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インキローラの交換時期(003)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:インキローラー

 

インキローラの交換時期(003)

 

【概要】
インキローラの交換時期はだいたいどれくらいですか。また,交換するとすれば,やはり冬の間の方が良いのでしょうか。

 【解決方法】
 巻き替は,約1年程度と考えて下さい。有機溶剤系の洗浄液でローラ洗浄を行っている場合は,それより,さらに寿命が短くなってしまいますので注意が必要です。インキゴムローラが古くなってくると,ローラ表面がツルツルになり,ゴムローラ表面積が少なくなり,インキ保有量が減り,インキの転移が悪くなる原因ともなります。品質向上の為にも,ローラの交換時期を記録に残し,定期的に表面ゴムの巻き替えをするように心掛けることが必要です。

 

「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

インキローラと湿し水ローラの洗浄について(002-3)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:インキローラー

 
インキローラと湿し水ローラの洗浄について(002-3)

 

【概要】
ローラ自動洗浄機でのインキローラとの同時洗浄はなるべくしない方がよい,といわれるのは何故でしょうか。また,洗浄液の種類によっては悪影響がでるというのは,どの様なことでしょうか。

 【解決方法】
これは,インキローラの材質と湿し水ローラの材質が異なっている場合があるからです。場合によっては,インキローラ洗浄用の洗浄液によって,湿し水ローラの材質が劣化する恐れがあります。
 「洗浄液の種類によって」というのは,有機溶剤のうち第一種第一類のトリクロロエチレンなど(の刺激臭の強い種類)が含まれていると,ゴム表面を早く溶かし,グレージングを発生させてしまうからです。また,洗浄時,クロームローラとゴムローラが離れる機構になっていないと親水化処理されたローラが感脂化されてしまいます。

 

「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

インキのつぶれが悪い(203)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:インキローラー

インキのつぶれが悪い(203)

 

【概要】
ロデルローラを使用してから,それ以前の印刷物の原稿より,つぶれが悪くなったのですが,これは仕方がないのでしょうか。(ニップは基準値の半分に設置。)
 機械は6年経過

 【解決方法】
  ロデルローラを使用してツブレが悪いとの事ですが、それはロデルローラの問題とは違 うと思います。
ツブレが悪いのは,他のゴムローラの表面がツルツルになり、グレージング現象を起こしているものと推察します。ゴムローラの表面は新しいうちは細かい(2~5ミクロン)の凹凸があり、ローラ洗浄後はゴムの表面がマット調になり艶が無くなります。その細かい凹凸の中に、紙粉・埃・スプレーパウダー・アラビヤゴム等が入り込み,固くなってゴム硬度も2~3度上がり、表面はツルツルになります。そうするとゴムローラの上にインキが着いていても、版の上でローラはスリップをおこして画像にインキを着けにくくしています。
ベタなどのインキの着きが悪いときは着けローラの劣化を考えてください。ロデルローラのセットはバイブレーションローラに対して4.5~5.0mmのニップ巾にして、版面に対して 3.0mmのニップ巾にします。ロデルローラは表面の繊維にゴミを抱き込みゴミ取り効果を 表しますが、手入れを怠ると逆にコミ出しローラになってしまいます。1~2週間に一度は 手入れをしてください。

 

「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)
 

刷り始めより刷り終わりの網点が太る(204)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:インキローラー

刷り始めより刷り終わりの網点が太る(204)

 

【概要】
 刷り出し時の網点より,刷り終りの網点の方が太るのは,仕方がないのでしょうか(順次,ツボの開きをしぼっていってます。)

 

 【解決方法】
ドットゲインの問題ですね。刷り始めの時はインキも硬めでローラ温度も上がっていま せん(一分間の機械停止でローラ温度は2℃程度下がります)高速で印刷するとローラ温 度が上がりインキは軟らかくなり網点は太り気味になります。
インキを安定させるためにインキバイブレーションローラに通水し、ローラを冷却することで(25℃±2℃)安定した印刷が可能になります。ローラへの通水は「水なし平版用」と言われていますが、PS版の印刷でも抜群の効果を表します。パッケージ印刷の色ムラも解消できるでしょう。
ローラの温度は通常高速で印刷しても28~30℃程度に押さえられますが、それ以上に温度 が上がるのはローラのセットが練りローラを含めて強すぎるためです。

 

「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

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二色刷りでローラ当りを調整しても着肉不良になる(202)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:インキローラー

二色刷りでローラ当りを調整しても着肉不良になる(202)

 

【概要】
 二色刷の場合,先刷りする色のノリが悪い場合があります。インキローラの調整ブラン圧,版へのローラーの当りを調整しても改善できません。この場合,インキは軟かいほうがいいのでしょうか。

 【解決方法】
インキの固さを調整する場合、助剤にワニスは使わないほうが良いでしょう。ワニスを加えると一見軟らかくなったようでもインキのタックはあまり下がりません。腰切りコンパウンドを3%程度加えて良く練ってから使用します。一番良いのは、レジューサー〔石油系溶剤)を5%程度加えて良く練ってから印刷すると良くなるでしょう。特に寒い時期はインキが硬めになるので注意しましょう。
インキローラを調整しても、ローラのゴム質がグレージング(表面がツルッツル状) を起こした場合、版の画像にインキが乗りずらくなります。ゴムローラの寿命は一年程度ですので、古くなったら(グレージングを起こしたら)ゴムローラを交換する必要があります。ゴムブランケットも表面がグレージングを起こすと、インキ転移不良を起こします。

 

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「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

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赤系統のインキの版への影響。(261)

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印刷技術情報:インキローラー

 

赤系統のインキの版への影響。(261)

 

【概要】
 赤系統のインキは、他のインキに比べて、親水層を壊すなど版に対する影響があるように思われるのですが。

 【解決方法】
 赤系統のインキには、紅・赤・金赤等があります。顔料は、紅が「ブリリアントカーミン6B」,金赤が「レーキレッドC」,赤は紅と金赤の顔料を混合したものです。従来は赤に「ウオッチングレッド」という顔料を使用していましたが、現在は混合されたものが多いようです。
 金赤の顔料「レーキレッドC」は水と相性が良い(完全な親水性ではありません)という性質を持つため,乳化を起こしやすくなります。しかし,親水層を壊すということは考えられません。汚れが出るとすれば,金赤の乳化によるインキの水への泣き出しによるものと考えられます。
 乳化は浮き汚れにつながりますので,金赤を使用した特色等は、湿し水の量を抑えてインキ乳化にならないように注意しましょう。

 

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インキローラの交換時期について、通し枚数、期間どちらを重視して交換した方が良いのでしょうか?(248)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:インキローラー

 

インキローラの交換時期について、通し枚数、期間どちらを重視して交換した方が良いのでしょうか?(248)

 

【概要】
インキローラの交換時期について、通し枚数、期間どちらを重視して交換した方が良いのでしょうか?

 【解決方法】
インキローラの交換時期は、期間的には約一年で交換するのが望ましい事ですが、ローラ巻変えの費用が高いためなかなか実行されません。印刷通し枚数から見ますと、一千万枚~一千二百万枚が目安と考えます。その差は使用しているインキとエッチ液との関連が関わってきます。

 

「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

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水有り、及び水無し印刷時、網部・ベタ部にギザ目が発生します。(240)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:インキローラー

 

水有り、及び水無し印刷時、網部・ベタ部にギザ目が発生します。(240)
 
【概要】 水有り、及び水無し印刷時、網部・ベタ部にギザ目が発生します。対応策としては、印刷機械の回転を上げたり、下げたり、又、インキ練りローラのニップ圧を変えておりますが、不定期・不定位置・不形状のため、対応に苦慮しています。原因と対策は?

 【解決方法】
 印刷中にベタ部・濃い網部にギザ目が発生するのは、どの会社でも困っています。原因として考えられることは、
1.インキローラのセッティングが強過ぎる場合、特に練りローラと振りローラ間
2.インキ第4着肉ローラ(仕上げローラ)と振りローラ間が強すぎる場合
3.着肉・練りローラのゴムの表面がツルツルになった、グルージングを起こしている事
4.インキの流動性が悪い場合(インキが硬い時)、等が考えられます。

ギザ目の発生原因は、
 第3・第4インキ着けローラの上の振りローラと、その上の練ローラ間のセットが強いとローラニップ間でインキが留まり、振りローラの死点(デットポイント)の時に、その留まったインキがドーっと下へ流れて発生するようです。
 特に、練りローラと、着けローラのグレージングがひどい時に目立ちます。

 対策として、
1.振りローラと、その上の練りローラのニップ巾を軽くする。(3mm程度)
2.第4着けローラと、振りローラのニップ巾を、菊全で2.5・菊半で2.0mm程度にする。
3.インキを軟らかくする。軟らかくするのにニスの使用は不可、腰切りコンパウンドを3%程度いれる、または、レジュウサーを5%程度加えて良く練りこむ。
4.水無し平版の場合は、オロテックス5040(商品名)を3~5%入れて、良く練り込む。
 5.インキゴムローラの交換か、グレーズリムーバー等でグレーズを除去する。

 以上のことが考えられます。

 

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「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

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印刷技術情報

この「印刷技術情報」に掲載している内容は,JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」,「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。現場で実際に起こっている問題に対しての具体的な対応策が示されていますので,多くの方々の参考になると考え公開しました。 

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人工着色におけるポジ修整のポイント

※本記事の内容は掲載当時のものです。

写真5を参照されたい。これは今から30年くらい前に私がレタッチした人着による製品である。この製品は1枚のオードリイ・ヘップバーンのモノクロ写真から、人着でカラー化色再現したものだ。


写真5

手順は下記のごとくである。

《1》湿板製版の工程(図1参照)
《2》湿板ポジ撮影のポイント(図2参照)


図1


図2

イ)M、Y板はポジにかぶりをもたせ(ハイライト寄りを多く)暗部濃度は薄めに(シャドウをねかせて)撮影する(軟調な版に撮影する)。

ロ)C、Bk板は、ポジはコントラストを大きく撮る。ライト寄りは少なく、シャドウ濃度を強く撮影する(硬調な版に撮影する)。

ハ)Bk版はとくに重要である。現在のスキャナ時代のBk版はスケルトン版(骨版)で補色版的役割であるが、湿板の場合、全体のシャドウ部をしめて、画像の仕上りを決定的にする主版<オモハン>であるからである。

Y、M、C、Bk版のポジ修整には大体3日間くらいかかったが、とくにBk版は1日以上の修整時間をかけた。この製版の場合、C、M、Y、Bk版のほかに淡赤版、淡藍版という補色版を使用した、6色製版が多かった。(後述)。各版のポジ修整の手順は図3のとおりである。

スキャナ時代の現在、読者の中には、こうした手順と修整にとまどいと違和感を持たれる方がおられると思うが、「人工着色」の製版は、「色分解」されてないのであるから、「色」はレタッチマンが「創造」すると思っていただきたい。

現在でも現役で活躍されている湿板を経験した年輩のレタッチマンの方は、少々ハイキーなカラー原稿でも、ローキーなカラーでも、自在に色演出する技術をもっている。それは、湿板時代の「人着」という色再現方法が経験的にレタッチマンの体質として血となり肉となり身体で覚えているからである。

技術や工芸などの修得は、年齢の若い時代が大切である。すなわち「基本」が大事である。「人着」で身につけた「色演出技術」は、色を網点に換算するセンスとして生きつづけ、原稿のポイントを協調するという色再現の急所を押さえるセンスとして、今日の製版に生かされていると思う。

湿板時代の気の遠くなるよな修整方法に比べれば、スキャナ時代の現在の色再現には多様なバリエーションがあり、少々の難度の高い原稿も処理しやすいといえるだろう。


図3


図4

『続・レタッチ技術手帖』(社団法人日本印刷技術協会、坂本恵一)より
(2003/03/28)(印刷情報サイトPrint-betterより転載)