日本の広告費は6兆2,880億円、5年連続でプラス成長となった。広告市場の動向は印刷市場にも影響を及ぼす。2016年のトレンドを読み解く。 続きを読む
「研究調査」カテゴリーアーカイブ
印刷業定点調査 各地の声(2016年10月度)
10月の売上高は7カ月連続の減少となる△4.5%。7カ月連続減少は2012年12月~2013年6月以来。受注件数は4カ月連続の減少となる△0.4%。春以降は印刷の需要減が秋にかけて顕著となった。
page2017のみどころ
2017年2月8日に開幕したpage2017の初日は、カンファレンス・セミナー、技術展示や印刷パートナーゾーン、みどころツアー、フリーペーパー展示など多彩なイベントが繰り広げられ予想を超える来場者数で賑わった。
page30回記念トークショー「デザイン思考×地域創生×マーケティング」
印刷業界の総合展示会「page」は2017年で30回目となります。いま印刷ビジネスで重要な武器となる、デザイン思考、地域創生、マーケティングをテーマにした特別トークショーを開催。 続きを読む
消費意欲向上のための新たなコミュニケーション手法とは~リアルとネットで売り上げをアップするには
流通・小売業では昔からPOSによる販売情報を収集して、データ分析を行っていた。消費者の意思決定が変化していく中で、O2Oやデータ活用がますます重要になっている。 続きを読む
「マンガ図書館Z」がコミック版YouTubeをめざす理由
書店で扱っていない絶版マンガを電子化・公開するマンガ図書館Z。作家に収益を還元するほか海賊版撲滅も目指している。マンガ家の赤松健氏がはじめた電子コミック配信サービスについて紹介。 続きを読む
印刷会社と地域活性、その最新動向に関する考察
印刷会社の地域活性ビジネスに対する取り組みは政府の地方創生策の後押しもあって急速に市民権を得た。しかしそのビジネスとしてのあり方は徐々に変化している。
「あしたの売り上げ」をつくるためのソーシャルメディア
ソーシャルメディアはマーケティング戦略において必須だといわれている。しかし企業側から見ると費用対効果が見えにくい面もある。企業として運用するメリットとはいったい何か。 続きを読む
デザインとブランドのパワー
企業がマーケティングにオンライン動画を使う理由
YouTube動画やソーシャルメディアの動画広告など、オンライン動画は企業のマーケティングにおいて重要な手段になってきた。では、企業はどんな効果を求めているのか。動画マーケティング企業に話を聞いた。
JAGAT 印刷総合研究会では、企業の動画マーケティングや制作支援を行うViibar(以下ビーバー)篠原佳名子氏に「あの会社の最新事例から読み解く、動画キャンペーンの戦略と効果」について講演いただいた。今回はその一部を紹介する。
ネット動画を見る層にアプローチするには最適
篠原氏はまず、ユーザー側のメディア接触の環境変化によって企業が動画を使わざるを得ない状況が生まれていることを挙げた。今は20~30 代男性の3 人に1 人、10~20 代女性では4人に1人がテレビを見ていない状況だ(平日に15 分未満)。
彼らはテレビを見なくなった代わりにオンライン動画視聴へシフトしている。既に10 代、20 代では半数がテレビよりもネット動画を好むようになっている(NHK「国民生活時間調査2015」)。
オンライン動画に親しんだ層にアプローチするには、当然オンライン動画が適している。その場合、テレビCM を再利用するよりも、オンライン専用に制作された動画が好まれる。アメリカで行われた調査では、好感度や購買意欲はテレビCM よりオンライン専用に作られた動画の方が有利だという結果が出た。さらに若年層では利用意向、ブランド好感度ともに、オンライン専用の方が約3 倍効果が高かった。そのため既にアメリカでは、広告主側はオンライン専用の動画コンテンツにかける予算の割合を増やしつつある。
またオンライン動画は多くの企業にとって可能性を拡げるツールとなり得る。
篠原氏は、「今の時代、オンライン動画はチャンスだ」という。映像での表現はテキストやバナーよりも圧倒的に情報量が多い上に、テレビCM と比べて長さやクオリティの制約が少なく、安価なコストで取り組めるメリットがあるからだ。多額の予算をかけられない中小企業の商品・サービスでも、映像というリッチな表現が使えるのは大きな強みだ。
ニーズに最適な動画を選ぶ
では、実際にどのように動画を活用すべきなのか。
オンライン動画のバリエーションは、バイラル動画、社内報、製品紹介、インタビュー動画など何十種類にも及ぶ。そこでビーバーでは動画を5 つに類型化したオンライン動画活用戦略モデル「SHHIP(シップ)」を提唱している。
SHHIP とは、ユーザーの目を引き好感を生む「Star(バイラル動画)」、悩みに応える情報を提供する「Help(ハウツー系動画)」、特定ファン層をターゲットにした「Habit(ネット番組)」、動画広告の「Insert」、購入の後押しをする「Persuasion(説明動画)」の5 つの頭文字を取ったものだ。これらを目的に応じて使い分ける必要がある。
例えば資生堂では、自社の技術広報を目的とした美容情報サイトの「シセイドウ ビノラボ」を2015 年4月から運営している。メーカー側からサイト認知のきっかけとして、掲載記事の内容を基にしたキャッチーな動画を作りたいという要望があった。
そこでビーバーでは、同サイトでの人気記事「童顔?大人顔? 印象はどこで決まる?」をベースにクリエイターから幅広く企画を募集した。数多くの応募の中から採用されたのは、一人の女性がメイクで別人のように変身する動画を逆再生し、メイクで予想以上に多様な印象が生み出せることを表現した動画だ。
公開後、動画に驚いたとのコメントが多数付き、数カ月間でYouTube やFacebook から155 万回再生された。ビノラボや資生堂のウェブサイトへのアクセス数も通常の3~5 倍にまで増加した。インパクトがあったこともあり、バイラルメディアのロケットニュース24やテレビの情報番組でも取り上げられ、さらに視聴数を伸ばした。
資生堂の事例はSHHIP でいう「Star」に当たる。メーカー側のニーズに応え多くの人に視聴してもらえた要因は、コンテンツを重視したクリエイティブにしたことにあると篠原氏は分析する。
Star 動画の場合に何よりも重要なのは、広告らしさをできる限り抑え、驚きや共感を主軸にコンテンツに寄せたクリエイティブを作ることだ。このような動画は他ジャンルの動画と比較してインパクトがあることが多いため、結果として「いいね」やコメントが付きやすい。
またメディアにも注目されやすいためPR・ブランディング目的で活用するのが効果的だ。一方、広告色が弱く動画単独で伝えられる情報量はそれほど多くないという弱点もある。そのため商品・サービスについて詳しく説明したり、すぐに購買行動を促したりする用途には向いていない。
Star 動画ができることには限界があるので、必要に応じて他の動画パターンも活用する必要がある。Help動画であれば、商品やサービスそのものを宣伝するのではなく、ターゲットとなりそうなユーザーに役立つコンテンツを発信し、検索の上位表示や口コミを狙う。いわば「動画を用いたコンテンツマーケティング」である。
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セミナーでは上記のほかSHHIP モデルに沿った事例をもとに企業が動画を活用することでどんな効果があったのかを紹介いただいた。
今は安価に依頼できるクラウドソーシングも多く登場し、価格だけで勝負することは難しくなった。クライアントが動画に期待することは多様で、何よりニーズに合った動画コンテンツを制作できるパートナーが求められている。
(『JAGAT info』2016年10月号より一部抜粋)
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