レポート」カテゴリーアーカイブ

球体へ多色印刷するときのポイントは?

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:球体へ多色印刷するときのポイントは?

A:ゴルフボールなどにカラー写真が印刷されている場合があります。これは、凹版オフセット印刷機によって印刷されます。
 通常、商印・出版などで多色印刷する場合、必ずトンボというものがあり印刷機の色見台のところでオペレータが各版のトンボを合わせて見当合わせをして印刷します。
 しかし、球体上ではトンボをつけて見当合わせをしてあとから截ちをする事が不可能なため、トンボによる見当合わせはできません。
 一例ですがご紹介します。球体へ多色印刷する場合、まず写真原稿を4色に色分解し、その分解データを(ポジ画像)パソコン上で横並びにBk/C/M/Yと並べます。分解データを並べるときに各色の絵柄間のピッチ幅を正確に決めておく必要があります。ここでレイアウトをしているわけです。ピッチ幅をどうやってどのように決めるかは各会社が独自にプログラミングしているノウハウでしょう。
 次に、このデータをイメージセッタでエマルジョンダウンの状態でポジ出力します。そして、金属版にエッチングを施し刷版します。ここで、正確にピッチ幅を決められた横並びのBk/C/M/Y版が完成します。
 この版を、タンポ印刷機に取り付けます。もちろん、各色ごとのシリコンゴムのタンポ転写体が版の絵柄のピッチ幅に合わせて横並びにセットされます。
ゴルフボールは、受治具というタンポ印刷特有の被印刷体固定器具に固定され、横並びになっている版のピッチ幅に合わせて順番に移動して印刷されます。ここで見当精度を出しています。
 受治具は、被印刷体によって木材などで簡易につくられる場合もあり様々ですが、球体の場合はゴムを素材にして球状の受治具を作成します。ゴムだと球体をはめ込むと、圧力をかけて印刷しても動くことがないからです。

タンポ印刷専門
 有限会社 海鴻社  TEL 03-3697-1686

 

(2001年12月24日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

携帯電話のフレームやボタンへはどのように印刷するのか?

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:携帯電話のフレームやボタンへはどのように印刷するのか?

A:今、携帯電話を多くの人がもつようになりましたし、その種類の多さにも驚かされます。携帯電話のフレームにあるメーカーのロゴや文字表示、ボタンの部分の数字や文字やイラストは印刷されています。
 フレームへ印刷されているロゴや文字は、フレームが平面であるケースが少ないため、曲面用の凹版オフセット印刷されます。
 このとき、フレームにはプラスチックが多く用いられますが、その材質や塗装の種類やもいろいろあるようです。素材によってインキも選択されます。
我々が日常持ち歩くものですから、印刷した絵柄が剥げ落ちないようにしように、飲み物がこぼれても消えないように、等の実験を繰り返してインキが選択されているようです。
 ボタンの部分については、表面に通常の凹版オフセット印刷が施されています。
しかし、最近の機種は、よくみると透明なボタンでボタンの奥に数字などが印刷されているものが多いです。
 最近多いのが上記のタイプの印刷方法で、透明なアクリル樹脂のボタンの奥に文字が白、バックが黒で印刷されています。携帯電話は、暗い場所で使用するときに液晶画面とボタンの文字部分から光が透過します。透明なボタンの裏に白インキでスクリーン印刷やタンポ印刷が施されます。まず文字を逆文字で白や黒などで印刷したあとに(多くのスクリーン白インクは透過しにくい性質を持っています。)文字の上にホットスタンプを施したり、墨インキで印刷します。
 墨インキで印刷する場合、文字部分を抜いて光を透過できるようにしておく方法と、透過性のある墨インキで印刷する方法と、全面墨インキで印刷したあとにレーザーで文字部分を抜く方法などがあります。白インクと墨インクの光の透過性を考えながらさまざまな仕様を決定しているようです。
 以上のように、さまざまな機種の携帯電話が世に数ヶ月ごとに新発売されますが、世の中の人があまり意識していないであろう表示の印刷には、多くの手間がかかっていることを意識していただいて、大切に使いましょう。

 有限会社 海鴻社  TEL 03-3697-1686

 

(2001年12月24日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

パソコンのキーボードへはどのように印刷しているのか?

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:パソコンのキーボードへはどのように印刷しているのか? 

A:やり方としては、レーザーを照射して印字する方法とタンポ印刷による方法があります。
いずれの場合でも、キーをセットした基盤を作成し、そのキーの配列に合わせてレーザー装置をセットしたり印刷機の見当をあわせます。 
 レーザーを掃射して印字する方法としては、レーザーで照射すると、キーの照射された部分が焦げ付くような状態にするやり方と、キーそのものが製造されるときにレーザーをあてると発色する材料を混合させておいて素材を作成するケースもあります。
 タンポ印刷する方法では、それぞれの各キーに対応したシリコンゴムをセットして印刷します。その後に印刷部分を保護するために、クリアー(透明インキ)で印刷します。
 デスクトップのパソコンのキーボードは、レーザーで処理され、ノート型パソコンは、パッド印刷される場合が多いようです。
なぜなら、デスクトップパソコンのキーボードはある程度キーの数を揃えられる結果、各キーの役割は限られていますので、使用する人間の作業性に影響をあたえることは少なく、表示は1色ですみます。しかし、ノート型パソコンのキーボードは限られた範囲のなかで一つのキーを多種類もの機能のために併用しなければならず、そのためには一つのキーに2色以上で表示しておくと使い易いわけです。
 2色印刷するには、レーザーでは無理で印刷にならざるをえません。また、印字品質がタンポ印刷の方がレーザーで印字したものと比べ良いため、高額なノートパソコンに使用されているのもその要因の1つです。
 あと、レーザー印刷加工が多くなっている理由としては、インクを使用しないので作業性が良いことと、近年ヨーロッパから盛んになったリサイクル化で、プラスチックに不純物であるインクをなくしリサイクル可能な状態に保つことが挙げられます。

 有限会社 海鴻社  TEL 03-3697-1686

 

(2001年12月24日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

商業印刷に使われる盛り上げ印刷の種類と手法について教えて下さい。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:商業印刷に使われる盛り上げ印刷の種類と手法について教えて下さい。

A:通常、盛り上げ印刷には 
Ⅰ盛り上げ印刷は樹脂を熱で溶かして盛り上げるバーコ印刷と、
Ⅱワニスをスクリーン印刷しUV照射器でインクを固めて盛り上げる(デコレート印刷)という2つの方式があります。
 前者は、CMYK4色の原版フィルムと隆起させたい部分の原版フィルム1枚を作成して刷版します。印刷はプロセスカラーで樹脂版又は平版オフセット印刷した後、隆起させたい部分に多少粘着性のあるインキをPS版又は樹脂版で追刷りします。そして、バーコ印刷用の樹脂を全面に散布し、その後バキュームしてバーコ印刷用の樹脂を吸い取ります。そうすると、粘着性のあるインキは接着剤の役割を果たしていますのでその部分にのみバーコ印刷用の樹脂が残ります。この状態で高温で加熱し樹脂を溶かして隆起させ、冷却します。
 後者は、平版印刷されたものに隆起させたい部分に隆起インキ(ワニス)をスクリーン印刷し、UV照射してインキを堅めることにより隆起させるもので、UVデコレートや厚盛り印刷と呼ばれています。
 両者の区別の仕方は、バーコ印刷は表面が単純に盛りあがっていますが、UVデコレートは表面が平滑でエッジが中央より盛り上がり輪郭が強調されているところから区別できます。
 バーコ印刷の際の諸注意点があります。まず用紙適正については、上質系・マット系の紙が加工には向いています。アート系、グロスのコート系の両面印刷してあるものは加熱した際に紙がバーストしてしまう傾向があります。(裏が上質のコート紙 ミラーコートゴールドやエスプリコートは問題ありません)また、ユポなどの合成紙には印刷できません。
 紙厚は、4/6判90kg以上から紙厚で0.30mm位まで加工できます。いずれにせよ、製作する前の段階で用紙を慎重に選択すべきでしょう。
 次にバーコ印刷の際表面加工については、基本的にOPニスは問題ありません(水性より油性の方が適しています)。PP貼りは、熱を通した際にビニールがはがれてしまうので加工できません。プレスコートは問題ありません。
 バーコ印刷の際の後工程については、断裁の場合は、盛り上がったところに圧力がかかりやすいので、通常の断裁同様に一遍に断裁するとバーコ面が潰れてしまう恐れがあります。断裁の際は25枚~50枚ずつ慎重に断裁して頂く場合が多いようです。一番無難な方法は型を作成し、型抜きでやることです。
  バーコ・ダイワ株式会社 Tel 03-3967-7641 

 

(2002年3月25日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

シールにはどのように印刷しているのでしょうか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:シールにはどのように印刷しているのでしょうか。

A:シール印刷といっても様々なものがありますが、ここでは、例えば電車の窓に貼ってあるウインドーステッカーや清涼飲料の缶に応募用のシール・調味料の表示のシールについて述べたいと思います。
 どのシールも通常は、商業印刷物などと同様にパソコン上でレイアウトされ、校正を経て面付けソフトで面付けしてイメージセッタ等の出力機で出力されます。
 電車の車内に貼られているウインドーステッカーなどは限られた地域での広告媒体としての性格があるため、少ロットの印刷物に含まれ、商業印刷用の枚葉オフセット印刷機で印刷されることが多いようです。ステッカーは約1ヶ月前後の期間にわたって貼られているケースが多いため、インキに耐光性が求められます。
 被印刷体は、厚めのフィルム系のタック紙(粘着紙ともいう)を使用します。電車の窓に貼られたステッカーは人の手の触れるところにあるため、簡単に剥がれてはいけません。そのためフィルム系のタック紙はノリの粘着性に強度をもたせています。

 清涼飲料の缶などに貼られている小さなシールなどの印刷は大ロットの印刷物に含まれます。この場合はシール輪転機で印刷されます。この輪転機は幅10インチ、円周が約8インチから12インチの間に数種類のシリンダーが揃えられており、シール自体の大きさから面付けされる数も決まってシリンダーが選択されます。
 被印刷体は上記フィルム系のタック紙よりも薄い材料を使用します。版は樹脂凸版を使用し、インキは光硬化型(UV)インキが使用され、印刷された直後に紫外光を照射して瞬間的に乾燥させます。輪転方式で印刷され印刷後も巻き取られるので乾燥させないと裏移りが発生するからです。
 シールを剥がすと、粘着面に印刷されているものもあります。シールの裏面への印刷は、表面へ印刷した後、剥離紙とシールを剥してシールの裏面に表面と同様に印刷します。粘着面への印刷ということで何か特殊な手法があるように思えますが、もともとインキはウエット状であるため、粘着面に樹脂版をプレスしても支障ありません。
 印刷されたシールは、再び剥離紙に貼り付けられてから型抜きが行われ、シールの型だけが残され、余分な部分はセパレータで剥ぎ取られ、シールが完成します。

 シールにも箔押し加工が施されているものがあります。箔押しはまず、金属をエッチングにより型を作り箔押し機にセットし、シールと型の間に箔材を通して行います。
箔材は、ベース面としてペットフィルムが使われ、その上に剥離層・蒸着層・ノリ層の4層構造になっています。
箔押しするときは、ヒーターで熱せられた型を箔材のベース面側からプレスし、ノリを溶かして箔押し加工します。この時のヒーターの温度は120度~150度で被印刷物の種類により異なります。同様に箔材の種類も被印刷物の種類により異なります。この箔押しはあくまでもシール印刷用のものであり、出版印刷・商業印刷に使われる箔押しとは別のものです。

 

(2002年3月25日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

ラッピングバス広告についての申請手続きと製作について教えて下さい。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:ラッピングバス広告についての申請手続きと製作について教えて下さい。

A:街中でよく、車体一面に広告が掲載されたバスを見かけますが、そのバスのことをラッピングバスと言います。各地方自治体には、広告に関する条例・規則が制定されておりその規制のしかたもそれぞれ違います。ここでは、東京都の例について述べたいと思います。
 東京都では、それまで屋外広告には「東京都屋外広告物条例及び同施行規則」で面積制限が課されていましたが、平成12年4月にこの条例・規則が改正され、ラッピング広告が可能になりました。

【広告料金】
 広告主は東京都から指定された広告代理店にラッピング広告を出したい旨を依頼し、広告代理店から東京都交通局へ応募します。
 バスの路線はS・A・B・C・D・Eランクに分けられており、それぞれ基本料金が設定されています。これは都心に近い場所から郊外にいくにしたがってランクが……C・D・Eへと下がります。実際にどこの地区のどの路線がS・A・B・・かは東京都交通局で任意に決定しています。
 料金はSランクが月30万円(年間300万円)、Aランクが月20万円(年間200万円)、Bランクが月16万円(年間160万円)、Cランクが月12万円(年間120万円)、Dランクが月8万円(年間80万円)、Eランクが月6万円(年間60万円)です。また、ランクによっては、ダイヤ指定料金がかかる場合もあります。(この料金は2002年4月からです。)
これはあくまでも基本料金ですので、詳細についてはその都度お問い合わせ下さい。
 デザイン料は別途見積もりとなりますが、製作費は概算で120万~150万円/1台です(出力・施工の難易度によりまた違ってきます)。

【申請手続と審査】
 広告代理店は広告主の意思に基づいてランクごとに応募しますが、人気の高いランク(特にA・B)は抽選になります。抽選に当選すると、広告主から出されたデザインがラッピング広告として適切かどうかを審査する「デザイン審査委員会」でデザイン審査を受けます。
 このデザイン審査は東京都交通局が「東京都交通局車体利用広告デザイン審査基準」を作り、専門家を交えて広告デザイン案の審査を行います。
一般審査基準の要件としては、道路交通の安全を阻害するおそれがなく、車両運行上の支障とならず、都市景観との調和を損なうものでないこと等があります。例えば、全面金赤ベタだと消防車と間違われるおそれがあるのでダメだとか、細かい文章が多く書かれていると、他の車の運転手が思わず文章を読んでしまい事故につながるおそれがあるのでダメだとか、その他、善良の風俗・公の秩序を乱すような広告は一切ダメです。この審査でポイントになるのは、第一に交通事故が発生する原因をつくらないこと、第二に都市の美的景観を損なわないことです。

【製作】
 以上の審査をクリアして実際に製作にとりかかることができます。レイアウトは、パソコンでデータ処理されます。またデザイン上重要な部分(タレントの顔等)がドア等に掛かかって切れ目ができないように、配慮がなされます。また路線番号・車椅子の表示など必要部分をはフィルム施工後、別ステッカーを貼っています。
 このデータは、看板、内装用の専用の大型プリントシステムで出力されます。まず、専用紙にシステムの出力機でトナー出力します。この後バス専用のマテリアル(シール状になっているフィルム)にトナーのついた用紙から熱転写し、すぐラミネート加工します。マテリアルの耐候性は目的に応じて選択可能ですが、2~5年ぐらいです。
 出力されたマテリアルを施工業者が車体に貼り合わせます。このときに数枚のマテリアルを貼りますので絵柄の切れ目をうまく合わせるためにつなぎ目を数ミリオーバーラップさせています。また中にエアーが入らないように注意しなければなりません。
 こうした、ラッピング技術は様々なマテリアルが揃えられており、バスの他に電車・ビルのウィンドウ・天井・壁面・フロアー・展示パネル・室内装飾等、広告手段として工夫して使用されています。

       福島印刷工業(株)グラフィック事業部 
        TEL 03-3953-0121 
        URL http://www.net-fp.co.jp 

 

(2002年4月1日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

インモールドラベルってどんなものですか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。
紙デジでの解説記事はこちら

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:インモールドラベルってどんなものですか。

A:金型の中にラベルを入れて樹脂を注入し成形する方法をインモールド成形といい、同時に熱融着させるラベルのことをインモールドラベルといっています。
ラベルは、フィルムに平版オフセット印刷又はグラビア印刷をします。、平版オフセット印刷の場合、通常の印刷用紙と違いインキの乾きがよくないために速乾性のUVインキが用いられます。グラビア印刷の場合は専用インキが使用されます。表刷りの場合は印刷後、表面の絵柄を保護するためにコーティング加工が施されます。
裏面は、ポリプロピレンにポリエチレンを混合したものを塗布して接着層をつくり、抜き型で形を抜いてラベルは完成です。
容器は、金型に樹脂を入れて容器を成形して作製しますが、成形の方法にはブロー成形とインジェクション成型の2つのやり方があります。

【ブロー成形】
ブロー成形で作られるものとしては、シャンプー・洗浄剤・野菜ドレッシング等の容器があります。
1:プラスチック金型を作ります。これは金型の内側に容器の型をとり、その金型を真っ二つに割った状態にします。そして、金型の内側に印刷されたラベルを装着します。
2: 2つに割られた金型の間に、上から高温の樹脂のかたまり(パリソンという)をおろします。
3:パリソンを挟んで2つの金型を合体させ、金型の中のパリソンに空気圧をかけて樹脂を膨張させて金型の型にフィットした容器を形作ります。この時にラベルも同時に接着させます。
4:これで、容器が完成します。

3の空気を膨張させて成形するときに、ボトルとラベルの間に空気を閉じ込めると、ラベルの表面に凹凸ができてしまいます。これを防ぐためにラベルの裏面に空気を逃がすエンボス加工をしておきます。こうすることにより、膨張時に空気をスムーズに逃がしてやすことができます。

【インジェクション成形】
インジェクション成形でつくられるものは、プラスチック製のアイスクリーム・ヨーグルト・水羊かん・プリンなどの多角形又は逆円錐形の容器です。
1:容器の型を作るために凹凸のプラスチック金型をつくります。
2:凹側の金型の内側に印刷されたラベルを装着します。
3:2の状態で凹側に凸部を合体させ、完全に密着させるのではなく少し隙間を作ります。そこに凹側の真中の小さな注入口から樹脂を注入して容器を成形し、同時にラベルも熱融着させます。
4:凹凸の金型を離し、凹側の真中の小さな注入口に付着している樹脂を切り離して容器が完成します。

インジェクション方式の場合、逆円錐形の容器が多くそれに貼りつけるラベルを展開すると扇形になっていなければなりません。

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【特徴】
1:直印刷に比べ、写真やグラデーションの再現性がよく細密な図柄やカラー印刷が可能です。
2:ラベリング工程が不用なので省力化がはかれます。
3:ラベルがボトル表面に完全に密着しますので剥がれません。耐水性・耐油性・耐薬品性・耐摩擦性があります。
4:紙のラベルだと剥して分別する必要がありますが、インモールドの容器だとラベルごとリサイクルが可能です。(リサイクルの方法が、高炉吹きこみ、溶鉱用鎮静剤、固形燃料化 等の場合)

福島印刷工業(株)
TEL 03-3953-0121
URL http://www.net-fp.co.jp 

大日本印刷㈱
URL http://www.dnp.co.jp/jis/eco/eco/j_pdf2000/07.pdf

(2002年4月15日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

貼っても剥せる吸盤付シートとはどんなものですか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:貼っても剥せる吸盤付シートとはどんなものですか。

A: ステッカーやラベル、表示板等は、接着剤や糊、接着用テープを使用しています。これらは、いったん接着すると剥しにくく、剥しても表面に糊が残ってしまい繰り返して使用することはできません。それを印刷技術で解決したのが「吸盤付シート」で、(有)樹脂印刷社が独自に開発したものです。

 【専用インキ】
まず専用のインキについてですが、従来のインキだと完全に乾燥してしまいますので吸着の効果が得られません。そこで、専用インキは塩化ビニール樹脂に可塑剤、混合溶剤を配合したものを開発し、配合比を変えることにより被印刷物に合ったインキで印刷するようになっています。専用インキは、乾燥しても固まらず柔軟性が保たれるようになっています。
  インキの種類としては、主にPVCや合成紙類用の溶剤型とPET、PC、PE、PP、紙硝子、金属類用のUV型とがあります。 

 【印刷】
  吸盤型の印刷はスクリーン印刷が施されますが、従来の印刷よりも10~30倍の肉厚となるように特殊な手法で行ないます。専用インキは粘度が高いので、印刷機も曲面体を印刷できる原理を応用した特殊なものです。
  この印刷機で円輪、多角形、網目、花柄などの模様を印刷し、凹凸を造って吸盤の役割をもたせます。インキに柔軟性があるため,吸着作用でガラスなどの通気性のない平面にシート類を吸着させることができます。
  この吸盤付シートの特長は、平滑なところであればどこでも吸着可能で、接着剤を使用していないので剥離後には糊残りの痕跡がありません。また繰り返しの使用ができ、ホコリなどで汚れて吸着力が弱くなっても、水洗いするともとにもどります。

 【用途】
  シートの用途は、ステッカーとしては、「準備中」「営業中」「禁煙」「本日終了」「立ち入り禁止」などが挙げられます。また、自動車窓や家の窓などの紫外線防止遮光フィルム、服飾事務用品のスベリ止めシート、医療用の止血用ベルト、マウスパッド等、多岐にわたって使用されています。

 【特許】
  この吸盤層を印刷で形成して製造する「吸盤付シート」の製造方法には、次の特許が登録されておりますので使用する際には注意が必要です。
  吸盤付シートの製造方法       日本国特許第1982188号(溶剤型インキ使用の場合)
  キューバンシートの製造方法     日本国特許第2942945号(UV型インキ使用の場合)
  吸盤層を印刷した成型製品の製造方法 日本国特許第3177820号

     ※ライセンス料金については、別途相談。

 【お問い合わせ先、資料提供】
 吸盤シートについては、下記に必ずお問い合わせいただき詳細を打ち合わせてください。
(有)樹脂印刷社
133-0044 東京都江戸川区本一色1-2-5
 TEL 03-3652-7201 FAX 03-3652-7203
 http:http://www1.ocn.ne.jp/~jushi/
【承認インキ販売権者】
 東洋インキ城東販売㈱
111-0043 東京都台東区駒形1-4-4
 TEL 03-3843-7411 FAX 03-3845-0525

 

(2002年6月10日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

レジストインキとは何ですか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:レジストインキとは何ですか。

A:電化製品やコンピュータのカバーを開けると、電子部品が搭載された濃緑色の板が出てきます。これがプリント基板です。この基板の回路パターンは、エッチングレジストというインキを印刷し形成されています。
 レジストインキには、エッチングレジストインキ、ソルダーレジストインキ、メッキレジストインキ、マーキングインキの4種類がありそれぞれの役割をもっています。

 【基板回路作成手順】
1. 一般機器用基板(片面)
(1)一般機器用基板は、紙フェノール基材(紙+フェノール樹脂)をベースにしてこの片面に一般的に約35μの銅箔を張りつけた銅張積層板のことです。回路パターンを製版されたシルク版にエッチングレジストインキをのせ、この銅張りされた面にスクリーン印刷を施します。(インキはUV又は熱で乾燥されます。)
(2)銅は酸に弱いが、エッチングレジストインキは耐酸性があります。そこで酸性の液を吹きかけることにより、エッチングレジストインキにより覆われた回路パターン部が残り、他の部分は除去されます。
(3)エッチングレジストインキは耐酸性がありますが、アルカリに弱い性質があるため、アルカリ液(主に苛性ソーダ)を吹きかけるとエッチングレジストインキが除去されます。
つまり、エッチングレジストインキは、銅箔を防御しているわけです。
(4)基板上の回路である銅がむき出しになった状態では、銅は錆びやすく表面に傷がつきやすくなるため、ソルダーレジストインキを用いスクリーン印刷を施します。(インキはUV又は熱で乾燥されます。)
  ソルダーレジストインキは、基板が取りつけられる最終製品の目的により熱・冷・光・塩分・振動・電気特性等それぞれの環境に応じた耐性をもたせたものであり数多くの種類があります。 (5)最後に、基板には半導体等いろいろな部品が取りつけられますが、その部品を取りつける位置を示すために、マーキングインキでスクリーン印刷を施します。(インキはUV又は熱で乾燥されます。)

2. 両面銅張積層板
 上記同様、ガラスエポキシ基材をベースにして両面に一般的に約18μの銅箔を張りつけた銅張積層板です。
(1)両面の電気を通じさせるためにドリルで穴を開けます。
(2)穴の部分に触媒を付着させ,無電解銅メッキを施し、その後に電解銅めっきをします。
(3)回路パターンのない部分にメッキレジストインキでスクリーン印刷を施します。乾燥させて銅メッキ又は半田メッキすることにより表裏を通電できる状態にします。そして、メッキレジストインキを剥離して回路パターンを作成します。
(4)ソルダーレジストインキを用いスクリーン印刷を施し、基板の表面と裏面に保護層をつくります。
(5)最後に、半導体等の部品を取りつける位置を示すために、マーキングインキでスクリーン印刷を施します。(インキはUV又は熱で乾燥されます。)

3. 写真現像型ソルダーレジスト
 回路パターンは、スクリーン印刷技術を駆使して描かれていますが、印刷法だとどうしても大量の枚数を印刷していくと印圧等によりインキが滲んだりしてショートや断線が発生する傾向があり、より高密度、高精細の印刷をするには限界があります。
  そこで、これらに対応するため、写真現像型ソルダーレジストという材料による手法があります。
(1)回路形成された基材にインキをベタでスクリーン印刷します。
(2)回路パターンのついたネガフィルムを密着させ、紫外光を照射すると感光部が硬化しま す。
(3)フィルムを剥して、アルカリ液(炭酸ソーダ)を吹きかけることにより回路パターンをつくります。
(4)半導体等の部品を取りつける位置を示すために、マーキングインキでスクリーン印刷を施します。

3.の方法によりより小さな基板をつくることが可能になり、小型の機器が開発されていますが、この場合には電子部品の実装密度を上げるという観点から、回路パターンを三次元化した多層基板がこれらの機器には使用されています。配線も従来の束線から印刷技術をつかった配線パターン化が実施され、小型機器にも多用されています。
  その結果として、携帯用デジタルカメラやウォークマン、ノートパソコン、携帯電話といった軽量小型のエレクトロニクス製品や家電製品が生まれました。
こう考えると、世の中の様々な物の進化というものを支えているのは意外にも印刷技術の力によるところが大きいといえるでしょう。

 資料提供:太陽インキ製造㈱
      176-8508 東京都練馬区羽沢2-7-1  TEL 03-5999-1511
        http://www.taiyoink.co.jp  
 

(2002年6月24日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

スクラッチ印刷とはどういうものですか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:スクラッチ印刷とはどういうものですか。

A:「scratch」とは引掻くという意味で、スクラッチ印刷は平版などで印刷された印刷物の一部分を銀色の特殊インキで覆い隠す印刷のことで主にスクリーン印刷が施されます。他に平版で印刷されるものもあります。 
そして、覆い隠した銀色のインキの部分をコインや爪などで擦り取ると「当たり」「一等」「ハズレ」などの文字が表れるというもので、スピード宝くじ、キャンペーンの応募券、ファーストフード店のプレミアムカード等に使われています。
  通常のインキは凹版印刷ではシンナー系や平版・凸版印刷では石油系のものが多く使われており、被印刷物との接着が強くなければなりません。しかし、スクラッチ印刷は後で擦り取れるようになっていなければなりませんので、シンナーや石油を含まないテレピン系を溶剤にしたインキを使用しており接着力が弱くなっています。これに透明インキとシルバーの粉末が混ぜられて隠蔽性をもたせています。
  実際の印刷は、用紙に直接印刷してしまうと貼りついてしまい擦ったときにうまく剥がれないので、隠蔽したい部分にアンカーコート(OPニス)して、インキが貼りつきにくい状況をつくり、擦ったときにきれいに取れるようにしておきます。
  また、カード等の印刷物で、スクラッチ印刷された部分を光に翳して見ると透けて見えたりすることがありますので、印刷物の裏面にはスミのベタ印刷をしたり、解答の文字に網をかけて薄くしておく必要があります。スクラッチ用のインキさえ用いれば何でも隠蔽できるわけではなく一定の制限があるということです。
  もし、透けて見えてしまうがためにスクラッチ用のインキを厚く盛ると、インキは完全に乾いた状態にはなりにくく、そうすると印刷物の運搬時に擦れてスクラッチ用のインキが剥げてしまうことがありますので注意が必要です。
 

(2002年10月14日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)