印刷・製本関連」カテゴリーアーカイブ

工場改善におけるリーダーの役割と育成の必要性

印刷工場は、まだまだ改善の余地があり利益に直結する大きな機会がある。JAGAT主催の工場マネージャー養成講座、主幹講師の吉川昭二氏の言葉を借りれば「濡れ雑巾」だ。「まだ、絞れる」のである。改善活動は、日々の業務が忙しくて先延でいつまでも課題が改善できない悪循環が続くことがある。推進するリーダー不在によることがほとんどだ。現場の改善活動においては、リーダーの果たすべき役割が非常に大きい。

経営幹部と工場管理者の絆

工場管理と改善活動は、工場を持つ印刷会社の利益の源泉であり経営戦略上も重要な課題だ。

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その理由としては、

工場管理と改善活動は、工場を持つ印刷会社の利益の源泉であり経営戦略上も重要な課題だ。経営者と工場現場でのリーダーの信頼関係は不可欠なものだ。何故ならば、経営資源である人、モノ、カネが大きく絡むからだ。投資を決断する経営者と管理実行する工場の管理者が固い絆で結ばれていなければ互いの判断を狂わせてしまう。特に改善活動は、日常活動を矯正しなければならないので現場での反発は常である。会社組織としての理解者が重要だ。

そもそもリーダーは必要なのか?

全員が高い同じ意識で、活発化された職場であれば、必要ないかと考えがちだがそれは違う。組織には、目的や目標があり、達成するための統率が必要になる。何かの目的、目標(改善目標など)を達成するための集団が組織だ。別々の思考を持った人間の集まりに、目的、目標を共有化、モチベーションを持続させる必要がある。ハーモニーを奏でるオーケストラの指揮者のようなものだ。リーダーによって、効率も成果も変わってくる。

例えば、リーダーの4つ役割より

リーダーにはどんなことが求められるのであろうか。ベストセラーの7つの習慣の著者であるコヴィー博士はよればリーダーの4つの役割は「方向性を示す」「組織を整える」「エンパワーメントを進める」「模範になる」とある。リーダーとしての行動指針のような事柄だ。

<方向性を示す> 課題に対して組織の出すべき結果(ゴール)を明らかにし、導く。

<組織を整える> リーダーは、チームメンバーが任務を遂行できるように、組織の仕組み、環境を整え、手順を明らかにする。

<エンパワーメントを進める> リーダーは、各メンバーがモチベーションを高く持つために、メンバーに対し、エンパワー(能力を引き出す対応)をする必要がある。

<模範になる> リーダー自身が、チームメンバーから信頼される。表面に見える仕事の能力だけではなく、人格と能力の両方で信頼される必要がある。

濡れ雑巾を絞る、工場改善のリーダーシップ

印刷工場の改善活動への要求は厳しい。濡れ雑巾を「絞る」感じだ。意識して力を入れなければ成果は出ない。意識してリーダーシップを発揮するには、7つの習慣での4つリーダーの役割のようにリーダー像を整理することも効果的だ。工場改善におけるリーダー育成は、専門能力に加えリーダーとしての心構えとスキルが必要だ。経営者は、社員に対してその資質を見抜き育てることが重要で、信じて託すことが肝心だ。リーダーは、役職ではなく、社員一人一人がリーダーシップを発揮することから生まれることが望ましいが、役職がリーダーを育てることもある。JAGATでは、工場マネージャー養成講座を開催しているが、課題に大半は人に関する事柄が。また、成功事例には必ずリーダーが存在する。リーダーが葛藤の中で、改善策を構想し、信念と忍耐力で組織をまとめやり抜くのだ。工場改善はシステムや知識も必要だがリーダーシップがカギを握っている。

「工場マネージャー養成講座第3期(JAGAT主催)」は工場リーダーの皆さんと開講中

工場マネージャー養成講座第3期
利益を生み出す工場改善

詳細はhttps://www.jagat.or.jp/archives/33395をご覧ください。

(CS部古谷)

新しい形のミドルマンとプリンティングコーディネータ

10月4日(水)から第20期プリンティングコーディネータ養成講座が開講した。今回の重点テーマは、「顧客の伝えたい価値を幅広い印刷表現技術で形にする」である。

この講座は、コーディネータという確立された概念や人物を想定したものはない。資格取得するものでもない。印刷ビジネスでは、コーディネートする事柄が、限りなく広く、時代と共に、刻一刻と変化するからだ。コーディネータという言葉の意味は、いろいろな要素を統合したり調整したりして、一つにまとめ上げる人のことである。多様化する顧客の要望に応えるためには、多様な技術とクリエイティブをまとめ上げるコーディネータが不可欠だ。

商業印刷にみるスクリーン印刷

スクリーン印刷は、オフセット印刷に比べ市場規模は小さいが、様々な分野で利用されている。

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その理由としては、

印刷できる材料の種類が豊富で、紙・ガラス・プラスチック・合成樹脂・金属・布など、多くの材料に印刷ができる。版に柔軟性があり、印刷圧が低いので多種な材質(柔らかい/硬い素材、厚い/薄い素材、曲面/凸面/凹面)にも印刷ができる。

インキの種類が豊富で水性・油性・UV硬化型・粉体(金粉、銀粉、パール粉)・機能性インキ(香料、蓄光、ミラー、変色など)などが印刷できる

インキを厚膜に印刷できるので、発色・隠蔽力・耐候性に優れている。

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スクリーン印刷の用途 は、
工業製品(計器類、CD・DVD、電機部品、液晶ディスプレイ、成型物、プリント回路など)、生活用品(玩具、文房具、Tシャツ、各種パッケージ、容器、木工品、ガラス、陶磁器など)、商業関係(ポスター、看板、POP、ディスプレイ、ステッカー、標識など)がある。
規模の大きいものは工業製品で、商業印刷においては、小規模な事業形態がほとんどだ。魅力ある技術力はあっても販売力やマーケティングにおいてビジネスパートナーを欲している。繋げることでビジネスへの可能性を秘めている。

現代のミドルマンとコーディネータ

ミドルマンとは、ポール・ラザースフェルト(1901~1976)という社会学者が提唱した概念だ。「専門家の難しい考えをわかりやすく説明したりイメージ化したりできる人。無数のメディア情報を受け取ってそれを要約し、自分の属する小集団に伝える存在(オピニオンリーダー)もミドルマンと言える。」とある。 スクリーン印刷業を含めた幅広い技術は、クリエイティブと結び付け多種多様な人との関わりによって形となり価値を発揮する。間に立って繋ぐ役目のコミュニケーターが必要だ。現代におけるミドルマンだといえる。従来のミドルマンに加え顧客志向、マーケティング感覚が必要だ。現代のミドルマンは、印刷ビジネスにおけるコーディネータの存在のようだ。

「プリンティングコーディネータ養成講座第20期(JAGAT主催)」は様々な印刷技法、素材、作品、人との出会いの場として10月4日から開講した。

第20期プリンティングコーディネータ養成講座
顧客の伝えたい価値を幅広い印刷表現技術で形にする

詳細はhttps://www.jagat.or.jp/archives/37462をご覧ください。

(CS部古谷)

人の共感と感動を生み出す印刷メディアのコーディネート

従来のオフセット印刷を中心とした製造現場では、5S活動や改善活動の話題が多い。目的はムリ、ムラ、ムダの削減であり、ムダを“無くす”ことで価値が生まれる。一方で、マーケティングの視点では、手間を “無くさない”ことで生まれる付加価値もある。

食べられるインクから生まれる情緒的な価値

食べられるインクが様々な商品となって話題となっている。食べられるインクは可食性食用インクという。食品衛生法で許可されている食品添加物のみを原料として、認可を受けた工場にて製造される。 食べ物の種類や商品により、天然可食性インクと食用可食性インクに分けられる。 印刷方法は下記のようなものがある。

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食用インクの印刷方法

[焼き印(焼き鏝)による刻印]
 お饅頭やドラ焼き、卵焼きなどに焼付けなど

[パッド印刷]
 えび煎餅やクッキーなどへの印刷

[静電スクリーン印刷]
 えび煎餅やクッキーなどへの印刷

[可食シート及び可食フィルムへの印刷]
 ホットケーキやクッキー、キャンディなど素材

[可食プリンターによる印刷]
 和菓子、洋菓子、お餅、ケーキのほか可食シートなど
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個人的に気になった商品では、食べられるインクのペン「フードペン」がある。食用の着色料、揮発性のアルコール成分でできたインクを使っている。果物やパン、菓子など様々な食べ物にメッセージを手軽に書き込むことができる。例えば、ある運動会の朝、朝食の場面で母親が子供にパンの表面に応援メッセージ「がんばれ!」などと書かれていたらどうであろうか。微笑ましい光景だ。ひと手間暇かけることで五感+メッセージによりエモーショナルな(感情、情緒的な)価値が生まれた場面だ。

エモーショナルマーケティングと幅広い印刷技術表現のコーディネートのツボ

エモーショナルマーケティングは、商品・サービスの機能の優位性を伝えるだけではなく、人の感情や共感に訴えて独自性を訴求する考え方だ。コミュニケーションにおいては、合理的な伝達ではなく、手間をかけたコンテンツの提供が人の感情や共感に訴える効果を高める。例えば、2011年3月11日の東日本大震災では、インターネットでのSNSが活躍した。SNSに求めたものは、合理的な情報の共有もあったが、様々なコミュニティー形成による絆があったようだ。一方、大きな話題となった紙メディアがあった。それは、宮城県石巻市の地域紙である石巻日日新聞の壁新聞だ。電気も機材も無い中、手書きの新聞が手間をかけながら発行され続けた。感動を与えたのは、記者や編集者の情熱や思いであったように思える。肝心なことは、何に感動し、心を揺さぶられるかである。現在の印刷加工技術は幅広い。五感に訴える技術は、デジタルもアナログでも進んでいる。技術に溺れることなく使いこなすことが肝心だ。印刷ビジネスおいては、顧客とその顧客、個人とコミュニティーなどの間に立ってコーディネートすることがビジネスチャンスに繋がる。エモーショナルな価値をテーマに幅広い印刷加工技術をコーディネートすることは益々求められそうだ。

プリンティングコーディネータ養成講座第20期(JAGAT主催)は、様々な印刷技法、素材、作品、人との出会いの場。今年もブラシュアップして10月4日から開催する。

第20期プリンティングコーディネータ養成講座
顧客の伝えたい価値を幅広い印刷表現技術で形にする

詳細はhttps://www.jagat.or.jp/archives/37462をご覧ください。

(CS部古谷)