コロナ禍でビジネス環境が大きく変化し、中小企業も従来のビジネスだけではなく新たな事業への挑戦が求められています。新規事業を推進する上で、課題として常に上位に挙がるのが人材不足です。その課題を解消する施策として、副業・兼業人材の活用が注目を浴びています。 続きを読む
「経営・管理者」カテゴリーアーカイブ
トヨタ生産方式に学ぶ、印刷工場の改善活動とムダとり
改善活動における「ムダとり」
印刷工場の生産効率を上げることは、印刷会社の利益に直結する。特に「ムダ取り」は多くの生産現場で課題となっている。TPS(トヨタ生産方式)ベースの人づくりを中心に実践活動を行うコンサルティングファームのコンサルソーシング株式会社では、YouTubeにおいて工場改善についての動画ラーニングチャンネルが公開されている。トヨタ生産方式をベースに工場の改善活動を様々な視点で解説してある。カイゼンとは、工場の生産現場の作業効率や安全性の確保を見直す活動のことだ。現場の作業者が知恵を出し合うことで問題を解決する点に特徴があり、中でもムダな作業を無くす「ムダとり」は、大きなテーマだ。
ムダとりは、正味作業と非正味作業の仕分けからはじめる
改善活動は、課題を分類することからはじまるとも言われる。トヨタ方式でのムダ取り改善は、正味作業の割合を高めて仕事の付加価値を高めるとされている。
正味作業は、一言でいうと付加価値のある仕事で、非正味作業は、一言でいうと付加価値のない仕事だ。例えば、印刷業でいえば、顧客に対して、直接的に価値を提供している本業としての仕事、印刷製品の品質・コスト・納期を直接左右する影響力の大きい支援的な仕事、遵法性、社会性に関わる仕事にあたる。例えば、印刷現場の品質基準、数値管理、営業での顧客へのヒアリング、提案書作成、プレゼンテーション、契約書作成、締結、請求、支払いなどがある。
非正味作業は、顧客にとって価値の無い、または、価値の低い作業である。無くても顧客に何かしらの損害を与えてしまうリスクが低いものだ。印刷業では、社内都合での会議、打合せ、監視、管理の仕事、トラブル発生に付帯するフォロー仕事、具体的には、刷り直し、製本、加工ミスでの再納品、クレーム処理、値引き、再契約等が考えられる。非効率な会議やトラブル対策は大きな要因のようだ。
勘違いしてはいけないことは、ムダは、正味作業にも非正味作業にも存在しているということだ。ただし、非正味作業のムダを優先してムダとりを行うことになる。顧客にとって価値がない又は低い作業なので損害を与えるリスクが低いからだ。その点、正味作業は顧客に直接価値を提供しているので、その作業をやめたときに問題が発生する可能性が大きい。例えば印刷受注でのプレゼンテーションは、受注する印刷会社にとって必ずしも必要なものでもない。しかし、顧客にとっては、発注する印刷製品価値の理解度を高めるものだ。顧客にとっては重要な作業になる。一概にムダと判断するにはリスク伴う。ムダの性質を知る必要があるのだ。トヨタのムダとり改善は、効率化改善のように仕事を速く処理するという考え方をしない。ムダをみつけて取り除く改善ではあるが、最大との特徴は「やめる改善」で、「価値を探求する改善」だ。顧客満足に向けて、価値を探求し、仕事の付加価値を高めることで成果を上げて余裕ある仕事ができる工場づくりに取り組んでいる。
ムダをとっても顧客に選ばれることにはならない
ムダを取っても、顧客に選んでもらうことはできない。顧客に選んでもらうためには、顧客にとって価値の高い魅力的な商品やサービスを提案・提供しなければならないことを認識することだ。正味作業の中にも、顧客にとって価値のない、或いは、低いものがある。価値のない作業を、価値のある作業に変えていく必要がある。変えるためには、価値のない作業をやめて、新たに価値のある作業を始めるか、価値を生み出すようにしなければならい。ムダの認識は、実は、顧客と接する営業や経営方針にも関係する全社あげての取り組む要因でもある。印刷工場においても生産効率を高めるために非正味作業を優先して取り除く活動が必要とされるが、正味作業の中に一見ムダとも思える作業の中の価値を見落としてはいけない。例えば、印刷工場の現場では、印刷におけるカラーバー(印刷品質管理スケール)が紙のムダだと耳にすることがあった。顧客には関係ないことのように思えるが意味を知ったらどうであろうか。品質保証という顧客にとって安心、信頼という価値に繋がる可能性が出てくる。ムダとり改善は、経営やマーケティング感覚も必要な生産現場活動なのだ。
2021年10月20日開講のオンライン印刷工場長養成講座(JAGAT主催)は、第1回目にトヨタ生産方式を取り上げ、経営と工場マネジメントをテーマにスタートする。
CS部 古谷芸文
コンサルソーシング株式会社 動画ラーニングチャンネルhttps://www.youtube.com/c/ConsultsourcingJp/videos
【オンライン】 印刷工場長養成講座 https://www.jagat.or.jp/archives/87828
【オンライン】誰でもわかる印刷会社の数字の見方・考え方の基本
会社数字を理解できず悩んでいる方必見!
~数字が読めれば仕事のやり方も変わる~
「会社の数字や財務など、非常に難しい」と思われがちですが、基本的な事項を押さえておけば今まで読めていなかった数字の意味も理解できるようになります。
このセミナーでは売上・費用・利益などの「会社の数字」の基本的な読み方を学び、会社の収益構造を理解することでコスト意識を高められます。さらに、仕事をする上で必要なビジネス数字について、印刷会社の営業、制作、製造の実務の視点を交えながら解説することにより、数字の基本的な見方をおさえて自らの業務改善のきっかけになることを目指します。
開催日時
2021年9月10日(金) 14:00~17:00
対象
・若手社員で会社数字を勉強したいと思っている方
・会社数字の重要性を認識しながら今まで勉強する機会がなかった管理職の方
・これから経理や財務の仕事に従事される方
プログラム
1.財務諸表の基本理解
・決算書類の構造(B/S、P/L、製造原価報告書)
・財務用語の基礎知識(会計用語について)
・収益性と生産性(売上・コスト、算出・投入)
2.意思決定に使う数字
・損益分岐点(儲けの構造・管理会計)
・財務分析(過去の自社・他社との比較)
・意思決定に必要な要素(数値以外に加味すべき点)
3.勉強した数字の仕事への活かし方
・営業編
(コストの意識の仕方など)
・制作編
(同じ仕事量に対する人・時間・コストの考え方など)
・印刷オペレーター編
(5Sの徹底で人のムダな動きはどれくらい減る?など)
4.演習(財務分析)
・財務諸表の分析とディスカッション
※講師やプログラムはやむを得ず一部変更する場合があります。
講師

寶積 昌彦 (ほうづみ まさひこ)
株式会社GIMS コンサルタント・中小企業診断士
【プロフィール】
立命館大学卒業後、ハマダ印刷機械株式会社入社。各種印刷機、CTP等関連機器等多岐にわたる機械の営業担当を経て、営業管理・推進業務を担当。市場調査や製品開発企画とプロモーション、仕入商品・部材の調達管理や販売・製造台数の予測などの業務に従事。その後、グラビア印刷会社朋和産業株式会社に入社し、大手コンビニエンスチェーン、大手カフェチェーンの軟包材の営業を担当後、中小企業診断士として独立し、現在に至る。
最少催行人数
6名
参加費(税込)/1名
JAGAT会員 13,200円/ 一 般 17,600円
●研究会・セミナーのZoomウェビナー参加方法のご案内
●セミナーお申し込み後の流れについて
お申込み
●Webからのお申込み
●FAXでのお申込み
お申込書に必要事項をご記入のうえ、
03-3384-3216までFAXにてお送りください。
■参加費振込先
参加費は、下記口座に開催日の2日前までに振り込み願います。
なお、お申し込み後の取り消しはお受けできません。代理の方のご出席をお願いします。
口座名:シャ)ニホンインサツギジュツキョウカイ
口座番号:みずほ銀行中野支店(普)202430
■内容に関して問い合わせ先
内容に関するお問い合わせはお気軽に下記までお寄せください。
CS部 セミナー担当 電話:03-3384-3411
■お申し込み及びお支払に関して
管理部(販売管理担当) 電話:03-5385-7185(直通)
公益社団法人 日本印刷技術協会
印刷工場における品質優先の考え方
共感と理解を重要視するトヨタ自動車
今週開会される東京オリンピックの「TOPスポンサー(ワールドワイドパートナー)」であるトヨタ自動車は、国内では五輪に関するテレビCMを放送しない方針を明らかにした。(読売新聞 オンライン7月19日11:58)。一方、大会運営への支援では、関係者を運ぶ車両など計3340台を提供し、このうち、燃料電池車(FCV)の「ミライ」や自動運転機能を持つ電気自動車(EV)「イー・パレット」などの電動車が9割を占め、二酸化炭素(CO2)排出量の低減につなげるという。企業として市場での共感や理解を如何に重要視しているかという表れだ。
印刷工場に必要なマーケットインの考えた方と品質優先
印刷製品の品質も同様に市場に受け入れられなければならない。製品の良し悪しは、工場だけで決まるものではない。判断するのは市場であり顧客だ。マーケットインの考え方が必要になる。印刷工場においても他人ごとではない。言うまでもなく、印刷工場で生産される印刷製品も市場のニーズを捉え、顧客満足を満たした品質でなければならない。企業としてのその品質方針が重要になる。品質方針は、特定の部門だけではなく全社を挙げて共有し取り組まなければならい。カイゼンベース株式会社のカイゼン講座、品質優先の考え方【品質管理と品質改善活動:第1章】によれば、「品質を優先すること」について解説している。第一歩としては、品質を優先するという方針を関係者全員が納得し一致して取り組むことが重要になる。品質優先ということは、短期的なコストやリードタイムによる利益だけを考えるのではなく、しっかりと良い製品やサービスを提供することにより、結果的に顧客の信頼を獲得し売り上げ拡大や利益増加に繋げるものである。品質優先を土台にコスト削減やリードタイムの短縮を考えるということになる。「品質を疎かにしてはいけない」ということを全体で肝に銘じなければならいということだ。
マーケットインでの品質管理は下記の項目だ。
- 顧客が求める品質基準
- 顧客が求める量と納期
- 顧客が求める価格
- 顧客にとっての生産性
- 地球環境の保全
- 顧客を含む関係者全員の安全と健康
顧客に印刷品質の価値を伝えるマネジメント
印刷製品における品質管理や品質保証もマーケットインが土台となる。過去の印刷工場に見られたような勘と経験による工場の事情を優先するもではない。例えば、オフセット印刷の品質は、決定づける要因として、ドットゲイン、濃度、カラーバランス、コントラスト、トラッピング、ドライダウン等があるが、このことが顧客にとって価値として伝わらなければ意味がない。そこで、印刷工場は、品質安定のための標準化や数値管理、カラーマネジメント等のしくみづくりの必要性になる。また、営業活動では、品質基準を満たした印刷製品を納品することは勿論であるが顧客にその信頼と安心という価値を伝えることが重要になる。品質優先の考え方は、経営視点で戦略的なものだ。品質を上位に置いた品質(Q)・コスト(C)・納期(D)であるQCDのバランスでのフォーメーションである。組織力がカギを握る。組織力を発揮するためには、工場におけるリーダー育成が不可欠だ。オンライン印刷工場長養成講座(JAGAT主催)は、この10月20日(水)に開講する。
(CS部 古谷芸文)
オンライン 印刷工場長養成講座
2021年10月20日(水)開講
【オンライン】新規顧客が勝手にあつまる!販促の仕組みの整え方
概要
新型コロナウイルス感染拡大に伴う企業の売り上げ減少、テレワーク推進により顧客獲得の手法は大きく変わりました。自社営業マンによる訪問活動やTelアポといったプッシュ型から、Webマーケティングを中心としたプル型への移行が加速しています。しかしWebマーケティングといっても様々な施策がある中で、何から始めればよいか模索している経営者の皆様も多いと思います。
本セミナーでは、印刷会社での勤務経験もあるアドバンド株式会社代表取締役の中野道良氏が、経営者様、役員、事業部長クラスの皆様が取り組むべき「販促の設計図」作成のノウハウを解説します。新規顧客との出会いを作り出し、定期的に商談が進み、成約後のお客様と継続的な関係を維持できる手法を学びませんか?
こんな方におススメです
・新規顧客獲得について悩んでいる経営者の方々
・クライアントとの直取引を増やしたい経営者の方々
・Webマーケティングを実践にあたり、何から手をつけていいか分からない事業部長クラスの方々
開催日時
2021年7月16日(金) 14:00~16:00
プログラム
1 印刷物の現状とニーズの変化
2 Webにない印刷物のメリットを知る
3 法人営業(B2B)における3つの課題
4 新規顧客が勝手にあつまる「販促の設計図」とは
5 販促の設計図の6つの重要パーツと作り方
6 印刷業界のBX(ビジネストランスフォーメーション)
講師
中野道良(なかのみちよし)
アドバンド株式会社 代表取締役
1970年高知県生まれ。明治大学理工学部建築学科卒業。印刷会社で写真製版のオペレーターとして勤務後、グラフィックデザイナーをめざして専門学校に入学する。飲食店や出力センターでのアルバイトを経て、デザイン制作会社に入社。広告代理店や大手印刷会社からの下請として、企業や教育機関のパンフレットの企画・制作に従事する。社長の右腕として9年半勤め、2005年に個人事業主として独立。翌2006年、アドバンド株式会社として法人化を果たす。下請をせず100%直販、営業を置かないユニークな体制で、上場企業を中心とした取引先を次々と開拓。最大の強みは、「販促の設計図」を用いた独自のマーケティングにある。リスティング広告やオウンドメディアによるWebマーケティングと、ダイレクトメールやニュースレターなど印刷物によるアナログ手法との併用で、顧客の心理に寄り添い、行動を促すクリエイティブを提案。”広告と広報のものづくりパートナー”として、企業の成長を支援する。
参加費(税込)
JAGAT会員 13,200円 / 一般 17,600円
最少催行人数
6名
●研究会・セミナーのZoomウェビナー参加方法のご案内
●セミナーお申し込み後の流れについて
お申込み
●Webからのお申込み
Web申込フォーム に必要事項をご記入のうえ、お申込みください。
■FAXでのお申込み
お申込書をプリントアウトし必要事項をご記入のうえ、
03-3384-3216までFAXにてお送りください。
■参加費振込先
参加費は、下記口座に開催日の2日前までに振り込み願います。
なお、お申し込み後の取り消しはお受けできません。代理の方のご出席をお願いします。
口座名:シャ)ニホンインサツギジュツキョウカイ
口座番号:みずほ銀行中野支店(普)202430
■内容に関して問い合わせ先
内容に関するお問い合わせはお気軽に下記までお寄せください。
CS部 セミナー担当 電話:03-3384-3411
■お申し込み及びお支払に関して
管理部(販売管理担当) 電話:03-5385-7185(直通)
公益社団法人 日本印刷技術協会
価値を高める印刷工場のマネジメントを考える
ブランド価値を高める生産工程の見える化から魅せる化へ
印刷会社における工場は、重要な収益の源泉だ。工場のマネジメントにより営業戦略にも大きな影響を及ぼす。伝統的な工場管理では、改善活動をベースに如何に生産効率を高め利益を絞り出すかがテーマとなっている。一方、その改善活動は、工場内の課題解決にとどまらずマーケティングにも大きな影響を及ぼすことになる。印刷工場においても重要な視点だ。日本のものづくりにおける改善活動は、世界的に見ても「カイゼン」とカタカナ表記を用いるあるいは「Kaizen」と表記されるなど、国外でも通用する言葉になっている。メイド inジャパンが高いブランド価値を高めている要因にもなっている。
愛知県豊田市 集団接種会場の運営に「トヨタ生産方式」活用
新型コロナウイルスのワクチンの集団接種普及が心配される中、改善活動が注目を浴びている。去るテレ朝ニュース(2021年5月30日)トヨタ“産業医” 派遣「生産方式」を生かした集団接種記事によれば、愛知県豊田市では、75歳以上の高齢者を対象にした新型コロナウイルスのワクチン集団接種が30日から始まり、トヨタ自動車などと連携し、効率的な会場運営に取り組んでいる。同様に福岡県宮若市では、同市内に本社を置くトヨタ自動車九州と連携協定を結んで同社の体育館を集団接種会場として、短時間でスムーズに接種を進めるため、「トヨタ生産方式」を取りいれているという。
ムダの排除と動線の確保という改善活動がブランドになる。
そもそも、トヨタ生産方式とは、工場における生産活動の運用方式の一つで、ムダを徹底的に排除するために確立された生産方式だ。様々な多くの企業がトヨタ生産方式を取り入れ、「ジャストインタイム」や「見える化」或いは「なぜ」を5回繰り返すなどの方法や考え方は多くの印刷工場にも取り入れられている。ちなみに、良く耳にする「かんばん方式」は、トヨタ生産システムの「必要な物を、必要な時に、必要な量だけ供給する」ジャストインタイムを実現する上での情報の流れの仕組みの総称だ。生産現場の各工程において、後工程が前工程に対して必要な部品などをどのように生産するかを発注する発注書の役割を指すものが通称「かんばん」と称されている。これらの呼び名はその意味を超えて価値の高いものになっている。工場の改善活動のノウハウは、企業や製品、サービスのブランド価値形成に大切な役割を果たしているのだ。
オンライン・新工場マネージャー養成講座は10月開講する
印刷工場のマネジメントは、印刷会社のマーケティング戦略おいても益々重要な役割になっている。特にコロナ禍で変わった環境は大きい。営業パーソンに頼った「営業は仕事取ってこい!」の時代は、とっくに終わっている。印刷工場マネージャーも自社のマーケティング戦略を意識し、売れるしくみの中での印刷工場づくりに取り組む時代だ。10月開講予定の「オンライン・新工場マネージャー養成講座」は、改善活動をはじめとする基本的な知識は学びながら売れる、稼ぐマネジメントを学ぶ講座として開講する。
(CS部 古谷芸文)
オンライン・新工場マネージャー養成講座
オンライン工場見学、印刷工場のファンづくり
~顧客に価値を伝える工場のマネジメント~
工場の価値を伝える、ユーザー視点
印刷会社における工場見学は、有効なPRの手段だ。勿論、魅力ある工場を顧客に見せれば、大きなエビデンスとしてのPR効果が期待でき、見られる工場も5S活動が活発化し、社員のコミュニケーション力の向上も見込まれる。
コロナ禍においては、バーチャルやオンラインによる工場見学会も活発化している。日本経済新聞電子版のトラベルクローズアップ(2021/4/19)では、ものづくりの専門家が選んだ「オンラインで見学できる工場10選」を紹介している。
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO70985240U1A410C2W01001/
記事中の土屋鞄(かばん)製造所では、「匠の技、わかりやすく」をテーマに、コロナ禍で中止なっていた見学会を動画で開催している。「クイズ」「ランドセルの作り方」「職人の想い」の3つで構成され、各3~4分。リアルの工場見学では公開されていない革を裁断する場面も動画だと見られるようになっている。職人の想い編では、現場の社員が登場し、ランドセルづくりにおいての肝やエピソードを語っている。クオリティーも高く見ごたえのあるコンテンツになっている。サイトにアクセスされればブランド価値は高まりそうだ。
https://tsuchiya-randoseru.jp/pages/kengaku
映像で自社の強みを伝えるファンづくり
売れる印刷工場のマネジメントは、売れるための物語が重要になる。ここで言う物語とは、架空のものではなく製品を作る過程での拘りや想いを表現することだ。印刷工場では、品質を保証するしくみや設備と社員の創意工夫、想いを語ることなどが一例になる。それがファンづくりでは、視聴者へのエビデンスとなりブランディングに繋がっていく。魅せるものづくりでコミュニケーションを取ることが肝心だ。
工場における製造工程や製品の特長は、文章では感性には伝わりづらい。エビデンスとしては、現場を見て伝えることが必要な場面がある。リアルが不可能であれば映像やオンラインを活用するというも選択肢も浮かんでくる。コロナ禍では、映像や配信方法を駆使してオンライン配信する企業の増加が加速している。如何にアクセスさせるかも大きな課題となる。
<オンラインのメリット>
- 視聴する時間と場所を選ばない
- リアルでは不可能な工場現場も見学できる
- 申し込み制限、受け入れ人数限度がない
- 見たい場面、見たいペースで見学できる
「リアル以上に負担が大きい」という課題
一方、実際の工場見学とは違い、リモートでは参加者の反応や状況が把握しづらい。スタッフの数も、現場の映像、撮影担当に加え、スイッチング等のスタジオ担当を用意するなどの手間と時間がかかる。一見、オンラインの方が手軽のようにも思えるが、実際はその逆だ。リアルでの工場見学にはない労力や気苦労が発生することも想定しておく必要がある。デメリットもあるが様々なオンライン化の波は、コロナ終息後も変わらないであろう。リアルも有り、オンラインも有りとなるだろう。重要なことは、手段に振り回されず目的を忘れないことだ。マーケティング視点で伝えたいメッセージを映像表現やオンラインの特徴を生かして活用すればこれからますます可能性が広がる。ただし、みんながやり始めていることを忘れてはいけない。
(CS部 古谷芸文)
新サービス開発と事業再構築補助金の概要
ウイズ&ポストコロナを見据えて、印刷会社も新たな収益の柱を築く必要がある。今回は、新規事業開発に活用できる、事業再構築補助金の概要についてポイントを交えながら紹介する。
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印刷製品、イメージで伝える鳥瞰図
正確さを極めた伊能図と鳥瞰図の違い
印刷メディアにおける情報は、正確さが求められる一方でイメージを伝えることも重要だ。毎年4月19日は、地図の日となっている。同日に放送されたTBSラジオ番組「檀れい、今日の1ページ」でも話題になっていた。地図の日は、寛政12(1800)年の旧暦4月19日、日本全土の実測地図を作製した江戸時代後期の測量家・伊能忠敬が蝦夷地(北海道)の測量に出発した日によるとされる。足かけ17年にも及び、完成した「大日本沿海輿地全図」(通称「伊能図」)は、その正確・緻密さが特徴であった。国防上の観点からも流出を恐れられ長らく秘蔵されていたほどだという。
一方、正確・緻密さとは性格が異なるのが鳥瞰図(ちょうかんず)だ。一般的には意外と知られていないようだが、鳥瞰図とは、高い視点位置からの透視図だ。例えれば、鳥が高いところから地上を見おろすように、人が高い視点から見おろしたように描いた図をいう。(出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)。鳥瞰図のポイントはイメージだ。見て楽しく、感情にも訴え、特徴を表したものが鳥瞰図になる。京都府ホームページで文化・スポーツ・教育「京都府立京都学・歴彩館 Kyoto Institute, Library and Archives」では、デジタル展覧会「京の鳥瞰図絵師 吉田初三郎」が公開されている。鳥瞰図は、大正時代から昭和時代のはじめ、鉄道網の発達に伴い空前の行楽ブームが到来すると、鳥の目で見下ろしたように描いた案内図として各地の宣伝と集客のために多数作成されていた。中でも有名なのが大正から昭和にかけて活躍した吉田初三郎が描いた鳥瞰図ということだ。大胆な構図や鮮やかな色彩で人気を博したとされている。

イメージによって伝える情報
鳥瞰図の肝は、印象的な場所や情景、ランドマークなどをデフォルメして高い技術で描写されているところにある。メッセージをイメージによって、情報を人の心や感情に訴えかけることによって効果的に伝えている。イメージとは、心に思い浮かべる像や情景。ある物事についていだく全体的な感じ。心像。形象。印象。また、心の中に思い描くこととある(デジタル大辞泉より引用)。大正時代から昭和初期の行楽ブームで広まった観光案内としての鳥瞰図の表現技法は、現在でも広く受け継がれている。コロナ禍でなければゴールデンウイークは旅行シーズンでもある。今年は、巣籠もりで大正ロマンを感じられる鳥瞰図を眺め、印刷製品のイメージ価値を感じるには良い機会かもしれない。
(CS部 古谷芸文)
印刷営業20日間集中ゼミ(2021/5/10~6/4)https://www.jagat.or.jp/archives/81764
オンライン印刷ビジネス開発実践講座 https://www.jagat.or.jp/archives/85259
【オンライン】情報の活かし方とアイデア発想法https://www.jagat.or.jp/archives/85395
教えることで学ぶラーニングピラミッド
~社員の主体性を育てる~
社員教育において効果を上げるには、社員自身のそれぞれの主体性がカギを握る。「勉強しろ!」「努力しろ!」という掛け声だけでは効果は上がらない。目標とプロセスを共有すると同時に社員の主体性が重要になる。学びの場、教育の場を如何につくれるかが鍵を握る。学びの場は、知識を詰め込むことやセミナー等に参加せるだけでは効果は望めない。自分で課題を見出して気づきのプロセスを体験させることが大切だ。中でも“教えるプロセス”が高い効果が得られるとされる。自身が覚えた知識や課題を発見し解決できたことを他者に教えることだ。考えが整理され、主体性が発揮される。アメリカ国立訓練研究所が発表した研究結果で、7つの学習方法を学習の定着率順に並べたラーニングピラミッドでは、学習方法がしっかり頭に残るかを分類してピラミッド型にまとめている。ラーニングピラミッドを見ると、単に講義を受けているだけでは学習定着率が5%と低く、覚えたことを他の人に教えると学習定着率が90%になっている。つまり、受動的な環境ではなく、能動的になる環境が効果的だと示している。

- Lecture(講義)…5%
- Reading(読書)…10%
- Audiovisual(視聴覚)…20%
- Demonstration(実演説明)…30%
- Discussion Group(議論し合うグループ)…50%
- Practice Doing(練習)…75%
- Teaching Others(他者に教える)…90%
一方、能動的な学習の場は、社会人になればなるほど少ないのが現状だ。リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査2018」によれば、1年間に自分の意志で仕事にかかわる知識や技術の向上のための取り組みをした雇用者の割合は、33.1%という数字になったということだ。7割弱の人が学ぶ習慣を持っていないということになる。社員の学ぶ機会をどうつくっていくかは、企業の競争力を強化する上でも重要な課題となっている。そもそも教育は、educationと英訳される。educationとは何か?educoというラテン語から来たもので「人間の内部にもともと備わっている才能を引き出す」という意味だ。社員の学ぶ習慣をつくることは、企業の日常活動においても育むことができる。学びの機会は、何もセミナーや資格取得に限ったことではない。改善活動などの仕事の中にも機会は身近にある。様々な教育ソリューションもその上で効果が高まると考えられる。
(CS部 古谷芸文)
4月のセミナー開催予定 https://www.jagat.or.jp/cat3