print-better【印刷のツボ】」カテゴリーアーカイブ

水上り現象と乳化の違い(048)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:ダンプニング

水上り現象と乳化の違い(048)

【概要】
 基本的なことですが,水上り現象と乳化は同じ現象として考えて良いのでしょうか。

 【解決方法】
 水上りとは,印刷刷り始め時,水棒だけを着けたのち版上の光り具合を見て,判断すると判り易いと思います。しかし,絵柄面積の大小により,版面に対する湿し水の供給量を変えなくてはなりません。そして,この水上り量は,モルトン式ならば,モルトンの新・旧,連続給水方式ならば,給水ゴムローラの劣化度等にも影響されます。水上り量は,印刷機の水量コントロールダイヤルで調整します。水上り量が多すぎると,インキ濃度も下がり,インキを多く出さなければならないという事にもなり,トラブルの原因にもなりますので,なるべく水上り量は最小限にセットし印刷する事が重要でしょう。
 乳化とは,油(インキ)の中に,水分が混在しているタイプと水分の中に油(インキ)が混在しているタイプに分けられます。通常,印刷時は,前者の状態が良く,後者ではトラブルとなります。通常インキ中に含有する水分は15~17%が良く,この比率を乳化率といいます。乳化率が低すぎるとトラブルのもとになります。

 

「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

紙面に「雨ふり」がよくでる。(049)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:ダンプニング

紙面に「雨ふり」がよくでる。(049)

【概要】
 紙面に「雨ふり」の現象がおこるのは,なぜなのだろうか。

 【解決方法】
 「雨ふり」現象は冬期の寒い日などに起き易い現象で,特に休日の翌日などに起きる。これは湿し水とは関係ありません。
 夜間・休日など機械が止まっている時に機械全体(シリンダーやフレーム)が冷え切ってしまいます。作業開始の朝,暖房をいれると,冷たいシリンダーに空気中の水分(湿気)が集って,露結するのが印刷中に紙面に落ちて,雨ふりが起きます。
 夏の暑い日に冷やしたビールをコップに注ぐと,コップの回りが濡れることと同じです。冬場,休みの日でも,工場内は20℃以下にしないようにしておく事が大切です。温度管理のための費用を惜しまない事です。ヤレを作って得意先から信用を無くし,仕事が取れない方がダメージが大きいと考えたほうが良いでしょう。

 

「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

エッチ液とガム液の使用方法(049-2)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:ダンプニング

エッチ液とガム液の使用方法(049-2)

【概要】
 本印刷に入る直前で,版とブランを洗浄する場合があります。版の洗浄は,プレートクリーナーを使用せずに,一般的に使われている「洗油」でインキを洗浄することにしている。その後の処理についてですが,以下の通り二通りの方法を採用していますが,どちらも一長一短があるようでどのような方法がよいのでしょうか。
 (ⅰ)「洗油」でインキ洗浄をした後,水をスポンジに含ませて,「洗油」を拭き取り,2倍ほどにうすめたガム液をスポンジに染み込ませて,処理し,すぐ本印刷に入る。(したがって,ガム液は版上にて乾くまでには到っていません。)
 (ⅱ)「洗油」でインキを洗い落した後,版の感脂化を防ぐために,5倍位にうすめたエッチ液をスポンジに含ませ,版処理して,(水で処理するのは省略する)本印刷に入る。

 【解決方法】
 本刷印刷前に,いきなり「洗油」で版面のインキを洗い落とすのは問題です。通常は版面のインキを落す時は,版面をゴム液で濡らして,洗油でインキを落し,その後水洗いして,印刷に入るのが正式な方法です。版面が乾いている時に油が着くと,地ヨゴレの原因になります。エッチ液をうすめて使っても,効果は期待できません。

 

「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

印刷終了後のダンプニング砲金ローラの処理(049-3)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:ダンプニング

印刷終了後のダンプニング砲金ローラの処理(049-3)

【概要】
 印刷終了後のダンプニング砲金ローラの処理についてですが,砲金ローラが部分的にインキがからんだり,感脂化している場合もあるので,エッチ液で処理するのがよいか, ガム液を良く塗布して,乾燥させて,不感脂化する方がよいかわかりません。

 【解決方法】
 砲金ローラのインキのカラミは,その部分が感脂化されておこります。その部分をアラビアゴムとパミストンパウダーを使って良くこすり,水がハジケないようにします。そして,アラビアゴムを全面に塗って,乾かします。よく乾かす事がポイントです。急ぐ場合は,ヘアードライヤーなど使うと便利です。

 

「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

ダンプニング機構とインキ湿し水の適合性(050)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:ダンプニング

ダンプニング機構とインキ湿し水の適合性(050)

【概要】
ダンプニング装置でインキローラと連結しているものといない物がありますが両者のどちらにも同じインキや湿し水でよいのでしょうか。

 【解決方法】
 連続給水方式には,次の3方式があり,(1)間接連続給水方式(ダールグレーン),(2)直接連続給水(コモリマチック),(3)融合型連続給水方式(アルカラー)に分けられます。このうち,(1)と(3)は印刷時の適性乳化率は,15%~17%です。つまり,この乳化率を保つ事が出来れば,良好な印刷物を得ることが出来る訳ですので,インキや湿し水の種類は問わない訳です。

 

「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

セラミックローラーとはどのようなものか(304)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:ダンプニング

 

セラミックローラーとはどのようなものか(304)

【概要】
 以前,湿し水にIPAを混入して作業していた頃,汚れで困っていた時に,セラミックローラがあるので使ってみたらと言われた事があったのですが,データがなく結局,使用していません。セラミックローラに関する資料があれば教えて下さい。

 【解決方法】
セラミックス(陶器)は親水性に富んだ材料です。
セラミックスをローラ状にしたものがセラミックスローラです。表面の水に対する濡れ が良いために、平らな水の膜を調量ローラ(メータリングローラ)に送ることが可能にな ります。印刷中の版面の水量のコントロールは必要です。水上がりが良いためにインキが 乳化し易いことも頭に入れておいてください。雨降り現象は版面の水量が多い時に起きる 現象です。
  使用しているうちにセラミックスローラにインキが搦むこともあります、その場合はセ ラミックスローラの不感脂化処理を行わなければなりません。セラミックスローラを使え ばエッチ液不要と言う人もいますが、エッチ液の添加は必要ですし,Ph管理も行わな ければなりません。

 

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インキのツボ上がり現象とは(222)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:ダンプニング

インキのツボ上がり現象とは(222)

【概要】
インキのツボ上がり現象とはどのようなことをさすのですか?

 【解決方法】
インキのツボ上がり現象はインキ流動性に大変関係が深いです。
インキの特性にチキソトロピー(ある粘体にエネルギーを加えると粘体は流動性を増し静 止すると元に戻ろうとする性質)が大きく関係します。室内の温度というより、チキソト ロピーの性質が弱まったときに起きる現象です。室温が低すぎる時はインキが硬くなっ てインキの流れが悪くなった時(これは温度に関係あり)、ツボの中のインキが乳化現象を起こしたとき(インキがボソボソになったとき)などに起きる現象です。
  湿し水のエッチ液についての良し悪しは、その会社で使用している水道水(原水)と使 用しているインキとエッチ液のマッチングが一番大切です。例えば、福岡地域で良い結果 が得られるエッチ液が、大阪・東京地域で必ずしも良い結果を得るとは言えません。日本国内に約300種類のエッチ液があるといわれています。
その中から最適なエッチ液を選び出すのがオペレータの腕と言えましょう。  ブランケットについてはゴム表面の粗さと、網点品質との深い関係があります。表面が 粗いブランケットは網点形状は良くありませんが、ベタ刷りの時のブランケット紙離れ(QR特性)は良く、ベタの着きも良いでしょう。表面の細かいブランケットは網点形状は良いですが、ベタ刷りに難があります。くわえ尻側のカールは大きくなりやすいこともあります。網点が多いプロセス印刷の胴仕立てはハード仕立てが良い結果を出しています。P-B間の印圧が強いと網点の品質は低下します。
 日頃の印刷物がプロセスが多いのか、ベタが多いのかでブランケットを選ぶ必要もでてき ます。ある会社などはブランケットを、網用・ベタ用と2種類持っていて、それぞれの用 途によって使い分けています。

 

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エッチ液の成分は何か(050-2)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:ダンプニング

エッチ液の成分は何か(050-2)

【概要】
エッチ液には何が入っているのか。

 【解決方法】
 組成は
 ・酸類…リン酸,クエン酸(インキ乳化防止,画像保護)
・塩基…硝酸塩,リン酸アンモニウム(非画線部の保護)
・親水性高分子…アラビアゴム(版面不感脂化),C.M.C
・その他…界面活性剤,など

 

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ロットが多い場合、湿し水ローラ絡みを防止する方法は?(255)

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印刷技術情報:ダンプニング

ロットが多い場合、湿し水ローラ絡みを防止する方法は?(255)

 

【概要】
ロットが多い場合、湿し水ローラ絡みを防止する方法は?

 【解決方法】
 湿し水ローラ絡みは、水着けローラは全体にインキが絡んだほうが、版面に平らに湿し水を供給する事ができます。
 問題は,調量ローラのインキ絡みで,それを防ぐためには、SK液製造(株)の「クイックウォッシュ」などでゴムローラをきれいに洗うとインキ絡みは解消します。

クロームローラにインキが絡むのは、クロームローラの不感脂化処理が完全でない為で しょう。不感脂化処理にはSK液製造(株)の「砲金クリーナ」または東邦精機(株)の「クリアー」などがあります。

いずれにしても湿し水装置のインキ絡みは、インキ乳化に原因があると思われます。

 

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(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

アミ部分で、クワエ中央部が薄く、周辺部が濃い濃度ムラが出るのはなぜですか?(254)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:ダンプニング

アミ部分で、クワエ中央部が薄く、周辺部が濃い濃度ムラが出るのはなぜですか?(254)

【概要】
アミ部分で、クワエ中央部が薄く、周辺部が濃い濃度ムラが出るのはなぜですか?

 【解決方法】
 網の印刷でクワエ中央部が淡くなり、両端が濃くなる原因として考えられることは、 版面水上がり量の不均一が考えられます。水上がり量の不均一になる原因は調量ローラ(ゴムローラ)の変形とゴムの硬度アップです。調量ローラの中央部の変形(細くなる)によって、版面への水上がり量が多くなるために淡くなる濃度ムラは頻繁に発生します。対応としては、調量ゴムローラを交換することです。

 特に湿し水にIPAなどのアルコール類を使用すると、調量ゴムローラの硬度は上がり、変形は速まります。アルコールの濃度が高い程ゴムローラの変形は速まります。その他に考えられる事は、ブランケット胴のムラですが、これは無いでしょう。
また、インキ着けローラの細りによる着肉不良もありますが、これは、版面でのニップ巾を調べればすぐに判明します。

 

「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)