絶え間のない時代の変化に伴い、企業の営業手法も進化してきた。デジタル化の波が世界を席巻し、さらにはコロナ禍を経験する中、営業戦略も大きく変わっている。顧客との接触は対面での営業が主流ではあるが、今日ではオンラインでの商談が増え、さらにデジタルマーケティングやソーシャルメディア上でのコミュニケーションが台頭している。
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「経営・管理者」カテゴリーアーカイブ
ユーザー視点で考える品質規格とデジュールスタンダード
USBインターフェース規格にみる利便性と落とし穴
印刷工場の設備では、様々な機械や材料、部品などにおいて様々な規格が存在する。規格によって利便性が左右されることもある。最近、スマートフォンの映像を液晶モニターに 投影することを試みた 。スマートフォンのインターフェースのUSBタイプCから液晶モニターのHDMI端子とを接続したが、結果はうまくできなかった。周知の通り、USBタイプCにはいくつかの種類と落とし穴がある。タイプCケーブルには、速度、電力、およびプロトコルの能力において様々なバリエーションがある。例えば、USB 3.1 Gen 2 と USB 2.0 のケーブルでは、データ転送速度に大きな違いがある。仮にHD映画を転送する場合、USB 3.1 Gen 2は10Gbpsで5秒、USB 2.0は480Mbpsで1.7分かかるという。異なるUSB Cケーブルは、MHL、HDMI、Thunderbolt 3、DisplayPortなどの異なるプロトコル、つまり、データ転送方法をサポートしていることがある。筆者のデバイスは、転送速度や転送方法が異なることにより同じタイプCの形状にも関わらず不可能だったわけである。
デジュールスタンダードとユーザーの利便性
BBCジャパン2023年9月5日よりよれば、アップルは新型iPhoneにUSBタイプC端子を採用することを発表した。これは、欧州連合(EU)が2024年12月までに携帯電話メーカーに充電用の接続端子を共通化するよう法律で義務付けたことに対応するためだ。iPhone 15シリーズは、従来のLightningポートに代わってUSB-Cポートを採用。これにより、充電やデータ通信、映像出力、周辺機器接続などが可能になる。また、USB-C端子は業界標準規格であるため、多くのノートパソコンやAndroidスマートフォン、その他のデバイスと互換性があるとされる。これは、同社がデファクトスタンダードからデジュールスタンダードのインターフェース(IF)に切り替えたことになる。アップル社製品の独自性は魅力的なものがあるが、ユーザーの利便性は高まるはずだ。USB規格は、デジュールスタンダードである。非営利団体であるUSB Implementers Forum (USB-IF) によって決定されている。USB-IFは、Apple、ヒューレット・パッカード、インテル、マイクロソフト、ルネサスエレクトロニクス、STマイクロエレクトロニクスなどの主導企業を含む996社で構成されており、USBの仕様の策定や管理を行っている。また、USB規格は特許使用料が無料であり、ルールを守れば誰でも参入可能なことが普及を促進しているという。
【デジュールスタンダードとデファクトスタンダード】
- デジュールスタンダード(De jureは「法律上の」という意味) ☆ユーザー側に好都合
- 公的機関や標準化機関によって標準規格と定められたものを示す。
- 例えば、乾電池。乾電池の大きさや種類、材料などの規格は国際標準化機関や企業、専門家が議論して策定。代表的な規格は「国際標準化機構(ISO)」「米国国家規格協会(ANSI)」「日本産業規格(JIS)」など
- デファクトスタンダード(事実上の標準の意味) ☆勝ち組の企業側に好都合
- 市場競争によって業界標準と認められた規格。
- 例えば、「Windows OS」「DVD・ブルーレイ」「USB端子」など
デジュールスタンダードとしてのJapan Color認証
国内の多くの印刷工場では、Japan Color認証を活用した標準化への取り組みが見受けられる。一方で現場への浸透が課題となっているケースも多い。オフセット枚葉印刷Japan Color認証は、印刷機資材のメーカーにあたる(一社)日本印刷産業機械工業会により、印刷品質を決定づける要因についての取り扱い方をデジュールスタンダード(公的な標準)として決めたものだ。策定以前は、各メーカーによるバラつきに加え測定技術や管理手法の課題も重なり、資材や設備の変更による品質トラブルも今よりはるかに増していたと考えられる。製造業の基本的な管理要素にあたるMan(人)、Machine(設備)、Material(材料)、Method(手順、方法)の4Mにおいては見えないことだらけである。当時のオペレーターの多くが勘や経験に頼っていたこともわかる気がする。各メーカーが集い、企業の枠を超えて、競争によるデファクトスタンダード(事実上の標準)獲得に拘らずにユーザー目線で印刷業界の標準化に取り組んだことは大きな前進とも言える。印刷の現場ではJapan Color認証を取得した後が重要でその意味を理解し、日常的に管理することが求められる。ユーザーとしての印刷会社は、規格された機資材をどう使いこなすがポイントで自社に合った品質管理をしくみとして取り入れることで発展に繋がる。
(研究・教育部 古谷芸文)
オンライン第4期 印刷工場長養成講座 2024年6月開講
オンライン第2期 印刷機長養成講座 2024年8月開講
新入社員の離職を防ぐために何をするべきか
生成AIの力で進化するデザインプロセス
生成AIとデザインの融合でプロセスが進化し、クリエイティビティ(創造力)が加速している。今、新たなデザインの未来が広がりつつある。
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印刷業のキャラクターグッズとライセンスビジネスのアウトライン
page2024セミナーのゲストスピーカーに三輪 直之氏(シンクイノベーション株式会社 代表取締役)
ウォルトディズニーにみるキャラクタービジネスの展開
世界的にも競争力の高い日本のキャラクターは、さまざまなコンテンツやグッズ、イベントなどで活用されている。そんなキャラクターの知的財産(IP)のライセンスを扱うのがキャラクターライセンスビジネスだ。昨今は、漫画やアニメ、ゲームに携わる企業の業績が軒並み好調である。作品のキャラクターや世界観などIP(知的財産)を用いたエンタメ、コンテンツ領域での事業の拡大や企業のプロモーション活動におけるIPの活用によるキャラクタービジネスに注力している。東洋経済オンライン(2022年01月29日)によれば、そのビジネスモデルはアメリカのウォルトディズニーにも似ているという。ウォルトディズニーの事業は大きく分けて2つあるとされる。一つ目は、テレビ放送や動画配信サービスによる「映像系」作品の事業。二つ目は、作品をベースにしてテーマパークを軸にしたリアルエンタメを提供する「体験系」だという。加えてそれら作品のストーリー性やリアルエンタメの世界観体験の副産物としての製品パッケージなどの企業プロモーションでのコラボや様々な製品、グッズなどでのキャラクタービジネスでの大きな収益がある。特にキャラクタービジネスは、商品企画や在庫におけるコストがかからないため高採算なビジネスが多いともいわれている。日本のゲームや漫画IPは、もともと高い競争力を持っている。世界的な動画サービスの普及を受けて派生したコンテンツは、グローバルに拡大し、ゲームIPは、スマホやPCの普及により世界的に急速に広がっている。競争が厳しい事業でもある。コンテンツやキャラクターなどのIP力で成否が分かれるからだ。ゲーム会社や出版社といったコンテンツを生み出す企業がキャラクター市場で勝ち抜く上では、コンテンツの競争力維持に加え総合力が求められているという。多角的な展開やキャラクター活用による提案力がいっそう必要になっている。
キャラクターライセンスビジネスの展開とシンクイノベーション株式会社
魅力的なコンテンツIPを持つ会社は、キャラクタービジネスを展開するための魅力的なパートナー企業を求めている。ライセンスビジネスプレーヤーは主に4つある。「ライセンサー」「ライセンシー」「ライセンスエージェント」「小売業者(流通のプラットホーム)」で、互いの強みを発揮することで双方の利益を図ることができる。
- 【ライセンサー(実施許諾者)】ブランドやキャラクターなどの特許ライセンスを所有する団体や個人
- 【ライセンシー(実施権者)】ブランドやキャラクターなどのIP(知的財産)の使用権をライセンサーから承諾を得ることで、IPを使用した商品やサービスを開発し、販売することが可能な事業者
- 【ライセンスエージェント】ライセンサー(実施許諾者)と契約を結ぶことで、キャラクターやブランドなどのIPの営業代行やマーケティングを行う団体や個人。
- 【小売業者】ライセンシーが開発したライセンス製品を購入することで、インターネットや小売店などを通して販売する事業者。
また、キャラクターグッズに携わる事業者には、ライセンサー(版権元)から版権を借りてグッズ化し販売する事業者「ライセンシー」と企業や同人、個人から委託されるOEMがある。
page2024セミナーでは、ゲストスピーカーに三輪 直之氏(シンクイノベーション株式会社 代表取締役)に登壇頂く。ライセンスグッズの企画・製造・販売を手がける同社は、概ね3つ事業がある。一つ目は、オリジナルでバッチやスマホケースなどの企画・製造・販売するBtoC事業。二つ目は、雑貨店などの商品を依頼受けて製造するOEM事業。加えて、三つ目にMD事業(ライセンス事業)がある。例えば、アニメの「進撃の巨人」や「ハイキュー!!」のキャラクターライセンスを取得して自社商品としてキャラクターライセンスビジネスを展開している。印刷業界での話題では、株式会社ミマキエンジニアリングのUVインクジェットプリンタをはじめとする印刷機械設備65台。従業員数100名で社内生産をしていることも特徴でpage2024セミナーでは解説やコメントを頂戴する予定だ。
(CS部 古谷芸文)
【S4】キャラクタービジネスと印刷業の可能性
【S1】営業初心者をあっという間に戦力化する 「チームマネジメント」
【S2】新時代突入! 生成AIでデザイン業務はどう変わるのか
【S3】未来を見据えた異業種共創と新事業開発
【S5】生成AIで変わる動画ビジネス
2024年6月開講【オンライン】第4期 印刷工場長養成講座
「人材開発支援助成金」と「オンラインスキルアップ助成金」の
対象になる可能性があります。
工場の価値を高め稼ぐマネジメント力を身に着ける
企業規模の大小にかかわらず、工場長や製造現場の管理者は、経営の重要な役割を担っている。
印刷工場で作り出す製品は、印刷ビジネスを左右することから自社の営業戦略を共有し、稼ぐ工場として価値を高めていかなければならい。ビジネス環境の変化対応の中、生産現場の管理は勿論のこと経営視点での幅広い見識と対応力が求められる。
印刷工場長養成講座では、守りだけではなく攻めの工場マネージャー育成を目指す。マネジメント、製品とサービス開発、設備投資、改善活動、財務管理の広い視野で講座を開催する。
本講座のおすすめポイント
・競争力のある工場づくりのポイントが学べる
・生産性向上から補助金活用、投資計画をカバーしたカリキュラム
・印刷ビズネスに特化、実務経験と実績ある講師陣
・管理者としての思考を学び、モチベーションが高められる
・経営数字の読み方を学び経営感覚をブラシュアップする。
・経営戦略と連携した工場マネジメントを学ぶ。
・部下の管理と育成について学べる
・オンラインでの自社や自宅で相互コミュニケーションでの受講ができる。
・1 社2 名の参加で社内体制作りに繋げる。
開催日程
2024年6月5日(水)開講 全6回 ※計20時間 (1回/3時間または4時間)
※本講座は、Web会議システム「ZOOM」を使用したインターネットによる講座です。
カリキュラム
開催日 | 詳細 |
第1回 6/5(水) 13:00~17:00 (4時間) |
●テーマ: 経営と印刷工場マネジメント ●内容: 競争力のある工場づくり ・顧客思考のものづくり ・マネジメントとはなにか ・コミュニケーションの活性化 「部下のやる気を引き出すチームづくり」 演習①:強いチーム活性化とは、 部下のモチベーションを高めるコミュニケーション演習 ・自社、工場の強みを伸ばすための活動 演習②:顧客視点の工場づくり 自社・工場の強み・価値 A) 「止めちゃっていることを探せ」 B) 「お客様の期待を1%でも上回る」 ↓ 【最終日に向けての課題説明】 1.個人目標(フレームワーク) ※部下のモチベーションを高める実践目標 一日1回部下を褒めることを実践など 2.工場づくり目標(※顧客視点強化目標) ※工場を巻き込んだイベントの実施 工場のオープン化、工場の魅せる化など ↓ ・工場改善の課題設定と目標(最終日発表会へ) |
第2回 6/12(水) 14:00~17:00 (3時間) |
●テーマ: 印刷工場の生産性向上と改善活動 ●内容: 生産性向上のためマネジメント ・競争力アップのマジメントとは何か (工程管理・品質検証・品質改善など) ・5Sを徹底してQCDを進める ※不良品、再発防止・未然防止と原因追求と対策 ・4Mと維持管理 ・改善活動推進のポイント 印刷工場の改善活動実務 ・印刷現場の課題 ・印刷工場の改善活動実務 |
第3回 6/19(水) 14:00~17:00 (3時間) |
●テーマ: 設備の導入/工場の原価と利益管理 ●内容: 効果的な設備導入と体制づくり 設備導入体制と新規設備の投資計画について ※補助金・助成金でビジネスの成功率を高め 印刷工場の原価管理と見える化 原価管理と見える化は、何のためにするのか? 原価を見える化するしくみづくりと手法 工場が利益を増やす方法 |
第4回 6/26(水) 14:00~17:00 (3時間) |
●テーマ: DXと技術動向 ●内容: デジタル印刷の動向と効果的な運用 DXとAIで変わるビジネスの流れ デジタルデータによる仕事の特徴と動向 多様化するデジタルデータ知識 デジタル印刷に欠かせない設計の重要性 デジタル印刷の種類とバリアブル印刷 |
第5回 7/3(水) 14:00~17:00 (3時間) |
●テーマ: リスクマネジメントと持続的な対策 ●内容: リスクマネジメントとは何か 多岐に渡る管理 (品質や環境、労働安全衛生、情報管理など) これから注目すべきマネジメント (情報セキュリティや労働安全衛生、災害対策計画、重要機密情報など) 持続的な工場マネジメントとBCP対策 |
第6回 7/10(水) 13:00~17:00 (4時間) |
●テーマ: 工場改善の目標と実践計画づくり/人材マネジメント ●内容: 成果を上げる印刷工場の組織と目標発表 ※会社の強みを活かした工場改善目標 ※部下のモチベーション改善計画 ※競争力を高める設備投資と保全 【発表内容】 1.個人目標(フレームワーク) ※部下のモチベーションを高める実践目標 一日1回部下を褒めることを実践など 2.工場づくり目標(※顧客視点強化目標) ※工場を巻き込んだイベントの実施 工場のオープン化、工場の魅せる化など |
※カリキュラム、日程等は諸般の事情により変更となる場合がございます
対象
工場・各職場の管理者、リーダー、ISOの管理者、改善リーダーの方など
定員
10社(1枠2名まで可)
最少催行社数
3社
受講料(税込み)※1枠2名まで(複数枠お申込可能)
JAGAT会員 330,000円 一般 440,000円
パンフレットのダウンロードはこちら ※準備中
「人材開発支援助成金」の対象になる可能性があります。
■人材開発支援助成金とは?
厚生労働省が管轄している助成金制度で、労働者の職業生活設計の全期間を通じて段階的かつ体系的な職業能力開発を効果的に促進するため、事業主等が雇用する労働者に対して職務に関連した専門的な知識及び技能の習得をさせるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です。
厚生労働省のWebサイト:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html
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印刷発注者が印刷入門講座を受講する背景とは
近年、JAGATが主催する印刷会社の新入社員や中途採用者を対象にした「オンデマンド印刷基礎入門講座」に印刷発注者の受講が増えている。彼らにとっても印刷技術の基礎を知ることは高品質な印刷物の制作につながるので、我々としても歓迎したいところだが、その具体的な背景を探る。
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動画生成AIとSNSによる仕事の変化
動画生成AIの怖さと広がり
動画生成AIは急速に進歩している。2023年10月下旬から生成AIでニュース番組に似せた偽広告がYouTubeやSNSで配信されていることが一斉に報じられた11月1日付のNHKによれば生成AIを使って実在のアナウンサーの声や動きを再現したとみられ、偽動画はサイトへの登録を促す内容で番組に似せた偽動画を作られた日本テレビが注意を呼びかけているとうものだ。この動画は、音声と口の動きが一致していないので一目で見破れたというが、近い将来に識別が困難になることは明らかで、削除されたとしても類似の動画が次々とアップされることが懸念される。進歩に対しては規制も必要だろう。
一方、生成AI活用は、凄まじい広がりをみせている。2023年9月21日に米YouTubeは、生成AIを活用した動画制作の支援機能を年内に導入すると発表した。この新機能により、ユーザーは入力した文章に基づいて動画の背景を自動で生成でき、動画制作のプロセスがより効率的になるという。この新機能「Dream Screen」は年内に提供開始予定で、YouTube Shorts(YouTubeショート)で活用できる。最大60秒までの縦型動画を作成、編集、共有できるサービスで、YouTube Shortsは、スマートフォンのカメラを使ってどこでも縦型の動画を撮影・共有できる。スマートフォンで動画を撮影したら、あとは編集を加えて微調整するだけ。録画速度の調整、フィルタの適用、複数の動画の連結、字幕の追加などの編集を行うこともできる。
生成AIで変わる仕事と求められる仕事
SNSでの動画コンテンツの普及は、動画関連ビジネスも大きく変わると考えられる。2023年4月21日に公開されたビジネス映像メディア「PIVOT」のYouTubeチャンネルでは、明石ガクト氏(ワンメディア 株式会社CEO)と佐々木紀彦氏(PIVOT株式会社CEO)の対談「生成AI時代の動画ビジネス」がなされ、ビジネスにおける動画編集者は要らなくなるという 動画制作会社にとって は衝撃的なフレーズ もあった。明石ガクト氏によればAIが生成する情報の精度は「学習するデータがネット上にあるかどうか」だという。AIの捉え方として「相対」と「絶対」の見方があるという。AIはインターネット上の莫大なデータより相対的に判断し答えを導き出すという特徴がある。それに対して絶対的判断は、人が独自に判断することで人間関係づくりや業務のやり繰りなどの人が主体的に判断する事柄だ。AIと共存する上でのキーワードになる。
SNSを生成AIにおける写真や動画などのデータを集めるプラットフォームとして捉えればどうであろうか。Facebook、Instagram、TikTok、YouTubeなどには膨大なデータが集まっているが、これらの豊富なデータをAIが学習するとすれば生成AIが出す相対的な答えの精度は上がる。動画生成AIを活用する環境は整ってきている。動画制作の仕事では、時間やスキルが要らなくなってくる。AIや安価なアプリケーションや機材などの普及によりプロとしての参入障壁も低くなっている。スキルは著しくコモディティー化していくと考えられる。さらに、同氏によれば、ChatGPT(GPT-4)などの大規模言語モデル(LLM)を使いこなすために必須のスキルとされるプロンプトエンジニアリングも簡単になるという。
人が取り組む仕事は、AIに真似ができないことだ。ライター、動画編集、CG制作などの部分的な仕事は、競合としてAIが入ってくる可能性が高い。絶対的な価値を生む仕事の中には、ディレクターという各作業を束ねる上位概念ある。人が自分の意志で判断し決定する業務だ。その範疇では生成AIを使えるスタッフが増えたと捉えることもできる。AIを使う側である。動画ビジネスでは、規模の小さな会社や経験の少ない印刷会社などはショート動画から始めるのも良いであろう。ディレクターという全部を束ねる仕事を経験し、ノウハウを蓄積していくことができるからだ。規模は小さくても意思決定できる立場や経験を積み重ねることが大切だ。生成AIの時代は、作業をする人とマネジメントをする人に大きな差ができてくるという。マネジメントにおいては、AIが苦手とされる事柄が多い。人の気持ちを汲み取る人間関係づくりや個性、パーソナルな判断、クリエイティブな力が必要とされる業務だ。人が利用するAIを理解し、人間関係とAIとの関係が上手く構築できれば仕事の可能性は広がりそうだ。
(CS部 古谷芸文)
生成AI活用で変わる動画ディレクションと動画制作
中小企業の深刻な人手不足を教育で補完する
日本商工会議所・東京商工会議所「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」(2023年9月28日発表)によると、人手が「不足している」と回答した企業の割合が68.0%に達し、調査を開始した2015年以降で最高となった。
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非日常的な場が「連携」を生みビジネスを創造する
VUCA時代に企業が生き残るためには、企業間の「連携」により、新たな着想を基に事業を展開し価値を創造していくことが重要だ。そして、新たな着想は企業同士がフランクに会話ができる非日常的交流の場から生まれることが多い。
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