SDCAサイクルとは、Standerdize(標準化)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)のサイクルを回すことで品質の向上を目的としたものだ。取り組みの第一歩は、表標準(おもてひょうじゅん)への取り組みである。目安とする作業者の手順を表に出し、見える化し、課題を検討するものだ。ベテラン社員の場合は抵抗感があることも考えられる。印刷現場の改善活動では、従来の勘や経験が課題となる現状がある。印刷品質の管理では、数値基準やしくみによる管理手法を学び、標準として取り込むことが望まれる。
3現主義 に原理・原則を加える
そこでベースのなる考え方が、3現主義に原理・原則を加えた5ゲン主義である。トヨタ生産方式では、工場の課題を現状打破するために3現主義をベースにあらゆる業種において、必ず現場に行き、現物を見て、現実を知るべきだといわれている。そして、改善にあたっては原理・原則を守りながら進めていくというものだ。表標準へ取り組みで作業の見える化が可能になれば、5ゲン主義の行動に結びつけるためのベースができたことになる。
印刷現場での5ゲン主義
印刷機とオペレーションのマネジメントでも5現主義が重要だ。2023年8月9日開講のJAGAT主催、新講座のオンライン印刷機長養成講座では、メイン講師に柴崎武士氏(タケミ株式会社 代表取締役)をはじめ専門スタッフによりカリキュラムが組まれている。5ゲン主義の行動を基本とした内容だ。
- 教育目標は、印刷現場の「5ゲン主義」行動や判断を、現場・現物・現実・原理・原則という5つの視点で考え、実践する習慣をつけること。
- 学ぶ知識は、印刷・印刷機・材料知識を5ゲン主義でのスタンダードを学ぶこと。
同社の印刷現場における指導やメンテナンスサービスは、原理、原則に対して妥協しない対応だとされる。印刷雑誌「メンテナンスの価値」(2017<Vol.100>8)によれば厳しい指導の中でも現場社員のモチベーション向上に繋がった事例が掲載されている。現場・現物・現実を原理や原則による納得感は、仕事への自信にも繋がるようだ。印刷現場の5ゲン主義による活動は、人材育成や確保にも効果が期待される。
(CS部 古谷芸文)
新【オンライン】印刷機長養成講座
page2023 開催報告
page2023の報告書をまとめましたので、こちらにご報告いたします。また次回page2024についてもお知らせいたします。
<開催概要>
名称 :page2023
主催 :公益社団法人 日本印刷技術協会
後援 :経済産業省ほか
会期 :2023年1月31日(火)~2月10日(金)
基調講演 :1月31日(火)
リアル展示会 :2月1日(水)~3日(金)
オンラインカンファレンス・セミナー:2月6日(月)~10日(金)
会場:サンシャインシティ展示ホールB/C/D
テーマ :「創注」
入場料 :無料(来場事前登録制)
<オンラインカンファレンス・セミナー>
実施セッション数 :11本
基調講演 :1月31日(火)14:00~16:00
オンラインカンファレンス・セミナー(10本):2月6日(月)~10日(金)
<リアル展示会>
出展規模:122社423小間
来場者数:17,070名(来場者受付通過人数)
2月2日(水):4,298名
2月3日(木):5,470名
2月4日(金):7,302名
<来場者属性>
このpage2023来場者データは、来場登録の際に実施する属性確認を基に、データの収集を行っているものである。
①業種
印刷業の方の割合が半数を超え、印刷関連メーカー・ベンダーを合わせるとおよそ7割となる。
②職種
営業の来場が大幅に増加した。
③役職
役職者層の来場が5割を超えた。
④都道府県別
「東京都」の来場者が2/3、1都3県で8割だが、全国からの来場が戻る。
次回page2024について
日程:2024年2月14日(水)~16日(金)
場所:サンシャインシティ
次回page2024は、例年に比べて開催時期が少し遅くなります。皆様のご来場を心よりお待ちしております。
(CS部 堀雄亮)
【マスター郡司のキーワード解説2023】画質(その弐)
12分類の原因から考えるヒューマンエラー対策と改善活動
ゼロにはできないヒューマンエラー対策
ヒューマンエラー対策への関心度は、印刷業界でも生産性に大きく影響を及ぼす課題である。ヒューマンエラーとは、人的ミス、人的過誤と称され、人間の作業や行動による予期していない事故やトラブルが発生してしまうことだが、どんな会社でも発生し、書類のミスなどの小さいミスから、生命に関わるような重大事故や問題へと発展することもある。ヒューマンエラーはゼロにできないことを前提に対策を講じなければならない。
page2023オンラインセミナー(JAGAT主催)では、「印刷工場のヒューマンエラー対策」についても開催され多くの関心を集めた。講師には、TPS(トヨタ生産方式)で企業の改善活動に多くの実績を持つコンサルソーシング株式会社コンサルタントの石川秀人氏をメイン講師に迎え、ゲスト講師では、オフセットとデジタルのハイブリッドでの生産拠点を管理する株式会社研文社の河田和弘氏(尼崎工場 工場長)とデジタル印刷によるワークフローの工場よりキヤノンメディカルシステムズ株式会社ドキュメンテーション部の澤永裕司氏(印刷製本センター 主幹)を招いた。主な内容は、ヒューマンエラーの原因を12分類し、それぞれの基本的な対応策についての解説であった。印刷工場、オフセット印刷とデジタル印刷のヒューマン対策の事例では、それぞれの管理者より印刷工程特有の事案と対策が紹介された。特に事前対策としてのKYT(危険予知訓練)およびヒヤリハット活動や事後対応(再発防止)での「なぜなぜ分析」「特性要因図」を用いた体系的な取り組みを推進するリーダーシップには効果への裏付けが感じられた。
原因の12分類に起因する潜在原因
独立行政法人労働安全衛生総合研究所の高木元也氏によればヒューマンエラーの原因は下記の12に分けられるという。
(分類1)無知、未経験、不慣れ ➡ 正しい知識、技能を教える
(分類2)危険軽視、慣れ ➡ 安全教育
(分類3)不注意 ➡ 徹底管理
(分類4)連絡不足 ➡ 報連相の活性化
(分類5)集団欠陥 ➡ チームワークの活性化
(分類6)近道・省略行動本能 ➡ KMK活動
(分類7)場面行動本能 ➡ 異常処置マニュアル
(分類8)パニック ➡ 2S
(分類9)錯覚 ➡ 表示・見える化
(分類10)中高年の機能低下 ➡ 環境整備
(分類11)疲労等 ➡ 作業改善
(分類12)単調作業等による意識低下 ➡ 労働衛生
ヒューマンエラーの12分類は、ヒューマンエラーの直接原因だがさらに直接原因を引き起こした原因(潜在原因)が存在する場合がある。
例えば、印刷作業で印刷機の検知器を外してトラブルが発生した場合では、直接原因は「近道・省略行動本能」によることが原因になる場合があり、対処法としてはKMK活動が有効なる。
KMK活動は、
(K)ルールを決める
(M)ルールを守る/守らせる
(K)ルール通りに行っているか観察し、できていなければ改善する
一方で、潜在原因を考える必要がある。例えば、行動に起因する原因で無理な納期や装置の不具合、ムダな作業などの潜在原因があったとすれば工程管理の見直しや設備の保全、作業の標準化などの更なる改善活動への推進にも繋げる必要がある。
ヒューマンエラーは、単なるポカミスでは片づけられない。単純なようだが難しい。何故なら人の特性による原因だからだ。「急がば回れ」である。ともすれば、人を責める対応になることもあるが人を育てる対応が望まれる。社員の納得感や意識を大切にしなければならない。対策は、体系的にしくみ化する必要がある。鍵を握るのは推進するリーダーや各々のリーダーシップである。工場の改善活動にしっかりと取り入れ位置づけし根付かせなければならない。
(CS部 古谷芸文)
第3期 オンライン印刷工場長養成講座 2023年6月開講
【セミナー】広告と通販、印刷メディアの最新動向
新事業展開と人材開発
機会設備等の「モノ」への投資に加え、事業再構築、新事業等のビジネスづくりをテーマにした「コト」とそれを実現するための「ヒト」へ投資を促す制度が拡充している。。 続きを読む