資格制度」カテゴリーアーカイブ

エキスパート認証試験結果通知発送

下記の試験結果通知を普通郵便にて発送しました。(受験申請時にご指定の主連絡先住所あて)
2021年3月14日(日)実施
・第55期DTPエキスパート認証試験
・第31期クロスメディアエキスパート認証試験
2021年4月実施
・DTPエキスパート認証更新試験
・クロスメディアエキスパート認証更新試験

未着の場合は、6/17以降にJAGAT資格制度事務局までご一報ください。

当方への返送の有無を確認のうえ、対応いたします。

第31期クロスメディアエキスパート認証論述試験講評

第31期クロスメディアエキスパート認証試験は、2021年3月14日(日)、東京・大阪など全国4会場で実施された。

第2部論述試験は、架空の企業に関する与件文を読み、顧客の課題を解決するコミュニケーション戦略提案書の内容を記述するものである。

リサイクルショップ運営企業への企画・提案

リサイクル(リユース)市場は、数10年に渡って成長を続けている。近年は、フリマアプリなどが登場したことで個人間のネット販売が急成長しており、市場規模の拡大に貢献している。

提案先は、中部地区で中古衣料やゲーム・玩具、雑貨、ブランド品などを扱うリサイクルショップを30店舗運営している企業である。これまで、古着・ファッション、ゲーム、玩具、貴金属・ブランド品というジャンル・顧客層ごとに店舗を分けて運営していたる。また、「超スピード買取査定」や「地域密着サービス」などで多くの固定ファンを獲得し、大手リサイクルショップチェーン店に対抗して業績を伸ばしてきた。

しかし、元々は男性・ファミリー層の顧客が中心であり、女性向けの商品構成に課題があった。数年前に開設した30代以上の社会人女性向けの貴金属・ブランド品店舗は、商品構成が豊富でないこと、ターゲットとなる女性からの認知度が低いことなどから、業績が低迷していた。そこで、若年層~30代女性をターゲットにした古着・靴・バッグ・小物などファッション、インテリア雑貨、ブランド品などを総合的に扱う新ブランドを立ち上げ、女性向け市場を開拓しようとしている。

新ブランドに関してファンとのつながりを重視し、新たな生活者とのコミュニケーション手法を確立したいと考えており、それに伴うコンテンツやメディア展開案を求めている、という設定である。

そのためにはどのようなコンテンツを用意し、どのようなキャンペーンを行うべきか。SNSや動画配信をどのように活用するか。これらを提案書の要素として記述することが求められている。 第31期試験与件:リサイクルショップ

解答方式のポイントと採点基準

解答方式は、提案書の要素を所定のフォーマットに記述するものである。

「課題設定」「ターゲット」「提案の骨格・方針」 「施策内容」 「スケジュール」「概算見積」 「タイトル」「序文」「施策の総合的効果」

という項目がある。

どのような意図でどんなコンテンツを用意するか、共有・拡散を促す仕組みは何か、競合他社との差別化などを記述することが求められている。

講評

新ブランド・新店舗が中高生~30代女性をターゲットにしていることから、Twitter、Instagram、LINEなどを活用する施策が多く取り上げられていた。また、コーディネート例を店員が紹介・解説する動画を撮影し、Youtubeにアップするなど、実践的な提案もあった。

リサイクルショップの品揃えは、一般に商品の買取量や内容に比例する。また、商品を持ち込む顧客ほど、リサイクル品を購入する傾向がある。そのため、買取を促進するための情報発信に注力した提案も、いくつかあった。

例えば、このチェーンは「超スピード買取査定」を標榜しており、同意を得たうえで実際に査定している様子を撮影し、公開するというものがあった。また、商品を持ち込みした顧客に、その経緯やコメントなどをメッセージカードに記入してもらい、そのカードをSNS上で公開するというものもあった。これらは、買取に抵抗のある人たちに心理的なハードルを下げる効果が期待できるだろう。類似したものとして、保有している衣料や小物を整理して、買取に持ち込もうという断捨離キャンペーンという提案もあった。また、買取キャンペーンを行い、クーポンを発行するなどがあった。

買取促進以外では、タウン誌を通じた情報発信で自社サイトに誘導するというものや、来店促進のために店舗でくじ引きなどのイベントを行うものなどがあった。ポイントカードを通じた割引キャンペーンなどもあった。 合格レベルの答案では、全般にSNSを通じた情報発信や上記のような買取キャンペーンが目立っていた。SNSを通じた情報の共有・拡散を重視しており、妥当だと言える。AISAS、AISCEASなどの消費行動モデルを反映したシナリオがあると、さらに説得力が上がるだろう。

(JAGAT 資格制度事務局)

クロスメディアエキスパート認証試験休止のご案内

公益社団法人日本印刷技術協会(略称:JAGAT、本社:東京都杉並区、会長:塚田司郎)は、2021年3月14日に実施した第31期試験をもってクロスメディアエキスパート認証試験を休止します。

クロスメディアエキスパート認証制度は、クロスメディアビジネスを推進する人材の育成を目的として2006年に創設されました。

以来、31回の試験を実施しています。近年はマーケティングに比重を置き、企画・提案力を習得する手段として、印刷関連企業などでご活用いただいてきました。延べ受験者数は約4,000人、合格者累計は1,401人となっています。

しかし、印刷業界においてクロスメディアビジネスは広く定着しつつあり、一定の役割を全うしたことから、本認証試験をいったん休止することとなりました。

なお、JAGATは、引き続きセミナー・研修制度の充実を図り、印刷業界において「デジタル×紙×マーケティング」を推進する人材の育成に努めます。

クロスメディアエキスパート認証制度

・2021年8月以降の本試験、および更新試験は実施しません
2021年5月時点で認証されている資格は、引き続き有効です。
JAGATからのご案内を引き続き差し上げる場合がございますことを悪しからずご了承ください。

DTPエキスパート認証制度

 ・従来通り、実施します
 ・次期試験日:2021年8月22日(日)申請期間:2021年6月22日(火)~7月30日(金)

本件に関するお問合せは、JAGAT資格制度事務局までお願いします。

2021年3月実施試験合格発表予定日

2021年3月に実施しました下記試験の合格発表は、
2021年5月20日(木)
にWeb上で行う予定です。

【対象試験】
第55期DTPエキスパート認証試験
第31期クロスメディアエキスパート認証試験

発表まで今しばらくお待ちください。

生活者の行動様式の変化と成長するネットサービス

コロナ禍による「緊急事態宣言」が初めて発出されたのは2020年4月であり、それから1年余が過ぎた。外出自粛や大規模イベントの中止など、生活者への影響は多大なものとなっている。一方、このような状況下で成長しているビジネスもある。

利用が急増したフードデリバリーサービス

例えば、フードデリバリーは、スマートフォンからメニューを選び、注文するだけで、自宅まで配送してもらうサービスである。複数店舗のメニューを一覧し、注文できる出前・宅配のWebサイトは、10年以上前から存在していた。しかし、2016年にUber EATSが日本に上陸したことで脚光を浴び、フードデリバリー市場全体の活性化につながった。

それまで「出前を頼む」となると、自宅や職場にあらかじめ保管された「メニュー表」の中から食べたいものを選び、直接、飲食店に電話で注文する必要があった。しかし、出前を受け付ける飲食店や対象地域はかなり限定されており、近所の中華料理店・蕎麦店などの一部である。それ以外では、ピザや寿司の宅配専門店程度であった。

現在のフードデリバリーサービスは、 飲食店にとって 追加投資なしに注文を受けることができ、売上を増やせる機会である。事前にメニューを印刷して、近所に配布することも必要ない。注文時の電話対応や配達、料金を受け取るために釣り銭を用意することも不要で、デリバリーサービスが代行してくれる。

スマートフォンのアプリでは、近隣でデリバリー可能な店舗とメニューが一覧表示され、利用者は幅広い中から好きなものを簡単に注文することができる。

そして、2020年より巣ごもり需要などで、利用者・登録店ともに急増し、フードデリバリー市場全体が拡大する状況となっている。当初は、スマートフォンやネットショッピングに馴染みのある若者が中心とされていたが、ファミリー・高齢者世帯など幅広い年齢層の利用が増えているようだ。

ネットスーパーと食材宅配ビジネス

同様に、2020年に市場が拡大したものに、ネットスーパーと食材宅配サービがある。

ネットスーパーは、自宅からスマートフォンのアプリで注文するだけで、買い物を済ませられるサービスである。宅配や店舗受け取りなど、配送方式も多様化している。外出自粛などの影響で、新規登録者数が2倍から3倍に伸長した事業者もあるという。

食材宅配サービスは、生活者のライフスタイルや年齢層に合わせたセットを用意し、さまざまなニーズに応えている。たとえば、栄養バランスや減塩などに配慮した健康サポート食品、子育て世帯に向けた離乳食・幼児食シリーズや忙しい主婦の手間を減らす簡単料理パッケージなどもあり、多くの支持を集めている。

コロナ禍によって、レストランなどで外食する機会が減少している。そのため、自宅で調理を行う内食(ないしょく・うちしょく)、惣菜や弁当などを購入して自宅で食べる中食(なかしょく)の需要が大きくなっている。
食材調達を担うネットスーパーや食品宅配サービスの進化によって、生活者の意識と行動スタイルは大きく変化していくだろう。一過性の現象と見る向きも多いが、多様な年齢層の利用者が増えており、今後も定着していく可能性が高いといえる。

変化に適応することの重要性

フードデリバリーサービスやネットスーパー・食材宅配サービスは、以前から存在はしていたが、それほど大きな潮流とまではいえないものであった。

しかし、生活者の行動様式が変化したことで浸透し、定着しつつある。イノベーター理論でいうアーリーアダプター(新製品や新技術、流行に敏感で自ら判断し購入する層)から、アーリーマジョリティ(新製品に慎重で価格・品質を重視する層)に進展したといえるのではないか。

このような行動様式は、コロナ禍が収束したとしても、定着すると考えられる。このような変化に常に注意を払い、適応していくことが必要といえるだろう。

(JAGAT 研究調査部 千葉 弘幸)