クロスメディアキーワード【第9回】
「ブレーンストーミング」は、集団によるアイデアの抽出法として、多くの人々に知られている手法である。また、「構造化」は、アイデアの断片をまとめるためにロジカル・シンキングやクリティカル・シンキングといった論理的思考を活用した手法である。
ブレーンストーミング(Brainstorming)
ブレーン(頭脳)とストーム(嵐)から、「頭脳の嵐」と名称がついた会議手法であり、アレックス・F・オズボーンが考案した。別称として「ブレスト」、「BS」などと呼ばれる。
新しい企画の立案や複雑な問題の解決は、合理的な手法を用いることにより、適切な答えを導くことがある。そのためには、考えられるアイデアを事前にすべて 出すことが望まれる。個人のアイデア量には、限界がある傾向があるため、集団により意見を出し、互いを刺激し合うことで、より多くのアイデアを生み出す会 議手法が、ブレーンストーミングである。進行役が議案の主旨(テーマや目標)を示した後に、参加者が自由に意見やアイデアを出す進行となるが、ブレーンス トーミングには4つの原則がある。
1.批判の禁止
参加者の発言を活性化させるため、他者の発言を批判しない。
2.自由奔放
ユニークで斬新なアイデアを促すため、自由奔放な発言を歓迎する。思いもよらない解決への糸口が期待できる。
3.質より量
ブレーンストーミングでは、勢いが重要視される。発言は多いほど好まれる。可能な限り多くのアイデアを出す。
4.連想と結合
他の参加者が、一部のアイデアに便乗することを歓迎する。発言の融合や、一部の変更を行う。
構造化
構造化とは、「複雑に見えるものを幾つかの要素に分解し、それぞれの関係を明らかにし、全体と部分の関係性を明示する」方法である。
- 全体から細部にいたるまで、各要素間の関係が明確になり、整理された状態で一覧できるようになること。
- 各要素間の関係に明確な理由(根拠)があるため、導かれた結果には説得力をもつこと。
- モレやダブりが発生しにくくなること(MECEの考え方を導入すると良い)。
- 各要素の組み合わせを変更することにより、全く新しいアイデアや問題の解決にも応用できること。
などが構造化に共通するメリットである。
特性要因図
原因と結果との関係を表した図を指す。問題(特性)と、その原因(要因)との関係を表す手法として、主にQC(Quality Control:品質管理)の分野で使用されている。魚の骨の形に似ていることから、「フィッシュボーン・チャート」や「魚骨図」とも呼ばれる。QCサー クルの生みの親である石川馨工学博士が考案した。
親和図法
QCにおける情報整理法を指す。既存の知識では体系化しにくい情報やアイデアをカードに記述し、問題点と解決案を導き出す手法である。川喜田二郎(文化 人類学者)が開発したKJ法を起源としている。親和図法は、「カード化した言語データの意味の近さ(親和性)に着目し、同類項ごとに括ることにより、構造 (全体と部分の関係)を明確にする」という特徴がある。
例題
次の文中の空欄[A]~[C]に入る最も適切な語句の組み合わせを下記の[解答群]から選べ。
ブレーンストーミングは、議題についてのアイデア出しや問題点の[A]などを目的とした、複数人が参加し自由に意見を述べる手法であり、新たな発想を生み だすことが期待できる。人数制限はないが、5~7名、場合によっては10名程度が好ましいとされる。議題については、参加者に予め周知することが望まれ る。
結論を出し判断を下すような必要がある場合に[B]手法である。議論が一つの方向に偏ってしまうことや、回数を重ねたことによる本題 から離脱、論理に頼った先入観などにより、発想が[C]化する傾向の存在を指摘する声がある。したがって、結論を出し判断を下す場合は、改めて情報整理を 行うことが求められる。
[解答群]
①A:解決 B:向いている C:硬直
②A:列挙 B:向かない C:硬直
③A:解決 B:向かない C:弾力
④A:列挙 B:向いている C:弾力
[解答]
②A:列挙 B:向かない C:硬直
※本ページの内容は掲載当時(2013年12月)のものです。