ある会員企業の印刷会社から高卒の新人向けの教育カリキュラムの策定を依頼された。その背景には採用難がある。
続きを読む「セミナー」カテゴリーアーカイブ
人気キャラクター「ちいかわ」にみる印刷ビジネスの機会
とある会話、人気のうさぎキャラクター
キャラクターグッズビジネスは、印刷及び関連会社にも携わっているケースも多い。先日、とある劇場のロビーで、若い学生風の姉妹と父親らしき来場者がバッグに付けたアクリルキーホルダーに纏わるこんな会話を耳にした。
父親らしき人物「この『うさぎ』可愛いね!」
妹らしき人物「そうそう『ちいかわ』だよ!可愛いでしょう!」
姉らしき人物「うさぎ?『ちいかわ』知らないの?」
父親らしき人物「なんとなく『ちいかわ』見たこと!?知っているかな!?」
ちいかわは、言わずと知れた一般社団法人キャラクターブランド・ライセンス協会が主催する日本キャラクター大賞において、Twitter発のコンテンツとしては初めてグランプリを受賞したキャラクターである。ハローキティやミッフィーでもなく人気キャラクターはSNSから生まれる時代だ。2024年度のキャラクタービジネス市場規模は前年度比101.8%の2兆7,464億円を予測(株式会社矢野経済研究所調べ)され、急成長を背景に続々と新キャラクターが登場している。最新の人気うさぎキャラクターも今や「ちいかわ」だけでもなさそうだ。2024年版10代女子が選ぶ!流行りそうな人気キャラクターランキング(マイナビマーケティング広報ラボ:更新日:2024年02月08日より)では、好きになったきっかけや購入したくなるグッズのポイントを徹底調査している。
2024年流行りそうなキャラクターランキングでは、
第1位「おぱんちゅうさぎ」
第2位「ちいかわ」
第3位「んぽちゃむ」
キャラクターの好きなポイントは、
「ビジュアル」が約8割
- 高校生:「キャラクターの言葉」への注目度も高く、コトバ自体が流行ることもある
- 大学・専門学生:「キャラクターの設定・コンセプト」の回答率が高く、見た目とその背景にも魅力を感じることが多い
好きなキャラクターのグッズは、
「ぬいぐるみ」「キーホルダー」を持っている
好きなキャラクターのコラボ商品・サービスは、
「文房具」「食品・お菓子」を購入
キャラクターIPを生み出す背景
『ちいかわ』ヒットの背景は、SNSで活躍するクリエーターのナガノ氏が2020年にTwitterで展開し始めた漫画作品がある。現在ではキャラクターライセンスを専門に取り扱う株式会社スパイラルキュートがプロデュースしているIPだということだ。キャラクターを生む作家と作品(キャラクター)を発掘して育てるプロセスで成立する。ビジネスでは、特に後者にあたるプロディースが重要だ。2024年07月04日(木)開催、コンテンツ東京の特別講演 「キャラクター&ブランド活用」IPヒットへの仕掛けとキャラクター活用の可能性では、社会現象化する「ちいかわ」成功の背景とネクスト・ステージと称して、川上 洋一氏(スパイラルキュート代表)、辻 有起氏(グレイ・パーカー・サービス営業部長)と古川 愛一郎氏(一社キャラクターブランド・ライセンス協会理事長、ラブワン・コミュニケーションズ 代表取締役)によるトークイベントが開催され、成功の背景として川上氏より、SNSでのキャラクタークリエイター発掘、素材としての作品の目利きがポイントでることに加え、クリエイター・キャラクターファーストであることが語られた。グッズ販売にあたる辻氏からは、LINEをはじめとするSNSをコミュニケーション手段の主力とし、メイン商品のひとつとしてのぬいぐるみを主力とした売り場のポップアップなど見た目を重要視することと、新しいキャラクターをスタートすることへの注力について語られた。
キャラクターIPビジネスのプレーヤー
キャラクターIPビジネスには、プレーヤーとしてのそれぞれのポジションが4つある。「ライセンサー」「ライセンシー」「ライセンスエージェント」「小売業者(流通のプラットホーム)」で、互いの強みを発揮することで双方の利益を図ることができる。
【ライセンサー(実施許諾者)】
ブランドやキャラクターなどの特許ライセンスを所有する団体や個人
【ライセンシー(実施権者)】
ブランドやキャラクターなどのIP(知的財産)の使用権をライセンサーから承諾を得ることで、IPを使用した商品やサービスを開発し、販売することが可能な事業者
【ライセンスエージェント】
ライセンサー(実施許諾者)と契約を結ぶことで、キャラクターやブランドなどのIPの営業代行やマーケティングを行う団体や個人。
【小売業者】
ライセンシーが開発したライセンス製品を購入することで、インターネットや小売店などを通して販売する事業者。また、キャラクターグッズに携わる事業者には、ライセンサー(版権元)から版権を借りてグッズ化し販売する事業者「ライセンシー」と企業や同人、個人から委託されるOEMがある。
キャラクターIPビジネスは、成長分野ではあるが競争は激しい。もはや、レッドオーシャンかもしれない。一方、拡大する市場の中、顧客は、常にキャラクター開発に留まらず、ビジネスに纏わる情報や確かなブレーンを求めている。印刷会社としては、自らキャラクター開発を行うライセンサーに目を奪われているだけではなく、自社の強みや「やりたいこと」を明確し、プレーヤーとしてのポジションを選択することも視野にいれる必要がある。ちなみに、前出の人気グッズ「ぬいぐるみ」「キーホルダー」は、モノづくりに自信のある印刷会社は、ライセンシーとの関係づくりにもビジネスチャンスがあるだろう。商品開発には、売れる製造ノウハウが欠かせないことは当然だ。印刷会社では、「推し活」やファンアイテムの必需品として人気のアクリルキーホルダー(アクキー)やアクリルスタンド(アクスタ)は、「レーザー加工機」と「UVプリンター」を使ったアクリルグッズ製作で業績を伸ばした事例もある。市場は拡大の傾向だ。重要なことは、「今、売れている?」からではなく、市場のしくみを理解して「自社には何ができるか!」「何をやりたいか!」である。page2025セミナーでは、キャラクターIP、グッズ商品の製造販売で業績を伸ばす企業よりご登壇頂きビジネス開発のポイントを解説する予定だ。講師事前インタビューで感じたことは、ビジネスへの想いと熱い情熱が必要なことは強く感じた。また、キャラクターに愛情を注ぐ若い社員のモチベーションを引き出し、チームづくりを大切にしているマネジメントには共感を覚えた。
(研究教育部 古谷芸文)
page2025
page2024 オンラインカンファレンス・セミナー
page2025は出展社にも来場者にも「効率の良い」イベント
pageイベントは第1回からずっとサンシャインシティで開催し、近年は展示ホールを3ホール(B,C,D)を使用してきた。各展示ホールは異なるフロアに配置されており、出展企業から「展示ホールごとに来場者数が異なるのではないか?」という疑問が寄せられていた。
イベント来場者は展示会場をくまなく訪問しているのか
サンシャインシティは、東京ビッグサイトや幕張メッセなどと異なり、展示ホールがフロアごとに分かれており、展示ホールを移動する際には、一旦出口から展示ホールを出て、エスカレーターないしエレベーターで移動しなければならない。また来場者受付を2階の展示ホールD前に設置しているため、2つ上のフロアにある展示ホールBに出展している企業からは「受付を通過した来場者は、Bホールまで上がってきていないのではないか?」という声が上がってきていた。前回page2024において、DホールおよびBホールの入り口で、来場者の入場証に記載された二次元コードを読み取り、各ホールごとの来場者数を計測した。
page来場者は展示会場をくまなく訪問している
2つのグラフを参照いただきたい。


時間帯別来場者数の推移をみると、DホールとBホールでは来場者の増減の推移が1時間程ずれており、来場者が徐々に移動していることが良くわかる。そして最終的にはDホールの来場者(≒受付を通過した来場者)の97.9%がBホールに来場していた。 展示ホールごとの来場者数に差はほぼ無い、といえる。
BホールにはJAGATコーナーを設置しているため、特にオープン当初の10時過ぎの来場者の少なさは実感しており、それが3日間続くと「人が少ないね。」という感覚に陥ることは容易に想像できる。しかしデータを見ると、正直こちらの想像以上に、来場者は各ホールをくまなく訪問していることが分かった。またこのデータは1日分(会期3日目)であり、pageイベントの会期は3日間あるので、初日の来場者が2日目もしくは3日目に来場し、訪問しきれなかったホールを訪問する可能性もある。さらにサンシャインシティのBホールとDホールは、入口と出口が1か所ずつ、通路も一方通行となるため、基本的に来場者は全てのブースの前を通過する設定になっている。pageイベントは出展社にとって来場者と出会いやすいイベントといえる。
コンパクト設計で来場者も効率的に出展社を訪問できるイベント
先日、筆者は幕張メッセで開催されていた展示会に参加した際、訪問している最中に運動記録を計測するスマホアプリを起動させてみた。約40社のブースを訪問し、移動時間は約3時間、歩行距離は5kmを超えた。大型イベントになればなるほど、全ての展示ホールを1日で回るのは膨大な労力が必要になる。

一方、サンシャインシティDホールの入口から出口までの導線距離はおよそ250mである。また時間帯別来場者数のグラフを見ると、10時台と11時台でDホールとBホールの来場者数が逆転しており、およそ1時間でDホールから(おそらくCホールを訪問した上で)Bホールに到達していると考えられる。受付を通過した来場者がDホールを訪問しただけで疲れてそのまま帰ってしまうことは考えにくい。展示会の規模が小さいということも、「コンパクトな設計」と見方を変えれば魅力になる。
またpage2025では主催者企画ゾーンとセミナー会場をBホールに設置する。セミナー会場では、出展企業によるプレゼンテーションに加え、 JAGAT基調講演とカンファレンス・セミナーの一部を、1日1本ずつ実施する。興味あるセミナーの開催時刻から逆算し、約1時間前に来場いただき、他の展示ホールを回ってもらえれば、セミナー会場でイスに座って一息つくこともできる。来場者にとってもpage2025は効率的に出展企業ブースを訪問できるイベントといえる。
page2025は現在出展企業を募集中、締め切りは10月18日まで。詳細、お問い合わせはこちらをご参照ください。
(JAGAT page2024事務局)
新入社員が求める働き方や制度
JAGATでは毎年「新入社員意識調査」を行い、今春に入社した246名の新入社員から回答を得ている。今回は、新入社員が就活で企業を選ぶ際に重視した働き方や制度について紹介する。
【記事を箇条書きで要約】※copilotが要約
1. 待遇・福利厚生と働き方改革が新入社員の企業選択で重要。 |
■「スキルアップ×副業」という新たな働き方
入社を決める上で重視する採用情報として、昨今の社会経済情勢を踏まえ、安定志向かつプライベートを重視する若年層が増えていることもあり、「待遇・福利厚生(54.2%)」「残業時間・有給取得率(42.1%)」が上位を占める。
「平均残業時間●●」「有給取得率●●%」などと具体的な数字で示すことができる項目であり、等身大の姿を伝えて学生の不安を解消することが重要となる。また、待遇面では、初任給が他社とで大きな差異がない場合は、30歳課長職、40歳部長職の年収などを示すことで、入社後の未来を想像させる方法を採る会社もある。
図1 魅力を感じる働き方や、利用したい制度
制度 | 回答率 |
フレックスタイム制 | 41.2% |
資格取得支援 | 32.9% |
副業 | 29.8% |
テレワーク | 29.4% |
時短勤務 | 27.6% |
研修制度 | 21.9% |
給与面だけではなく、働き方の制度もポイントになる。図4のように、「フレックスタイム制」を希望する学生は40%強と多く、コアタイムを設けている企業は働き方改革の一環としてPRの材料となるだろう。続いて「資格取得支援(32.9%)」「副業(29.8%)」と、個人にフォーカスした制度への注目度は高い。DTPやデザイン、ウェブ・動画制作などの専門スキルはマーケットでもニーズが多く、資格取得や実務経験でスキルを磨いた人材は重宝される。スキルアップと副業解禁をセットで用意している印刷会社は学生からの関心も強い。
また、社内人材が副業の機会を得ることで実務経験が増え、専門スキルに磨きがかかり、それを本業にも生かせる好循環が生まれるという利点もある。一方で副業の制度は、転職の助長や自社への忠誠心低下、あるいは本業がおろそかになるといった印象を持つかもしれない。しかし、日本の人的資本における課題は人材の固定化であり、リスキリングや副業の解禁によって人材の流動化を促進する必要がある。そこにキャッチアップできない企業は前時代的な社風として捉えられる場合もあるため、働き方改革に伴う新たな制度としてこれらを導入することは、検討の余地が十分にあるだろう。
本調査の詳細は「JAGATinfo2023年12月号」に掲載いたします。ご興味がございましたらご覧いただけますと幸いです。
JAGAT 塚本直樹
【関連講座】
新卒・中途の人材投資の動向2022
JAGATでは今秋、印刷会社の経営者、採用責任者を対象に「人材採用の取り組みに関する実態調査」を行い、77社から回答を得た。今回は、新卒、中途人材への投資動向について紹介する。
続きを読む
JAGAT大会2022オンライン
【新入社員意識調査2022】新人からみる印刷業のイメージと志望理由
JAGAT主催の新人研修に参加した新入社員を対象に、就職活動の感想、社会人生活や今後のキャリアプラン等について、匿名によるWebアンケートフォームを利用し意識調査を行った。今回は、新人が学生時代にイメージした印刷業と志望した理由について紹介する。 続きを読む
増える中小企業の副業・兼業人材の活用
新しい事業の成功には、優秀な人材の有無が成否を分けると言っても過言ではない。そのためには育成、採用が主たる人事施策であるが、今、注目を集めているのが副業・兼業の外部人材の活用である。 続きを読む
JAGAT大会2021
印刷営業における「守りと攻め」を戦術とは
印刷営業における守り(トラブル対応)と攻め(顧客獲得)の 戦術を学べるオンライン講座のご紹介です。
印刷営業活動におけるトラブルのピンチをチャンスに変える
印刷ビジネスの多くは受注営業です。 複雑なワークフローの中で顧客とのトラブル要因も数多く、 顧客からのクレームや現場からの不満もすべて営業に向けられることもあります。 本講座では、事例を交え、トラブルを分類し、 ビジネスマナー・契約・工程管理・納品・品質トラブル・法務・コンプライアンスなどの
様々な視点から原因と対処法を理解し、対応策と防止策を考えます。
★【オンライン】印刷営業トラブル対応講座~印刷製作マネジメントのトラブル対応の基本と実務~
6/23(木)、6/24(金)10:00~17:00
コンペに勝つために企画より重要なものとは
印刷物やWeb制作のコンペの勝敗は、実は企画そのもの以上に重要なポイントがあります。それは営業パーソンの情報収集力です。その精度を高めることで、勝てる可能性はぐっと上がります。 収集した情報を的確に反映した企画やプレゼンテーションを行うことができれば 勝率はさらに大きく高まります。印刷会社の営業パーソンがコンペに勝つための情報収集、企画、プレゼンテーションの方法について、経験豊富な現役プレゼンターが解説します。
【オンライン】コンペで勝つ!企画提案の3つの極意~勝率70%現役プレゼンターが教える~
6/10(水)13:00~17:00