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デザインとブランドのパワー

大手広告代理店でコピーライターとして活躍していた牧野圭太氏が2015 年に設立した文鳥社
出版社のような名前だが、アイデアとデザインを軸にした新しいプロダクトの開発や、クライアントへのソリューションを提供する会社だ。 続きを読む

企業がマーケティングにオンライン動画を使う理由

YouTube動画やソーシャルメディアの動画広告など、オンライン動画は企業のマーケティングにおいて重要な手段になってきた。では、企業はどんな効果を求めているのか。動画マーケティング企業に話を聞いた。

お話を聞いた方:Viibar 篠原佳名子さん
研究会セミナー:2016/8/30開催「動画マーケティングのポイントとビジネス事例

JAGAT 印刷総合研究会では、企業の動画マーケティングや制作支援を行うViibar(以下ビーバー)篠原佳名子氏に「あの会社の最新事例から読み解く、動画キャンペーンの戦略と効果」について講演いただいた。今回はその一部を紹介する。

ネット動画を見る層にアプローチするには最適

篠原氏はまず、ユーザー側のメディア接触の環境変化によって企業が動画を使わざるを得ない状況が生まれていることを挙げた。今は20~30 代男性の3 人に1 人、10~20 代女性では4人に1人がテレビを見ていない状況だ(平日に15 分未満)。

彼らはテレビを見なくなった代わりにオンライン動画視聴へシフトしている。既に10 代、20 代では半数がテレビよりもネット動画を好むようになっている(NHK「国民生活時間調査2015」)。

オンライン動画に親しんだ層にアプローチするには、当然オンライン動画が適している。その場合、テレビCM を再利用するよりも、オンライン専用に制作された動画が好まれる。アメリカで行われた調査では、好感度や購買意欲はテレビCM よりオンライン専用に作られた動画の方が有利だという結果が出た。さらに若年層では利用意向、ブランド好感度ともに、オンライン専用の方が約3 倍効果が高かった。そのため既にアメリカでは、広告主側はオンライン専用の動画コンテンツにかける予算の割合を増やしつつある。

またオンライン動画は多くの企業にとって可能性を拡げるツールとなり得る。

篠原氏は、「今の時代、オンライン動画はチャンスだ」という。映像での表現はテキストやバナーよりも圧倒的に情報量が多い上に、テレビCM と比べて長さやクオリティの制約が少なく、安価なコストで取り組めるメリットがあるからだ。多額の予算をかけられない中小企業の商品・サービスでも、映像というリッチな表現が使えるのは大きな強みだ。

ニーズに最適な動画を選ぶ

では、実際にどのように動画を活用すべきなのか。
オンライン動画のバリエーションは、バイラル動画、社内報、製品紹介、インタビュー動画など何十種類にも及ぶ。そこでビーバーでは動画を5 つに類型化したオンライン動画活用戦略モデル「SHHIP(シップ)」を提唱している。

SHHIP とは、ユーザーの目を引き好感を生む「Star(バイラル動画)」、悩みに応える情報を提供する「Help(ハウツー系動画)」、特定ファン層をターゲットにした「Habit(ネット番組)」、動画広告の「Insert」、購入の後押しをする「Persuasion(説明動画)」の5 つの頭文字を取ったものだ。これらを目的に応じて使い分ける必要がある。

例えば資生堂では、自社の技術広報を目的とした美容情報サイトの「シセイドウ ビノラボ」を2015 年4月から運営している。メーカー側からサイト認知のきっかけとして、掲載記事の内容を基にしたキャッチーな動画を作りたいという要望があった。

そこでビーバーでは、同サイトでの人気記事「童顔?大人顔? 印象はどこで決まる?」をベースにクリエイターから幅広く企画を募集した。数多くの応募の中から採用されたのは、一人の女性がメイクで別人のように変身する動画を逆再生し、メイクで予想以上に多様な印象が生み出せることを表現した動画だ。

 

公開後、動画に驚いたとのコメントが多数付き、数カ月間でYouTube やFacebook から155 万回再生された。ビノラボや資生堂のウェブサイトへのアクセス数も通常の3~5 倍にまで増加した。インパクトがあったこともあり、バイラルメディアのロケットニュース24やテレビの情報番組でも取り上げられ、さらに視聴数を伸ばした。

資生堂の事例はSHHIP でいう「Star」に当たる。メーカー側のニーズに応え多くの人に視聴してもらえた要因は、コンテンツを重視したクリエイティブにしたことにあると篠原氏は分析する。

Star 動画の場合に何よりも重要なのは、広告らしさをできる限り抑え、驚きや共感を主軸にコンテンツに寄せたクリエイティブを作ることだ。このような動画は他ジャンルの動画と比較してインパクトがあることが多いため、結果として「いいね」やコメントが付きやすい。

またメディアにも注目されやすいためPR・ブランディング目的で活用するのが効果的だ。一方、広告色が弱く動画単独で伝えられる情報量はそれほど多くないという弱点もある。そのため商品・サービスについて詳しく説明したり、すぐに購買行動を促したりする用途には向いていない。

Star 動画ができることには限界があるので、必要に応じて他の動画パターンも活用する必要がある。Help動画であれば、商品やサービスそのものを宣伝するのではなく、ターゲットとなりそうなユーザーに役立つコンテンツを発信し、検索の上位表示や口コミを狙う。いわば「動画を用いたコンテンツマーケティング」である。

***

セミナーでは上記のほかSHHIP モデルに沿った事例をもとに企業が動画を活用することでどんな効果があったのかを紹介いただいた。

今は安価に依頼できるクラウドソーシングも多く登場し、価格だけで勝負することは難しくなった。クライアントが動画に期待することは多様で、何よりニーズに合った動画コンテンツを制作できるパートナーが求められている。

(『JAGAT info』2016年10月号より一部抜粋)

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