制作・デザイン系」カテゴリーアーカイブ

印刷会社のクリエイティブでつくるブランディング

JAGATは「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」が実施する企業の労働生産性の向上を目的とした「生産性向上支援訓練」の事業取組団体として選定を受け、その一環として、印刷ビジネスに役立てて頂けるセミナーを提供します。
受講にあたっては、「同時双方向通信による生産性向上支援訓練利用規約」を事前にご確認ください。


マーケティングの基本を学びながら、クリエイティブと連携することで構築できるブランディング手法について学びます。

 

開催日時

1日目:2023年6月21日(水) 10:00~17:00
2日目:2023年6月22日(木) 10:00~17:00

 

<カリキュラム>

マーケティングの基本
・印刷ビジネスに必要なマーケティングの考え方
・セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング、4P

マーケティングリサーチ手法
・市場や顧客のニーズの調査方法について
・顧客生涯価値(LTV)の考え方とブランディングの関係性

※ケースタディ

CSR(企業の社会的責任)とCSV(共通価値の創造)の考え方
・CSRとCSVの基本と違いについて
・ブランディングとCSVの関係性
・地域に根付いた印刷会社だからできることは

※ケースタディ

ブランディングとクリエイティブ
・ブランディングの考え方と構築手法
・クリエイティブの重要性
・印刷会社の強みを生かすには
・自社のマーケティング戦略構築

 

定員 残り1枠!

15名

生産性向上支援訓練の規定により、会員の方、優先の講座となっております。
一般の方は、限定5枠までとなりますのでご了承ください。

※一般の方の枠は、限定人数を超えましたので、締め切らせていただきます。

受講対象

・自社のブランディングを考える経営者及びマネージャー 
・企画提案に関わる営業及びデザイン制作担当者

受講資格

印刷会社及び関連業界企業に属している社員の方はすべて対象


講 師

 深澤 了 (ふかざわ りょう)

   むすび (株)代表取締役
   ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター

早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターののち、パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)。FCC賞、日本BtoB広告賞、山梨広告賞など、受賞、雑誌掲載多数。

 


参加費(税込)

1名 5,500円

申込締切 : 各コース開催日の10日前まで※但し定員になり次第締め切ります。

 

お申込み 残り1枠! 

※一般の方の枠は、限定人数を超えましたので、締め切らせていただきます。

 Webからのお申込み

必要事項をご記入のうえ、お申込みください。

 

FAXでのお申込み  
annai-2
お申込書をプリントアウトし必要事項をご記入のうえ、
03-3384-3216
までFAXにてお送りください。

 

■ 参加費振込先
参加費は、下記口座に開催日の2日前までに振り込み願います。
なお、お申し込み後の取り消しはお受けできません。代理の方のご出席をお願いします。

口座名:シャ)ニホンインサツギジュツキョウカイ
口座番号:みずほ銀行中野支店(普)202430

 

● 研究会・セミナーのZoomウェビナー参加方法のご案内

研究会・セミナーのZoomウェビナー参加方法のご案内

● セミナーお申し込み後の流れについて

オンラインセミナーお申込み後の流れについてのご案内

【内容に関して問い合わせ先】
内容に関するお問い合わせはお気軽に下記までお寄せください。
CS部 セミナー担当 電話:03-3384-3411

【お申し込み及びお支払に関して】
管理部(販売管理担当)   電話:03-5385-7185(直通)

公益社団法人 日本印刷技術協会

急がば回れの多能化への取り組み

企業における人材不足は5月8日のコロナ5類移行により更に加速している。印刷会社でも人材難の話は良く耳にするが事態は深刻だ。ダイヤモンドオンライン(2023.5.12)掲載記事では、「人手不足」倒産がさらに深刻化へ、東京商工リサーチが独自データで解説が掲載されている。東京商工リサーチ(TSR)が4月に実施した企業向けアンケートでは、企業の66.5%が「正社員不足」と回答した。このうち、大企業(資本金1億円以上)は73.2%、中小企業(同1億円未満)は65.5%で、大企業ほど人手不足が顕著だったとある。ただし、今の「人手不足」は、ひと昔以前のように必要なときに容易に採用できる時代ではない。シビアな現実を認識すべきだ。正社員・非正社員を問わず、採用コストが上がり、仕事を回すには人が必要な業種は多い。

スキルマップの活用が多能工化へ繋がる

人材採用難の一方、益々必要になるのが人材の活用、生産性の向上だ。2018年版「中小企業白書」(経済産業省)、第2章掲載「深刻化する人手不足と中小企業の生産性革命」事例では、従業員のスキルマップを活用することで、人員配置を適正化し、多能工化へもつなげている企業として東京都八王子市の坂西精機株式会社(従業員91名、資本金5,000万円)が紹介されている。同社は、歯車を組み合わせた減速機の製造や精密部品全般の加工・組立を行う企業である。以前は、各従業員の能力の把握が現場頼りになっていたため、管理者は、自社の従業員がどの程度の能力を有しているのか完全には把握できていなかった。結果、例えば部署によってスキルの高い人が集中し、他方で慣れていない人が集中するなど、部署間の能力に偏りが発生していた。そこで、その状況を改善するため、全従業員のスキルマップを作成し、従業員の能力を管理者が把握することで、適正な人員配置とスキルの標準化を行うこととした。 例えば、製造部門では、「読図」、「NC旋盤操作」、「製品の測定」、「異常時の対応」等のあらゆる業務をスキル項目として設定しており、習熟度を「作業に携わったことがない」の「1」から始まり、「指導することができる」の「5」までの5段階で評価している。そして、面談時に課長と従業員が擦り合わせてスキルの評価を決めている。このスキルマップは人事考課には関係なく、あくまで管理職と従業員のコミュニケーションツールとして用いている。スキルの評価が上がった者には管理職がねぎらい、次の目標を共に立てることで、従業員の更なる業務意欲向上につなげているという。

急がば回れの多能工化

従業員のスキルの見える化により、適正な人員配置と業務分担が可能となった。同社では、従業員の能力の偏りを防ぐため、スキルマップ上で一定の熟練度に達したら本人の意向を踏まえた上で、別の部署に異動させている。結果、忙しい部署に対し、他部署から支援に回ることができる人材が増えるなど、従業員の多能工化にもつながっている。各従業員が特定の業務に特化し専門性を形成した方が、高い生産性を発揮すると思われるものの、同社ではその考えはない。「慣れない業務を担当させることによる一時的な生産性低下のデメリットよりも、将来のことを考えておくことが大事。実際、従業員の多能工化により、本来の担当者が不在であっても、他の従業員が補うことで同様の生産性を保つことができ、大きなメリットと感じている。今後も同様の取組を進めていきたい。」と坂西宏之社長は語っている。多能工化は、急がば回れがのようだ。

人材不足を補うための多能工化への取り組みは、印刷会社でも多く見受けられる。

手順は、

①チーム全体の業務を洗い出す

②業務を抽出する

③マニュアルを作成する

④マニュアルに沿って行動させる

⑤フィードバックをより良いものにする

この手順では、作業標準をつくることが必要になる。つまり、標準化という改善活動に取り組むことになるのだ。印刷工場では受注生産で多品種少量化が進む中、計画的な製造管理や受注管理が難しく、工程や個人のスキルによるムリ、ムダ、ムラによる生産性の低下は、働き方改革への妨げにもなっている。解決策のひとつが多能化だ。多能工化は、属人化を解決することで部門や工程での平準化に取り組み生産性向上を図るものだ。多能工化と改善活動はセットで効果が上がる。過去の感や経験での製造工程や現場教育では難しいことでもある。肝心なことは、組織的にしくみ化することだ。そして、改善活動をマネジメントするリーダーを決めたら徹底的に支援、信頼し、リーダー自身は、現場や人に寄り添うことだリーダーシップと人材育成がカギを握る。

(CS部 古谷芸文)

新・【オンライン】印刷機長養成講座

【オンライン】「工場改善活動の進め方」

【オンライン】工場のトラブル対応!ヒューマンエラー対策

【オンライン】第3期 印刷工場長養成講座

12分類の原因から考えるヒューマンエラー対策と改善活動

ゼロにはできないヒューマンエラー対策

ヒューマンエラー対策への関心度は、印刷業界でも生産性に大きく影響を及ぼす課題である。ヒューマンエラーとは、人的ミス、人的過誤と称され、人間の作業や行動による予期していない事故やトラブルが発生してしまうことだが、どんな会社でも発生し、書類のミスなどの小さいミスから、生命に関わるような重大事故や問題へと発展することもある。ヒューマンエラーはゼロにできないことを前提に対策を講じなければならない。

page2023オンラインセミナー(JAGAT主催)では、「印刷工場のヒューマンエラー対策」についても開催され多くの関心を集めた。講師には、TPS(トヨタ生産方式)で企業の改善活動に多くの実績を持つコンサルソーシング株式会社コンサルタントの石川秀人氏をメイン講師に迎え、ゲスト講師では、オフセットとデジタルのハイブリッドでの生産拠点を管理する株式会社研文社の河田和弘氏(尼崎工場 工場長)とデジタル印刷によるワークフローの工場よりキヤノンメディカルシステムズ株式会社ドキュメンテーション部の澤永裕司氏(印刷製本センター 主幹)を招いた。主な内容は、ヒューマンエラーの原因を12分類し、それぞれの基本的な対応策についての解説であった。印刷工場、オフセット印刷とデジタル印刷のヒューマン対策の事例では、それぞれの管理者より印刷工程特有の事案と対策が紹介された。特に事前対策としてのKYT(危険予知訓練)およびヒヤリハット活動や事後対応(再発防止)での「なぜなぜ分析」「特性要因図」を用いた体系的な取り組みを推進するリーダーシップには効果への裏付けが感じられた。

原因の12分類に起因する潜在原因

独立行政法人労働安全衛生総合研究所の高木元也氏によればヒューマンエラーの原因は下記の12に分けられるという。

(分類1)無知、未経験、不慣れ ➡ 正しい知識、技能を教える

(分類2)危険軽視、慣れ ➡ 安全教育

(分類3)不注意 ➡ 徹底管理

(分類4)連絡不足 ➡ 報連相の活性化

(分類5)集団欠陥 ➡ チームワークの活性化

(分類6)近道・省略行動本能 ➡ KMK活動

(分類7)場面行動本能 ➡ 異常処置マニュアル

(分類8)パニック ➡ 2S

(分類9)錯覚 ➡ 表示・見える化

(分類10)中高年の機能低下 ➡ 環境整備

(分類11)疲労等 ➡ 作業改善

(分類12)単調作業等による意識低下 ➡ 労働衛生

ヒューマンエラーの12分類は、ヒューマンエラーの直接原因だがさらに直接原因を引き起こした原因(潜在原因)が存在する場合がある。

例えば、印刷作業で印刷機の検知器を外してトラブルが発生した場合では、直接原因は「近道・省略行動本能」によることが原因になる場合があり、対処法としてはKMK活動が有効なる。

KMK活動は、

(K)ルールを決める

(M)ルールを守る/守らせる

(K)ルール通りに行っているか観察し、できていなければ改善する

一方で、潜在原因を考える必要がある。例えば、行動に起因する原因で無理な納期や装置の不具合、ムダな作業などの潜在原因があったとすれば工程管理の見直しや設備の保全、作業の標準化などの更なる改善活動への推進にも繋げる必要がある。

ヒューマンエラーは、単なるポカミスでは片づけられない。単純なようだが難しい。何故なら人の特性による原因だからだ。「急がば回れ」である。ともすれば、人を責める対応になることもあるが人を育てる対応が望まれる。社員の納得感や意識を大切にしなければならない。対策は、体系的にしくみ化する必要がある。鍵を握るのは推進するリーダーや各々のリーダーシップである。工場の改善活動にしっかりと取り入れ位置づけし根付かせなければならない。

(CS部 古谷芸文)

第3期 オンライン印刷工場長養成講座 2023年6月開講

新事業展開と人材開発

機会設備等の「モノ」への投資に加え、事業再構築、新事業等のビジネスづくりをテーマにした「コト」とそれを実現するための「ヒト」へ投資を促す制度が拡充している。 続きを読む

DTPデザイナー基本講座(2日間)【オンライン同時開催】

~プロとしての考え方からレイアウト・デザインの基本まで~

DTPデザイン業務とは、企業や商品をイメージして広告や広報を通じユーザーに訴えるという重要な役割を担っています。単なる文字、画像の配置による見栄え、見え方ではありません。
また、DTPデザインに携わる方のスキルアップ、利益貢献は企業にとって大きな課題であり、本人のやりがいや働き方、業績にも影響します。しかし、実際の現場では、教育機会が乏しく人材の習熟速度は思うように上がりません。
本講座は、DTPデザイナーとして、そしてプロとして必要な考え方、心構えからデザインとは何か、レイアウト、デザイン発想法とプレゼンテーションまで演習を含め基本を実践します。これらを学ぶことで自ら考え成長し続ける基礎を身につけられます。企業と社員自身の活性、発展のため、ぜひ本講座をご活用ください。

主な内容

 【DTPデザイナーとしての心得】
 1:プロの十ヶ条、行動基準、自らを律するための考え方、プロとしての誇り
 2:DTPデザイナーのビジョン、使命、仕事とは?幸せの法則
 3:デザイン事例(印刷、パッケージ、ブランディング)紹介
 4:企画とは?企画のポイント、デザイン料金?原価、費用とは?
 5:商業デザイン、売れるための3要素、良いデザインとは何か
 6:デザインに必要な材料、オリエンシート例
 7:提供する価値(ブランディング)

【デザイン設計の基本セオリー】
 1:デザインとは何か、デザインの役割
 2:デザイン要素の扱い方(演習) 
 3:ターゲットとシチュエーション(マーケティング、イノベーション)
 4:色彩理論と感情
 5:文字の分類と組み方、写真
 6:さまざまなレイアウト(何をどこに)
 7:レイアウト良い例、悪い例
 8:デザイン発想法とプレゼンテーション(演習)

演習

開催日時

2023年5月26日(金)10:00-17:00
2023年5月27日(土)10:00-17:00 

■会 場 :大阪印刷会館セミナールーム (JR「桜ノ宮」駅西口 徒歩5分)
■講 師 :後藤 佑紀氏(アイディーエイ株式会社 デザインコンサルタント)
     大里 浩二氏(THINKSNEO 代表/アートディレクター)
■受講料 :5,500円(消費税込)

お申込み

Webからのお申込み(工事中、少しお待ちください。)

Web申込フォームに必要事項をご記入のうえ、お申込みください。

FAXでのお申込み(工事中、少しお待ちください。)


お申込書に必要事項をご記入のうえ、06-6353-5020までFAXにてお送りください。

参加費振込先
参加費は、下記口座に開催日の2日前までに振り込み願います。
なお、お申し込み後の取り消しはお受けできません。代理の方のご出席をお願いします。

口座名:シャ)ニホンインサツギジュツキョウカイ
口座番号:みずほ銀行中野支店(普)202430

内容の問合わせは下記へご連絡ください
公益社団法人日本印刷技術協会 
西部支社 
TEL. 06-6352-6845/FAX. 06-6353-5020
お申し込み及びお支払に関して
管理部(販売管理担当)   電話:03-5385-7185(直通)


 

 

 

 

ヒューマンエラー対策、ASV(先進安全自動車)にみるAI活用

ASV推進計画にみるヒューマンエラー対策

社会的な課題とされるヒューマンエラー対策は、印刷工場に限ったことではない。大きな社会問題の交通事故。国土交通省自動車局が2018年9月に公表した「自動車の安全確保に係る制度及び自動運転技術等の動向について」という資料によれば、2016年のヒューマンエラー(法令違反)に起因する交通死亡事故は全死亡事故の97%にも上るという。

国土交通省では、ASV推進計画を進めている。ASVに関する技術の開発・実用化・普及を促進するプロジェクトであり、平成3年度から約30年にわたっての取り組みだ。先進安全自動車(ASV:Advanced Safety Vehicle)」は、先進技術を利用してドライバーの安全運転を支援するシステムを搭載した自動車である。AIが活用されている。

プロジェクトは、学識経験者、自動車・二輪車メーカー(14社)、関係団体、関係省庁を委員とする「先進安全自動車(ASV)推進検討会(座長:須田義大 東京大学生産技術研究所教授)」(事務局:国土交通省)において、検討が進められている。

主な技術は、ヒューマンエラー対策に関わるものだ。

  • 前方障害物衝突被害軽減ブレーキ
  • ペダル踏み間違い時加速抑制装置
  • レーンキープアシスト
  • 車線逸脱警報装置(LDW)
  • 後退時後方視界情報提供装置(バックカメラ)
  • 後側方接近車両注意喚起装置

現時点で自動運転レベル3を実現している本田技研工業株式会社。2022年12月1日付けのニュースリリースでは、全方位安全運転支援システム「ホンダ センシング 360」と安全運転支援システムのフラッグシップである「ホンダ センシング エリート」の次世代技術が公開された。2022年12月の中国市場向け新型CR-Vへの採用を皮切りに、新しい「Honda SENSING360(ホンダセンシングサンロクマル)」(以下360)をグローバルに展開すると発表した。360は、交差点での車両や歩行者、二輪の検知、カーブ減速支援などが追加された、全方位安全支援技術だ。ドライバー異常や周辺環境を検知し、事故を未然に防ぎドライバー運転負荷を更に軽減する機能だという。これにより、健康に起因するものやヒューマンエラーで発生する事故を削減するとも期待されている。

ヒューマンエラー対策とAIへの期待

事故を未然に防ぐにはヒヤリハットの段階で対処することが有効される。「ハインリッヒの法則」がヒントになる。1件の重大事故の背景には、軽微な事故が29件、さらにその背後には300件のヒヤリハットが潜んでいるという法則だ。「1:29:300の法則」とも呼ばれる。「当社の事故はゼロ!」などと事故の件数に一喜一憂するのではなく、1件の事故に対する300のヒヤリハットの数に目を向けることが肝心である。例えば、事故がゼロでもヒヤリハット数が100件あれば、ヒューマンエラーに繋がる100の課題が存在することになる。より多くのヒヤリハットの数を入れ込むことで可能性が広がる。

日刊工業新聞2022年10月12日の記事によれば、筑波大学の斉藤裕一助教らは、タクシードライバーのヒヤリハットシーンを学んだ人工知能(AI)を開発した。急ブレーキを踏んだ前後のドライブレコーダーの映像と車速などを学習させた。危ない運転をしている際の状況判断のようなものをAIとして抽象化できた。運転時の思考を解釈したり、そこから安全マージンを導くなどの研究につなげる。タクシードライバーは運転のプロとして、隠れたハザード(危険)を勘案しながら走行する。ドラレコのヒヤリハットデータ20万超の中から、制限速度30キロメートル以下で物陰の多い交差点での自転車の飛び出しシーンを抽出する。自転車に接触しかけた際の時間的な猶予を計算し、安全マージンの大きな運転と小さな運転を学習させたとある。AIで事故を回避することは難しいが、事故の重大さを下げるような運転を知らせることはできる。

ヒューマンエラーは、無くすことはできない。如何に最小限に止めるか、未然に防止できるかが問題だ。人の意識や判断が鍵を握ることは変わらない。ヒューマンエラー対策は、ルールを作りルールの守るだけの対策では効果が期待できない。AIを活用することで、人の判断や意識における納得感をサポートすることで可能性が広がるのではないだろうか。

(CS部 古谷芸文)

page2023開催案内

JAGATセミナー

ヒューマンエラー対応、ヒヤリハットに目を向ける

〝0〟にできないヒューマンエラーと事故回避

人的要因、ヒューマンエラーによるトラブルは、印刷会社においても関心度の高い課題だ。今年の重大事故の中で、静岡県で起きた幼稚園での送迎バスの中に置き去りにされた3歳の子どもが死亡した事件は、うっかりミスでは済まされない事案だ。厚生労働省の「2020年教育・保育施設等における事故報告集計の公表」の資料では、認定こども園・幼稚園・保育所等における事故報告数を1586件と発表している。前年の報告数と比べ287件増加しており、そのうちの1281件が骨折の事故であることも明らになっている。原因と大半がヒューマンエラーとして捉えられ、そのための防止策が重要視されている。

ただし、ヒューマンエラーはゼロにはできないことが前提だ。できるだけミスを起こさない対策を講じることを考えることだ。ミスに繋がる要因をできる限り潰していくことだとされている。要因となる「ヒヤリハット」の事案を記録して対応していくことが効果的とされている。ヒヤリハットとは、一歩間違えれば重大な事故に繋がるかもしれない「ヒヤリ」としたり、ハッとする事柄である。ヒューマンエラーを防ぐには、事故に注目するのではなく、事故になりそうなことに目を向けることが肝心だ。

ハインリッヒの法則にみる対応策

事故を未然に防ぐにはヒヤリハットの段階で対処することが有効される。「ハインリッヒの法則」がヒントになる。1件の重大事故の背景には、軽微な事故が29件、さらにその背後には300件のヒヤリハットが潜んでいるという法則だ。「1:29:300の法則」とも呼ばれる。「当社の事故はゼロ!」などと事故の件数に一喜一憂するのではなく、1件の事故に対する300のヒヤリハットの数に目を向けることが肝心である。例えば、事故がゼロでもヒヤリハット数が100件あれば、ヒューマンエラーに繋がる100の課題が存在することになる。印刷製作工程での文字の誤植や訂正ミスでは、DTPから次工程や印刷前に見つかったとしても些細なことでも記録して対応することになる。

ヒューマンエラーへの対応は、事故に繋がりそうなヒヤリハットを如何に現場から吸い上げ、記録し対応できるかが鍵を握っている。それには、職場の雰囲気としくみづくりが必要だ。例えば、事故に対しては犯人を捜し、責任を追及するだけの対応では根本的な解決に繋がらない。組織を上げて、原因を把握し、解決策を講じることが求められる。ヒューマンエラーが起きやすい職場の雰囲気には、共通点があるともいわれる。ひとつには、管理者のヒューマンエラーへの認識が低いこともあるが、他にも、マニュアルが整備されていないことや業務上のルールが決められていないような場合もある。一方、日常の業務に追われ余裕がないよう職場では、ダブルチェックする余裕もなく、疲労で判断力が鈍り、トラブルに繋がることもあれば、部門内や部門間のコミュニケーションが不足し、伝達ミスなどによることも見受けられる。これらの要因は、会社や工場の改善活動とも直結した課題でもある。仕事の中に潜むミスを気づかせる見える化改善に繋げることにもなってくる。ヒューマンエラーは改善活動とセットで考えることで相乗効果も期待できる。

CS部 古谷芸文

JAGATオンラインセミナー

現場改善の基本と実務

プリプレス・印刷業務の再点検

印刷、後加工の仕事に役立つ 製本加工の基礎知識

人材育成に対する企業のスタンスは? ~2022年上半期開催のJAGATセミナーから~

JAGATセミナーは人材育成の観点で印刷業界を支援し、人材のボトムアップから業界活性化を図ることが目的である。基本方針は、「印刷会社の“今”の課題を解決」「明日から仕事で使える」とし、印刷現場、営業、マーケティング、デザイン制作、法務、会計と多岐に渡るテーマを取り扱っている。今回は、2022年上期に開催したセミナーについて報告する。
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新卒採用活動の次はフォローアップが重要!

会社の痛手となる新入社員の離職

人事採用と入社後人材育成は、印刷会社の成長においても重要な取り組みだ。中小企業の新卒採用担当者の中には、「会社を知名度で決める」「採用競争力」など大企業に比較しての悩みを抱えてことを聞くことがある。リクルートワークス研究所によれば、過去10年5,000人以上の大手企業の求人倍率は1倍以下と採用がしやすい状況があるが、一方、300人未満の有効求人倍率は、常に3倍以上を推移している。コロナ禍により超売り手市場であった2021年卒の3.40倍よりも上がり、22年卒採用においても「5.28倍」と依然として採用難であることが分かる。

一方、苦労して採用に結びつけても、昨年令和3年10月の厚生労働省のプレスリリースによれば、就職後3年以内の離職率は新規高卒就職者36.9%、新規大卒就職者31.2%ということである。新卒者本人だけでなく企業側にとっても大きな痛手だ。更に、毎年1割近くが1年以内で離職している。新卒者が1年以内に離職することは珍しくない状況だ。

理想と現実とのギャップを埋めるフォローアップ

離職の理由のひとつに「理想と現実とのギャップ」が挙げられるがことが多い。入社3カ月~半年が過ぎたあたりから、現実との壁が生じる。そのギャップを埋めることが重要だ。現実的な仕事に対するやりがいや働き方に起因する事柄を共に解決していくことが必要になる。採用活動の次の課題はフォローアップである。教育をはじめとする社員が成長するための計画的な施策と環境は不可欠だ。フォローアップは、新入社員研修からある程度時間が経ってから繰り返し行うことを意味する。「会社での帰属意識を高め、生産性を向上させる」「研修効果の定着や離職率を低下させる」などの狙いがある。手段としては、フォローアップ教育研修などもあるが目的が重要だ。仕事に直面した新入社員の不安や疑問を解決することが目的だ。単に専門知識を詰め込むことでないことを認識し、寄り添うことが肝心なところだ。一般的に用いられる方法では、「人事面談で意見を聴く」「上司によるフォローアップ」、年齢や社歴の近い先輩社員が助言する制度「メンターをつける」「フォローアップ研修」などがあるが、会社全体として取り組むことが必要になる。

(CS部 古谷芸文)

2022年度秋期
【オンライン】フォローアップ総合研修

「まるまる学ぶサービス」

【オンライン】印刷技術の基礎知識

【オンライン】印刷営業の基本