定着した2段階制
DTPエキスパート認証試験は、2020年3月より「DTPエキスパート・マイスター」「DTPエキスパート」の2段階制に改定された。
新たに制定されたものが、学科試験だけを受験する「DTPエキスパート」である。
そして、学科試験・実技試験を同時に受験するものが、「DTPエキスパート・マイスター」である。ただし、実技試験を落としても学科試験にパスしていれば、「DTPエキスパート」として認証される。
「DTPエキスパート」に合格した後、次回以降に実技試験だけを受験することができる(アップグレード試験)。これに合格すると、「DTPエキスパート・マイスター」として認証される。
したがって、初回は学科問題に集中して「DTPエキスパート」を受験し、次回以降に実技課題の腕を磨き、実技試験に取り組むといった2段階受験が可能である。
また、「DTPエキスパート」として認証されただけでも、DTPや印刷に関する幅広い知識を持っていることに変わりはない。
学科試験の攻略法
学科(択一式)試験は、全国の各会場で同日同時刻に行われる。問題と解答用紙(マークシート)が配布され、制限時間内に解答する方式だ。また、DTPエキスパートとDTPエキスパート・マイスターの学科試験は、同一内容である。休憩を挟んで第1部、第2部に分れており、制限時間は各120分(全240分)である。
「DTP」「色」「印刷技術」「情報システム」「コミュニケーション」という5カテゴリーから、700問前後の設問が出題される。合格基準は、カテゴリーごとに得点率80%以上となっている。1カテゴリーでも基準以下であれば、不合格となる。
最新分野からDTP・印刷の分野で基本を支える内容まで、幅広くかつ深い知識が求められる。したがって、合格者はDTP・印刷のエキスパートとして一定レベル以上の知識を持っていることとなる。いわば、業界の共通言語を修得したと見なされる。
受験することを決定したなら、合格を目指して勉強に励んでもらいたい。合格対策として、以下のような方法をお奨めする。
Webページに公開されている他、PDF版をダウンロードすることもできる。まずは、一読することをお奨めしたい。
DTPエキスパート試験の出題傾向やレベルを体系的に理解することができる。
過去の頻出問題を抜粋したもので、次回試験の約3ヶ月前に発行される。
実際の出題内容や分量を把握することができるため、受験者の多くがこれらの模擬問題に取り組んでいる。
DTPエキスパート対策講座の内容を書籍化したもので、最新の内容が反映されている。解説が充実しており、最初に取り組むことをお奨めしたい。
DTPエキスパート試験の例題とその解答・解説がセットになっている。
2022年7月8日(金)・7月15日(金) 各日13:30~17:30
オンラインセミナーのため、全国どこからでも受講できる。
実技試験の攻略方法
実技試験は、指定されたサーバーからデータをダウンロードすることから始まる。約4週間の期間内に、「制作コンセプト書」「誌面データ(作品)」を完成し、指定されたサーバーにアップロードし、提出する。
支給データには、「DTPエキスパート・マイスター実技試験要項」と「素材データ」が含まれている。
「DTPエキスパート・マイスター実技試験要項」には、「制作コンセプト書」の趣旨と記述内容、誌面データ(作品)制作の趣旨・仕様が記述されている。
例えば、この要項には、誌面データの企画意図やターゲット等が記述されている。性別や年齢層、どのような志向を持った人物像か、などである。
実技試験では、企画内容に即してデザイン・レイアウトをおこない、「誌面データ(作品)」として具現化することが求められている。印刷物の企画・目的に沿ったデザインかどうか、表現力が問われている。
印刷データとしての完成度、プロフェッショナルなデータ制作力が求められるのは言うまでもない。
制作コンセプト書では、デザインのコンセプトを論理的に解説すること、要素の概要・管理方法を簡潔に記述することが求められている。
例えば、書体や配色、レイアウト技法など、どのような意図で選択し、どのような手法でデザイン・レイアウトに反映させたのか、文章として表現することが求められる。
また、レイアウト全体図を配置し、マージンや段組等の寸法を記入する。さらに文字・レイアウトの要素とスタイル名等の対応を記述する。
2022年8月6日(土)14:00~17:00
(JAGAT 研究調査部 千葉 弘幸)