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【クロスメディアキーワード】コンピューター言語とデータフォーマット

クロスメディアキーワード【第8回】

コンピューター言語

コンピューター言語とは、ソフトウェアを開発するために 人工的に設計された言語で、プログラムとデータを記述する構文と語彙で構成される。コンピューター言語は、コンピューターハードウェアの登場と共に始ま り、約半世紀にわたりコンピューターとその応用の進展につれ、夥しい種類が考案されてきた。

プログラム記述の言語

1960年代までは、FORTARN、COBOL、アセンブリ言語といったプログラミング言語が主流であったが、スパゲッティ状態の(制御が乱雑で保守し にくい)プログラムが作られやすい文法であったため、それらに対する保守コストの増大が「ソフトウェア危機」として問題視されるようになった。問題解決の ために「構造化プログラミング」が提唱され、以降に開発された新たなプログラミング言語は、その考えを反映するようになった。

また、「ソ フトウェア危機」では、大規模で複雑なプログラム開発コストの増大も問題になった。そこで、プログラムの部品化と再利用が提唱された。1970年代から は、部品化と再利用が実現できるSmalltalk、C++、Objective-Cといったプログラミング言語が次々に開発され、「オブジェクト指向プ ログラミング」が提唱された。これらの言語では、オブジェクトを部品として記述できる。具体的には、データの型やそれに対する処理を抽象化し、その検査を 行うことで安全な実現を可能にしている。

しかし、構造化プログラミングやオブジェクト指向プログラミングは、プログラミングの考え方をプ ログラマーに示唆する「パラダイム」に過ぎず、その言語を用いても「ソフトウェア危機」問題が解決するわけではない。現在では、「フレームワーク」という 形で、目的とするプログラムが容易にかつ確実にできるようにするために制約的なプログラミングが行われている。

現在、代表的なプログラム記述の言語は、次のような種類がある。

  • C++、Objective-C、Java:汎用アプリケーションの記述
  • Perl、PHP:WebにおけるCGIの記述
  • JavaScript:Webクライアントプログラムの記述
  • XSLT:XMLボキャブラリ変換の記述
  • SQL:データベースに対する問合せの記述
  • Microsoft .NET Framework、JavaServer Faces:アプリケーション記述のためのフレームワーク

データ記述のための言語

データに関わる記述は、もともとプログラミング言語の一部であったが、1960年代のデータベースシステムの登場により、データの変更を容易にし、プログ ラムへの影響を極力少なくするために、データ記述を「スキーマ」としてプログラムから切り離す「データ独立」の動きが起きた。そうした動きの当初は、デー タベース関連にとどまっていたが、その後、データとそれに対する処理をオブジェクトとして扱うオブジェクト指向プログラミングとあいまって急速に広まっ た。

1980年代に登場したSGML(Standard Generalized Markup Language)は文書のデータ型を定義する「メタ言語」である。データ型は、データ記述の構文と語彙であり、要素の順序や階層関係、要素名(タグ)と 属性名で構成され、それに基づいて具体的なデータをマークアップするHTML、MathML、SVGなどといった言語が定義される。現在では、データ記述 のための言語の定義は、SGMLの後継であるXML(Extensible Markup Language)に集中するようになっている。

現在、XMLで定義された代表的なデータ記述の言語としては次のような種類がある。

  • XML Schema、RELAX、RELAX NG:文書のデータ型の記述
  • XHTML、MathML、SVG:Webコンテンツの記述
  • XAML、XUL:ユーザー・インターフェイスと関連データの記述
  • IDL:ソフトウェアコンポーネント(部品)間のインタフェースの記述

データフォーマット

コンピューター間やアプリケーション間などの情報交換で用いられるデータの形を「データフォーマット」と呼ぶ。その表現はコンピューターの内部表現と異な り、直列化される。データがプログラム内で記述されていた頃は、プログラムごとの暗黙的な形式が採用されていたが、データ独立が指向されるようになると、 ファンクションコードやタグによる構文や語彙が明示的になった。

XMLに基づくデータはテキストデータで表され、そのフォーマットの構文 と語彙は明示的な自己記述である。一方、画像や音楽を表わすデータの多くはバイナリーデータで表され、そのフォーマットの構文と語彙は暗黙的であり、デー タ量をなるべく小さく抑えるために圧縮されることが多い。

EPUBでは、XHTMLデータと画像データなどから構成されているが、書籍そ のものの取り扱いを容易にし、かつデータ量をなるべく小さく抑えるために圧縮されている。また、PDFでは、テキストデータとバイナリーデータが混在し、 部分的に圧縮された表現形式が採用されている。

例題

コンピューター言語に関する記述として最も適切なものはどれか[解答群]から選べ。

ア COBOL、FORTRAN、PL/I、Pascal、C言語は、コンピューターに処理を実行させる問い合わせ言語である。

イ SQLやXQueryなどは、データ記述言語と呼ばれ、主にデータベースからのデータ取得に対する記述をするものである。

ウ XMLは、文書の表示や印刷を行うたのデータ項目を文書構造に合わせて取得することに、困難を伴う言語である。

エ UMLは、ソフトウェア開発においてシステムの構造を表現するためのモデリング言語である。

[解答群]
 ①ア ②イ ③ウ ④エ

[解答]
 ④エ

※本ページの内容は掲載当時(2013年12月9日)のものです。

【クロスメディアキーワード】コミュニケーション支援とメディア

【第2回】メディアデザイン
メディアによる生活者とのコミュニケーション支援を実施するには、様々なメディアに関するリテラシーが必要になる。

技術のコモディティー化

IT(Information Technology)の発展により、コンテンツの制作に関する技術がコモディティー化することで、アプリケーションの操作技術だけでは、コンテンツの制 作に関わる業務としての付加価値が保ちにくい。様々な生活者に技術が移行することで、本質的なデザインや編集を行わない業務の価値は、データのフォーマッ ト変換程度の価値だけになりかねない。

ITが発展する前のコンテンツの制作に関する技術は、完成品の状態から逆算し、業務を行い、知識や 技術などのノウハウを蓄積してきた。しかし、情報のデジタル化によりコンテンツは、出力するメディアに合わせ、多様性や柔軟性を求められると同時に、さら に自動化へと向かっている。コミュニケーション支援で重要なことは、コンテンツの内容に近づくことであり、様々なメディアの特性を理解しなければならな い。

コンテンツデータの管理

現在、市場に普及しているパソコンは、過去には想像できなかったような、様々なデータの管 理機能を備えている。しかし、コンテンツデータの活用を主眼にすると、データの管理方法に関する知識が求められることもある。コンテンツデータの管理で は、メタデータ管理が重要視される。写真で例えれば、何時、何処で、誰が撮影したかなど、属性情報が管理されることで、写真は様々なコンテンツで利用しや すくなる。組織のメディア戦略では、コンテンツデータを資産として管理することも重要であり、情報発信のためのコンテンツデータ管理は、組織にとって欠か せない課題であるといえる。

メディアリテラシー

コミュニケーション支援ビジネスでは、「メディアリテラシー」を意識する必要もある。情報の発信者と受信者に与える影響を配慮することで、様々なメディアの文化的背景を乗り越え、効果的なコミュニケーションを実現できる。

コミュニケーション支援

マーケティング、ユーザーインタフェース設計、コンテンツ管理、サーバー技術、ネットワーク技術などの要件を踏まえた「メディアデザイン」が重要になる。社会を支えるコミュニケーション支援を行うために、「メディアデザイン」を考慮したロードマップが必要である。

公益社団法人 日本印刷技術協会
教育コンサルティング部
チーフコンサルタント
小林 祐一

 

※本ページの内容は掲載当時(2013年12月2日)のものです。

【クロスメディアキーワード】オープンソース

クロスメディアキーワード【第11回】

オープンソースは、無料でソースコードやプログラムが入手できるということを意味しているだ けではない。オープンソースに関する定義は、Open Source Initiative(OSI)により策定されている。OSI認定を受けるためには、以下の頒布条件が定められている。

1. 再頒布の自由

「オー プンソース」であるライセンス(以下「ライセンス」と略)は、出自の様々なプログラムを集めたソフトウェア頒布物(ディストリビューション)の一部とし て、ソフトウェアを販売あるいは無料で頒布することを制限してはならなない。 ライセンスは、このような販売に関して印税その他の報酬を要求してはなららない。

2. ソースコード

「オープンソース」 であるプログラムはソースコードを含んでいなければならず 、コンパイル済形式と同様にソースコードでの頒布も許可されていなければならない。何らかの事情でソースコードと共に頒布しない場合には、 ソースコードを複製に要するコストとして妥当な額程度の費用で入手できる方法を用意し、それをはっきりと公表しなければならない。方法として好ましいのは インターネットを通じた無料ダウンロードである。ソースコードは、プログラマがプログラムを変更しやすい形態でなければならない。意図的にソースコードを 分かりにくくすることは許されず、プリプロセッサや変換プログラムの出力のような中間形式は認められない。

3. 派生ソフトウェア

ライセンスは、ソフトウェアの変更と派生ソフトウェアの作成、並びに派生ソフトウェアを元のソフトウェアと同じライセンスの下で頒布することを許可しなければならない。

4. 作者のソースコードの完全性(Integrity)

バ イナリ構築の際にプログラムを変更するため、ソースコードと一緒に「パッチファイル」を頒布することを認める場合に限り、ライセンスによって変更された ソースコードの頒布を制限することができる。ライセンスは、変更されたソースコードから構築されたソフトウェアの頒布を明確に許可していなければならない が、派生ソフトウェアに元のソフトウェアとは異なる名前やバージョン番号をつけるよう義務付けるのは構わない。

5. 個人やグループに対する差別の禁止

ライセンスは特定の個人やグループを差別してはならない。

6. 利用する分野(Fields of Endeavor)に対する差別の禁止

ライセンスはある特定の分野でプログラムを使うことを制限してはならない。 例えば、プログラムの企業での使用や、遺伝子研究の分野での使用を制限してはならない。

7. ライセンスの分配(Distribution)

プログラムに付随する権利はそのプログラムが再頒布された者全てに等しく認められなければならず、彼らが何らかの追加的ライセンスに同意することを必要としてはならない。

8. 特定製品でのみ有効なライセンスの禁止

プ ログラムに付与された権利は、それがある特定のソフトウェア頒布物の一部であるということに依存するものであってはならない。プログラムをその頒布物から 取り出したとしても、そのプログラム自身のライセンスの範囲内で使用あるいは頒布される限り、プログラムが再頒布される全ての人々が、元のソフトウェア頒 布物において与えられていた権利と同等の権利を有することを保証しなければならない。

9. 他のソフトウェアを制限するライセンスの禁止

ライセンスは、そのソフトウェアと共に頒布される他のソフトウェアに制限を設けてはならない。例えば、ライセンスは同じ媒体で頒布される他のプログラムが全てオープンソースソフトウェアであることを要求してはならない。

10. ライセンスは技術中立的でなければならない

ライセンス中に、特定の技術やインターフェースの様式に強く依存するような規定があってはならない。

例題

オープンソースにおけるOSI認定の頒布条件に関する記述として最も不適切なものはどれか[解答群]から選べ。

ア オープンソースソフトウェアとともに頒布される他のソフトウェアについては、すべてオープンソースソフトウェアでなければならない。

イ ライセンスは、ソフトウェアの変更と派生ソフトウェアの作成、並びに派生ソフトウェアを元のソフトウェアと同じライセンスの下で頒布することを許可しなければいけない。

ウ ライセンスはある特定の分野でプログラムを使うことを制限してはいけない。例えば、プログラムの企業での使用や、遺伝子研究分野での使用を制限してはいけない。

エ プログラムに付随する権利は、そのプログラムが再頒布された者すべてに等しく認めなければならず、追加的ライセンスに同意することを必要としてはいけない。

[解答群]
 ①ア ②イ ③ウ ④エ

[解答]
 ①ア

※本ページの内容は掲載当時(2014年1月6日)のものです。

【クロスメディアキーワード】クローラーと情報アーキテクチャー

クロスメディアキーワード【第15回】

Webサイトの構築を行う際には、情報アーキテクチャーを考慮することで、利用者を意識した情報サービスの提供が実現できる。

クローラー

クローラーとは、サーチエンジンがインターネット上の情報を収集するプログラムである。定期的にインターネット上のHTML(HyperText Markup Language)文書からリンク情報(href属性値に指定されたURL)を辿り、あらゆる情報を収集する。スパイダーやWeb巡回プログラム、検索ロ ボット、ボットなどとも呼ばれる。

インターネット上の検索サイトでは、検索結果の順位を決める方法として検索アルゴリズムによるものが多 く、利用者の探している情報を的確に探し出せるかが重要となる。検索アルゴリズムは日々進化しており、サービス提供企業ごとに方法が異なり、いずれも非公 開とされている。

クローラーは、サーチエンジンの検索結果に利用される情報の収集の他、目的を持たせ特定の情報収集に利用される。目的や特定の情報とは、一般企業や団体などによる商品情報の収集や統計調査などがあげられる。

クローラーには幾つもの種類があり、PC向けWebサイトの情報収集に用いられるものや、モバイル端末向けWebサイトの情報収集に用いられるものがある。また、ブログ検索サービスのように、情報の性質や状態を考慮した検索サービスも提供されている。

ブログの内容は、更新の容易さや個人の嗜好が反映されやすいことから、企業などが用意するWebサイトとは性質の異なる情報が多く含まれている。ブログ検 索サービスによっては、更新情報を配信するためのRSSフィードやAtomフィードのある全てのブログを検索できるようにすることを目標としているものが ある。

セマンティック・ウェブ

広く普及しているインターネット上の情報を収集する方法は、一般的に使用される文章検索に関する方法を利用している。言い換えれば、自然言語による検索方法である。これは、人間の持つ言葉の多面性や曖昧さから、正確に目的とする情報を得ることが難しいとされている。

また、自然言語による検索のほか、W3Cのティム・バーナーズ=リー氏によって提唱されたセマンティック・ウェブに対する検索技術の研究が行われている。

セマンティック・ウェブでは、HTMLで記述された文書を使用せず、XML(Extensible Markup Language)により記述した文書に対し、RDF(Resource Description Framework)やOWLを記述したものを使用する。RDFは、インターネット上のリソースを示すために用いられ、OWLは、意味を持った情報を形式 化して記述することに用いられる。自然言語の検索による曖昧な検索方法に対し、正確な意味を持った情報に対する収集や分析が可能になると考えられている。

ウェブマイニング

ウェブマイニング(Web Mining)とは、Webサイトの構造やインターネット上の情報を利用し、統計学、パターン認識、人工知能等のデータ解析の技法により、膨大なデータを 網羅的に適用し、傾向やパターンなどの情報を取り出す技術である。セマンティック・ウェブの実現により、インターネット上の膨大な情報に対し、解析技術を 用いた情報抽出が可能になることが期待されている。

情報アーキテクチャー

情報アーキテクチャーとは、わかりやすさのデザインともいわれ、「利用者に情報をわかりやすく伝え、受け手が情報を探しやすくする」ための表現技術である。

情報アーキテクチャーを意識したWebサイトの構築する際は、デザイン性だけではなく、検索性や各コンテンツへのナビゲーションも考慮することが必要であ る。そのため、設計段階からこれらを意識し、構造化や最適化を行うべきである。こうした配慮によって、利用者にとって使い勝手の良いWebサイトの提供が 行える。

SEO対策

SEO(Search Engine Optimization:サーチエンジン最適化)対策と呼ばれる検索サイトでの上位表示をさせるための手法についても、その仕組みを理解し、情報アーキテクチャーを意識したWebサイト構築を行うことが望ましい。

インターネットにおける大手検索ポータルサイトのサーチエンジンでは、キーワードを上位に表示させるためには、利用されているクローラーに対象とされるようなサイト構造にしておく必要がある。

サーチエンジンは、Webサイトの構造から情報を収集し、情報の内容を判断して順位付けを行っている。そのため、サイト設計段階から、サイトの目的に応じた要素を分類し、構造化していくことが重要となる。

例題

次の文中の空欄[A][B]に入る最も適切な語句の組み合わせを下記の解答群から選べ。

クローラーは、「Web巡回プログラム」や「ロボット」と呼ばれるインターネット上の情報を検索するプログラムである。クローラー技術は、検索サービスに対してだけではなく、商品情報の収集や統計調査など、特定の目的のもと[A]で利用されている。

ブログ情報、商品情報などといった、求められる情報の性質に特化した検索サービスやモバイル端末向けの検索サービスも登場している。

今後、より的確な情報を得るために、自然言語による検索条件の指定に加え、セマンティック・ウェブやウェブマイニングなどを組み合わせた検索技術が求めら れる可能性がある。セマンティック・ウェブは、XMLにより記述された文書に[B]やOWLを用い、意味を記述したタグを付け加える。そのタグが文章の含 む意味を形式化することになる。将来、タグを付けていないインターネット上のコンテンツは、次第に検索結果の表示順位が低くなる可能性があり、SEOの観 点からも対応が迫られることも予想される。

[解答群]
①A:一般的分野 B:CSS
②A:専門的分野のみ B:RDF
③A:一般的分野 B:RDF
④A:専門的分野のみ B:CSS

[解答]
③A:一般的分野 B:RDF

※本ページの内容は掲載当時(2014年5月22日)のものです。

 

基本台帳へのログインについて–更新試験受験申請–

更新試験受験申請は、エキスパート基本台帳にログインのうえ、申請をしていただきます。

エキスパート基本台帳ログインパスワードがご不明の場合の対処方法をあらためてお知らせします。

〇基本台帳ログイン画面上部の「パスワード照会フォーム」をご利用いただくと、パスワードが自動通知されます。(氏名カナ、生年月日が正しく登録されている場合)

上記パスワード照会フォームにて取得いただけなかった場合は、資格制度事務局メールアドレス(expert@jagat.or.jp)あてに
・エキスパートID
・氏名
とともにメールにてお問い合わせいただくとスムーズです。

〇基本台帳上でアカウントロックがかかった場合は、資格制度事務局メールアドレス(expert@jagat.or.jp)あてに、
・エキスパートID
・氏名
とともに「アカウントロック解除希望」とお書き添えのうえ、メールにてご一報いただくとスムーズです。

エキスパート更新試験申請受付期間延長のご案内

第46期DTPエキスパート/第22期クロスメディアエキスパート認証更新試験につきまして、7/21(木)を申請受付期限とご案内しておりましたが、申請受付期間を延長いたします。

最終申請受付期限
7/29(金)まで

上記期限までに、受験料のお振込みと、エキスパート基本台帳からの申請手続きを完了していただけますようお願いします。

申請方法詳細は、下記よりご覧いただけます。

第46期DTPエキスパート認証更新試験の申請・受験方法

第22期クロスメディアエキスパート認証更新試験の申請・受験方法

【クロスメディアキーワード】コミュニケーション手段の変革

インターネット広告が台頭したことで、マスメディアによる広告がシフトするといった発想は成立しない。テレビコマーシャル用に制作された映像をイ ンターネットで配信するといった、マスメディアによる広告と同様の情報発信は、認知度の向上には寄与するが、コミュニケーション手段の変化に対応している とは限らない。

コミュニケーション手段の変革

事業を拡大させるために、広告だけに頼ることは考え難いが、インターネットだけを頼る行為も不完全である。IT(Information Technology)の発達が、事業活動に及ぼす影響を理解することが重要である。

クロスメディアエキスパート認証制度のカリキュラムでは、ITによる経営や商取引などの変化を取り上げているが、単なるWebサイト構築や販促物の制作にとって、直接的な関係性を感じにくい。

クロスメディアエキスパートの人物像は、「メディア戦略のコーディネーター」となるディレクターやプロデューサーを想定しているが、「メディア戦略のコー ディネーター」は、事業展開の核心と強い関係性を持つと考えている。下図の左側は事業主である顧客や自社であり、事業主の中には経営革新を推進する人物が おり、その人物はメディア戦略に着目している。

事業の変化に伴い、メディア活用に助言することが、クロスメディアエキスパート認証制度で示すディレクターやプロデューサーの役割である。

事業構造の変化は様々であり、SCM(Supply Chain Management)については、様々な製造業で業界横断的に進行し、「現場」では一般的なものとなっている。山間部に住む高齢者が、山で様々な「葉」 を採取し、料亭に卸すビジネスモデルがテレビ放送で取り上げられていた時期があったが、その後は、書籍まで出版された。インターネットを活用することで、 料亭は地産の材料調達が容易になった。

求められるメディア戦略のコーディネーター

様々な事業活動では、 CRM(Customer Relationship Management)による効率化だけでなく、マーチャンダイジングや需要予測などが変化した。クロスメディアを前提としたメディア戦略の立案では、 様々な生活者とのコミュニケーション手段として、デジタルメディアの存在が不可欠となる。 事業者はグループウェアを導入し、利害関係者との情報共有を行 い、オープンなコミュニケーション手段の確立を目指す。コミュニケーション手段を確立するツールは、インターネットに接続するパソコンに留まらず、ケータ イやスマートフォンなどのモバイル端末が利用され、クラウドやSNS(Social Networking Service)などのサービスが活用されている。

クロスメディアエキスパートの領域では、全体最適を考慮したコミュニケーションシステ ムの構築が求められる。メディア戦略とデジタルメディアの関係は、感覚的なものではなく、技術革新が事業構造に影響を与える。プロモーションだけではな く、コストを勘案した改善施策が求められる。改善施策の実行は、結果としてクロスメディアによる生活者との効率的コミュニケーションシステムを実現するこ とにつながる。事業戦略を支えるメディア戦略をコーディネートする人材の育成をクロスメディアエキスパート認証制度は目指している。

資格制度事務局

 

※本ページの内容は掲載当時(2013年10月)のものです。

【クロスメディアキーワード】アイデア発想法

クロスメディアキーワード【第9回】

「ブレーンストーミング」は、集団によるアイデアの抽出法として、多くの人々に知られている手法である。また、「構造化」は、アイデアの断片をまとめるためにロジカル・シンキングやクリティカル・シンキングといった論理的思考を活用した手法である。

ブレーンストーミング(Brainstorming)

ブレーン(頭脳)とストーム(嵐)から、「頭脳の嵐」と名称がついた会議手法であり、アレックス・F・オズボーンが考案した。別称として「ブレスト」、「BS」などと呼ばれる。

新しい企画の立案や複雑な問題の解決は、合理的な手法を用いることにより、適切な答えを導くことがある。そのためには、考えられるアイデアを事前にすべて 出すことが望まれる。個人のアイデア量には、限界がある傾向があるため、集団により意見を出し、互いを刺激し合うことで、より多くのアイデアを生み出す会 議手法が、ブレーンストーミングである。進行役が議案の主旨(テーマや目標)を示した後に、参加者が自由に意見やアイデアを出す進行となるが、ブレーンス トーミングには4つの原則がある。

1.批判の禁止
 参加者の発言を活性化させるため、他者の発言を批判しない。

2.自由奔放
 ユニークで斬新なアイデアを促すため、自由奔放な発言を歓迎する。思いもよらない解決への糸口が期待できる。

3.質より量
 ブレーンストーミングでは、勢いが重要視される。発言は多いほど好まれる。可能な限り多くのアイデアを出す。

4.連想と結合
 他の参加者が、一部のアイデアに便乗することを歓迎する。発言の融合や、一部の変更を行う。

構造化

構造化とは、「複雑に見えるものを幾つかの要素に分解し、それぞれの関係を明らかにし、全体と部分の関係性を明示する」方法である。

  • 全体から細部にいたるまで、各要素間の関係が明確になり、整理された状態で一覧できるようになること。
  • 各要素間の関係に明確な理由(根拠)があるため、導かれた結果には説得力をもつこと。
  • モレやダブりが発生しにくくなること(MECEの考え方を導入すると良い)。
  • 各要素の組み合わせを変更することにより、全く新しいアイデアや問題の解決にも応用できること。

などが構造化に共通するメリットである。

特性要因図
原因と結果との関係を表した図を指す。問題(特性)と、その原因(要因)との関係を表す手法として、主にQC(Quality Control:品質管理)の分野で使用されている。魚の骨の形に似ていることから、「フィッシュボーン・チャート」や「魚骨図」とも呼ばれる。QCサー クルの生みの親である石川馨工学博士が考案した。

親和図法
QCにおける情報整理法を指す。既存の知識では体系化しにくい情報やアイデアをカードに記述し、問題点と解決案を導き出す手法である。川喜田二郎(文化 人類学者)が開発したKJ法を起源としている。親和図法は、「カード化した言語データの意味の近さ(親和性)に着目し、同類項ごとに括ることにより、構造 (全体と部分の関係)を明確にする」という特徴がある。

例題

次の文中の空欄[A]~[C]に入る最も適切な語句の組み合わせを下記の[解答群]から選べ。

ブレーンストーミングは、議題についてのアイデア出しや問題点の[A]などを目的とした、複数人が参加し自由に意見を述べる手法であり、新たな発想を生み だすことが期待できる。人数制限はないが、5~7名、場合によっては10名程度が好ましいとされる。議題については、参加者に予め周知することが望まれ る。

結論を出し判断を下すような必要がある場合に[B]手法である。議論が一つの方向に偏ってしまうことや、回数を重ねたことによる本題 から離脱、論理に頼った先入観などにより、発想が[C]化する傾向の存在を指摘する声がある。したがって、結論を出し判断を下す場合は、改めて情報整理を 行うことが求められる。

[解答群]
 ①A:解決 B:向いている C:硬直
 ②A:列挙 B:向かない C:硬直
 ③A:解決 B:向かない C:弾力
 ④A:列挙 B:向いている C:弾力

[解答]
 ②A:列挙 B:向かない C:硬直

※本ページの内容は掲載当時(2013年12月)のものです。

【DTPキーワード】版面の設計

版面[type area ; type page ; text page]

「はんづら」と読む。組版されたページ面のうち、実際に印刷される文字、罫線、画像などが占める面の範囲のことである。結果的に版面の面積は、判型から余白を引いたものになる。
本文部分の各ページの版面は同一である。また左右両方のページを一つの図版として捉えるため、判型に対して版面が中央に位置していることは稀である。

判[size of paper ; size of book]

書籍やポスターなどの紙加工品の仕上がり寸法と形態を指す。
A4 判、A5 判、新書判、タブロイド判などがある。

マージン[margin]

出版物などのページにおいて上下左右に存在する版面以外の余白部分を指す。
各部の余白は上部は天、下部は地、製本で綴じられる内側はノド、その反対側は小口と呼ばれる。

    • ノド[back margin]
    • 本の綴じ目に沿った部分。

    • 天[head ; top ; top edge]
    • 本の上部。本の背以外の中身の三方の内上端を指す。
      「あたま」ともいう。

    • 小口[edge ; fore edge]
    • 仕上げ断ちした本の三方の切り口。一般には前小口のことをいう。

    • 地[tail edge]

    本の下部。本の中身を仕上げ断ちした後の三方の下部の切り口。「けした」ともいう。

マージンと版面の取り方には諸説あるが、判型に対する伝統的な書籍の体裁はノドあきが一番狭く、次に天、小口、地の順となるのが一般的である。
一般に判型が大きいほど余白の比率は大きくなる。
小口の余白は製本のズレが目立ちやすいのであまり小さくできない。

文字の大きさ・字詰め・行間の基本ルール

  • 文字の大きさは読者や本の内容によって異なるが、一般的な書籍・雑誌の本文級数は11〜14 級が標準である。
  • 1 行の字詰めは文字の大きさと判型に合わせて可読性のバランスを決める。
  • 行間は字詰めによって異なるが、文字の大きさの半角(1/2em)から全角アキが標準である。
  • 1 行の字詰めが長ければ行間を広くし、短かければ狭くする。
  • 大きな文字級数や字面が大きな文字は行間を広めにし、小さい場合は狭める。

基本組体裁

雑誌や書籍などのページに対する文字組みの基本となる体裁のことである。
版面の内側で基本組体裁に必要な値を決める。
まず先に書籍の内容表現にふさわしい書体を決め、ターゲットとしている読者が視認しやすい文字の大きさを決める。
次に組方向と行数や字詰めを決め、1 行の文字数が多い場合には段数を決める。多段組の場合には段間を設定する。
行長や字詰めと相互に関連しているのは文字サイズである。可読性という点で横組よりも縦組の方が行長を長く取ることができる。
行と行の間は一般に文字サイズの25%〜100% 程度あける。
文字サイズと行間を足したものが行送りである。
視線の移動を容易にするために、行長が長いほど相対的に行間は大きく取る。

  • 組方向[type set]
  • 本文ページが縦組か横組かを決める。

  • 書体[typeface ; face]
  • 文字の用筆(筆画)や形態が同じもので作られ系統化さている字形。フォントとは異なる。

  • 文字サイズ[font size]
  • 文字の大きさ。Q(1Q = 0.25mm)/ ポイント(1point ≒0.3528mm)で示す。

  • 字詰め
  • 1 行に収容される文字数。1 行の行長に相当する。

  • 行長[line length]
  • 1 行内での文字の配置において行頭から行末までの長さ。

  • 字間[character gap ; separation]
  • 1 行中の上下(縦組)または左右(横組)に隣り合う文字と文字の間隔。

  • 字送り[character pitch]
  • 隣り合う文字から文字までの間隔。

  • 行間[interline ; line space]
  • 組版における行と行の間の空き量。一説に行間の適性値は行長の3%という説がある。

  • 行送り[line pitch]
  • 文字の大きさに行間を足した距離。

  • 段[columns]
  • 行の集合を段と称する。1 行が長くなり過ぎると読みにくくなることから、適度の文字数、適度の行数にて段を形成する。

  • 段組[column composition]
  • 1 ページを2 段以上で組む文字組版の方法。通し組(1 段組)に対して用いる。

  • 段間[column space]
  • 1 ページを2 段以上で組む段組における段と段の間のスペース。通常段を識別しやすくするために行間よりも大きいスペースを確保して段を区切る。また罫線で区切る場合もある。

版面

有限会社 セネカ
代表取締役
野尻 研一

(Jagat info 2014年9月号より転載)