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紙粉により人物の顔の中央部分に汚れがでた印刷物が納入されたが、紙粉を無くすることはできないのでしょうか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:オフセット印刷

Q:紙粉により人物の顔の中央部分に汚れがでた印刷物が納入されたが、紙粉を無くすることはできないのでしょうか。

A:基本的に顧客は、紙面に汚れがある印刷物が納品されるとクレームをつけるケースが多いです。この場合は刷り直しや値引きになるケースが多いです。 
 紙粉とは紙面にある粉末状のゴミのことです。断裁の際に生ずる粉末状の切りくずが紙面に着いたものや製紙段階のスーパーカレンダー工程時の細かい粉、紙の表面から離れたテン料・繊維片などから生じます。
 細かいパルプ繊維が印刷中に紙の表面から剥離され、ブランケット表面に堆積したり湿し水に入りpHが変動することがあります。特に細かいダスト状の紙粉は版やブランケットに付着しインキ着肉不良の原因になります。
 対策としては紙をフィーダ部に積む前によく突き揃えをして風入れを行いながら紙粉の除去作業を行う、紙に対する印圧を若干少なくする、ゴミ取りローラーを使用する、版に捨てベタを入れるということが行なわれています。
 しかし、こうした対策を施しても紙粉は紙の性質によって出やすさが違ってきますが、多かれ少なかれどんな紙でも出るものです。したがって印刷機のオペレータは数百枚毎に抜き取りをして常に紙面のチェックをしなければなりません。もし、汚れを発見したときには機械を停止して版面とブランケットの洗浄をします。印刷現場としてはこのような紙粉発生防止対策と印刷時のチェック作業を行い、紙面に汚れや白抜けがでた印刷物が顧客に納品されないように努力しています。

 

(2008年5月12日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

IPAに代替するアルコールとはどんなものですか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:オフセット印刷

Q:IPAに代替するアルコールとはどんなものですか。

A:IPAとはisopropyl alcoholの略で水によく溶ける有機溶剤です。化学的には水酸基を持った低級アルコールで、一般の飲用アルコールであるエタノールと類似の構造、性質を持った化合物です。この化合物が湿し水に使われ出したのは印刷機の湿し水機構がモルトン方式から連続給水方式に代わったときでした。連続給水方式では湿し水を十分に版に供給するために湿し水の粘度を上げる必要があります。また、高品質な印刷を遂行するためには水を絞らなくてはなりません(出来るだけ少ない水で非画像部を確実に覆う)。この2つの目的を達成するために連続給水方式では湿し水にIPAが大量に使用されてきました。
  しかし、社会全体で環境対応が強くさけばれるようになってからはIPAが避けられるようになりました。その理由としては2つあります。第一に法律の規制があります。IPAは労働安全衛生法の有機溶剤中毒予防規則の第二種有機溶剤に指定されています。これに指定されると換気設備、環境測定、健康診断をしなければならないという義務が使用者に課せられることになります。第二に通常は数%から10%の添加で印刷しますが、添加すると臭気が厳しくなり作業環境が悪くなることから人の健康にも影響します。
そこでIPAの削減対策としてメーカーからノンアルコールエッチ液とIPA代替添加液の2つの提案があります。
  一般に湿し水に求められる機能としては表面張力低下、水の増粘、インキとの乳化コントロール、整面、防腐・防錆、消泡等があります。従来は表面張力低下と水の増粘をIPA、その他の機能をエッチ液の添加で達成して来ました。
 環境対応の一環としてメーカーとしては湿し水の機能を全て兼備したノンアルコールエッチ液を開発し、環境改善に貢献しています。またノンアルコールエッチ液だけでは不十分で、どうしてもIPAが必要な場合を想定して代替の添加液(商品名:AG-U2)を提供しています。ノンアルコールエッチ液は単体で使用し、AG-U2はエッチ液と併用します。

  代替アルコール(AG-U2)は基本的にIPAとよく似た性質の化合物で沸点も82℃でほぼIPAと同じような揮発性を示す有機溶剤ですが、分子構造の違いから労働安全衛生法の有機溶剤中毒予防規則の規制を受けません。両者とも表面張力を落とし水の粘度と上げることが目的です。しかし、代替アルコール(AG-U2)は従来のIPAよりも少量の添加で目的を達成する効果があることが利点です。
  IPAの代替としては他に有機溶剤中毒予防規則規制外のエタノールもありますが、IPAの代替溶剤として多用されていましたが、エタノールは目的を達成するためにはより多くの添加量が必要になりますので、現在では縮小気味です。

  IPAの濃度は比重管理又はガスセンサーで管理されています。管理装置の適応を考慮して、IPA代替溶剤はAG-U2やエタノールのように化学的にも物性的にも類似の化合物が選択されています。
IPAの規制において有機溶剤中毒予防規則では5%以上のときに適用、とされています。反対解釈すると5%以下であれば規制がないということになりますが、実際には原液を容器から移すときなどは規制対象と考えられます。従って、5%以下の添加量であっても非規制材料への転換が望まれます。
  AG-U2、エタノールなどのIPA代替溶剤は労働安全衛生法の有機溶剤中毒予防規則の規制を受けませんが構造、物性が類似した有機溶剤であるので全く無害ではなく、似たような影響はあります。実際の使用においては規制があるものと同じような扱いをすることが望まれます。それによって危険性が下がり環境もよくなるということです。
また、AG-U2についてはより少量で効果を発揮するので添加量を落とすことが出来、それによって職場環境の改善が達成されるものと考えられます。

 取材協力:光陽化学工業(株)

 

(2008年6月9日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

 

印刷機上でニスコーティングする機構はどうなっているのでしょうか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:オフセット印刷

Q:印刷機上でニスコーティングする機構はどうなっているのでしょうか。

A:現在の印刷機には印刷ユニットの後にニス専用のコータユニットを装着しているものが多いです。ここで使用されているニスには乾燥機構から、水性ニスとUVニスの2種類があります。
 水性ニスは塗布した後にIR、つまり熱風により水性ニスの水分を蒸発させ、エマルジョンや樹脂を固化させて乾燥させます。UVニスをコータにより塗布する場合、下地インキにはUVインキ、ハイブリットインキ、油性インキが選択できます。印刷機上でニスコーティングする機構にはロールコータ方式とチャンバーコータ方式があります。
 ロールコータ方式は湿し水装置と同様にニス舟にニスを満たし、そこに浸ったニス元ローラからそれに接触するその他のローラの回転によってニスを転移させていくのが一般的な方法です。ニス元ローラの回転数を変えることにより無段階にニスの盛りを変化させることができる利点があります。しかし盛り量をあまり多くできないという問題があり、ローラが複数ありニス舟を含めて洗浄に時間がかかります。
 チャンバーコータ方式はニス着けローラ自体にニスを供給する方式で、ローラに接するチャンバー(小部屋)にニスを送り込みローラ表面に形成された均一で微細なセル(小孔)にニスを入れ転移さていく方式です。このローラをアニロックスローラといいます。チャンバーにはブレードが取り付けられており、チャンバーからのニスの漏れを防ぐとともにアニロックスローラ表面のニスを均一にします。これはニスの盛り量がロールコータよりも多く盛れる点であり特にロールコータでは難しかった金や銀、蛍光色などのニスの厚盛りにはチャンバー方式が向いています。

両機構の特長は以下のようになっています。
●ロールコータ
①1種類でいろいろなニッフが調整できる。
②ニップを変えることにより塗布量を変えられる。
③ニップの固定が不安定にためニップの調整が難しい。
④ゴムロールの変化があるため、経時や温度により膜厚の変動、塗布量の不安定が予測される。
●チャンバーコータ
①塗布量の安定性。
②塗布量の調整(アニロックスローラの交換により)が容易。
③複数のアニロックスローラが必要であため経費と置き場が必要。
④アニロックスローラの交換に手間がかかる。
⑤アニロックスローラのセルの深さが決まっているので塗布ニス膜厚が固定される。

 現在はチャンバーコータが主流になっており、印刷機メーカーは複数のアニロックスローラ交換手間がかからないような装置の開発が行われています。品質面では膜厚を一定にすることが重視されているので、新台のほとんどがチャンバーコータ方式を採用しており、水性ニス・UVニスの両方に対応しています。
   参考資料「オフセット印刷技術(作業手順と知識)」日本印刷技術協会編

 

(2009年2月9日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

 

オフセット印刷用のJapan Color2001とオフ輪用のJapan Color2003がありますが、枚葉印刷と輪転印刷では何故色が違ってしまうのでしょうか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:オフセット印刷

Q:オフセット印刷用のJapan Color2001とオフ輪用のJapan Color2003がありますが、枚葉印刷と輪転印刷では何故色が違ってしまうのでしょうか。

A:平版印刷での枚葉印刷と輪転印刷(この場合はドライヤーで熱風乾燥させるヒートセット型オフ輪とします)で色の違いが出るということには、様々な背景があります。
 乾燥の方式による違い
 枚葉印刷は自然に乾燥する方式で、それは植物油が「酸化重合」により固まり、また鉱物油は用紙に「浸透乾燥」することで、インキが時間をかけて用紙に固着されます。一方のオフ輪は紙面上で100度~110度ほどの熱を与え、鉱物油成分を瞬間的に蒸発させることでインキを固着します。この方式の違いにより、インキ表面は異なる印刷面を持つことで、光の反射等の影響もあり色が変わって見えます。

 紙の問題
  オフ輪用紙は縦目の紙を印刷方向に引っ張っていきますが、枚葉紙は縦目・横目の違いもあり、湿し水を含むことで逆目方向に用紙が伸びてしまいます。この影響で見当精度が悪くなり微妙な色変化がありますが、オフ輪の場合は同一の用紙でもこの点はあまり影響がなく、相違点が現れます。また、マット・上質系の用紙では、アート・コート紙よりもインキの量(膜厚)が多くなり、その用紙への転写量の違いでも色が変わってきます。

 根本的な相違は印刷機構の違い
 枚葉印刷は版胴・ブランケット胴・圧胴の3胴で用紙に転写しますが一般的なオフ輪は版胴・ブランケット胴が上下に並び、上下のブランケット胴の間に用紙が流れ、ブランケット胴が圧胴も兼ねて相互のインキを用紙に押しつけています。この違いにより印刷時のドットゲイン(インキの太り)やトラッピング(インキの刷り重ね量)、網点やベタのツブレなどに違いが出ます。この違いがもっとも普遍的なものです。

  枚葉とオフ輪の相違は絵柄・用紙・インキの色相・印刷速度・その他で様々な相違点が出てきますので、一概に答えはありませんが概ね、上記のような要因が主だと考えてください。

 

(2010年3月1日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

ガス抜けとは何ですか

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:オフセット印刷

Q:ガス抜けとは何ですか

A:ガス抜けとは印刷物が積まれるとインキ部分と接する白紙部分が黄変することをいいます。印刷されたインキはセット・乾燥の途中にガスが発生します。そのガスが刷られた紙の裏側に吸着されて黄変し、裏面を印刷するときに、その黄変した部分のインキ着肉が悪くなることがあります。ガスマイグレーションともいいます。
 白紙部分が黄変するのはインキの酸化重合乾燥過程に発生する副生成物質よって、接する白紙面の塗工層成分が黄変するためです。インキ中の植物油量が多い、インキ膜厚が厚い、乾燥促進剤が多いという場合に発生しやすいです。
 対策としては、先刷り面に使用するインキ中の植物油量が多い場合、インキメーカーと相談して植物量を少なく調整したインキを使用するようにしたほうがいいでしょう。そして、後刷り面の印刷時にインキに乾燥促進剤を入れます。また印刷後に風入れ作業を十分に行ないます。

 

(2010年5月17日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

 

ISO認証取得した企業を調べたいがどうしたらいいですか?

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:環境問題

Q:ISO認証取得した企業を調べたいがどうしたらいいですか? 

A:ISO認証取得企業は、財団法人日本適合性認定協会(JAB) http://www.jab.or.jp/
のホームページで一覧表となっています。

JAGATでは、ISO9000s、ISO14000を取得された印刷会社・印刷工場のリストをJAGATホームページで更新しながらご紹介しておりますので参考にして下さい。

http://www.jagat.or.jp/品質/環境ISO/情報

 

(2001年11月5日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

 

 

エコマーク入り印刷物を作成するためには申請が必要ですか?

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:環境問題

Q:エコマーク入り印刷物を作成するためには申請が必要ですか?

A:基本的には印刷会社の顧客側で申請しなければなりません。
その印刷物が書籍・雑誌のように有料である場合、環境協会に申請して承諾されると2年間の期限で使用ができます。また、パンフレット・カタログ等の無料で配布される印刷物の場合は簡易の申請をして環境協会から承諾を得ることになります。この場合印刷会社が代行もできます。 エコマークの使用については、詳細の規定があり詳しいことは環境協会のホームページに掲載されております。使用の際にはお問い合わせして確認すべきでしょう。

財団法人日本環境協会 http://www.jeas.or.jp

 

(2001年11月5日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

 

光沢加工された印刷物は,燃えないゴミに分類されますか?

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:環境問題

Q:光沢加工された印刷物は,燃えないゴミに分類されますか?

A:光沢加工されたゴミは可燃ゴミになります。東京都清掃局から排出事業者及び収集運搬業者に出された文章では、「紙にビニール等コーティングしてあるものは紙くずとして扱う」と明記されています。さらに、この文章では、紙加工品製造業、出版業、印刷業等で発生するコーティング紙は、本来産業廃棄物ですが、可燃ゴミとして一般廃棄物と一緒に焼却し、燃える殻を埋め立て処分することもあわせて通達しています。
(「GLOSS PROCESSING」東京都光沢加工紙協同組合より) 

 

(2001年11月5日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

 

 

光沢加工された製品はリサイクル可能ですか?

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:環境問題

Q:光沢加工された製品はリサイクル可能ですか? 

A:光沢コート、プレスコート加工された印刷物は、加工されていないものと分別しなくても、再生紙としてリサイクルされます。またPP等ラミネート加工された印刷物でも,PPと紙を分離してそれぞれを再利用することは可能である。すでに大手製紙メーカーや多くの再生紙メーカーで再生分離工程を整備し、紙のリサイクルがすすめられています。
一方、ラミネートされた紙や分離されたフィルムをRPF(固形燃料)化して、企業や自治体施設のボイラーの燃料とする動きがあります。
(「GLOSS PROCESSING」東京都光沢加工紙協同組合より)

 

(2001年11月5日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

 

 

SOYシールマークはどこに申請したらもらえますか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:環境問題

Q:SOYシールマークはどこに申請したらもらえますか。

A:大豆油インキは、米国農業団体による大豆の消費拡大と、環境保全運動の高まりを背景に、主として新聞インキの環境対策として開発されました。従来の新聞インキは、石油精製の残留物を主原料としており、発ガン性が疑われる有害物質を含んでいました。 
現在の米国の新聞インキ分野では大豆油インキが主流になっています。
 SOYシールマークは、アメリカ大豆協会の認定基準に基づいて製造した製品であることを表示しています。この認定基準は大豆油の含有量についてのみ規定しています。大豆油の含有量は理想的には全量置き換えですが、実用上の問題もあり、各種インキ毎にそれぞれ実現可能な範囲で含有量が設定されています。アメリカ大豆協会の認定は、品名のみで内容のチェックはありません。企業の自己責任において実施することになっています。
 大豆インキを使用した印刷物について、アメリカ大豆協会の指定の用紙に記入して郵送すると、認定書とSOYシールの版下等が送られてきます。費用はかかりません。
印刷物に「大豆油インキ」を使用した「大豆油インキ使用シール」を印刷して、環境に配慮していることが強調できるようになっています。
 大豆油インキを使用した印刷物で、特に「大豆油インキ使用シール」を表示しなくても法的な問題はありません。しかし、「大豆油インキ使用シール」を表示することにより、その企業のPRにもつながります。また、「大豆油インキ使用シール」を表示するよう行政指導している自治体もあるそうですので、申請して表示の認定を受けることをお勧めします。
  アメリカ大豆協会 東京オフィス
   〒107-0052 東京都港区赤坂1-1-14 溜池東急ビル7F
     TEL 03-5563-1414 FAX 03-5563-1415
  資料: (株)T&K TOKA 「大豆油インキ(枚葉)Q&A」より

 

(2002年2月4日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)