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無線綴じ本の小口に凹凸ができますが、どうしてでしょう?

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:後加工

Q:無線綴じ本の小口に凹凸ができますが、どうしてでしょう?

A:無線綴じの本ですから、製本してから三方断ちします。三方断ちした直後は当然に小口部は揃っています。しかし、その後の保管の仕方によっては、少々波打つこともありえます。原因は、湿度の具合によることが考えられます。
 印刷工場では、用紙のゆがみを防ぐために常に、湿度を55~60%前後に保っています。それは、用紙が55~60%前後の水分を含んでいるため、それよりも少なくなると用紙は縮み、多くなると広がります。
 本の保管も、湿度の変化が大きい情況におかないことが大切でしょう。
用紙がゆがむ方向は、目に平行に広がりが大きく、目の方向には広がりが小さいです。したがって、マニュアル本は小口に平行に目が走っていますから小口部分が波打ちが大きく、天地方向は少なくなります。

 

(2001年11月26日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

抗菌コートとは何ですか?

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:後加工

Q:抗菌コートとは何ですか?

A:抗菌コートとは、各種の抗菌剤を、オーバープリント用インキまたは染料に分散させ、印刷加工製品にコートすることによって、低コストで抗菌効果機能を付加させる技術です。 
 従来の抗菌処理製品は、プラスチックに抗菌剤を練り込んだものが多く、小ロットものへの対応はコスト高になっている。この技術は、印刷後のオーバープリントや、塗料のコートで抗菌効果をださせるものなので、プラスチック製品だけでなく紙製品にも応用可能です。
 製作方法:通常のオフセットやグラビアで印刷されたものの表面に、抗菌ニスをオーバープリントまたはコーティングで加工処理します。

 

(2001年12月24日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

中とじ製本のホッチキスの間の寸法には規格があるのでしょうか?

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:後加工

Q:中とじ製本のホッチキスの間の寸法には規格があるのでしょうか?

A:特に決まった規格はありません。しかし、ランダムに綴じているわけではなく一応の目安はあります。
 一つの考え方をご紹介します。上のホッチキスの中央から下のホッチキスの中央までの距離が、書籍の天地寸法の2分の1になるようにして、天から上のホッチキスの中央までが天地の4分の1、下のホッチキスの中央から地までの距離が天地の4分の1となるように機械を設定することが多いです。この寸法で綴じれば可も無く不可も無く、バランスよく製本できます。 
 これは、あくまでも基本的な考え方であり、この寸法に拘る必要はありません。多くの場合は、出版社から製本会社へ具体的な指示がなされています。

 

(2002年1月21日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

ラミネートとはどんなものですか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

Q:ラミネートとはどんなものですか。

A:ラミネートとは、印刷物やデジタル出力紙等の保存性を高めるため、ラミネートフィルムを印刷物の両面、又は片面に貼ることです。使用する基材フィルムの光沢性により、付加的に高級感がえられます。頁物、表紙のPP貼りは良く知られるところです。 

 【ラミネート加工するための目的】
  まず出力紙の染料、顔料トナーインキの退色を防止することです。変退色要因の酸素(オゾン)、湿度、光をラミネートフィルムが遮断します。次に、ラミネートフィルムの光沢性により、インキ等では出すことができない高級感を付与することができます。また、紙や印刷インキの耐衝撃性や引裂強度を向上させ基材の補強をはかるという表面保護の役割があります。
  また、紙面とインキ面との接着力が弱い出力紙で、ラミネートフィルムを貼ることにより、耐磨耗性を向上させることができます。

 【ラミネートフィルムの種類】
  ラミネートフィルムの基本構成は、基材フィルムA/接着層Bで構成されます。
(1)Aが12μ/Bが20μ、トータル32μのラミネートフィルムを薄手フィルムと呼び、ポスター等展 示用に使用されています。
(2)Aが50μ/Bが50μ、トータル100μのラミネートフィルムを中手(なかて)フィルムと呼び、メ ニュー等に使用されています。
(3)Aが75μ/Bが75μ、トータル150μのラミネートフィルムを厚手フィルムと呼び、下敷き等に使 用されています。
(4)光沢加工用のPPフィルムは、AがOPP15μマットと光沢の2種類、Bが12μ、トータル27μが標準 的です。

 【加工方式】
  ロール式とパック式の2種類のラミネーター(ラミネートフィルムと印刷物を貼り合わせる装置)があります。ロール式はラミネートフィルムが巻物状となっていて、被ラミネート物は、枚葉・長尺物でもラミネート可能で大量生産型です。使用できるフィルムは薄手、中手、厚手、PPフィルム何れも可能です。
  パック式は、枚葉専用で使用フィルムは中手のみで、枚葉のフィルムの接着面を2枚重ね合わせて、ラミネート時に被ラミネートのズレを防ぐために間にシールを挟んでから被ラミネート物を中に入れてラミネーターに通す方法です。この作業は手動で行ないます。最大A3判迄ラミネート可能で、少量生産型のラミネーターです。

 【環境問題】
  印刷物は、いずれは廃棄物として焼却されますが、その際にダイオキシンが発生するかどうかが問題になります。
  ラミネートメーカーは、官庁のグリーン調達が進む以前からこの問題にいち早く取組んできており、オレフィン系樹脂などのエチレン共重合体等を原料としたフィルムを開発・使用しています。したがって、オレフィン系樹脂を使用したラミネートに関してはダイオキシンが発生することはありません。
  ダイオキシンを発生させる物質は、塩素・臭素・フッ素・ヨウ素などのハロゲン化合物です。例えば、塩素系の製品である塩ビ包材などを可燃ゴミとして焼却すると塩化水素ガスが発生します。それに生ゴミから出る水蒸気と混ざることで、可燃性物質も不燃性の塩化水素ガスの中で不完全燃焼しダイオキシンが発生しやすくなりますので、塩化ビニール、塩化ビニリデン等の塩素系有機化合物を原料にしなければ、ダイオキシンは発生しません。

 資料提供:東京ラミネックス(株)

(2002年7月1日)
(印刷情報サイトPrint-better・「ナンデモQ&A:後加工」より転載)

 

>>よりわかりやすい(初心者向け)の説明はこちら
高級感や保存性をアップする「ラミネート加工」とは【印刷基本のき】

製本用接着剤の種類と今後の動向はどうでしょうか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:後加工

Q:製本用接着剤の種類と今後の動向はどうでしょうか。

A:【製本用接着剤】 
  製本用接着剤として使用されているホットメルト(hot melt)接着剤は、通常はチップ状の固体です。一般的には、約180℃の熱を加えて溶解させて、本の背の部分に塗布します。そこに表紙を貼り付けて、プレスによって形を整えて製本します。熱を加えると解けて流動性が発現し、熱が冷めることにより固化する即硬化型の接着剤です。 ホットメルト接着剤の成分には、ベース樹脂として熱可塑性ポリマーのEVA(エチレン酢酸ビニール共重合体)樹脂が使用されています。その他に、粘着付与剤やワックスや安定剤が配合されています。

  もともと紙器関連で使用される接着剤は、デンプンを水に溶かしたデンプン糊が主流でした。その後、デンプンに代わって、合成樹脂を主成分にしたエマルジョン型接着剤が開発されました。エマルジョン型接着剤によって、デンプン糊に比べて乾燥性を向上させることが可能になり、製造ラインのスピード追随性の要求される工業用途で普及しました。更に、ホットメルト接着剤の開発により高速接着が可能になりました。合成樹脂を水に分散させたエマルジョン型接着剤に比べ、ホットメルト接着剤は冷却により接着性が発現するため、スピード追随性は向上します。 製本用としても、かつてはデンプン系接着剤が使用されていました。その後、スピード化によりエマルジョン型接着剤に置き換わり、更に一部の製本を除いてホットメルト接着剤を使用することによって、ラインスピードの向上を実現してます。

 【ホットメルト接着剤の種類】
1. 反応性ポリウレタン系ホットメルト接着剤(PUR-FECT Lok MR95S)
  反応性ポリウレタン系ホットメルト接着剤は、ポリウレタン系の樹脂をベースにしています。Poly Urethane Reactiveの略で『PUR』と呼ばれています。この接着剤は、空気中の湿気や被着体(紙)の中に含まれる水分と反応して硬化します。この反応は不可逆的架橋反応であるため、通常のホットメルト接着剤とは異なり、反応終了後は加熱しても溶剤に浸しても、再び溶解することはありません。PURは建築用パネル、流し台など耐熱性を要求される用途で使用されていましたが、ウレタン樹脂が非常に柔軟であることから、製本用途にも使用されるようになりました。ヨーロッパやアメリカではEVA系のホットメルトに代わって、PURの普及が急速に進んでいます。日本の製本分野においては、10年程前から無線製本にPURが使用されています。日本の市場では、無線製本以外に、独特のアジロ製本があり、アジロ製本への対応が難しいとされておりましたが、最近ではPURの開発も順調に進み、7000冊/時程度のスピードでPURのアジロ製本が行われております。

  2. エマルジョン&ホットメルト 2ショットシステム(TWINFLEX R)
  ヨーロッパで開発したシステムで、第一ショットとしてエマルジョン型接着剤を塗布し、第二ショットとしてホットメルトを塗布する2ショットの製本方法です。
  エマルジョン型接着剤とEVA系ホットメルト接着剤の相性は悪く、一時的に接着しても、その界面で剥離が発生しやすいものであります。しかしながら、このシステムに使用されるエマルジョン型接着剤は特殊なものであり、ホットメルト接着剤と反応することにより強靭な仕上がりが得られます。ヨーロッパでは無線製本だけでなく、上製本の下固め用にも使用されております。上製本に使用する場合は、この接着剤が強靭であるため、糸かがりをなくして無線上製で製本することが可能であり、トータルコストダウンに寄与しております。
  エマルジョン型接着剤による下固めは、エマルジョンの初期強度発現に合わせて低速のラインスピードで生産し、養生時間も必要です。この2ショットシステムを使うとホットメルトの固化速度での生産が可能で、養生時間も不要です。無線ラインでの下固めから直結で丸み出しラインに本を流すことができるので、工程時間を極端に短縮することが可能です。残念ながら日本での実績はまだありません。

3. 低温塗布型ホットメルト接着剤(クールバインド234-1304)
  低温塗布型ホットメルト接着剤は、120℃で塗布できる接着剤です。塗布温度が低温のため、ホットメルトの固化スピードが早く、揮発成分が少ないため機械の汚れが減少し作業環境が改善につながり、低温により安全性も向上します。
  従来の180℃で溶解するホットメルトを刷本に塗布すると紙の中の水分が急速に蒸発して、紙にしわが発生したり、ホットメルト接着剤の皮膜の中に気泡が入り込み、皮膜に巣が発生しやすくなります。120℃という低温で接着剤を塗布することにより、このようなトラブルを抑制することができます。また、機械周りの臭気、汚れも低減できますし、機械のメンテナンスの点でも利点があります、低温塗布型ホットメルト接着剤は、今では製本分野だけでなく、包装用ホットメルトを含めて、世界的なトレンドになっております。専用の塗布装置も不要で、現行の生産ラインのままで180℃塗布のホットメルト接着剤からの置き換えが可能です。

4. 耐溶剤ホットメルト接着剤(インスタントロック MV152)
  印刷に使用されるインキには溶剤が使用されています。最近の短納期の流れの中で、その溶剤を揮発させるに十分な養生時間が得られず、印刷物の中に溶剤が潜んだ状態で製本されるケースがあります。この場合、製本した後に印刷物の中に潜む溶剤がホットメルト接着剤を劣化させて本が壊れるというトラブルを引き起こします。最近では、環境対応のため大豆インキが使用されるケースが増えましたが、大豆インキに使用される溶剤が揮発しにくい性質をもっており、ホットメルトの劣化のトラブルが起こりやすくなったと言われております。
 耐溶剤ホットメルト接着剤とは、溶剤に強い原料を使用することにより、溶剤の影響を受けにくい性質を付加した接着剤です。しかしながら、100%の耐久性があるのではなく、劣化に至るまでの良好な状態を長期間維持することができるというレベルのものです。いずれ劣化して壊れる可能性があることは否定できません。100%の耐久性を求めるのであれば前述のPURを使用するしかないです。

5. 汎用ホットメルト
 これは通常のホットメルトの総称であります。約30年も前から使われているものです。ベースが熱可塑性ポリマーで、その中でEVA(エチレン酢酸ビニール共重合体)が主成分です。

 【今後の動向】
  世界的にみると、反応性ポリウエタン系ホットメルト接着剤(PUR)、低温塗布型ホットメルト接着剤への移行の動きが顕著にみられます。  
  しかし、日本では現在使用されているホットメルトのほとんどが一般的な汎用のホットメルトのままです。その理由は汎用のホットメルトの方が当然のことながら価格が安いということです。日本では出版不況の流れの中で製本単価も下落を続け、製本関連業で利益を上げてゆくことは年々難しくなってきております。結果的に、ホットメルトについても見かけの価格を追い求める傾向が続きました。しかしながら、本当に単価の安いホットメルトを使う方が低コストなのかどうかを考えると、そのやり方は必ずしも正しいとは言えない場合もあります。それは、一冊あたりに使用する接着剤費用や接着剤が関わる部分の経費を計算すると、ホットメルトの見かけの値段だけで判断するのは必ずしも正解とは言えないからです。
  欧米ではユーザーだけでなく、接着剤メーカーもユーザーでのトータルコストダウンを試算・提案するのに積極的であります。汎用のホットメルトと比べて、1冊あたりの塗布量がいくらになるのかということから、ホットメルト関連部分でのコスト試算を細部に渡って数値化して比較しています。塗布量の計測もただ単に塗布厚で比較するのではなく、1冊あたりに使用するホットメルトの重量を計測して数値化しています。ホットメルトによっては紙に染み込むような性質のものもあるため、このようなホットメルトを使用すると単価は安くても使用量は多くなるので結果的にコストアップになります。更に、反応性ポリウレタン系ホットメルトの場合、それによって得られる付加価値や回避できる損失を数値化します。低温塗布型ホットメルトの場合も、エネルギーコストだけではなく、熱安定性に起因する汎用ホットメルトのマイナス点、低温塗布によって得られる紙のシワ、ホットメルト層の気泡などのメリット、機械汚れや機械のメンテナンスなど具体的な点を加味して比較しています。

  こらからの日本の方向としては、紙のリサイクルに適した難細劣化ホットメルトとしての条件を兼ね備えているということを前提として、付加価値の高いものが導入されてゆくことになると思われます。
  難細劣化ホットメルトは、古紙再生の時に脱墨原料の離解に使用されるパルパーというミキサーの中で、ホットメルト接着剤が細劣化せず除去できるという条件を満たしたホットメルト接着剤のことです。PURは難細劣化ホットメルトの条件を満たしておりますし、低温塗布型ホットメルト接着剤や耐溶剤ホットメルト接着剤や汎用ホットメルト接着剤も試験をクリアすれば、難細劣化ホットメルト接着剤として認可されます。このような認可をしているのは日本だけであり、欧米でも導入されることはないと思いますが、今後はこのような条件をクリアしつつ、さらに付加価値のある接着剤の開発と付加価値のある製本に向けて試行錯誤をしてゆくことが必要であると考えております。

 取材協力:日本エヌエスシー(株)
       TEL 03-3504-9680

 

(2004年5月10日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

糊綴とはどういう綴じ方ですか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:後加工

Q:糊綴とはどういう綴じ方ですか。

A:折りと綴じをインラインで行い、綴じ部分を糊を使用する方法を糊綴じといいます。糊そのものは水性系のボンドが主体で紙質によってはホットメルトが使用されます。糊付製本は折機メーカーが折機の中で中綴じ製本ができないかということから考えられており、折機の中でフィニッシュできる製本機ということで開発されたものが糊付製本機です。  
 機械は25年以上前から開発されていました。当初、エマルジョン装置は国産では市販化されておらず、糊付装置も折機メーカーが自作したそうで、点滴型というタンクを上に吊り下げて重力の力で糊を下げるという方法でしたが、現在では国内外の糊付装置メーカ-の物を使用し方式もタンクで真空圧にして点糊・棒糊のどちらでも圧力で吹き付ける方法になっています。
 現在の糊付製本機は折るだけでなく貼ったり重ねたり仕上げ断ちする機能が付いています、その折・丁合・綴・断裁仕上げを一貫工程する物が糊綴機です。

  糊付製本で単純なものとして直角2度折り8ページの冊子があります。一回折ってもう一度折るという工程の中で糊注しをします。刷り本が搬送されて折り目になるであろう部分に機械の先端部分に取り付けられているボールペンの先のような形をしているノズルから糊が噴射され、この糊注しされる距離はコントロ-ラ-にプログラムされています。そして二つ折りされると糊が付着された部分が接着します。その次にまた折られて天地小口を断裁すると8ページの冊子になります。
  これが通常の針金の8ページの場合、一回折り機で折ったものを広げ鞍がけをしてステッチする方法と、ペラを2枚給紙し2枚重ねに丁合いしてステッチして折って小口を断裁という方法とがあります。
  また、16ページ折の場合は加工方法が3パタ-ン有りますが、代表的な物は糊付けをして折り、一度折った刷り本の90度向きを変えて糊付けをして折るというように機械そのものが特殊仕様の機械で折丁がつくられます。
  これらは1枚のシートから作る方法です。しかし、顧客の要望から別々の折り丁と表紙を同じラインで出来ない物かとの要望に対応した物が糊綴機です。
こうした糊綴機には鞍が3鞍から6鞍あり、糊貼りされた折本を更に糊付けして貼りあわせながら折り重ねて、最後にチョッパーで折られて三方断裁し仕上げるというように多ページにも対応できます。
  そして糊綴機は針金綴じでは難しいとされたものが簡単にできるようになりました。例えば表紙を開くと中は観音折にしておくことができ、観音折が左右に現れるというダブル両観音ができます。針金綴じではできないとはいわないまでもやるには難しいです。糊綴じの用途としてはカタログ関係が圧倒的に多いです。

 取材協力 ㈱正栄機械製作所
http://www.shoei-folder.co.jp

 

(2006年2月6日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

丁合い作業中の事故を防ぐにはどう方法がありますか?

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:後加工

Q:丁合い作業中の事故を防ぐにはどう方法がありますか?

A:落丁、乱丁、取り込みなどの事故を防ぐために、各折り丁の背に背丁、背標などを印刷します。
  背丁とは、刷本の区分を表示するために入れる品目(書名)、巻数、折り名(折りの区分数字)のことです。印刷・製本の現場では常に複数の品目が生産されています。中には印刷紙の品質や色合い、判型が同じものがあります。これらの刷本の混入を避ける目的で背丁がつけられます。通常は折り丁の背の外側の部分に印刷します。
  背標とは、糸かがり・平とじ・無線とじ・アジロ・中とじなどを製本(丁合い)する際に乱丁・落丁・取り込みを防ぐ目的でつけるスミベタの潰しのことで、丁合いミスだけでなく平台での裏折りを防ぐ目的もかね、折り丁ごとにつける位置を山型にずらしていれます。

 検査装置
  厚み検査装置。製本機には取り込みや取り落ちを防ぐために、丁合い機の各ステーションごとに取り付けられています。フィーダボックスから折り本がグリッパーで引き出される際、この装置によって折の厚みが計測され検出されます。
  背標検知。折り本の背に印刷したマーク(背標)を電気的にチェックします。丁合い機の各フィーダーボックスの背標に当たる部分に反射式の光電管を取り付けて、背標が決められた位置にあるかないかをチェックし、背標がなければ異常を知らせる装置です。

「製本加工はやわかり図鑑」社団法人日本印刷技術協会 より

  

(2006年6月19日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

薄紙を使用した製本のトラブルと対策にはどんなものがありますか

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:後加工

Q:薄紙を使用した製本のトラブルと対策にはどんなものがありますか

A:薄紙は連量や斤量で一般的にどのくらいの重さのことをいうのか概念として明確ではなく感覚で捉えられていることが多いです。一般的には四六判換算で55キロ以下が薄紙とされているようです。薄紙を扱う際に起こるトラブルの代表的なものは次のものがあります。
①印刷工程
 薄紙は温湿度の影響を非常に受けやすい。季節によっても温湿度の差は大きいので印刷工場内の空調は常に温度25℃前後、湿度60%前後という条件を保っておかなければなりません。空調が整っていないと特に枚葉機の場合はフィーダーから紙がうまく流れないというトラブルにも繋がります。
②折加工工程
 折り機にはバックル折りとナイフ折りの2つがありますが、バックル内でのたるみが出やすいので薄紙にはナイフ折りのほうが有利といえまが、現状では最初の折りはバックルで折るケースが多いです。たるみを防いだり直角の精度を出すには、機械のスピードを調整しながら作業する必要があります。
③丁合工程
 くるみ機までの間で折丁を垂直に立てなければなりませんが、そのときに薄紙には腰がないため折れ曲がりやすくなります。この場合、基本的にはページ数を多くし(16→32頁)て厚みを稼ぐことで折れにくくしていることがあります。
④くるみ工程
 プレスで背を成形するところで、皺などが出やすく品質上の問題が発生することもあります。特にアジロでは糊を中に押し込むために背中が膨らみ、それを平らにするために強くプレスをかけるとストレスが発生し皺になることもあります。同じ台数、同じ紙質のレベルで無線綴じとアジロ綴じを比べると後者のほうが背中を叩くので皺が出やすいと言えます。また、1枚目だけ表紙側に向かってめくりあがる現象があり、俗に「まくれる」といわれるといわれることですが、そうしたケースは無線綴じに発生しやすいです。アジロ綴じはミシン目部でつながっているので引っ張られてもあまり影響がありません。無線綴じは糊の押し込みは少ないので背中の広がりの程度は抑えられますが、ミーリング後ペラとなり、1枚目だけまくれ上がるという事がある。無線綴じとアジロ綴じではどちらにしでも完全に皺を抑えられるというものはありません。
 こうした問題を少しでも解決するための手段としては糊の選定が非常に大事になってきます。これも糊の種類を変えることによって大分防げるようです。粘度が重要で、粘度が高い・低い、いわゆるさらさらしたタイプか固いタイプの方がイメージし易いでしょう。糊の粘度についてはいろいろなタイプがあります。基本的にはさらさらした糊の方が、浸透力があります。このような強く押し込まなくても接着力が上がるような糊を選択するという方法もとられています。

 

(2009年1月12日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

無線綴じ工程でのラフニングとは

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:後加工

Q:無線綴じ工程でのラフニングとは

A:ラフニングとは折り丁の背を毛羽立たせる加工をいいます。ラフニングは折り丁の背を針のような刃で引っかくようにして行い、紙の繊維を立たせることによりホットメルトの浸透を容易にします。 
 主にヨーロッパ製の製本機には標準仕様としてラフニング機構がついており、ヨーロッパではこのラフニングを使った無線綴じが普及しています。特に開きやすさが求められるような仕様のものについては、「ラフニング+PUR」の組み合わせで製本されることが多いようです。しかし、日本では比較的大きな製本会社でもラフニングしない無線綴じが多いようです。
 これは使用される用紙の紙質が大きく関係しているようです。日本で流通している用紙は欧米に比べて短繊維のものが多く、ラフニング効果があまり期待できないとされているためです (繊維が短すぎるために、ラフニングによって繊維の絡み合いがほどけてばらばらになってしまう) 。それに加えて日本の雑誌のように、上質紙、中質紙、コート紙、グラビア紙など多種の用紙を混用する製本形態では、ラフニングだけで十分な接着強度を確保することは出来ず、ノッチング(ガリ入れ)は不可欠の工程となります。 10余年程前から、輸入製本機にも種々の改良が加えられ、特にノッチングが綺麗に入るようにW-diskなどノッチングを入れるときの刷り本の締め圧を強くするような機構が標準的なものとなってきました。それ故現在では、通常の製本時にノッチングを十分に入れておけば、ラフニングの必要性は殆んどないといえます。ある機械メーカーでは、ラフニングはPUR製本のためのものとまで言っているところもあるようです。
 最近では特に開きやすさを求められるために、PURを使用した製本が行われるケースが増えてきましたが、このような場合にはノッチングを全く入れないか、或いは入れても極浅めにしか入れないため、ラフニングによってPURの浸透を助長することも必要になります。以上のように現状では、通常のホットメルト製本時に、ラフニング工程を省略している製本工場のほうが多いものと思われます。

 

(2009年7月6日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

点字印刷の方法「ミューズプリント」について知りたい

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:点字印刷の方法「ミューズプリント」について知りたい

A:点字の印刷方法は、紙などの印刷物の裏から圧力をかける「エンボス加工」法が主流ですが、この場合,駅の案内板のような硬い物にはエンボスできません。
新しい方式である「ミューズプリント」技術は、印刷したい面の上に紫外線で固まる特殊インキを0.4ミリ程度の厚さに盛り上げて点字にします。紙から金属、アクリルまで幅広い素材に印刷できる。透明インキを使えば、通常の活字などの上に直接点字をつけることも可能で点字用の特別なスペースを設ける必要はありません。

 

(2001年10月8日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)