ハイデルベルグのインクジェットデジタル印刷機であるプライムファイア106(日本1号機)の始動式典が、多数の報道関係者を集めて2019年11月7日に株式会社共進ペイパー&パッケージの関東工場で行われた。
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2019年度グッドデザイン賞に見る社会課題とデザイン(1)
2019年度グッドデザイン大賞が10月31日に発表された。大賞および大賞候補となったデザインには、今年の社会課題とデザインによる解決方向が示されている。
進捗管理の強化による「見える化」の推進
印刷業の収益改善における「見える化」の肝は、受注一品別の収支把握である。
実現のボトルネックのひとつが、精度の高い実績データの記録、収集である。手書きの作業日報からシステム入力への移行は進んでいるが、入力の手間が敬遠されたり、入力端末の台数が不足していたりするなどの課題が残っている。
製造設備から直接、実績データを取得する手法としてJDF/JMFの利用がある。作業指示書をJDFのジョブチケットとして電子化し、製造設備にダイレクトに送信し、実績情報はJMFというデータ形式で製造設備からダイレクトに受け取る。JDF/JMFはCIP4が策定した国際的な標準フォーマットでありメーカーを問わずに利用することができる。良い事づくめのようであるが普及は進んでいない。
その理由のひとつがMISの運用にある。もともとMISは販売管理を出発点に発展したものが多く、そうしたシステムは現場レベルの細かい作業指示を行うことが想定されていない。
例えば、印刷の作業指示でいえば「菊全 4/4 通し数 5,000の仕事が4台」、あるいは製本の作業指示でいえば「128頁の無線綴じ 5,000冊」といった単位である。業務に精通した人間が見るのであれば、このレベルで十分であるが、JDFのジョブチケットを発行しようとすると、印刷は4台のジョブ単位(片面機であればさらに表面と裏面)に分けてジョブ定義をする必要がある。製本であれば、「16頁折りの折り工程が8台」、そして、それらの折り丁を丁合して綴じて三方断裁する「無線綴じ」の工程とに分けてジョブ定義をする必要がある。
さらに、受注産業の宿命で予定変更が頻発することから予定組みはMISではなく変更の操作が容易で柔軟な対応ができるExcelを用いている印刷会社が多い。また、工程をまたがった変更は操作が非常に煩雑となるので、予定表の作成は印刷工程までで、製本の現場では、紙の印刷予定表をみて現場判断で対応しているケースも多くみられる。このように予定や進捗状況の情報が社内で分断されていることが多くのロスを生んでいる。特に営業所と工場とが離れている場合などは問い合わせの電話が頻繁に行き交うことになる。
これらの課題に対しては、MISと実績収集ツール、そして印刷会社の運用という三方面からの取組みが求められる。ある中堅印刷会社では、細かな仕様登録、ジョブ定義の作業負荷を軽減するため営業サポート部門を設置、そして間際での予定変更の抑止と変更への迅速な対応を図るために「48時間ルール」というものを運用している
「48時間ルール」とは、印刷予定を2営業日前に作成し、予定表を作成した後に仕様や日程の変更があった場合は、担当営業は営業部長に申請して承認をもらうというルールである。上長の承認がない限り、担当営業は独断で予定を動かすことはできない。設定当初は、ナンセンスなルールで手間を増やすばかりと営業からは大ブーイングであったが、強行した結果、このルールが抑止効果となり、スケジュールの先行管理が定着し、予定の精度が向上した。また、現在では変更の申請にLINEを使うことで外出先からも行うことができ、営業サポートチームとも即時に情報共有できるようになっている。
この会社ではMISはPrintSapiens(J Spirits)、実績収集ツールとしてKP-ConnectPro(小森コーポレーション)を導入している。小森製の印刷機からは作業実績データが自動でMISに送信されるほか他社印刷機やポストプレス機器の実績情報はタブレット端末を用いて入力している。タブレット端末は、設置場所が固定されるパソコンと異なり持ち運びが容易で、オペレータの配置が日々流動的であるポストプレスの現場と親和性が高い。また、各設備の進捗状況はリアルタイムで事務所の大型ディスプレイに表示され、一目で進捗状況が確認できるようになっている。
KP-ConnectProには実績データを詳細に分析するための各種ツールが用意されているが、同社では受注一品別の収支結果と結びつけて改善につなげたいと考えている。
生産性の改善を金額換算して「見せる化」することで、より改善の実感がわき「自分事」として取り組むことができる。従来は分析のための資料作成に多くの時間を費やしていたが、稼働状況のレポートはシステムで自動的に作成されるので、改善活動により多くの時間を割くことができるようになる。
「見える化」を支援するITツールは今後いろいろと登場してくるだろうが、ツールを活かすためには導入側の運用の工夫、改善も求められる。
(研究調査部 花房 賢)
【関連イベント】
JAGAT研究会 11/26 MIS連携による見える化の推進
印刷業定点調査 各地の声(2019年6月度)
6月の売上高は△0.6%、2カ月連続のマイナス。売上高はほぼ前年同水準の微減程度だが、受注件数が2カ月連続6%以上の大きな落ち込みになり、先行きへの懸念がやや深まる。 続きを読む
産業団地発のアーティストネットワークがつくる「会社まるごとギャラリー2018」
横浜市の臨海南部に位置する金沢産業団地で、社屋を美術館に見立て、工場の廃材から創ったアート作品を展示する「会社まるごとギャラリー2018」が2018年9月29日(土)〜10月27日(土)まで開催された。
産業団地と地域をつなげる「会社まるごとギャラリー2019」
横浜市の金沢臨海部産業団地で、社屋を美術館に見立て、工場の廃材から創られたアート作品を展示する「会社まるごとギャラリー2019『熱〜パッション〜』展」が開催されている。
ユニバーサルポスト、連帳インクジェット火入れ式報告
ユニバーサルポストはDMで成功している印刷会社だが、「デジタル×紙×マーケティング」の具体例とも言えるべく、連帳インクジェット機を導入、2019年9月26日に導入場所の大洲工場で火入れ(始動)式を行った。
続きを読む第3期 見える化実践塾
2020年4月スタート予定(期間は1年全5回)
限定5社!
短期間での「見える化」を実現!
”やり切る”サポートと取り組む企業の相互交流と
自己研鑚の場をつくります。
「見える化」という言葉は印刷業界にかなり浸透していますが、実践できている会社はまだ多くはありません。
その原因、ハードルとしては、
- 徹底できない(リーダーシップ不足)
- システムがうまく活用できない
- どこから手をつけてよいかわからない
- 社内原価(時間コスト)の調べ方がわからない
などが挙げられます。
本研究会では、座学と見学会、実践と発表を繰り返し、「見える化」のつまずきポイントを洗い出し、課題解決に向けて後押しします。
概要 | |
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日時 | 2020年5月スタート(1年間)。全5回(8日間) |
受講対象 | JAGAT会員企業様限定 従業員数 20名から200名程度 MISをすでに導入していること (自社開発でもパッケージソフトでもかまいません) |
定員 | 限定5社。1社4名まで参加可能 |
受講料 | 1社 800,000円 ※料金は税別、宿泊費、交通費、懇親会費別。 ※社内での実践を推進するために1社4名様まで参加できます。 ※4名を超える場合は、1名増えるごとに5万円をいただきます。 |
会場 | 大東印刷工業株式会社(東京) 株式会社アサプリホールディングス(三重) 作道印刷株式会社(大阪) 公益社団法人日本印刷技術協会 セミナールーム |
本研究会では、寄り添うトレーナーの役割をJAGATが、そして、時には厳しい叱咤激励を行うご意見番として先進企業3社の社長が担当します。
成果発表日を最初に設定
実現の期限を決めて必ずやり切る
というスタイルをとります。
座学と見学会、実践と発表を繰り返しながら 「見える化」のつまずきポイントを洗い出し、「できない理由」ではなく「どうしたらできるか」をとことん追求していきます。
パンフレット(カリキュラムつき)はこちらから
まずはお問い合わせください。
研究調査部 花房(はなふさ) TEL:03-3384-3113、Email:pri「@」jagat.or.jp
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5月の売上高は△1.7%、2カ月ぶりのマイナス。4月は10連休前の駆け込み需要が売上高を押し上げたため、5月はその反動減があった。4月と5月を合わせると通算0.4%増であり、差し引きで見れば表面的な売上高は決して悪くはない。価格の上昇傾向も売上高を押し上げる方向に働いている。 続きを読む
ツーリズムEXPO初の大阪開催に寄せて、工場・産業を観光資源に!
ツーリズムEXPOは、来たる10月下旬に初めて大阪で開催される。全国の地方創生・地域活性化が集結するイベントとして注目度が高い。会場は人と印刷物などの媒体で埋め尽くされる。工場見学など産業を観光資源に生かす手法についての事例紹介も展開される。