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情報量の多さ=より良い選択か?

多様性が叫ばれるなか、商品やサービスの品ぞろえは豊かさの象徴だ。ところが心理学実験では、選択肢が多すぎて、後悔や選択後の不満が発生する現象が表面化した。

選択のオーバーロード現象

商品やサービスの選択肢を増やせば増やすほど、購入における消費者の満足度は下がっていく様相を選択のオーバーロード現象と呼ぶ。選択肢が多すぎると、見落とすのではないかと心配になり、それが不安や負担、後悔につながるという。選択肢がどれも同じように感じ、明確な区別がつかないままの選択結果に納得できない感情が出る。たとえば選択肢の落とし穴の一例にジャム試食販売がある。6種類のジャムを並べると30%が購入したが、24種類に増やすと3%と大幅に減少した。
この「選べない」という消費者の心理を狙った悪い事例もある。たとえばランキングサイトには、商品が点数順に並べられている。しかし、運営者が儲かる商品を1位にしているというのだ。消費者に分からないよう、購入すると運営者に報酬が入る、いわゆるアフィリエイトのしくみだ。

世の中には、さまざまなランキングサイトがある。たとえば、2位、3位を引き立て役に掲載すると、1位がクリックされやすいという。しかし、その一部も中身は報酬順であるというから恐ろしい。このようなサイトが横行する背景には、商品などに関する情報が多すぎる現状がある。前述の選択のオーバーロード現象だ。よって、信頼できそうな第三者に選択をゆだねる傾向があるとされている。とくに日本人特有の心理から、ランキングを見た後、好きな商品が変化する傾向があるという(とりわけ1位に影響されやすい)。また人間は背中を押してくれる何かに依存されやすい。コロナ禍で直接店舗を訪ねる機会が減少し、ネット上の情報に頼る傾向はますます強まっている。

社会的ジレンマとは

違法駐車、ゴミ問題、地球温暖化など、個人の合理的判断(個人が得をすること)によって行動すると、社会全体にとって望ましくない結果になることを指す。これらの現象は、社会的ジレンマと呼ばれ、社会心理学において個人と社会をめぐる重要なテーマである。
たとえば、ごみの分別では、燃える、燃えない、ペットボトルなどを分けて捨てる。これにより、リサイクルやダイオキシンの抑制といった社会全体として良い結果を得ることができる。しかし個人としては分別は面倒で、しないほうが楽だ。という心のモヤモヤが社会的ジレンマだ。

ホテルでの外出やチェックアウトの際、エアコン等をつけっぱなしにしてしまう人は多いという。自宅なら電気料金を自分で払うが、電気料金も含まれているホテルでは意識が希薄になる。テレビを見ないときはコンセントを抜くことは、分かっていても実現は難しい。
個人にとっては合理的行動が利益になるが、社会としてみれば個人が合理的でない行動をする方が利益になる。つまり、誰もがコミュニティー全体の利益を常に優先できるか、を問われている。
下表のゲーム(2人用)は、互いに相談できない状況のなかで行うものである。各人、相手と協力する、相手を裏切る、という2つの選択肢がある。2人の選択結果によって、自分の受け取る点数が決まるものだ。自分:裏切り・相手:協力なら最高の5点、2人とも協力なら3点、2人とも裏切りなら1点、自分:協力・相手:裏切りなら0点。 得点の高い方が勝者になる。

このゲームでは、相手が何を選択しようが自分は裏切った方が良い点になる。これは、両者に当てはまるので、両者ともに裏切る結果になりやすい。すると両者とも1点ずつ受け取る結果になる。協力し合えば3点ずつなのに、1点しかもらえないというジレンマの実例だ。

(西部支社長 大沢昭博)

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