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3月24日 トピック技術セミナー開催

例年12月に開催されていたその年発表された印刷技術の祭典である「トピック技術セミナー」ですが、今回はIGASが11月に行われたので、年度末の2023年3月24日に開催することにいたしました。

「トピック技術セミナー(https://www.jagat.or.jp/topic2022-2023)」はその年発表された最新技術を集めるもので、毎年12月に行われてきたので、競馬の「有馬記念(年末に開催され、その年の実力馬No.1を決めるレース)」になぞられて、「印刷業界の有馬記念」と言われたりしていた。IGASも絡めて、今回は単なる製品だけを取り上げるのではなく、page2023で「創注」をテーマに取り上げたことからJAGATとしては「創注」にこだわりたいと考えている。依頼文には

【お話しいただきたい内容】
 page2023のテーマが「創注」なので、例えば
  ・スマートファクトリーで差別化して「創注」を実現(コストセーブ)   ・マーケティングで差別化して「創注」を実現   ・システム化で差別化して「創注」を実現   ・他社との連携で差別化して「創注」を実現   ・見える化で差別化して「創注」を実現
 等々具体的に見えてくるのではないかと思います。

と各社独自視点での印刷ビジネスを頼んでいる。各社熟慮されているようで、非常に楽しみである。面白い視点も聞けるのではないかと楽しみにしている。

「トピック技術セミナー(https://www.jagat.or.jp/topic2022-2023)」は会員サービスの一環としてお届けしている催しなので、JAGAT会員や総合研究会会員だったら無料で聞けることが出来るので、皆様是非参加いただきたい。

各社の主張を聞き、それを租借して自分なりに考えなして、印刷ビジネスの未来を構築していく手助けになれば主催者側としては本望である。皆様のご参加をお待ちしております。

(JAGAT専務理事 郡司秀明)

関連イベント2023年3月24日
「トピック技術セミナー(https://www.jagat.or.jp/topic2022-2023)」

2022年の印刷ビジネスを振り返る

コロナ3年目の2022年は、アフターコロナへの希望とウクライナ危機による不透明感が交錯する状況が続いた。結果として、20年続いたデフレの終焉など時代の転換点を迎えた。JAGATの各種調査結果から、年末時点で見えているところまでの材料をもとに振り返る。

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色管理の課題

印刷の色管理(カラーマネジメント)は、日本ではJapanColor認証の認知とともに、確立した技術のように思われているかもしれない。
しかしながら、実際に運用しようとすると、いろんな課題が見え隠れしてくる。

測色器の設定条件

・印刷分野はD50光源設定とされているが、他の分野ではD65 光源設定を指定しているところもある
・印刷分野は0-45度の光学系としているが、積分球光学系を指定している分野もある
 →同じ色度の数値でも、違う色になる場合がある

・ディスプレイも用途によっていろいろ
 液晶ディスプレイはバックライトに使う光源がいろいろ
 有機ELのような自発光タイプで輝度が高いものがある
 Adobe RGB、sRGB、Display P3、さらにはHDRなど複数ある
 →印刷データをどのディスプレイで見たかによって、違う色になる場合がある

・印刷業界の標準設定どおりのデータが納入されるわけでない
 Microsoft Officeで作られたデータはカラーレタッチ要
 →RGBとCMYKの色空間の大きさが違うため、違う色になる場合がある

・用紙の種類によって色再現性が変わる
 →用紙によって再現色域が変わり、違う色になる場合がある

などなど、いろんなケースが発生してくる。

さらに、印刷物そのもののバリュー向上を目指して、メーカーは新しい材料を使って付加価値を提供しようとしている。
例えば、広色域のCMYK材料の取り組みはもちろんのこと、CMYK以外の金・銀・蛍光色対応で、色のみならず質感表現までも多様化はますます進みつつある。

色・質感をハンドリングするために

カラーマネジメントのさまざまな課題に適切に対応するには、次のことができているかにかかっている。

1.測色の原理、計算アルゴリズムを理解している
2.色が見えるという視覚の原理 を理解している
3.色度座標と実際の色の関係が頭の中で結びつく

この3点がわかると、ずれている色をどう変換してあげればよいかがイメージできるようになる。

ただし、金・銀に関しては、色度以外に反射角度特性も管理項目に入れないといけない。蛍光色については、当てる光のUV(紫外光)成分まで管理項目に入れないと数値化は難しいため、測定のために特殊計測器が必要となる。
そして、欧米では質感も加えたカラーマネジメントを進化させるべく、標準化作業が進んでいる。

(JAGAT 特別研究員 笹沼信篤)

【関連セミナー 】
12/6 「測色計の最新動向とカラーマネジメント」:印刷総合研究会

基礎的な測色技術と、IGAS2022で出展されるカラーマネジメント関連の機材・ソリューションが紹介される。現時点の国内最新状況をウォッチングするのに最適な研究会であり、興味のある人はぜひ聴講して欲しい。