制作・デザイン系」カテゴリーアーカイブ

働き方改革と生産性向上における印刷工場の課題

働き方改革という言葉が定着してきた昨今だが、印刷工場での働き方改革への対応には頭を痛めている経営者やマネージャーも多いようだ。2019年4月から『働き方改革関連法案』が実施され、企業は対応することが義務付けられている。その関連法案で注視しなければならない規定が、労働基準法とパート有限雇用法になる。

労働基準法とパート有限雇用法

労働基準法の改定では、

  • 5日間以上の年次有給休暇の取得義務化
  • 時間外労働の上限規制導入
  • 月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の猶予措置、(50%→25%)の廃止

パート有期雇用法(パート労働法)では、

  • 均等待遇について、個々の待遇ごとに不合理性を判断することを 明確化
  • 有期契約労働者に係る均等待遇規定の創設
  • 待遇差の理由等に関する説明の義務化

時間外労働の上限規制と同一労働同一賃金

労働基準法改定では、5日以上の年次休暇取得義務については、昨年2019年4月より施行された。週40時間を超えて労働可能となる時間外労働の上限を原則として「月45時間」かつ「年360 時間」とする規定については、繁忙期でも単月100時間未満、複数月(2~6か月)平均80時間(休日労働含む)に抑えという上限が加わった。法案の発表当時の2017年3月の日経ビズネスオンラインの記事よれば、経営者側と従業者側では受け方が違うようだ。従業者側では、「100時間迫る時間外労働を許すのか」や「過労死に繋がる」という時間外労働を促進するような見受け方もあったようだ。page2020セミナー「印刷工場の生産性向上実践 ~多能工化編~」講師で中小企業診断士の寶積氏(株式会社GIMS代表取締役)によれば、上限が無かったものに上限が付いたことが大きいという。経営者にとっては難しい対応が迫られ、業績への影響も心配される。一方、社会保険労務士側では、やらない会社は淘汰されるという見方もある。政策が掲げる指標は労働生産性だ。単に仕事を増やして従業員の賃上げを目指すものではない。生産効率、付加価値率を高めることで少ない従業員で大きな成果を上げる企業体質を目指すものだ。旨くいけば中小企業には追い風のようにも思える。しかし、取り組む課題は簡単ではない。

経営資源に限りがある中小の印刷業においては、特に、業績アップのための施策と働き方改革は同じ土俵で進めるべきだ。印刷工場では、生産効率を高めるための改善活動やマネジメントを促進し、生産性を高くする体質改善する仕組みづくりが重要になる。小手先の対処療法では、課題は解決されない。特に印刷業の多くは、受注型で多品種少量の傾向にある中、計画的な生産管理は難しい。全社を上げて改善活動を推進し、具体的に見える化や多能工化へ取り組むことが益々重要になってくる。活動を推進する上で欠かせないのがリーダーの存在だ。印刷工場でのマネージャー育成は益々急務なってくる。

(CS部 古谷芸文)

第6期 工場マネージャー養成講座

紙加工製品の商品開発に欠かせない、デザインとブランディング

経営者が自ら取り組む商品開発とデザインへの取り組み

 印刷業を取り巻くビジネス環境では、デザインの重度が増している。販売促進ツールをはじめとするBtoBや生活者を豊かにするBtoCの商品開発を手掛ける印刷、紙加工業の事例も増えてきている。商品開発に欠かせないのが、アイデアとそれを形にするデザインだ。   

page2020セミナー「アイデアを形にする紙加工の製品開発」では、紙加工製品の商品開発に取り組む2社に実践でのプロセスとブランド展開について解説する。

 加藤製本株式会社では、ブランド「クルーシャル」を立ち上げている。クルーシャルは、文具、朱印帳などの紙加工商品を開発し、提供する会社だ。プロダクトデザイナー、グラフィックデザイナー、CADエンジニア、一級技能士の資格を持つ社員によりものづくりに取り組む。社員がアイデアを出すこととデザイナーを採用や育成することに力を入れている。同時に、大手文具量販店や文具店、女子博、販促アイデアグランプリ展など業界の枠を超えた販路開拓にも力を入れている。マーケティングとアイデアとそれを形にするデザインの相乗効果で成果を上げている。紙加工技術、レーザーダイカットシステムを活かした微細な細工の朱印帳やマカロン(付箋)などは記事や話題として取り上げられことも多い。

 福永紙工株式会社では、この2020年1月29日までの期間で昨年11月にオープンした渋谷スクランブルスクエア10Fの東急ハンズが運営する「208HANDS」で販売会を実施している。ブランディングへの取り組みだ。クリエイターと共にこの12年間でつくりあげた紙製品の22日間限定販売会だ。同社は、印刷から加工までのパッケージの印刷加工会社として1963年に創設された。転機は、アパレル商社勤務経験とノウハウを持つ現在の山田社長を中心とした2006年の「かみの工作所」プロジェクトスタートだった。多くのクリエイターと恊働して工場の技術を活かしたオリジナル製品の企画、開発、製造、販売への挑戦をはじめたことだ。第一線のクリエイターとの人脈も広い。他にも1/100スケールの模型ブランド「テラダモケイ」の製造販売など、新たな紙の価値を模索する取り組みを様々な形で行っている。海外の美術館でも取り上げられるような「空気の器」「MABATAKI NOTE」などの製品は、ブランド価値をさらに高めている。

デザインがビジネスチャンスへ

 印刷会社がマーケティングや製品においてデザイン能力を重要視しているように顧客側の企業もデザインノウハウを重要視している。印刷業でもビジネスチャンスとして捉えるべきだ。また、消費者ニーズが複雑化し課題がわかりにくい市場においては、デザイン的な発想やデザイナーが重要になってきている。商品開発の決め手はアイデアだ。モノや情報が溢れた時代では、ユーザーの想定を超えた製品やサービスが必要なる。〝今までにない”紙製品を創り〟で販路開拓し、ブランディングを展開するポイントを紹介する。また、アイデアやデザイン的な発想は、簡単に出せるものではない。アイデアを生み出すために取り組むべきことは何か、そのためのポイントも解説する。

CS部 古谷芸文

関連情報 page2020セミナーhttps://page.jagat.or.jp/sessionList/seminar.html

【S9】アイデアを形にする紙加工の製品開発

 

デザインの重度が増す印刷ビジネスと求められるアイデア

 印刷業を取り巻くビジネス環境では、デザインの重度が増している。ニーズが複雑化し課題がわかりにくい今日においては、課題探索・発掘、コンセプト設計においてのデザイナーの発想に期待が大きいようだ。印刷会社がマーケティングや製品においてデザイン能力を重要視しているように顧客側の企業もデザインノウハウを重要視している。経済産業省の「デザインの活用によるイノベーション創出環境整備に向けたデザイン業の実態調査研究によれば、デザインが事業運営や売上計上に貢献しているとの回答は8割超となっている。アンケート調査の主な内容としては、「デザインが事業そのものに直結しており売上げと緊密な相関がある」、 「デザインが事業の柱として技術やその他の要素をバランスよくまとめ、売上げに貢献している」及び「デザインは事業の一要素として、企業の総合力の一部として売上げに貢献している」との回答を合わせたものになっている。産業界全体としてもデザインが重要な課題となっている。企業がデザインに期待する役割は多岐にわたる。例えば、経営においてデザインに期待する事項としては、ブランドの構築、外観での付加価値の向上、オリジナリティの表現等が多く挙げられている。これらに続いて品質や技術力の表現やコンセプトの提案等への期待が高まっている。このことは、印刷業でもビジネスチャンスとして捉えるべきであろう。

 デザイン思考(デザインシンキング)とは、デザイナーがデザインを行う上で行っている思考方法のことである。「デザイン」とは、例えば、建築や服飾、美術、広告などの様々な分野で、設計や表現するクリエイティブな行為の事を示すが、一方、デザインのプロセスや考え方をビジネスに転用したものがデザイン思考とも言える。商品・サービス開発においてのポイントは、「ユーザー目線で物事を考える」ことがビジネスパーソンに求められる。デザイン思考のプロセスは、前例のない問題などに対して新たな解決策を見出す際に役立つと言われている。

<商品開発の決め手はアイデア>

 印刷ビジネスにおいても商品開発の決め手は、アイデアだ。モノや情報が溢れた時代では、ユーザーの想定を超えた製品やサービスが必要になる。過去のパターンに捕らわれた単なるモノを作ることではない。例えば、デザイン思考的な見方をすれば、人々が気づいていないニーズを明らかにすることで「洞察」「観察」「共感」という三つの要素の相乗効果によって製品やサービスを生み出すことのようだ。プロセスは、マーケティングも含めたしくみづくりにも及ぶ。page2020でも、加藤隆之氏(加藤製本株式会社/代表取締役)と山田明良氏(福永紙工株式会社/代表取締役 かみの工作所/代表)を講師に「アイデアを形にする紙加工の製品開発」をテーマにセミナーを開催する。紙加工のノウハウをコアに〝今までにない”紙製品を創り〟で販路開拓し、ブランディングを展開している。従来の受注型ビジネスから市場提案型ビジネスへ舵を切った事例だ。ビジネスの原動力は、アイデアを生み出すしくみとデザイン的な発想だ。アイデアやデザイン的な発想は、簡単に出せるものではない。指示や命令だけで良いアイデアを出すことは難しい。経営判断で、実際にアイデアを生み出すために取り組むべきことは何かを知ることから始めることが求められる。

CS部 古谷芸文

関連情報 page2020セミナーhttps://page.jagat.or.jp/sessionList/seminar.html

【S9】アイディアを形にする 紙加工の製品開発 イディアを形にすhttps://page.jagat.or.jp/session/detail_30.html

【S12】デザイン設計の基本セオリー https://page.jagat.or.jp/session/detail_33.html

【S13】効果の高いパーソナライズDMの実際 ~データ分析からプロモーション戦略、メディアプランニングの手法を学ぶ~ https://page.jagat.or.jp/session/detail_34.html

【S15】デジタルと紙メディアで表現するブランディング実践 ~印刷物、Web、CG、VR、AR、動画、リアルを組み合わせる~ https://page.jagat.or.jp/session/detail_36.html

【仙台開催】顧客のニーズを満たす幅広い表現と技術 デジタル印刷・加飾技術の基本知識とビジネスのツボ

<デジタル印刷ビジネスに特化したコンサルタントによるソリューションセミナー>

お客様に気づかせる印刷物の“価値”の提案!
デジタル印刷ビジネスで成果を上げるには、顧客ニーズに応えるという視点が重要です。デジタル印刷の基礎知識や長所・弱点を知ることで、デジタル印刷ならではのソリューション提案が可能になります。
本講座ではデジタル印刷・加飾・加工技術の開発が勢いを増す中、多様な技術を整理し、その特徴とポイントを学ぶと共に、実践事例を交え顧客のビジネスに合った技術をコーディネーションする視点を養います。

主な講義内容

1.デジタル印刷の基礎知識編
・デジタル印刷機の方式と機能・特徴
・デジタル印刷の長所と弱点を知る

2.デジタル印刷・加飾・加工の動向
・デジタル印刷機の二つの方向性
・大型機と小型機(POD)の動向
・加飾・加工・資材(特種紙)の動向

3.デジタル印刷ビジネスと課題 
・印刷ビジネスの現況とスマイルカーブ
・顧客が期待するビジネスの姿
・IoT/AIのもたらす価値と動向
・デジタル印刷を加えた総合的な印刷ビジネス

 

開催日程・開催時間

2020年2月21日(金)  16:00~18:00

【こんな方に】 ~ビジネスに応じたデジタル印刷を理解する~
・デジタル印刷でどんなサービスが提供できるのか知りたい
・デジタル印刷、加工、加飾技術の現況や特徴を知りたい
・デジタルと従来の印刷の使い分けを知りたい
・付加価値の高いデジタル加飾の可能性を知りたい

定員

40名(最少催行人数10名)
※開催1週間前で申込が10名に満たない場合は、中止とさせていただく場合がございます。

講師

宮本 泰夫  (株)バリューマシーンインターナショナル 取締役副社長

1993 年より東洋インキ製造(株)、HP Indigo 社製デジタルオンデマンド印刷機の技術、アプリケーション開発、ならびにデジタルフロントエンドの企画、開発を担当。2001 年より印刷系ITベンチャーにてシステム開発、ソリューション開発責任者としてオンデマンド印刷のアプリケーション開発に従事。2003 年同社退職、(株)バリューマシーンインターナショナルを設立し、現在に至る。デジタル印刷ならびにバリアブル印刷・Web-to-Print を中心とした周辺技術を絡めたビジネスコンサルティングを数多く手掛ける。情報工学修士。

会場

宮城県印刷会館 (仙台市宮城野区扇町3-9-12 TEL:022-284-7586)

参加費(税込)

JAGAT会員・東北地区印刷協議会傘下組合員 7,700円 / 一般 11,000円

お申込み

お申込書に必要事項をご記入のうえ、 (022)232-9249までFAXにてお送りください。

参加費振込先
参加費は、下記口座に開催日の前日までに振り込み願います。
なお、お申し込み後の取り消しはお受けできません。代理の方のご出席をお願いします。
七十七銀行 東卸町支店(当座) No.5013968 ミヤギケンインサツコウギョウクミアイ

内容に関して問い合わせ先
内容に関するお問い合わせはお気軽に下記までお寄せください。
CS部 セミナー担当 電話:03-3384-3112

お申し込み及びお支払に関して
宮城県印刷工業組合 電話:(022)284-7586

主催:公益社団法人 日本印刷技術協会 協力:東北地区印刷協議会

【仙台開催】印刷・製本・加工を起点としたアイデアとその発想法 ~新たな価値、ビジネスモデルで顧客満足を超える~


受講者のブレークスルーへとつながる実践的内容!
いまや、印刷・製本・加工において顧客要求を満足させることは当たり前のことであり、顧客満足の先を行くことが課題となっています。そのために、これまでとは異なるアプローチで新たな価値を提供することが求められており、そこで必要となるのはアイデアです。
本講座ではアイデアを中心として、印刷・製本・加工が顧客に与える新たな価値とそれに続く数々のビジネスモデルを紹介します。過去の成功事例を紹介するだけのありがちな講座と異なり、未来志向で、受講者自身が考え、創造し、ブレークスルーへ至る道をナビゲートします。

 

主な講義内容

●顧客に与える価値とは
 ・価値なくしてビジネスなし
 ・神様の問いかけ
 ・4つの価値をベースに

アイデアについて知る
 ・アイデアをだすのが下手な日本人
 ・才能は二の次
 ・ひらめきの正体
 ・アイデア脳をつくる
ビジネスモデルを知る
 ・多様なビジネスモデルの存在
 ・自社との相性を考える
 ・ビジネスモデルのケーススタディ

アイデアを生み出す
 ・アイデアのケーススタディ
 ・アイデア出しの方法
 ・組み合わせは重要
 ・ドラえもん思考で取り組む

 

開催日程・開催時間

2020年2月21日(金)  13:00~15:00

対象

経営者、各部門管理者、企画・営業部門リーダー・担当者、
デザイン・制作部門リーダー・担当者 など

定員

40名(最少催行人数10名)
※開催1週間前で申込が10名に満たない場合は、中止とさせていただく場合がございます。

講師

加藤 隆之 (加藤製本(株) 代表取締役)

早大卒業後に産経新聞入社し支局にてオウム真理教などを取材した後、本社で紙面編集を担当、その際に新聞組版をDTPオペレータの後ろで見て覚えてしまう。その後、社会部に移り、大学で心理学を専攻した経験から人々の消費行動に焦点を当てた取材を精力的に行う。平成10年に加藤製本入社、17年にPUR製本で世界初の無線綴丸背上製本の開発に成功したのを皮切りに製本・加工分野で新たな取組みを行い、数々の特許や実用新案を取得。29年にはステーショナリーを中心としたライフスタイルブランド「CRU-CIAL」を設立する。日本文学振興会理事など外部の役職も務める。

会場

宮城県印刷会館 (仙台市宮城野区扇町3-9-12 TEL:022-284-7586)

参加費(税込)

JAGAT会員・東北地区印刷協議会傘下組合員 7,700円 / 一般 11,000円

お申込み

お申込書に必要事項をご記入のうえ、 (022)232-9249までFAXにてお送りください。

参加費振込先
参加費は、下記口座に開催日の前日までに振り込み願います。
なお、お申し込み後の取り消しはお受けできません。代理の方のご出席をお願いします。
七十七銀行 東卸町支店(当座) No.5013968 ミヤギケンインサツコウギョウクミアイ

内容に関して問い合わせ先
内容に関するお問い合わせはお気軽に下記までお寄せください。
CS部 セミナー担当 電話:03-3384-3112

お申し込み及びお支払に関して
宮城県印刷工業組合 電話:(022)284-7586

主催:公益社団法人 日本印刷技術協会 協力:東北地区印刷協議会

印刷工場の改善活動と人材育成を多能工化の視点で考える

多能工化は、改善活動や人材育成をしくみ化することで効果的に

印刷業の多くは受注型で多品種少量の傾向にある中、計画的な製造管理や受注管理が難しく、工程や個人のスキルによるムリ、ムダ、ムラによる生産性の低下が課題になっている。印刷工場における生産効率アップと働き方改革の課題解決策のひとつに多能工化がある。多能工とは、複数の異なる作業や工程に従事する技術や業務を身に付けたワーカーのことである。多能工化は、その多能工が組織の人材を教育・訓練する仕組みのことは周知のことであろう。肝心なことは、改善活動や人材育成をしくみ化する意識を持つことだ。

製造業に留まらない多能工化

多能工化の代表的な事例では、開発したのはトヨタ自動車と言われている。また、製造業にとどまらず、流通業やホテル業界でも取り入れられている。

<事例1>

多能工を生み出したトヨタ自動車では、複数の生産ラインで様々な工業用機械を扱うことに取り組む。作業員の少人数化に成功し、低コストで良質な自動車生産に成功した。

<事例2>

星野リゾートでは、社員は一人でフロント、客室、レストランサービス、調理(補助業務)の4つの業務を一日の中で担当している。業務にムラが無くなり、社員全体のチームワークの向上に繋がっている。

<事例3>

流通業のヤオコーやクイーンズ伊勢丹では、レジ担当、惣菜担当、品出し担当を業務の標準化により多能工化に取り組んで、効率アップと業績アップに繋げている。

多能工化のメリットとデメリット

<メリット>

  • 仕事量を平準化し、従業員への負荷を下げる業務負荷が均等になる。
  • 変化に強い組織づくりにつながる
  • 柔軟性が高い組織、業務対応ができるようになる。
  • チームワークが向上する。相互理解が進む

<デメリット>

  • 人員の育成に時間がかかる

→業績にどうつながるのかを検討する必要がある。

  • 人事評価制度の整備が必要。

→社員のモチベーション管理をどうするか

  • 組織としての目標設定の仕方などの見直しが必要になることもがある

<印刷技能者より印刷技術者育成を>

印刷工場における多能工化に取り組むことは、工場管理のPDCA(管理サークル)に取り組むことにもなる。なぜならば、個人ではなく組織での活動だからだ。組織力を活かすためには、作業の標準化や数値管理を含めた「みえる化」が必要になる。技能も必要だが技術を養う意識が重要だ。技能と技術の区別は曖昧な部分もあるが、同じものではない。技術と技能の違いは、広辞苑によれば「技術」は、科学を応用して自然の事物を改変・加工し、人間生活に役立てる技と記述してあり科学的思考がベースになっている。一方、「技能」は、技芸を行なう腕前で技量となっており勘や経験がベースとなってようだ。

例えば、過去の印刷技能者の育成では、経験や勘が中心で定性的な表現が多かったが、現在の印刷技術者の育成では、見た目は、濃度や色差を数値化するといったことで定量的な表現が必要になる。つまり、多能工化と品質管理・改善活動は、セットで効果が出せるのである。印刷工場の改善活動も多能工化に取り組むことで進むこともありそうだ。page2020セミナーでも印刷工場の改善活動と多能工化をテーマにした講座を開催予定。

CS部 古谷芸文

「AI×印刷ビジネス」の構想ができる人材の育成が重要

AI技術を活用したビジネスの構想とその可能性を判断し、技術者との橋渡しができる人材がAIビジネスを成功させる上で重要になる。

AIビジネスに求められる人材の能力と確保
AIをビジネスに活用する上で通るべきプロセスとして、①事業構想→②仮説検証→③開発→④運用の4段階がある。
技術が進展してもそれをビジネスにつなげられなければ市場は広がらない。AIの多くの失敗は、事業構想や活用アイデアの段階をおろそかにして、今ある技術から仮説検証を始めているケースが多い。AI技術を活用したビジネスの構想とその可能性を判断し、技術者との橋渡しができる人材(本稿ではアセスメント人材という)がAIビジネスを成功させる上で重要になる。
印刷会社におけるAI人材の方向性として、製造工程での効率化や、顧客へのマーケティングソリューションにおけるAIの活用方法を、AI開発事業者を交えて構想できるかどうかである。その第一歩が経営者による、従来発想とは違ったアセスメント人材の育成である。
印刷ビジネスや自社のソリューション領域を理解した上で、AIにできること、できないことを技術的な見地で見極める知識、AIを活用した業務プロセスを構想できる知識やリテラシーを学ぶことが重要だ。ただベースとなる技術人材として、仮説検証からプログラムを開発する能力、実際にプログラム運用する能力は高度な技術知識を要するため、専門教育を施さなければ育成することは難しい。
人材施策として、①コンサルタントやベンダーへの外注、②経験者・優秀者の採用、③社内育成の方法がある。①②に関しては、短期的な視点では成果を上げる可能性もあるが、高額なコストの観点から事業継続性が低い。また②に関しては、採用獲得競争が激しい。NECは研究職を対象に、2019年10月より新卒の年収が1000万円を超える可能性がある賃金制度の導入を発表した。従来のモデルから転換し、その時代の市場価値に応じて給与を決めていく。IoT、AI人材も市場の需要に対する人材が不足しているため、必然的に市場価値は高まり、それ相応の待遇で迎い入れる環境を整備することが重要になる。従って、今後、大企業を中心にこの流れは進むと考えられるので、中小印刷会社としてはこのモデルの選択は難しい。
③の育成は短期的な成果は見込めないが、コスト面、継続性を考えると現実的な選択肢となる。

印刷会社向けAIセミナーの報告
2019年8月、JAGATで「AI×印刷ビジネスアイディアソン~AI超入門ワークショップ~」を開催し、22名の参加者にAIの活用内容について事前アンケートを求めた。
AIの印刷ビジネスへの活用で多かったのが、「校正、検版、校閲の自動化および精度を高める」「デザインレイアウトの自動化、画像データの自動修正によるプリプレス作業の効率化とその精度を高める」との回答であった。ただ、クリエイティブへの応用には顧客やマーケットとの連携など現場の作業効率とは違った側面がある。予測系AIを活用した「販売予測による効果的なプロモーションツールと適正数量」の回答数も多い。顧客のさまざまなデータを基に、見込み顧客層と購買予測を立てることで、ターゲットに合わせた効果的なパンフレットやチラシのコンテンツと適正部数を提案することで、支援力を高めたいようだ。

事前アンケートでは、「経営者がAI についてよく言及するが、具体的なものとして見えてこない」「AIの活用に関して、印刷業界での事例についてあまり話が聞こえてこない」「AI 活用の人材育成について知りたい」との意見もあり、各社が模索の段階にあることもうかがえる。JAGAT は、多様な人材育成の機会を設け、印刷業界のAI リテラシーを醸成し、
新たな可能性を追求していきたい。

<page2020関連セミナー>
【S6】「AI×印刷」ビジネスアイディアソン
開催日:2020年2月6日(木)10:00~12:00
https://page.jagat.or.jp/session/detail_27.html

印刷製品開発、マーケットインとプロダクトアウト

印刷製品は多種多様だ。市場規模の縮小傾向の中、新しい印刷製品やビジネスチャンスをつくり出すことは大きな課題である。現在、JAGATのセミナーでも「印刷製品のアイデア道場」を企画している。印刷加工製品の価値を広げるためのセミナーだ。製品の価値やビジネスチャンスを広げる上では、マーケティングが重要だ。捉え方としては、サービス(商品)としてのマーケティングと経営戦略での自社のマーケティングでの二つの視点を意識する必要がある。。
周知のとおり、サービス商品としては、顧客のプロモーションやマーケティング支援などが上げられる。一方、自社のマーケティングは、自社の経営理念、自社の強み、市場ドメインなどを確立し、組織的にビジネスに取り組むである。印刷会社のビジネス展開では、その業態も様々である。

<プロダクトアウトが古いわけではない>

少し前までは、印刷会社は自社の設備に合わせたプロダクトアウトではダメで、顧客志向のマーケットインの発想が重要との議論もあった。そもそも二元論が無意味ということもある。両方の視点を持つことが大切だ。例えば、「ロボット掃除機」「iPhone」「ウォークマン」「電子レンジ」などの革新的な商品は、プロダクトアウトで開発されたものだ。印刷業でも自社の設備を活かした商品開発でのプロモーションツールや建材、文具などの様々事例がある。
・マーケットイン:「ニーズ志向」
※顧客に価値を合わせる
・プロダクトアウト:「シーズ志向」
※顧客に価値を気づかせる
モノづくりに強み持つ印刷業では、マーケットインとプロダクトアウトの両方を取り入れた発想も重要だ。

<商品開発の決め手はアイデア>

決め手は、アイデアだ。モノや情報が溢れた時代では、ユーザーの想定を超えた製品やサービスが必要になる。一方、自社の強みを理解し、新鮮なアイデアは簡単に出せるものでもない。指示や命令だけで良いアイデアを出すことは難しい。教育や訓練が必要だ。知識のバリエーションを「型」として学びつつ、実際にアイデアを生むために取り組むべきことは何かを知る必要がある。近々にセミナー「印刷製品のアイデア道場」として開講する。

(CS部 古谷芸文)

印刷製品開発、マーケットインとプロダクトアウト

印刷製品は多種多様だ。市場規模の縮小傾向の中、新しい印刷製品やビジネスチャンスをつくり出すことは、課題のひとつだ。現在、JAGATのセミナーでも「印刷製品のアイデア道場」を企画している。ビジネスチャンスを広げる上では、マーケティングが重要だ。捉え方としては、サービス(商品)としてのマーケティングと経営戦略での自社のマーケティングがある。
周知のとおり、サービス商品としては、顧客のプロモーションやマーケティング支援などが上げられる。一方、自社のマーケティングは、自社の経営理念、自社の強み、市場ドメインなどを確立し、組織的にビジネスに取り組むである。印刷会社のビジネス展開では、その業態も様々である。

<プロダクトアウトが古いわけではない>

少し前までは、印刷会社は自社の設備に合わせたプロダクトアウトではダメで、顧客志向のマーケットインの発想が重要との議論もあった。そもそも二元論が無意味ということもある。両方の視点を持つことが大切だ。例えば、「ロボット掃除機」「iPhone」「ウォークマン」「電子レンジ」などの革新的な商品は、プロダクトアウトで開発されたものだ。印刷業でも自社の設備を活かした商品開発でのプロモーションツールや建材、文具などの様々事例がある。
・マーケットイン:「ニーズ志向」
※顧客に価値を合わせる
・プロダクトアウト:「シーズ志向」
※顧客に価値を気づかせる
モノづくりに強み持つ印刷業では、マーケットインとプロダクトアウトの両方を取り入れた発想も重要だ。

<商品開発の決め手はアイデア>

決め手は、アイデアだ。モノや情報が溢れた時代では、ユーザーの想定を超えた製品やサービスが必要になる。一方、自社の強みを理解し、新鮮なアイデアは簡単に出せるものでもない。指示や命令だけで良いアイデアを出すことは難しい。教育や訓練が必要だ。知識のバリエーションを「型」として学びつつ、実際にアイデアを生むために取り組むべきことは何かを知る必要がある。近々にセミナー「印刷製品のアイデア道場」として開講する。

(CS部 古谷芸文)J

印刷業に必要なAIアセスメント人材

AIビジネス市場が広がり、AIネイティブ化は大きく進展する。印刷業に限らず全ての業界は、AIと関わる必然性が生まれる中で、「AI×印刷ビジネス」を構想できるアセスメント人材の育成が必要になる。


富士キメラ総研の「2019人工知能ビジネス総調査」によると、2018年度のAIビジネスの国内市場は、5,301億円が見込まれる。現状は、実証実験(PoC)が中心となるものの金融業や製造業などでAIの本格的な導入が進み、市場は拡大している。今後は、さまざまな業種でAIが導入されることが予想され、市場の拡大とともにAIネイティブ化も進み、2030年には市場規模が2兆1,286億円まで伸びるようだ。

一方、経済産業省の試算では、先端IT人材(ビッグデータ、IoT、AI等を担う人材)が2020年には5万人、2020年には30万人が不足すると言われ、国としてAI技術人材の育成が課題だ。日本がグローバル競争に勝ち抜くためにも、学校教育はもちろん社会人教育においてもAIを学ぶ機会を増やしていく必要がある。

機会学習の教育及びコンサルティングサービスを提供しているキカガクは、AIビジネス活用を4段階に分けている。

1.構想 → 2.仮説検証 → 3.開発 → 4.運用

ベースとなる人材として、仮説検証から開発を行う「AIプログラムを実装する人材」と運用へ展開していく「AIをシステムに実装する人材」のAI技術の育成が必要だ。一方、技術が進展してもそれをビジネスにつなげられなければ市場は広がらない。AI技術を活用したビジネス構築や課題を構想し、AI活用の可能性を判断し、技術者との橋渡しができるアセスメント人材だ。印刷会社とAI人材育成はどう関わるべきか。一つの方向性として、自社の効率化や顧客へのマーケティングソリューションにおけるAIの活用方法を、AI開発事業者交えて構想できる人材だと考える。

そうしたアセスメント人材は、印刷ビジネスや自社のソリューション領域を理解した上で、AIにできること、できないことを技術的な見地で見極める知識、AIを活用した業務プロセスを構想できるスキルが必要になる。そのためには最低限、「AI技術の基本的な知識」が必要であり、印刷業界もAIにキャッチアップするには、AIリテラシーの醸成から始める必要がある。

JAGATは、「印刷業×AI」の教育機会として、「AI超入門講座」「AI×印刷ビジネスアイディアソン」の入門編を開催する。まずは、印刷業界にAIリテラシーの醸成から始めることで新たな可能性を模索したい。

JAGAT 塚本 直樹

関連講座
8月22日(木)14:00~17:00
「AI×印刷」ビジネスアイディアソン ~AI超入門ワークショップ~