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インモールドラベルってどんなものですか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。
紙デジでの解説記事はこちら

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:インモールドラベルってどんなものですか。

A:金型の中にラベルを入れて樹脂を注入し成形する方法をインモールド成形といい、同時に熱融着させるラベルのことをインモールドラベルといっています。
ラベルは、フィルムに平版オフセット印刷又はグラビア印刷をします。、平版オフセット印刷の場合、通常の印刷用紙と違いインキの乾きがよくないために速乾性のUVインキが用いられます。グラビア印刷の場合は専用インキが使用されます。表刷りの場合は印刷後、表面の絵柄を保護するためにコーティング加工が施されます。
裏面は、ポリプロピレンにポリエチレンを混合したものを塗布して接着層をつくり、抜き型で形を抜いてラベルは完成です。
容器は、金型に樹脂を入れて容器を成形して作製しますが、成形の方法にはブロー成形とインジェクション成型の2つのやり方があります。

【ブロー成形】
ブロー成形で作られるものとしては、シャンプー・洗浄剤・野菜ドレッシング等の容器があります。
1:プラスチック金型を作ります。これは金型の内側に容器の型をとり、その金型を真っ二つに割った状態にします。そして、金型の内側に印刷されたラベルを装着します。
2: 2つに割られた金型の間に、上から高温の樹脂のかたまり(パリソンという)をおろします。
3:パリソンを挟んで2つの金型を合体させ、金型の中のパリソンに空気圧をかけて樹脂を膨張させて金型の型にフィットした容器を形作ります。この時にラベルも同時に接着させます。
4:これで、容器が完成します。

3の空気を膨張させて成形するときに、ボトルとラベルの間に空気を閉じ込めると、ラベルの表面に凹凸ができてしまいます。これを防ぐためにラベルの裏面に空気を逃がすエンボス加工をしておきます。こうすることにより、膨張時に空気をスムーズに逃がしてやすことができます。

【インジェクション成形】
インジェクション成形でつくられるものは、プラスチック製のアイスクリーム・ヨーグルト・水羊かん・プリンなどの多角形又は逆円錐形の容器です。
1:容器の型を作るために凹凸のプラスチック金型をつくります。
2:凹側の金型の内側に印刷されたラベルを装着します。
3:2の状態で凹側に凸部を合体させ、完全に密着させるのではなく少し隙間を作ります。そこに凹側の真中の小さな注入口から樹脂を注入して容器を成形し、同時にラベルも熱融着させます。
4:凹凸の金型を離し、凹側の真中の小さな注入口に付着している樹脂を切り離して容器が完成します。

インジェクション方式の場合、逆円錐形の容器が多くそれに貼りつけるラベルを展開すると扇形になっていなければなりません。

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【特徴】
1:直印刷に比べ、写真やグラデーションの再現性がよく細密な図柄やカラー印刷が可能です。
2:ラベリング工程が不用なので省力化がはかれます。
3:ラベルがボトル表面に完全に密着しますので剥がれません。耐水性・耐油性・耐薬品性・耐摩擦性があります。
4:紙のラベルだと剥して分別する必要がありますが、インモールドの容器だとラベルごとリサイクルが可能です。(リサイクルの方法が、高炉吹きこみ、溶鉱用鎮静剤、固形燃料化 等の場合)

福島印刷工業(株)
TEL 03-3953-0121
URL http://www.net-fp.co.jp 

大日本印刷㈱
URL http://www.dnp.co.jp/jis/eco/eco/j_pdf2000/07.pdf

(2002年4月15日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

貼っても剥せる吸盤付シートとはどんなものですか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:貼っても剥せる吸盤付シートとはどんなものですか。

A: ステッカーやラベル、表示板等は、接着剤や糊、接着用テープを使用しています。これらは、いったん接着すると剥しにくく、剥しても表面に糊が残ってしまい繰り返して使用することはできません。それを印刷技術で解決したのが「吸盤付シート」で、(有)樹脂印刷社が独自に開発したものです。

 【専用インキ】
まず専用のインキについてですが、従来のインキだと完全に乾燥してしまいますので吸着の効果が得られません。そこで、専用インキは塩化ビニール樹脂に可塑剤、混合溶剤を配合したものを開発し、配合比を変えることにより被印刷物に合ったインキで印刷するようになっています。専用インキは、乾燥しても固まらず柔軟性が保たれるようになっています。
  インキの種類としては、主にPVCや合成紙類用の溶剤型とPET、PC、PE、PP、紙硝子、金属類用のUV型とがあります。 

 【印刷】
  吸盤型の印刷はスクリーン印刷が施されますが、従来の印刷よりも10~30倍の肉厚となるように特殊な手法で行ないます。専用インキは粘度が高いので、印刷機も曲面体を印刷できる原理を応用した特殊なものです。
  この印刷機で円輪、多角形、網目、花柄などの模様を印刷し、凹凸を造って吸盤の役割をもたせます。インキに柔軟性があるため,吸着作用でガラスなどの通気性のない平面にシート類を吸着させることができます。
  この吸盤付シートの特長は、平滑なところであればどこでも吸着可能で、接着剤を使用していないので剥離後には糊残りの痕跡がありません。また繰り返しの使用ができ、ホコリなどで汚れて吸着力が弱くなっても、水洗いするともとにもどります。

 【用途】
  シートの用途は、ステッカーとしては、「準備中」「営業中」「禁煙」「本日終了」「立ち入り禁止」などが挙げられます。また、自動車窓や家の窓などの紫外線防止遮光フィルム、服飾事務用品のスベリ止めシート、医療用の止血用ベルト、マウスパッド等、多岐にわたって使用されています。

 【特許】
  この吸盤層を印刷で形成して製造する「吸盤付シート」の製造方法には、次の特許が登録されておりますので使用する際には注意が必要です。
  吸盤付シートの製造方法       日本国特許第1982188号(溶剤型インキ使用の場合)
  キューバンシートの製造方法     日本国特許第2942945号(UV型インキ使用の場合)
  吸盤層を印刷した成型製品の製造方法 日本国特許第3177820号

     ※ライセンス料金については、別途相談。

 【お問い合わせ先、資料提供】
 吸盤シートについては、下記に必ずお問い合わせいただき詳細を打ち合わせてください。
(有)樹脂印刷社
133-0044 東京都江戸川区本一色1-2-5
 TEL 03-3652-7201 FAX 03-3652-7203
 http:http://www1.ocn.ne.jp/~jushi/
【承認インキ販売権者】
 東洋インキ城東販売㈱
111-0043 東京都台東区駒形1-4-4
 TEL 03-3843-7411 FAX 03-3845-0525

 

(2002年6月10日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

レジストインキとは何ですか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:レジストインキとは何ですか。

A:電化製品やコンピュータのカバーを開けると、電子部品が搭載された濃緑色の板が出てきます。これがプリント基板です。この基板の回路パターンは、エッチングレジストというインキを印刷し形成されています。
 レジストインキには、エッチングレジストインキ、ソルダーレジストインキ、メッキレジストインキ、マーキングインキの4種類がありそれぞれの役割をもっています。

 【基板回路作成手順】
1. 一般機器用基板(片面)
(1)一般機器用基板は、紙フェノール基材(紙+フェノール樹脂)をベースにしてこの片面に一般的に約35μの銅箔を張りつけた銅張積層板のことです。回路パターンを製版されたシルク版にエッチングレジストインキをのせ、この銅張りされた面にスクリーン印刷を施します。(インキはUV又は熱で乾燥されます。)
(2)銅は酸に弱いが、エッチングレジストインキは耐酸性があります。そこで酸性の液を吹きかけることにより、エッチングレジストインキにより覆われた回路パターン部が残り、他の部分は除去されます。
(3)エッチングレジストインキは耐酸性がありますが、アルカリに弱い性質があるため、アルカリ液(主に苛性ソーダ)を吹きかけるとエッチングレジストインキが除去されます。
つまり、エッチングレジストインキは、銅箔を防御しているわけです。
(4)基板上の回路である銅がむき出しになった状態では、銅は錆びやすく表面に傷がつきやすくなるため、ソルダーレジストインキを用いスクリーン印刷を施します。(インキはUV又は熱で乾燥されます。)
  ソルダーレジストインキは、基板が取りつけられる最終製品の目的により熱・冷・光・塩分・振動・電気特性等それぞれの環境に応じた耐性をもたせたものであり数多くの種類があります。 (5)最後に、基板には半導体等いろいろな部品が取りつけられますが、その部品を取りつける位置を示すために、マーキングインキでスクリーン印刷を施します。(インキはUV又は熱で乾燥されます。)

2. 両面銅張積層板
 上記同様、ガラスエポキシ基材をベースにして両面に一般的に約18μの銅箔を張りつけた銅張積層板です。
(1)両面の電気を通じさせるためにドリルで穴を開けます。
(2)穴の部分に触媒を付着させ,無電解銅メッキを施し、その後に電解銅めっきをします。
(3)回路パターンのない部分にメッキレジストインキでスクリーン印刷を施します。乾燥させて銅メッキ又は半田メッキすることにより表裏を通電できる状態にします。そして、メッキレジストインキを剥離して回路パターンを作成します。
(4)ソルダーレジストインキを用いスクリーン印刷を施し、基板の表面と裏面に保護層をつくります。
(5)最後に、半導体等の部品を取りつける位置を示すために、マーキングインキでスクリーン印刷を施します。(インキはUV又は熱で乾燥されます。)

3. 写真現像型ソルダーレジスト
 回路パターンは、スクリーン印刷技術を駆使して描かれていますが、印刷法だとどうしても大量の枚数を印刷していくと印圧等によりインキが滲んだりしてショートや断線が発生する傾向があり、より高密度、高精細の印刷をするには限界があります。
  そこで、これらに対応するため、写真現像型ソルダーレジストという材料による手法があります。
(1)回路形成された基材にインキをベタでスクリーン印刷します。
(2)回路パターンのついたネガフィルムを密着させ、紫外光を照射すると感光部が硬化しま す。
(3)フィルムを剥して、アルカリ液(炭酸ソーダ)を吹きかけることにより回路パターンをつくります。
(4)半導体等の部品を取りつける位置を示すために、マーキングインキでスクリーン印刷を施します。

3.の方法によりより小さな基板をつくることが可能になり、小型の機器が開発されていますが、この場合には電子部品の実装密度を上げるという観点から、回路パターンを三次元化した多層基板がこれらの機器には使用されています。配線も従来の束線から印刷技術をつかった配線パターン化が実施され、小型機器にも多用されています。
  その結果として、携帯用デジタルカメラやウォークマン、ノートパソコン、携帯電話といった軽量小型のエレクトロニクス製品や家電製品が生まれました。
こう考えると、世の中の様々な物の進化というものを支えているのは意外にも印刷技術の力によるところが大きいといえるでしょう。

 資料提供:太陽インキ製造㈱
      176-8508 東京都練馬区羽沢2-7-1  TEL 03-5999-1511
        http://www.taiyoink.co.jp  
 

(2002年6月24日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

スクラッチ印刷とはどういうものですか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:スクラッチ印刷とはどういうものですか。

A:「scratch」とは引掻くという意味で、スクラッチ印刷は平版などで印刷された印刷物の一部分を銀色の特殊インキで覆い隠す印刷のことで主にスクリーン印刷が施されます。他に平版で印刷されるものもあります。 
そして、覆い隠した銀色のインキの部分をコインや爪などで擦り取ると「当たり」「一等」「ハズレ」などの文字が表れるというもので、スピード宝くじ、キャンペーンの応募券、ファーストフード店のプレミアムカード等に使われています。
  通常のインキは凹版印刷ではシンナー系や平版・凸版印刷では石油系のものが多く使われており、被印刷物との接着が強くなければなりません。しかし、スクラッチ印刷は後で擦り取れるようになっていなければなりませんので、シンナーや石油を含まないテレピン系を溶剤にしたインキを使用しており接着力が弱くなっています。これに透明インキとシルバーの粉末が混ぜられて隠蔽性をもたせています。
  実際の印刷は、用紙に直接印刷してしまうと貼りついてしまい擦ったときにうまく剥がれないので、隠蔽したい部分にアンカーコート(OPニス)して、インキが貼りつきにくい状況をつくり、擦ったときにきれいに取れるようにしておきます。
  また、カード等の印刷物で、スクラッチ印刷された部分を光に翳して見ると透けて見えたりすることがありますので、印刷物の裏面にはスミのベタ印刷をしたり、解答の文字に網をかけて薄くしておく必要があります。スクラッチ用のインキさえ用いれば何でも隠蔽できるわけではなく一定の制限があるということです。
  もし、透けて見えてしまうがためにスクラッチ用のインキを厚く盛ると、インキは完全に乾いた状態にはなりにくく、そうすると印刷物の運搬時に擦れてスクラッチ用のインキが剥げてしまうことがありますので注意が必要です。
 

(2002年10月14日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

クリヤー印刷とはどんな印刷ですか?

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:クリヤー印刷とはどんな印刷ですか?

A:クリヤー印刷とは、印刷辞典には掲載されていませんがポスターなどの絵柄の中で特に強調したい部分にスポット的にUVインキ(透明インキ)でスクリーン印刷することを指します。インキにUVに反応する樹脂が用いられ、肉盛りがよく定着・乾燥が速いという特長があります。
 効果としては、その部分に艶を出すことと耐擦傷性のために用いられ、ニス引き以上の効果をもちます。したかって、クリヤー印刷は、印刷というより実際は表面加工的な要素が強いといえます。
 クリヤー印刷と同じような効果を出すやり方として、バーコ印刷やニス引きがありますが少し違います。バーコ印刷は、ポスターなどの印刷物に強調したい部分にメジウムを平版オフセットで印刷します。そして、メジウムの部分が乾燥しない間に、熱乾燥性の粉(ホットメルトの一種)を印刷物の全面にかけてから粉を吸い上げます。そうすると、メジウムの部分にだけ粉が残り、熱炉にかけることにより粉を溶かして、透明な盛りあがった状態になるというところにその特長があります。
 ニス引きは、全面に透明ニスをローラーでコーティングすることです。その後、ドラムに載せて熱乾燥させます。全面へのコーティングの他に、グラビア、平版オフセット、スクリーン印刷で部分的に艶をだすことも可能です。 

 

(2002年10月21日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

光る印刷物にはどんなものがありますか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:光る印刷物にはどんなものがありますか。

A:特殊印刷の分野で光る印刷物には、顔料に光を蓄える性質があったり反射する粉末が混ぜられたりと特殊なインキを使用されています。版式は孔版が多く使われておりその他に平版やグラビアが使われることもあります。 
 光る印刷物には、蓄光印刷、フォトクロミック印刷、また反射して変化するインキを使ったラメ印刷、パール印刷、というものがあります。

● 蓄光印刷とは光エネルギーを蓄える性質をもつ顔料を練りこんだインキにスクリーン印 刷したものです。蛍光灯などの光を蓄えて暗がりで発光します。通常の蓄光インキは発光時間が30分~1時間程度ですが、7時間位発光するインキもあります。
●フォトクロミック印刷とは、紫外線で可逆的に反応し、発色するフォトクロミック物質をマイクロカプセル化し、印刷したものです。この印刷は、紫外線の存在を色によって確かめることができるのが特長です。紫外線チェックカードは、フォトクロミック印刷を紙に施したカードで、太陽光に当てると、いままで無色であったチェック部がアオに発色します。肌に影響を与える紫外線の存在を可視的に確認できるので、化粧品会社の日焼け止め製品の販促品として使用されました。あと、窓ガラスに貼ったUVカットフィルムとしても使われます。

●ラメ印刷とは、ラメ片を印刷インキ中(主にクリヤー)に混ぜ込んで使用インキとして印刷します。ラメ片を反射して通常の金属粉の反射とは全く違う変化に富んだ反射のしかたをします。ラメの種類としては金、銀、青、緑の単体とそれらを混ぜた7色に反射する物があります。
●パール印刷とは、可視光線をスペクトルに分ける効果があるパール粉をメジウム等に混ぜ込んでスクリーン印刷します。メタリック粉とは違うパール粉独自のわずかに7色に光を反射する効果が得られます。またパール粉の中には光の反射角度によって薄い黄色から薄紫、薄いオレンジ色から薄い青に変化する物もあります。
この2種類のインキは、インキの中に反射粉末を混ぜ込んでいるところに特長があります。

●その他に、蛍光インキを使用する印刷物もあります。蛍光インキは、可視光線および紫外線によって蛍光を発する昼光型顔料を用いたものです。ポスター、カタログ、パッケージ、その他誘目効果を目的とする用途で高彩度の印刷をするのに使用されたり、偽造防止の目的で、証紙類に刷りこんでおき、必要時に紫外線ランプで照らしてチェックする時などにも用いられます。
 最近では、インキジェットプリンタで出力されるケースもあります。

 熊沢印刷工芸(株) TEL 03-3905-1201

 

(2002年11月11日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

レンチキュラープリントとはどんなものですか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:レンチキュラープリントとはどんなものですか。

A:【概念】 
  レンチキュラープリントとは、微細なカマボコ形のプラスチックレンズを絵柄に貼り合わせて、立体像を見る方法です。断面がカマボコ形になっているレンズのことをレンチキュールといっており、それが均等なピッチで複数並んだものをレンチキュラーレンズといいます。レンズの厚みや1インチあたりのカマボコ形の本数などは何種類もあり用途ごとに厚みやレンズの線数も使い分けられています。

  例えば、CDやDVDのジャケット・マウスパッド・ステッカー・トレーディングカード等によく使われていますが、表示されている人間の顔が正面から見ると笑顔、ちょっと角度を変えると怒った顔、別の角度から見ると寝顔になったりというようにいくつかのパラーンに絵柄が変化するものです。
  日本で最初にレンチキュラーが出たのは昭和30年代に流行したダッコチャン人形の開いたり閉じたりする目だったと言われています。

 【種類】
  レンチキュラーには、平面に3次元空間のように表現する3Dと、見る角度を変えることにより絵柄が変化する2Dがあります。3Dは、左目と右目で違うものを捕らえるという目の視差を利用しています。2Dには、見る角度によって通常3つまでの絵柄が切り替わるるものと、一つの対象を4枚以上のバリエーションにした画像によって拡大縮小を表現するズームエフェクト、角度により被写体の中の物が移動するように見えるアニメーションエフェクト、角度により被写体の中の物が他の物に徐々に変化するモーフィングエフェクトがあります。
  また、ズームエフェクト・アミメーションエフェクト・モーフィングエフェクトと表現のされ方が違いますが、すべて2Dエフェクトです。2Dの場合は、角度によって見える範囲を限定できるというレンズの特性を利用して画像を合成しています。2Dと3Dは、画像の合成の仕方がことなります。

 【製造方法】
  製造方法は、カマボコ形のレンズが万線状に並んでいるものに、例えばズームエフェクトを製造する場合、元画像で8画像(特に8画像である必要はない)違う画像で徐々に被写体の中の一部が大きくなる画像データを用意して、それを画像合成用のソフトに入れます。
  そして、例えば75線レンズの場合、万線のレンズの方向と直角に切ると山ができ、75線だとそれぞれの山の幅が0.336~0.337ミリになります。(75線というのは1インチの中に山が約75個あるということです。)プラスチックの成型品なので冷えて固まるわけですから、製造ロットごとに誤差も生じます。
  その8画像データを一枚にするには、正確なレンズピッチを仮に0.3364ミリとすると、レンズの裏側に8等分(0.3364÷8)した画像のラインを印刷することによって、ひとつのレンズの下に8つの画像を入れますが、1ミリあたり75本のレンズの下にそれぞれに8つに画像を分割することにより2Dや動きが表現されます。元原稿は原寸で300dpi以上の解像度があれば十分です。

 【レンズ線数】
  レンズの線数は、10線から100線まであります。そのレンズ線数は用途によって使い分けなければなりません。レンズの線数ごとに焦点距離があり、どのくらいの距離からみたら一番ピントが合って見えるかということから使い分けなければなりません。レンズの線数が細かければ細かいほど、焦点距離が近くなります。そうすると、1インチあたり10本・20本の粗いほうが遠くから離れて見る大きいディスプレイに向いています。
  手に持って動かすようなトレーディングカードやCDのジャケットやマウスパッドだと、75線が多く使用され、だいたい45センチくらいが焦点距離です。
  あとは、ディスプレイの場所によってもレンズの材質を使い分けています。屋内だと通常はPETを使います。屋外だとアクリルが多いでしょう。

     資料提供:日本コーバン株式会社
       〒104-0043 東京都中央区湊1-6-11 八丁堀エスワンビル3F
        TEL 03-3553-5721 FAX 03-3553-5771

 

(2003年1月20日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

スクリーン印刷について教えてください。(版について)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:スクリーン印刷について教えてください。(版について)

A:印刷版式には平版・凹版・凸版・スクリーン版の4つがあり、スクリーン版以外は転写式です。また、他の版式すべてが版上の画像が逆像です(オフセットの場合はブランケット等中間媒体が逆像)が、スクリーン版の場合は正像です。 
  スクリーン版は、画像以外のところはどんな手段を用いてもかまわないので塞いでしまうという考え方があります。なぜスクリーン版が使われるかというと、他の版式の機械では印刷できない被印刷体がたくさんあり、そういったものに柔軟に対処できるとこにスクリーン印刷の利点があります。しかし、機械のスピードは他の版式に比べ劣る部分もあります。
  ここで述べるスクリーン印刷は、用紙・布地・プラスチック・ガラス等への印刷するスクリーンについてで、プリント回路の基板など電子部品を作るステンレススクリーン印刷もあります。

 【スクリーン版の素材】
  もともとは絹糸をメッシュ状に編んでいたものを版(スクリーン)として使用していたのでシルクスクリーン印刷と呼んでいました。
  しかし、絹糸は自然の糸ですから均一性に欠けるという欠点があり、現在の印刷物製造上の精度を考えると限界があります。そこで絹糸に代わる材質としてテトロンやナイロンなどの合成繊維が出てきました。今ではテトロンやナイロンの糸をメッシュ状に編んで版として使用しています。実際のところ、テトロンが多く使われています。
  なぜかというと、版の伸縮はテトロンのほうが伸縮が少なく、ナイロンは伸縮が大きいからです。ナイロンは柔軟性がありますが、精度はよくないという欠点があります。

 【スクリーン版】
  メッシュ状に編んだ布を紗と呼んでいます。それを紗張機(紗を張る機械)で上下左右方向に引っ張ってある程度のテンションに達した時に、フレームに糊付け等をして固定してできあがったものがスクリーンと呼ばれています。
  これを素の状態といっています。その状態だと紗が張られているだけなので、目が詰まっているわけではなく、穴が開いているのでそこからインキが下に落ちてしまいます。
  それでこの後に、印刷画像以外の場所を塞ぐために、感光性のあるゾル(感光乳剤でいろんなメーカーのいろんな種類があります)をフレームに張った紗に塗布します。ゾルが塗布されるとインキは通過しなくなります。

 【刷版】
  刷版では、ポジフィルムを密着して露光します。ここでは、ポジフィルムを密着して紫外線を照射すると感光する部分と感光しない部分に分かれます。あとで水をかけるとゾルの性質として、感光した部分はそのまま残って、感光していない部分は水で流れてしまいます。(通常、水現像とよんでいます) 
  そうするとポジフルムの黒い画像の型通り、そこだけに孔が開き版が出来上がります。これがスクリーン印刷の版の作り方です。
  簡単ないいかたをすれば、イメージする部分以外はどんな方法でも塞いでしまうということです。絵描きさんの世界で、スクリーンをやっている方といのは、写真製版の技術ではないにしても、紗に水性の糊で書いて塞いでしまい、残ったとこだけが印刷できるという原始的なやり方で作品を作っている人もいます。
 

 (2003年2月24日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

スクリーン印刷について教えてください。(スクリーン線数)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:スクリーン印刷について教えてください。(スクリーン線数)

A:【スクリーン版のスクリーン線数】 
  版(スクリーン)は、一本の糸で編まれていて布地状になっています。日本ではインチが一つの規格になっており、1インチ角というマスの中に何本の糸が通っているかということで、1インチあたり何線といういい方をしています。 
  しかし、それもスクリーン版の場合は変動します。紗として売られている表示としてはそうとしても、実際に版にテンションをかけて固定するので、引き伸ばされていてスクリーン線数は減っているのが現実です。あくまで便宜上よんでおり、本当に定規で正確に測ると決して表示通りではないということです。 
  通常のスクリーン印刷で一番粗い線数が70線です。細かいのになると、460線というところまでできます。通常のテトロン繊維のスクリーンでは、460線が限界といわれています。しかし、今はステンレススクリーンというのもあり、500線以上の細かいスクリーン線数が可能です。そのようなスクリーンは、コンピュータなどの半導体や電気製品の基板などに用いられています。

 【スクリーン版のスクリーン線数の種類】
  現在一般的に使われている孔版のスクリーン線数は以下の通りです。
70、80、100、120、150、180、200、(225、230)、250、(270、280)、300、330、350、380、420、460 
  もしかしたら他にもあるかもしれません。表示の仕方が細かくなっており、225線と230線、270線と280線とを一括している場合もありますので( )書きにしました。以前は40線といったもっと粗いスクリーンもあったようです。 

 【スクリーン線数の使い分け】 
  70~80線までは、糸も太く紗の目が開いています。そこからインキが大量に出てしまいます。スクリーン印刷は、通常のインキだけではなくラメ粉など大きな粉体を混ぜるケースがあります。その時にスクリーンの紗の目を通過しなければなりませんので、必然的に粗いメッシュを使います。

  100~180線までが特に隠蔽性といって下を隠したい場合、厚盛りにしたい場合などの用途ではこの線数です。この線数の範囲までは、印刷物を見たときにインキが盛られている感覚が得られます。これ以上だと糸が細くなってきますから、盛られている感覚は得られません。このクラスまでは糸径が太いものが使われています。 

  200~250まではスクリーン印刷で一般的に使われている線数です。もっと鮮明度が求められてくるとやはりスクリーン線数を細かくしていかなければなりません。このスクリーン線数を使った一般的な例としては、オフィスビルの中にある「消火器」や「非常口」等といった表札があります。最近はこういった単純な絵柄の中でも輪郭の部分を細かく見るユーザーが多いようです。

  版は紗に乳剤が定着しているだけなので、拡大してみると紗の桝目に沿って乳剤が付いているだけです。要するに、直線とはいっても完全に直線ではなく、紗の目に対してギザギザです。そうすると「消火器」のような柄でも輪郭を見られてギザギザが出ると駄目という場合もあります。  こうした場合は、乳剤の膜厚を上げてみるのも一つの方法です。薄いと紗の影響を受けやすいので、もう少し紗と紗を対角線でつながるように乳剤の膜厚を厚くするというわけです。それ以外には単純に線数をあげています。そうすると、もっと桝目が小さくなり、肉眼で見ると直線のように見えて、ギザギザがより目立ちません。 
  逆に線数があがりすぎると、皮膜が薄くなります。線数があがるということはそれだけ糸が細くなることになるので、膜厚が薄いとインキの出が少なくなりスクリーン印刷らしい盛りという迫力が感じられなくなります。 

 【スクリーン印刷での連続階調】 
  スクリーン版のスクリーン線数とポジフィルム上でのスクリーン線数との関係について、ポジフィルムの線数がいくつだからそれに対してスクリーン版の線数はいくつが適当であかという法則が公式というよりも経験値としてあります。 
  例えば、ポジフィルムの網の線数が60線だとすると、60線×5=±少々端数がでるぐらいのカウントが適当といわれています。そうすると60線×5=300線ということになります。  通常60線の網点に対して300線のメッシュを選びます。300線を選んで張りますので実際には270線ぐらいになっています。そうすると×5のちょっとプラスマイナスでマイナスの割り切れないくらいの数字になってきてちょうどいいといったところです。 

  ということはスクリーン印刷で連続階調を表現するにしても、ポジフィルム画像のスクリーン線数がだいたい100線ぐらいが限界なのかという疑問が出てきます。 
  たしかに今まではそうでした。しかし、現在はポジフィルムのスクリーン線数が175線でも印刷しています。175線クラスが平版オフセットの通常の線数ですが、そうした高線数の印刷をスクリーン版でもできないと勝負できない世の中になりつつあります。前途の法則でいくと、175×5でやると今度はえらい高い線数になり、不可能ということになります。しかし、実際のところ420線や460線というスクリーン版でなんとか印刷しているというのが現状です。ではどうやって印刷しているのかについては、各会社のノウハウになるでしょう。 

  実際、あるスクリーン印刷会社では、カレンダーをスクリーン印刷した際に、ポジフィルム画像の線数で300線という高線数のものを印刷しています。 
  これは印刷が非常に大変です。スクリーンの場合はインキが抜けてベチャっとなりがち、もしくは目詰まりを起こしがちで、画像が細かくなればなるほど顕著にでてきます。この場合、UVインキで印刷することになります。UVインキであれば目詰まりすることはありませんし、あとは業界で使われる用語で「泣く」と言っていますが、にじんでしまう事を防げれば可能です。 
  仮に175線というレベルの高線数のスクリーン印刷が可能になったというのも必ずしも版だけではなく、それをずっと印刷し続けることができるインキが開発されていないとだめだし、あとは印刷機やスキージ等すべての要素がある条件を満たさないとできません。 

 

(2003年2月24日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

スクリーン印刷について(インキ)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:スクリーン印刷について(インキ)

A:【スクリーン版インキ】 
  スクリーン印刷で使用されるインキは多種多用です。ひとつひとつについて述べることはできません。ここでは、乾燥形式という切り口から孔版インキについて述べたいと思います。
  現在使用されているインキで多いのは蒸発乾燥型インキです。蒸発乾燥といってもケトン系の溶剤、いわゆるシンナーを使用しています。平版オフセット印刷は、アマニ油系の樹脂で酸化重合という乾燥方式で、乾燥が遅いです。そういうタイプもあるにはありますが、スクリーン印刷でそれを使ったら、納期に間に合わないことが多くなるでしょう。 
  スクリーン印刷会社が、日常使っているのはシンナー系の蒸発乾燥型インキです。溶剤型のインキでその溶剤が飛んでしまうわけです。自然に放置していても飛んでいくし乾燥炉に入れて熱風をかけるやりかたもあります。 
  これと双璧をなしているのがUVインキです。UVインキは紫外光を照射して瞬間的に乾燥させ、作業効率を上げる等といった利点がありますがUVインキでも蒸発型インキの良さにかなわない部分があります。 
  蒸発型の良さは、インキの発色にあります。UVインキは紫外光を照射してUV照射光が完全にUVインキ層を通らないとインキは固まりません。ですから、光を通りやすくするために若干透明度を出しているので顔料の量が希薄です。 
  UVインキの墨と蒸発乾燥型インキの墨を一緒に刷ってみてどっちか黒いかといったら蒸発乾燥型インキの墨の方が黒いです。色の問題などに敏感なデザイナーの方は比べてみると絶対に蒸発乾燥型インキの方がいいといいます。 
  印刷の現場としては作業性を考えるとUVインキの方がいいのですが発色のことを考えると蒸発型インキのほうかいいです。用途、適材適所で使われています。 
  蒸発乾燥型インキとどっちが多く使われているかというと、比率は半々ぐらいといわれています。 
 

 (2003年2月24日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)