資格制度」カテゴリーアーカイブ

DTP導入と印刷工程デジタル化の到達点

『新版DTPベーシックガイダンス 』を発刊

2021年2月、『新版DTPベーシックガイダンス~DTPエキスパートカリキュラム準拠』を発刊した。

本書は以前から販売していたDTPの入門書『DTPベーシックガイダンス』を改訂したものである。DTPに関する基礎的な知識にフォーカスし、豊富な図版を掲載、初心者にもわかりやすい言葉で解説している。

DTP導入と印刷工程のデジタル化

DTPは、Desktop Publishingの略で、日本語では「卓上出版」と訳されることが多い。
しかし、Desktopにはもう一つの意味があり、メニューバーやアイコンが並ぶOSの初期画面のことを指すことがある。つまり、DTPとは、PCだけでPublishing(出版)を完結することを表している。

国内でDTPが導入されたのは、1990年代である。欧米のアプリケーションが日本語化され、話題になった。しかし、当時はフォント環境やカラー品質などの出力環境に制約があり、誰もが使える状況ではなかった。ソフトウェアの完成度もけして高くなく、クラッシュすることも珍しくなかったのである。さらに、欧米発のソフトウェアは日本語組版レベルが低く、縦組みは非実用的であった。

雑誌などの定期刊行物や書籍、大量ページの総合カタログなどの制作工程で、DTPが本格的に採用され、普及したのは、2000年代の半ば頃だろう。この頃には、ネットワーク環境も整備され、一般のオフィスでもPCの導入台数が飛躍的に増えていた。ソフトウェアの完成度も高くなり、実用化レベルといえる。

DTPの普及と同時に進展したのは、印刷工程のデジタル化である。

DTP以前は、写真原稿(ポジフィルム)を製版スキャナーでスキャンし、CMYKにセパレーションしていた。1990年代には一般用のデジタルカメラが発表されたが、画素数も粗く印刷業務には使えないとされていた。その後、高精細・高品質化が進展し、2000年代の後半頃に主流となったのである。フィルムという中間材料や現像コストの存在が、デジタル化を後押ししたと考えられる。

印刷工程では、2000年前後頃にCTPの導入が進んだことで、フィルム製版やPS版に焼き付ける刷版工程が不要となった。同時に平台校正機が徐々になくなり、デジタルデータを出力するインクジェットプルーフなどに置き換わっていった。
さらには、Japan ColorやICCプロファイルを利用した標準印刷の考え方が広まることとなった。

印刷データ制作のデジタル化がほぼ完成したことで、電子写真方式やインクジェットなどの本格的なデジタル印刷機器の導入も増えていった。デジタル印刷機器が本格的に導入され始めたのは2000年代の終わりころではないだろうか。

このように、DTPが実用化されたこと、印刷工程のデジタル化が進んだことで、現在の印刷工程があるといえる。

DTP・印刷工程の基礎を身に付ける

DTPシステムが発展途上の時期には、トラブルを回避するための暗黙知やノウハウが必須であった。
また、毎年のように新しいデジタル技術が登場するため、最新の技術動向や知識をキャッチアップする必要があった。
そのため、DTPや印刷工程の解説書、用語集なども多数、発刊されていたのである。

現在は、DTP・印刷工程は成熟しつつあり、ワークフローの大きな変化を伴う技術革新は少なくなっている。

しかし、初めて印刷業界に関わった方、他の分野から印刷業務に関わるようになった方には、基礎的な知識をしっかり身に付けていただきたい。

DTPエキスパートエキスパート認証試験は、そのための手段としてたいへん有効である。多くの業界人がこの試験を通じて、幅広い知識を習得してきた。基礎的な知識を網羅することができ、印刷工程全体を見通す力を習得できる。

『新版DTPベーシックガイダンス』を通して、これらの学習を進めてもらいたい。DTPの経験者にとっても知識の再整理に役立つだろう。

(JAGAT 千葉 弘幸)

更新試験受験料領収証取得方法

ご勤務先の規定等により領収証が必要となる場合は、下記の方法でご自身で取得いただけます。

1) 資格者マイページ左メニュー[更新受験料のお支払い]ー【注文履歴】より、【注文詳細を表示】を選択する。
領収証取得画面
2) 【領収証ダウンロード】よりダウンロードする。
領収証取得画面

※入金が完了していない場合は、【領収証ダウンロード】がグレーアウトとなりダウンロードできません。
※銀行振り込みを選択された場合、お振込みいただいた際の振込明細書等は、領収書の代わりの書類として正式に認められています。ご勤務先または個人の費用精算に際して受験料領収の証が必要な場合は、振込明細書をご利用ください。
※領収証のあて名はご勤務先名が表示される仕様となっています。個人名等その他のご指定がある場合は、マイページ左メニュー【メッセージ】ー【管理者への連絡】よりお知らせください。

第55期DTPエキスパート認証試験 新出題項目

2021年3月14日(日)に実施する第55期DTPエキスパート認証試験の新出題項目を、下記の通り発表します。

■新出題・修正項目

(1)オンライン校正

(2)シャープ処理の方法

(3)写真の切抜き

(4)行の調整と文字アキ量

(5) レイアウトの基本原則

(6)見出しの組み方

(7)PCの文字・フォント環境

(8)UDフォントと教科書体

(9)購買行動プロセスモデルの変遷

(10)USB・ Bluetooth


上記の項目がそのまま問題数と対応するわけではありません。項目によっては2つ以上の出題になる場合があります。
また、新出題にともなって従来問題の入れ替え、統合、削除や改訂を行ないます。その結果、新出題項目を中心として全体の10~20%程度の問題が入れ替わることになります。

ご注意

この発表はあくまでも新項目であり、新問題の発表ではありません。
試験の公平性維持の観点から、詳細な情報提供は行いませんのでご承知下さい。

(JAGAT 資格制度事務局)

オンラインセミナー資料ダウンロード【受講者限定】

該当オンラインセミナーにお申込みいただいた方は、下記より資料をダウンロードしていただけますようお願いします。

◆◆資料の利用について◆◆
受講お申込みの方のみの使用に限ります。
資料の複製、2次利用、詳細内容のSNSへの投稿等は固くお断りします。

資料ダウンロード

2024/7/5DTPエキスパート学科ポイント解説講座 *7/5アップロード予定

 

2021年4月実施更新試験申請受付開始

下記の方は2021年4月実施更新試験の対象者です。

DTPエキスパート認証更新
エキスパートIDが下記4桁の数字で始まる方
〔9503-****〕,〔9707-****〕,〔9911-****〕,〔0115-****〕,〔0319-****〕,〔0523-****〕,〔0727-****〕,〔0931-****〕,〔1135-****〕, 〔1339-****〕,〔1543-****〕〔1747-****〕または〔1951-****〕

クロスメディアエキスパート認証更新
エキスパートIDが下記4桁の数字で始まる方
〔0703-****〕,〔0907-****〕,〔1111-****〕,〔1315-****〕,
〔1519-****〕,〔1723-****〕,〔1927-****〕

申請期間

2021年2月12日(金)~ 3月4日(木)

受験申請

申請手順についてくわしくは、こちらからご覧ください。

申請は、エキスパート資格者サイトマイページ上で受け付けます。

  • エキスパート資格者サイト上でのお支払いは、収納代行会社SMBCファインナンスサービスの「SMBC決済ステーション」を利用しています。更新お申し込み後、SMBC決済ステーション上でお支払いまで一連の操作で行っていただけます。
  • お支払いには、クレジットカード、銀行振り込み(バーチャル口座)、コンビニ支払い をご利用いただけます。
  • 受験料のお支払いは、資格者1名ごとのお支払いとなります。

💡 受験料のお支払いについて
クレジットカード払いまたはコンビニ払いでは、複数名分の受験料支払いはできません。
銀行振り込みを選択した場合は、選択した方専用のバーチャル口座番号が通知され、その口座番号に1名分の受験料が振り込まれると自動照合する仕組みとなっています。
複数名分の受験料をお振込みいただいた場合、事務局側で把握していないとどの方の受験料か照合がとれませんので、必ず事務局に連絡してください。
💡 企業様等で複数名分をまとめて一括でお支払いの場合は
企業一括支払い申請のご案内 をご覧ください。(2/12公開予定)

試験実施期間

2021年4月1日(木)~4月30日(金)

推奨環境
更新試験専用サイトログイン画面の『体験版はこちら』にて、事前にお取り組み環境での動作確認が可能です。

1/23 DTPエキスパート学科ポイント解説講座受講者の皆さまへ

1月23日開催「DTPエキスパート学科ポイント解説」(オンライン講座)につきまして、
視聴用URLを1月22日10:15 各受講者様にメール送信しました。
(第1回1月16日開催分とは異なるURLとなりますのでご注意ください。)

当日投影資料は、同メールでご案内した資料ダウンロードページよりダウンロード取得いただけます。

サンプル問題5【コミュニケーション】

デジタル印刷ビジネスの発展

次の文中の空欄[A][D]に入る最も適切なものを[解答群]の中から選びなさい。

デジタル印刷ビジネスの対象となるものは、必ずしも大量印刷に最適なものばかりではなく、単純にオフセット印刷の代替手段と考えることはできない。例えば、ITやネットワーク技術を駆使した独自性のある提案、あるいは発注元にとって魅力のあるソリューションが求められている。

例えば、複数の書籍を1ジョブにして、同じロール紙上に連続して印刷し、シートカットした後、頁折り・製本・三方断裁して仕上げる。同一[A]の書籍や文庫本、コミックなどの場合、このようなジョブギャンギングを行うことで、[B]の印刷・製本と実質的な大量生産の両立が可能である。また、地域や販売会社ごとに扱い品目が異なる製品カタログ、パーソナルカタログなども、同様の仕組みが可能であり、近年は数多く実施されている。

家電製品やPC・モバイル関連製品の場合、半年から1年程度で後継機種が発売されることも少なくない。新製品が発売されると、旧機種のカタログ・パンフレットの在庫は不要になる。以前であれば、このようなカタログ・パンフレットは、ほとんどをオフセット印刷で大量に印刷し、倉庫に保管していた。そして、全国の販売店の要請に応じて発送していた。そのため、新機種が発売されると[C]されることになっていた。

現在は、メーカー側でカタログ・パンフレットの在庫管理・Web発注システムを構築し、最小単位でデジタル印刷を行い、発送する方式が増えている。つまり、[D]ソリューションであり、新製品の発売に伴うパンフレットの廃棄コストや倉庫代の削減効果、事務作業効率化などのメリットがある。1部当りの印刷費の多寡ではなく、印刷発注・在庫管理・発送・廃棄というトータル面で課題を解決する仕組みといえる。

解答群

[A] ①版型・用紙 ②価格 ③ページ数

[B] ①小ロット ②中間ロット ③大量生産|ロングラン

[C] ①廃棄 ②長期保管 ③再印刷 ④中古販売

[D] ①在庫レス ②Web to Print ③バージョニング印刷 ④マーケティング


▶DTPエキスパートカリキュラム第15版をご覧になりたい方はこちらから

サンプル問題4【情報システム】

データのセキュリティー

次の文中の空欄[A]~[D]に入る最も適切なものを[解答群]の中から選びなさい。

現代のネットワーク社会では思わぬところからデータが漏洩する可能性があり、各々が高い意識を持ってデータを取り扱わなければならない。会社組織では、従業員などによるデータの持ち出しやノートパソコンの紛失などにも注意を払う必要がある。「個人のデータ流出による[A]侵害」、「企業機関の機密漏洩」、「コンテンツ流出による著作権侵害」などの恐れがあるためである。

ネットワーク環境でのデータの流出対策としては、流出させない技術の採用、データや情報(ファイル)を暗号化する、情報(ファイル)の流れを制御する、ユーザーに応じてできることを制限する、などが考えられる。例えば、データ内に電子透かしを入れる方法は、データが流出してしまった場合への対策として有効であり、[B]の保護に効果がある。

現在広く利用されている暗号方式の多くは、暗号化・復号のアルゴリズムが公開されており、復号に必要な秘密鍵を保持することで、データの機密性を確保している。秘密鍵のビット数が大きいと、[C]ことになり、実質的に解読が困難となる。2017年、ISOによって規格化されたPDF2.0では256bit AESの暗号化に対応している。

複製/再利用の容易さは、デジタルデータの大きな利点でもあり、欠点でもある。版権の盗用などを防ぐためにDRM(Digital Rights Management:デジタル著作権管理)を導入し、ユーザーごとに行える作業(保存や編集、印刷など)をパスワードによる認証方法で制限する方式もある。データの権利の利用や[D]ためのセキュリティー技術であり、運用も比較的簡単であり、一般のアプリケーションで開けないので、音声や画像、映像ファイルには比較的広く使われている。ただし、パスワードの流出などに対処できないため、サーバーでの認証によるユーザー管理などを検討する必要がある。

解答群

[A]①プライバシー ②財産権

[B]①著作権 ②意匠権 ③商標権 ④所有権

[C]①復号に必要な試す回数を増やす ②独自の暗号技術を保有する ③暗号用公開鍵を一元管理する ④解除用の秘密鍵を管理する

[D]①複製を制御する ②偽造を防止する ③流通を禁止する ④回覧を制御する


▶DTPエキスパートカリキュラム第15版をご覧になりたい方はこちらから