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(C)マークは必ず表示しなければならないものでしょうか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:知的財産権

Q:(C)マークは必ず表示しなければならないものでしょうか。

A:(C)のCはCopy rightの頭文字で、この記号と著作権者の氏名あるいは法人名、第一 発行年の3つを相互に接近して見やすく表示するものです。 
 日本国憲法では、表現の自由が保障されており出版についても何の制約もありませんし、本の奥付けについての表示義務もありません。ただし、この本は誰が著作したものか、どこで印刷し、誰が発行したのか、いつ発行され、価格はいくらか等を表示することは、著作物を公にする者にとって当然の社会的責任だと解されてます。
 それだけでなく、著作者名等が表示されていないと、第三者による権利侵害が起きた場合、それを止めたり損害賠償を求めたりすることが困難になります。ですから、自己の利益を守るためにも著作者名等の表示は必要だということになるでしょう。
 一般に、印刷物の奥付に著作者名を入れておくと、その人が著作権者だと推定されます。しかし、写真集などの場合だと撮影を外部のカメラマンに委嘱することもあるでしょう。その場合出版社はカメラマンから著作物を買い取らなければ自己の著作権を主張できません。つまり、著作者と著作権者とが別であるケースもあります。そこで、著作権者が誰であるかを示すために、(C)表示をすると非常に便利です。
 この(C)の表示は、もともとは、わが国と保護の仕方が違うアメリカで、わが国の著作物を保護してもらうための便法として採用されたものですが、著作権が著作者から他へ譲渡されている場合に役立ちます。また、これは著作物であるから無断複製はまかりならんというデモンストレーションにもなります。
 (C)表示があるだけで、以上のような意味をもつわけですから、その上わざわざ「無断転載禁ず」と念を押す必要はないでしょう。
 しかし、実際上発行物は著作物として保護されていますから、(C)表示がなくても法的に保護されています。

参考文献:「商品企画のための著作権」 社団法人日本技術協会 編

 

(2003年7月28日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

新聞記事をそのまま引用してもいいのでしょうか

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:知的財産権

Q:新聞記事をそのまま引用してもいいのでしょうか

A:新聞記事に著作権があるかどうかという問題があります。新聞記事には、一般の報道記事・解説・社説・署名入り記事などがあります。このうち、「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」は言語の著作物に該当しないと著作権法10条2項に規定があります。ここでいう雑報とは、どこそこで地震があったとか、交通事故があったとかいう簡単なニュース、人事往来、死亡記事などです。 
 こういうものは、著作物ではないとされているのですが、それ以外の記事は殆ど著作物と考えた方がいいでしょう。
 日本新聞協会は昭和53年5月、次のような見解を発表しました。 
「最近の紙面における記事は背景説明の伴った解説的なもの、あるいは記者の主観、感情を織り込んだ記事が多く、紙面構成も高度な創意・工夫がはかられており、、独創的な紙面づくりが行われているのが実情である。したがって報道記事の大半は、現行著作権法に規定される著作物と考えるのが適当である」 
 これを細かくみていくと、雑報以外の記事の一つ一つは著作物です。そして、著名のあるものはその筆者の著作物ですが、無署名のものは記事が職務上作成した法人著作(著作権法15条)と解されますので、新聞社が著作者でかつ著作権者です。このほか掲載されている写真も、外部のカメラマンが撮ったものはその人の著作物、社内カメラマンのものは新聞社の著作物です。
 一方、紙面の構成にも創意・工夫がはかられているので、その紙面全体は新聞社の「編集著作物」と解されます。新聞全ページを営利的な目的で無断で複製したとすれば個々の記事や写真の著作権のほかに、全体の編集著作権をも侵害したことになります。 
 新聞のニュースといっても項目だけを箇条書きしたものと、解説文つきの二つが考えられます。解説文つきでは著作物となり新聞社の許諾を得なければなりません。しかし、箇条書きだけだと、本の題名とか記事の見出しと似ていて、それだけでは著作物とはみなされませんから、新聞社もクレームをつけにくいでしょう。 
 しかし、記事は新聞社の報道活動の成果であることを考えれば、断っておくほうが無難です。「○○新聞より」という名称を入れておけば高い使用料を請求されることはないと思われます。

  「商品企画のための著作権Q&A」社団法人日本印刷技術協会編 より

[参考資料] 
著作権法 抜粋 
(著作物の例示) 
第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。 
  一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物  
  二 音楽の著作物  
  三 舞踊又は無言劇の著作物  
  四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物  
  五 建築の著作物  
  六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物  
  七 映画の著作物  
  八 写真の著作物  
  九 プログラムの著作物  
2 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。
3 第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。  
  一 プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。  
  二 規約 特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。  
  三 解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。  
(昭六〇法六二・1項九号3項追加) 

(職務上作成する著作物の著作者)  
第十五条 法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。  
2 法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。  

(昭六〇法六二・見出し1項一部改正2項追加)

 

(2003年9月8日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

パブリシティの権利とはどんな権利ですか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:知的財産権

Q:パブリシティの権利とはどんな権利ですか。

A:一般に映画やテレビの芸能人やスポーツ選手、政治家、評論家等の 有名人は、自己の氏名、肖像を対価を得て使用させる利益を持っています。これをパブリシティーの権利といっています(東京地裁昭和51年6月29日判決)。 
  このパブリシティの権利は、プライバシーの権利(right to be let alone=一人にしておいてもらう権利)とは性格が違います。つまり、プライバシー権は人間の内面的・精神的な利益権、すなわち人格権であるのに対し、パブルシティ権は経済的・財産的利益権です。 
   財産権ですから他に譲渡することができるし、その管理を他にまかせることもできます。 例えば、プロ野球選手の肖像権の管理はその所属する球団がやっています。このような人達は、普通人とは違った特長をかね備えています。 
  第一に、有名人は自分の肖像を公衆の目にさらすことを職業としています。こうした人達を英語ではpublic figure(公人)といいます。一般に公人は、プライバシの権利が普通人よりも制限されていると解釈されています。公人たる者はスクリーンやテレビの表世界だけでなく、公衆の関心に応えるべく、ある程度裏側の私生活をのぞき見されてもやむを得ない、とされています。 
  有名人はマスコミその他による私生活への干渉をある限度まで甘受しなければなりませんが、反面、コマーシャルの世界では、莫大な経済的報酬を受けることができます。 
  なぜなら、これらの有名人は容姿・演技・プレーなどの能力において公衆を魅了する資質の持主ですから、その肖像や氏名を少しでも露出しただけで公衆の注目を惹くので、商品やサービスの販売を促進するのに役立ちます。パブリシティの権利は、宣伝価値をもつ著名人の権利といえるでしょう。 
  ですから、有名人の肖像・氏名・音声・サイン等はパブリシティの権利の中に含まれると考えられますので、無断で複製して配布すれば、その有名人本人又は所属事務所から抗議されるでしょう。 

       「商品企画のための著作権」より  社団法人日本印刷技術協会 編

 

(2004年1月26日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

キャラクター使用には許諾が必要でしょうか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:知的財産権

Q:キャラクター使用には許諾が必要でしょうか。

A:キャラクターとは、物語などに登場する人物・動物などの名称・姿態・役柄などをいいます。実在の人物をいうこともありますが、普通は架空のキャラクラーを指します。
 キャラクターにも二通りあって、小説の中で創り出されたものと、雑誌やテレビマンガに登場するように具体的に描かれているものとがあります。後者のマンガについては「サザエさん事件」(東京地裁、昭51.5.26)で裁判所が明らかにしたように、れっきとした著作物なので、これらを無断でポスターやチラシに印刷すれば著作権侵害となります。
 商品自体にキャラクターをプリントして販売するケースが多く見られます。これは、製造・販売業者がマンガの著作権者から使用許諾を得て商品に使用しています。このように標章類を商品に使用させる権利を商品化権(マーチャンダイジング・ライト)といい、プロ野球球団のマークやオリンピックのシンボルマークなどもあります。
 そして、この使用許諾に当たっては、商品の単価に一定の比率をかけそれに出荷数を乗ずるといった「印税」支払いの方式がとられています。また、商品化権の許諾には通常その標章を使用した商品の広告宣伝も含まれますから、その商品を写真に撮って広告に使うことができます。
 以上のようにキャラクターのような著作物は、誰がどのような過程で複製しても、権利者から追及されます。
 「商品企画のための著作権」社団法人日本印刷技術協会編より

 

(2005年4月4日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

製作中の印刷物が著作権侵害と分かったとき途中で製作を中止しても発注者からそれまでの代金を取れるのでしょうか

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:知的財産権

Q: 製作中の印刷物が著作権侵害と分かったとき途中で製作を中止しても発注者からそれまでの代金を取れるのでしょうか 

A:著作権を侵害した場合、通常は民事事件として権利者からその行為の差止めと損害賠償を求められます。また、民事だけでは満足されず刑事事件に持ち込まれることもあります。

  この問題で、権利の侵害者は通常発注者であって印刷を請け負った印刷会社ではありません。印刷会社は発注者の「指図」によって仕事をするわけですから発注者が具体的行為者と考えられるでしょう。ただし、例外もあります。印刷会社が発注者と通謀して不法な印刷物を製造・販売した場合は「共犯」「従犯」とされるでしょう。

  印刷途中で著作権侵害に気づいた場合は、単に発注者が著作権法を知らないために起こったミスならば、発注者に必要な権利処理をするように働きかければよいので製作を中止するほどのこともないでしょう。
  その印刷が明らかに発注者の「故意」による犯罪行為である場合には印刷物製作の中止もやむをえないかもしれません。そうすると、印刷の仕事は請負契約ですから仕事が完成しない限り代金を取れない建前があります。しかし、製作を中止し発注者との契約を破棄せざるを得なくなった原因は発注者の反社会的な不法行為にあるので損害賠償を求めることも可能でしょう。

「商品企画のための著作権」社団法人日本印刷技術協会編より

  

(2006年6月12日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

絵柄の中に外国の国旗や五輪マークを印刷するときにどこに許可をもらったらいいか?

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:知的財産権

Q: 絵柄の中に外国の国旗や五輪マークを印刷するときにどこに許可をもらったらいいか?

A:商標や意匠に使うことはそれぞれ商標法、意匠法で禁じられていますが、広告等に使う場合には、国内法、国際法および条約上に規制はありません。しかし、実際問題としては各国それぞれ厳重な国内法規をもっていたり、国旗に対して厳格な感情をもっている場合も多いので、その’尊厳’を傷つけないよう十分な配慮が必要です。 
 外国国旗を広告物に印刷したり、店頭や催し物会場に掲げたりしたいときは、当該国の大使館から許可を得たほうがいいでしょう。原産国を誤認させるような使い方は、景品表示法、不正競争防止法で禁じられています。
 五輪マークについては、かつて東京オリンピック当時、岐阜のちょうちん業者が無断使用して紛争が起きたことがあります。このとき東京地裁は「比較的簡単な図案模様にすぎないから、ただちにこれを著作物というには躊躇せざるを得ない」と判断を下しました。
 このことから、五輪マークを無断で広告に使用してもただちに権利侵害とはならないことになります。しかし、五輪マークはオリンピックのシンボルであり、IOCなどの団体が長年の慣行として、商業目的として使用するときは許可を必要とし、かつ有償としていることなどを勘案しますと、この慣行を尊重すべきだと思われます。

 

(2007年7月2日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

電子受発注の中で、消費者の重大な過失とはどの程度までのことを指すのでしょうか?

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:知的財産権

Q:電子受発注の中で、消費者の重大な過失とはどの程度までのことを指すのでしょうか?

A:例えば商品を「1個」買うつもりだった消費者が、パソコンの操作ミスにより「11個」 買うとウェブの申込ページに打ち込み、その間違いに気づかないまま 申込み(送信)し、商品が発送されて誤りに気づいたとします。 
 電子契約法(電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律)が無い頃は、この消費者は、民法95条により、錯誤による契約無効が主張できますが、同条には但し書きで例外があり、この消費者のミスに重大な過失があれば契約無効の主張はできません。この場合、契約を有効としたい事業者側は「重大な過失があり契約は有効だ」と主張できます。
ここで、「重大な過失」とは、「重い不注意」つまり「通常ちょっと注意すれば間違いに気づく程度だった状態」をいいます。 実際、「重大な過失」かどうかは、個別事情によってケースバイケースで判断されるため、例で記載したパターンが一律「重大な過失」とはいえません。しかし、クリックミスや数字の打ち間違いが重大な過失と認められるケースも従来あり、事業者側の立場としては「重大な過失があった」と主張することになるため、法的に不安定な状態でした。
 電子契約法施行後 前述のような特に消費者側にとっての不安定な状況を払拭するため、電子契約法が制定されました。この法律は、事業者側が消費者の申し込み内容など意思を確認するための適切な措置を設けていない場合には消費者側を保護するもので(電子契約法3条)、仮にこの場合、消費者側に「重大な過失」があっても、民法95条ただし書の例外が適用されず、事業者側は消費者側の重過失を問えないことになりました。
 逆にいうと、事業者側が消費者の申し込み内容などの意思を確認するための適切な措置を設けていれば、従来どおり、契約有効を主張する事業者側は錯誤無効を主張する消費者に「重大な過失」を主張することになります。
この場合、事業者側が主張する「重大な過失」としては、例えば「システムで申し込み内容の確認を求めており、ちょっと注意すれば誤りに気づくようになっているのに、これに気づかなかった」点等と考えます。

※民法95条
 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重  大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

※電子契約法3条 民法第九十五条 ただし書の規定は、消費者が行う電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示について、その電子消費者契約の要素に錯誤があった場合であって、当該錯誤が次のいずれかに該当するときは、適用しない。ただし、当該電子消費者契約の相手方である事業者(その委託を受けた者を含む。以下同じ。)が、当該申込み又はその承諾の意思表示に際して、電磁的方法によりその映像面を介して、その消費者の申込み若しくはその承諾の意思表示を行う意思の有無について確認を求める措置を講じた場合又はその消費者から当該事業者に対して当該措置を講ずる必要がない旨の意思の表明があった場合は、この限りでない。
   一  消費者がその使用する電子計算機を用いて送信した時に当該事業者との間で電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を行う意思がなかったとき。
  二  消費者がその使用する電子計算機を用いて送信した時に当該電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示と異なる内容の意思表示を行う意思があったとき。

 

(2007年10月1日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

ノーカーボン紙に減感インキを印刷すると給水ローラに絡みやすくなりますが、対策はありますか

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:オフセット印刷

Q:ノーカーボン紙に減感インキを印刷すると給水ローラに絡みやすくなりますが、対策はありますか

A:減感インキは絡みやすいインキです。乳化したインキは粘りが無くボソボソした感じになり、ツボから出たインキはローラ上で粘りがないためインツボに戻ろうとする力が無くなります。インキローラ上で新しいインキとの交換がやりずらく、さらにインキ乳化が進みます。それがローラ上のインキ余りになって給水ローラの端に溜まり、またブランケットの端についてしまいます。 
 対策として版面の水上がり量をできる限り少なくすることですが、版面の水上がり量が見ずらくて調整が困難です。水量を減らして版面が乾いて汚れを発生させます。次に水量を徐々にあげて版面から汚れが取れたところが水上がり量の最適量と考えます。
また、エッチ液の入れ過ぎも考えられます。エッチ液には親水性高分子が入っておりエッチ液を増やすことは、更にインキ乳化を促進します。減感インキの印刷時は通常のエッチ液量を少なめにすることです。または、エッチ液を他の種類に換えてみるのも一つの方法です。

 

(2008年3月24日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

マンガ雑誌の本文の紙に色々な色が使われていますが,何か意味がありますか?

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:後加工

Q:マンガ雑誌の本文の紙に色々な色が使われていますが,何か意味がありますか?

A:週刊のマンガ雑誌に使われている表面がザラザラした用紙のことを印刷せんか紙といいます。白だけでなくオレンジやグリーン、イエローといった色のついた紙が多く使われています。
この印刷せんか紙は非塗工紙の中でもグレードは低い部類に入ります。
この印刷せんか紙は、古紙から作られており新聞古紙を30~40%と、印刷工場や製本工場から出る裁落としを原料とするのが一般的です。印刷せんか紙には色がついているものが、殆どです。
色がついている理由は大きく二つあります。
第一に製紙メーカーの側の事情があります。印刷せんか紙は新聞古紙を多く含んでできていますが、脱墨技術が進歩したとはいえ、完全に脱墨することは困難であり、どうしても黒ずんでしまいます。真白にはできないということです。これをカバーするために用紙に色をつけるようになりました。
第二に、出版社側のコストの面です。以前はマンガ本もすべて白い紙を使い、何種類かの色インキで印刷していたようです。しかし、色数が多いと制作コストが膨らみます。そこで、墨インキ一色で何色かの印刷せんか紙を組み合わせることにより本に変化をつける工夫をしました。
ここで、製紙メーカー、出版社のメリットが一致した結果マンガ雑誌は殆どのページが色用紙で占められています。
また読者にとっても、同じ色の用紙だと中間まで読んでいくと飽きてくるかもしれません。読んでいるうちに、このモノクロのワンパターンがもたらすマンネリを緩和する、メリハリをつけるといった意味があるようです。

 

(2001年11月19日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

縦目のA4広報誌を発注していますが,横目にしてもよいかのでしょうか?

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:後加工

Q:縦目のA4広報誌を発注していますが,横目にしてもよいかのでしょうか?

A:縦目のA4広報誌を発注していますが,印刷会社から横目にしてもよいか,と聞かれたという質問がありました。 用紙は木材の中の植物繊維からできています。紙の目とは、木材の中にある植物繊維の流れている方向のことをいい、日本工業規格で定められた用紙の長辺に平行に目が流れているものを縦目、短辺に平行に目が流れているものを横目の紙といっています。
書籍にしたときには、左右に開きますから紙の流れ目は上下に流れていなければなりません。つまり必ず本のノドに平行になっていなければなりません。
上記の質問の場合、おそらく今までクライアントの方はA4仕上がりの広報誌が縦長の状態で、その結果として縦目になっている、だから「従来は縦目で」といっていると思います。
逆に、もしその広報誌の仕上がりが横長の状態であるなら、その紙は横目の状態になっていなければなりません。
印刷業者が「横目でやってもいいか」といったのは、あくまで製造上での話しだと思います。発注側としては仕上がりが横長でも縦長でも結果として書籍のノドに平行に目が流れていれば問題ありません。
例えば仕上がりがA4版縦置きの広報誌の場合、その広報誌を印刷するには、菊全の印刷機(A全版でもいい)で印刷する場合は菊全横目の用紙を使用しなければなりません。また、菊半裁(A半裁でもいい)の印刷機で印刷する場合は菊半裁縦目の用紙を使用しなければなりません。
印刷業者は、全版の原紙寸法の状態で紙の目のことをよくいいますが、印刷業者以外の方は仕上がりの状態で目のことをいう傾向があると思います。
上記の場合は、印刷業者とクライアントとの、紙の目に対する考え方の違いの表れだと思います。こういう場合、印刷業者はあくまでお客さんの考えを理解することを心がける事がトラブル回避へもつながると思います。
ちなみに、紙の目がノドに直角の状態(逆目)の場合、最初のページは開けても中のページは開けなくなり本の機能を果たすことはできません。

 

(2001年11月19日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)