JAGATでは毎年「新入社員意識調査」を行い、今春に入社した246名の新入社員から回答を得ている。今回は、新入社員が就活で企業を選ぶ際に重視した働き方や制度について紹介する。
【記事を箇条書きで要約】※copilotが要約
1. 待遇・福利厚生と働き方改革が新入社員の企業選択で重要。 |
■「スキルアップ×副業」という新たな働き方
入社を決める上で重視する採用情報として、昨今の社会経済情勢を踏まえ、安定志向かつプライベートを重視する若年層が増えていることもあり、「待遇・福利厚生(54.2%)」「残業時間・有給取得率(42.1%)」が上位を占める。
「平均残業時間●●」「有給取得率●●%」などと具体的な数字で示すことができる項目であり、等身大の姿を伝えて学生の不安を解消することが重要となる。また、待遇面では、初任給が他社とで大きな差異がない場合は、30歳課長職、40歳部長職の年収などを示すことで、入社後の未来を想像させる方法を採る会社もある。
図1 魅力を感じる働き方や、利用したい制度
制度 | 回答率 |
フレックスタイム制 | 41.2% |
資格取得支援 | 32.9% |
副業 | 29.8% |
テレワーク | 29.4% |
時短勤務 | 27.6% |
研修制度 | 21.9% |
給与面だけではなく、働き方の制度もポイントになる。図4のように、「フレックスタイム制」を希望する学生は40%強と多く、コアタイムを設けている企業は働き方改革の一環としてPRの材料となるだろう。続いて「資格取得支援(32.9%)」「副業(29.8%)」と、個人にフォーカスした制度への注目度は高い。DTPやデザイン、ウェブ・動画制作などの専門スキルはマーケットでもニーズが多く、資格取得や実務経験でスキルを磨いた人材は重宝される。スキルアップと副業解禁をセットで用意している印刷会社は学生からの関心も強い。
また、社内人材が副業の機会を得ることで実務経験が増え、専門スキルに磨きがかかり、それを本業にも生かせる好循環が生まれるという利点もある。一方で副業の制度は、転職の助長や自社への忠誠心低下、あるいは本業がおろそかになるといった印象を持つかもしれない。しかし、日本の人的資本における課題は人材の固定化であり、リスキリングや副業の解禁によって人材の流動化を促進する必要がある。そこにキャッチアップできない企業は前時代的な社風として捉えられる場合もあるため、働き方改革に伴う新たな制度としてこれらを導入することは、検討の余地が十分にあるだろう。
本調査の詳細は「JAGATinfo2023年12月号」に掲載いたします。ご興味がございましたらご覧いただけますと幸いです。
JAGAT 塚本直樹
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