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合成紙への印刷の留意点は

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:オフセット印刷

Q:合成紙への印刷の留意点は

A:街中に様々なポスターが貼られているのを目にします。これらのポスターの多くは上質紙・コート紙・アート紙等に印刷されていることが多く、雨風に晒されると用紙がゆがんでヨレヨレになったり色が落ちたりします。しかし、ポスターの中には用途により、雨風に晒されても形態が崩れてはならない印刷物もあります。選挙用のポスター等がその代表的な例です。 
  では、屋外に貼られている選挙用ポスター等はどうやって印刷されているのでしょうか。通常の印刷物と違うのは、用紙であり合成紙が使用されているという点です。

 【合成紙】
  合成紙とは、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニール等を原料として造られたもので、強度・耐水性・寸法安定性に優れその特性を生かした用途に使用されます。
  通常の印刷用紙は、インキが用紙の繊維の間に浸透することによって乾燥を促進しています。しかし、合成紙は天然のパルプ紙とは違い毛細管や空隙がないためインキの浸透機構をもちません。
  また表面平滑度が大きいためインキの裏移りやブロッキングが発生しやすくなります。そういう状態で印刷後早く乾燥させるためのインキが合成紙インキです。

 【合成紙専用インキ】
  合成紙インキとは、プラスチックフィルム・アルム箔等インキが浸透しない素材へオフセット印刷する時のインキで、乾燥性・接着性・皮膜強度などを考慮したビヒルクを使用した高固形分の酸化重合乾燥型インキです。このインキのビヒクルとしてロジン変性フェノール樹脂、乾性油、および少量の高沸点溶剤を使用しています。
  ロジン変性フェノール樹脂は光沢のある丈夫な皮膜を形成し耐摩擦性、耐薬品性に優れておりクイックセットインキ、ヒートセットインキに使用されています。
  また合成紙インキは無溶剤インキといって石油系の溶剤が入っていません。合成紙自身が石油系のため印刷すると、分子給合といってインキの石油系溶剤と合成紙のそれとが結合して紙が膨れてしまいます。

 【印刷】
  合成紙紙の場合、印刷機は多色機を使用する場合が多く、トラッピング不良を起こす可能性が大きいです。トラッピング不良とは先刷りのインキが後刷りのインキをうまく捕まえられない状態をいいます。原因としては、先刷りインキに比べ後刷りインキのタック値が大きかったり、先刷りインキの盛り過ぎがあります。
  これには、先刷りインキにタック低いインキを選んだり、濃度の管理をしっかり行い先刷りインキの盛りを薄くしておくことが必要です。
  また、合成紙はインキを全く吸収しないため、他の上質紙、塗工紙に比べるとドットゲインが大きくなります。このため、プリプレスの出力データは合成紙への印刷と他の上質紙、塗工紙とでは多少違ってくることになります。合成紙へ印刷するときの連続階調の網点は他の上質紙、塗工紙に比べ小さいほうがいいでしょう。
  また、インキにはドライヤが普通のインキの2~4倍、裏ズキ防止剤が2~3%はいっています。乾燥時間も単色で約8時間、多色になると12時間以上かかります。
  合成紙用のデータをDDCP又は校正用カラー出力機でそのまま出力すると色が合いにくくなりますので注意が必要です。合成紙の校正はなかなか作成しにくいので、本機校正の会社もあります。 

 

(2003年9月1日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

印刷機の爪の交換はどれくらいの期間で交換したらいいのでしょうか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:オフセット印刷

Q:印刷機の爪の交換はどれくらいの期間で交換したらいいのでしょうか。

A:印刷機の爪の交換については、期間では交換しません。通常は印刷枚数のトータルで交換します。目安として3.000万枚位印刷すると、爪のローレットや爪台が磨耗してきます。その時が交換期間とお考えください。印刷機に必ず付いているトータルカウンターで2.500万枚近くになるときに、予算と予定を立てるのが良いでしょう。 

 

(2005年2月21日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

平版オフセット印刷でのチントとは、どう言う意味ですか

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:オフセット印刷

Q:平版オフセット印刷でのチントとは、どう言う意味ですか

A:チントとは答えが2つあります。 
1.白インキで色インキを薄めること。 
2.平網のことです。同一の網点面積率をもった網点が並んでできている均一濃度パターン。例え ば40%のチントと言えば40%の平網のことです。無地網とも言います。

 

(2005年2月28日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

スプレーパウダーには粒子の大きさに種類がありますが、その使い分けの判断基準はありますか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:オフセット印刷

Q:スプレーパウダーには粒子の大きさに種類がありますが、その使い分けの判断基準はありますか。

A:枚葉印刷機の排紙部で使われるスプレーパウダーとは、裏移りを防止するため印刷紙面上に均一に散布されるデン粉を原料にした微粉のことをいいます。 
 約40年以上も前は、スプレーパウダーとして自然の植物の種を粉状にして使っていたようです。しかし、自然のものなので数に限りがあり高価だということで、改良は進められてきました。それからタルクとか貝殻の砕いたものなど無機系のものを使っていた時期もあったようです。しかし、現在ではデン粉が主流です。
タルクとか貝殻の砕いたものだと粒子形は細かいものも粗いものもありましたが、粒子に角があるのでスプレー装置の傷みや、紙面上のキズ、人体への影響を考えると印刷物製作には向かなかったといえます。
  スプレーパウダーにも粒の大きさにもだいたい10ミクロンのものから30ミクロンの種類があり、またそれぞれ加工方法の違いからメーカーによって数種類用意されています。どういう大きさの粒子のスプレーパウダーを使うかを決めるかは、基本的に紙の表面の平滑性によって決められています。
インキの膜厚自体は約1ミクロンといわれており、それに紙の凹凸がプラスされると数十ミクロンの凹凸になります。だとするとそれ以上の粒子が紙面上にのらないと裏付き防止はできないことになります。紙の平滑性がないものであれば、それだけの大きさの粒子が必要になります。 
  ですから、印刷会社としては、安全を見越して粗めのものを使用することが多いかもしれません。ただ印刷会社によって考え方が違うので、客観的にどのようなスプレーパウダーがいいかは一概にいえないところです。

  デリバリの環境でエアーの搬送の問題とかスプレー装置自体が性能よくでているのかとか、その辺のからみでパウダーをいくらいいものを使っても装置自体が正常に作動しないと結局は印刷物に影響を与えます。
  デリバリのスプレーはノズルから噴射されそれで均一性を保とうとしています。もし、噴射のバランスが崩れると、積み重ねたときに波をうつこともあります。咥えがあまって咥え尻がさがるとか、紙へのパウダーののり具合が変わってきているとバランスがずれてきます。それで紙が下がっているところは逆にパウダーがのっていないので裏移りしやすいことになります。また、機械によってデアーの位置によっても散布量も違ってきます。 ですから、パウダー噴射装置のメンテナンスが必要不可欠といえるでしょう。

 取材強力:ニッカ㈱ 化成本部
      TEL 03-3960-3106
 URL http://www.nikka-ltd.co.jp


    
 

(2005年5月9日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

合成紙に合成紙用インキで印刷した時、インキの乾燥を早くさせる為に良い方法はありますか?

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:オフセット印刷

Q:合成紙に合成紙用インキで印刷した時、インキの乾燥を早くさせる為に良い方法はありますか?

A:合成紙に印刷するときは、合成紙用インキを使用するのが通常です。合成紙用インキは、通常のインキに入ってる石油系溶剤が入っていません。その為インキのセットは遅くなります。又湿し水に対する抵抗力が低く乳化しやすい性質になっています。乳化したインキはセット・乾燥は大幅に遅れます。 
 合成紙に印刷するときは、湿し水を出きるだけ少なくし、湿し水pH・室内温湿度は常に一定に保つことが大切です。 
 通常の枚葉インキには、1.0~2.0%のドライヤーが入っていますが、合成紙用インキにはドライヤーが3.0~4.0%入っています。そのため普通の合成紙用インキでも機上安定性が悪い(インキローラー上で乾燥して締まってしまう)結果を招きます。
 それが、ドライヤーを増やすことでインキの機上安定性が更に悪くなるため、ドライヤーを入れて乾燥を早めるのはお勧めできません。
 早くセット乾燥させるためには、刷り本に風入れを行ない、温度の高い所に置いておくことです。刷了後寒い場所等に置いておくと、2~3日過ぎてもインキは乾燥しません。

 

(2005年5月16日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

冬場はどうしても印刷機の生産性が落ちますが何か対策はありますか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:オフセット印刷

Q:冬場はどうしても印刷機の生産性が落ちますが何か対策はありますか。

A:印刷品質をレベルを一定にし生産性を保つためには工場の環境整備が最低条件です。印刷工場の温度は23~25、湿度60%±5%、色温度5000度K、騒音60デシベル以下、という環境にしておくことです。
 この中でも特に重要なのは温度湿度の管理です。この管理が不十分だと機械のトラブルが発生しやすくなります。よくトラブルが発生しやすい乾燥して寒い冬場は、機械のローラやインキツボのインキが冷えて硬くなり、着けローラまでインキが降りてきません。すなわち印刷が不可能となります。
 機械が止まると当然稼働率が下がるためお金に換算するとかなりな金額にもなります。ここでは特に冬は収益があがりにくいある会社を例に工場の生産効率を上げるためのひとつの考え方を取り上げます。

 この会社の始業は8時半からですが、冬場の朝は工場内に置いてあるバケツに薄氷がはっているような状態でした。こういう状態で暖房を入れても、機械のローラーが冷え切っているためインキが硬くて下におりず8時半から作業に入れません。ようやく機械が暖まって見当をみれるのが10時半くらいで約2時間ロスしています。そのためこの2時間分は残業になるため残業代は夏場に比べ約25%アップになります。
 この会社は菊全の4色が2台、菊半の4色が2台入っています。時間とコストの関係で単純な売り上げ計算をすると、例えば菊全が1時間につき平均してと25、000円の売り上げがあるとします。そうすると25、000円/台×2台×2時間で100、000円の売り上げがロスされることになります。
 菊半の機械も1時間につき平均20、000円の売り上げで計算すると20、000円/台×2台×2時間で80,000円ロスすることになり、合計すると本来ならば180、000円売り上げるところ180、000円のマイナスになってしまいます。
 冷え切っている機械を暖めるために2時間かかるわけですが、この時間をとらないために工場の空調を一晩中つけて機械を暖めておくとよいでしょう。しかしこの場合も一晩で約3、000円の電気代がかかります。これも無駄なように見えますが、一晩の約3、000円の電気代と1日180,000円の損失を比べたらどっちがマイナスがということです。
 ですから空調関係は1年を通じてその季節の温湿度に対応させて24時間つけっぱなしのほうがトータルでみるとマイナスは少なくて済むという考え方です。

 

(2006年6月19日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

刷版工程でのステップガイドとは何のために使うものでしょうか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:オフセット印刷

Q:刷版工程でのステップガイドとは何のために使うものでしょうか。

A:ステップガイドは刷版工程で、焼枠によって光量が違うので焼付け時間を一定に管理するためのゲージです。
通常ステップガイドは15段階に別れています。1段目の濃度が0.15、2段目が0.3、3段目が0.45、4段目が0.6、・・・・・・とそれぞれの段の濃度差が0.15となっています。
 次に、ステップ1段をクリアさせるためには焼枠の露光量(カウント数)の1.4倍(そJの逆の場合は1/1.4倍)の露光量が必要になります。

例えば、9段クリア(カウント数120)の状態でこれを7段クリアにするとします。
そうすると9段目クリアから8段目クリアにしようとすれば

    カウント数120×1/1.4 = 85.7カウント
     8段目クリアから7段目クリアにしようとするには
    カウント数85.7×1/1.4 = 61.2カウント
このように9段目クリアのカウントが120だったのに対し2段下の7段目クリアするには約1/2の61カウントあればいいことになります。
通常の推奨値は最小網点2%が再現されるように管理され、クリアされる段階は6~7段目です。
(カウント数はそれぞれの焼枠によってことなります。) 

 

(2007年6月25日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

印刷機の技術革新とそれに合わせてオペレータの役割はどうなりますか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:オフセット印刷

Q:印刷機の技術革新とそれに合わせてオペレータの役割はどうなりますか。

A:ここ数年の間に各印刷機メーカーからいろいろな機械が発表され印刷機の技術も飛躍的に進化しています。したがって、どれが一番良いという見方ではなく、それぞれの印刷会社の要求に合ったものかどうかを判断することが経営者に求められてきます。 

  枚葉機はユニットの数が4色以上のものが多く出ています。これは4色以上の色数を使いより色域の広いカラー印刷をしたりインラインで両面4色印刷したりインラインである程度の表面加工をしさらにデザイン性を持たせた加工も可能になりました。 
  従来、こうしたことはオフラインで行い時間がかかっていた事がワンパスで低コスト短納期での生産が可能になりました。また準備時間短縮のためのコンピュータ制御により機構的な改良がなされてオペレータの負担も軽減されました。

  オフ輪も技術革新がなされ、特に各ユニットの単独駆動はもう一般化されています。従来、ユニット間はギアで繋がれてすべてのユニットが同時に動くため準備時間にもそれなりの時間を要していました。これがサーボモータの技術が発達したことによりユニットの単独駆動が可能となり準備時間も短縮されました。
  これにより、従来のオフ輪が7万部以上という大量生産型の機械という概念から脱却し、3万部からのロットで印刷しても採算が取れる機械が出ています。印刷会社の現場では1万部からの仕事もこなしていると聞きます。もちろんコンピュータ制御によりオペレータの負担は軽減されました。

  CTPシステムが一般的になりデジタルデータをやり取りすることにより工程がコンピュータ管理されている今日では印刷機の設定をあまり動かす必要もなくなりました。オペレータがボタンを押せば自動的に版替えからローラ洗浄、インキ濃度調節などをやってくれます。生産効率向上、準備時間短縮のために印刷機が進化するにつれてオペレータのスキルの性質も変わり経験がなくても印刷機を動かせるようになってきました。昔のように腕に技術をもった職人がいた時代とは違ってきています。非常に便利になりましたが、一方で機械が故障したりメンテナンスが必要になったときに、オペレータがどこまで対応できるかという不安要素もあります。これは大きな問題です。
  このためには印刷機の基本を理解し最良の状態を把握してこれを基にして材料の相性を確認しておくことが大切です。そして、胴仕立てやローラー交換、ブラン交換などの点検、調整し判断できるようになる必要があります。
  この解決策としては、印刷機械メーカーが勧める講習に定期的に積極的に参加して、コンユータ化された印刷機のどこまでをオペレータが調整し、どこからがメーカーに頼まなければならないのかを判断できる能力を身につけていくことが大事です。

 

(2008年3月10日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

湿し水のph値は高すぎても低すぎても地汚れが発生してしまうのでしょうか?

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:オフセット印刷

Q:湿し水のph値は高すぎても低すぎても地汚れが発生してしまうのでしょうか?

A:Phとは水素イオン指数のことをいいます。水の分子式はH2Oですが、このうち一部の分子は水素イオンと水酸化イオンに分解しています。この2つのイオンが電気を伝えたり、金属を腐食したり、たんぱく質を凝固させるなどの働きをしています。印刷でphが関連するものは、用紙の塗工層、フィルム関係の現像液、PS版、CTP版現像液、湿し水、インキの乾燥などがあります。
 湿し水は原則として酸性である必要はないのですが通常の平版印刷(枚葉、オフ輪)ではpH5.5~6.0程度の湿し水が使用されています。この場合、湿し水のpH値が下がる=酸性に偏ると画線部が取れやすくなる、インキが乳化しやすくなる、インキの乾燥が悪くなる、インキローラーにインキが付きにくくなるなどの現象が現れます。 逆にpH値が上がる=アルカリ性に傾くとインキが乳化して汚れやすくなる現象があります。
 Phを測定する方法としては、ph計を使用して数値で表示する方式、ph試験紙を液に漬けて発色度合いから判断する方式です。Ph試験紙は簡便に測定できますが正確な測定ができません。

 

(2008年3月17日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

湿し水の導電率とは何ですか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:オフセット印刷

Q: 湿し水の導電率とは何ですか。 

A:湿し水管理にはpH管理方式、導電率管理方式がありますがバラツキが多いので、現在ではエッチ液をある一定比率で原水と混ぜて補充する定量補充方式が採用されています。
 導電率(電気伝導度)とは電気の通しやすさを示す指標のことです。湿し水に電極を入れ、不純物が多いと電気の伝わりが悪く、不純物が少ないと電気の伝わりがいいということです。湿し水には電解質(酸類・塩類)が溶けているので、この濃度に比例して導電率が変化します。湿し水の管理では湿し水中の電解質濃度が高くなると導電率は大きくなります。この導電率の変化によりエッチ液の補充量を管理することができます。インキの粒子や油分などが湿し水を汚していますが、その量を電気の伝わり方で表示しているということです。
 濃度が高くなる=導電率が大きくなる=エッチ液の補充量が多いということです。実際の湿し水管理では、pH管理方式、導電率管理方式はバラツキが多いので、現在ではエッチ液をある一定比率で原水と混ぜて補充する定量補充方式が採用されています。 

 

(2008年3月17日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)