研究調査」カテゴリーアーカイブ

オフ輪で紙ムケが出てブランケットに付着(069)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:パイリング・紙むけ・ヒッキー

 

オフ輪で紙ムケが出てブランケットに付着(069)

【概要】
オフ輪で紙ムケが出てブランケットに付着したような状態になった時,対策処置として,版とブランの圧を強くすると直る時があります。どんな方法を行っても紙ムケが直らない時に最後の手段としてこの方法を使います。しかし,正当な方法ではなく,耐刷力もないと思うのですが,何か他の対処法はありますか。もちろんブラン胴と圧胴の印圧は通常通りです。

 【解決方法】
 次の事を実行してみて下さい。
 (1)上,下胴のブラン仕立量を同じにする。
 (2)上胴のブランを下胴より硬いものにする。
 (3)ブラン下にフィルムを入れない。
   静電気発生の元となるので,これは避ける事。
 (4)B-B間の印圧過多にしない。
 (5)機械の熱でインキがしまり気味にならないようにする。
 (6)軟らかいインキに変える。

 

「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

予備紙の準備(071)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:パイリング・紙むけ・ヒッキー

 

予備紙の準備(071)

【概要】
 限られた予備紙の中で,色出しは可能ですか?

 【解決方法】
 総印刷枚数が何枚の時の予備数が不明ですが,10,000~20,000枚に対し,予備数は500枚が妥当です。
 基本的には,ヤレ紙よりも予備紙を使って色合せをした方が,単時間で完了します。
それは,次の理由によります。
 (1)ヤレ紙を通しても,ローラ上のインキの流れがそう変化ない。
これは,インキ転移が悪いからです。白紙ならば転移量が多く短時間で,原稿の色調に近づきます。
 (2)水の調整が決らない。
インキの量に対し,水の量を決定していくので,ヤレ紙を通している間(1)の理由により,本紙になってからも調整を要すのでなかなか水が安定しなません。
 (3)ブランケットにヤレ紙のパウダー等が付着し,色決定までにいろいろな要素がそれを疎外してしまう。
その他,同時に見当合せも行っていくので,刷版,製版での正確な版へのイメージ焼付けも必要となってきます。
このように,印刷のセクションだけで簡単には解決出来ない要素も含まれているので,全社的取り組みをお勧めします。これにより生産性品質が一段とアップするでしょう。

 

「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

パイリング,ブラン残りを少くしたい(064)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:パイリング・紙むけ・ヒッキー

 

パイリング,ブラン残りを少くしたい(064)

【概要】
 当社では湿し水のエッチ液はノンアルコールのエッチ液を使用している。現在,印刷上,湿し水の水量を下げれば着肉は良いのだが,パイリング,ブランケット残りなどで1日のブランケット洗浄の回数が多くなる(巻取2~3本程度でブランケット洗浄)。湿し水の水量は版面の光の反射具合を見て確認している。またコート紙,絵柄によってはアルコール5%程度使用している。パイリング,ブランケット残りを少なくする方法はないか。

 【解決方法】
 湿し水を下げると,パイリング・ブランケット残りがひどくなるということなので,その原因は水ではなく他にあるのではないかと思われる。
 版からブランケット,ブランケットから紙への転移が悪いと,パイリング・ブランケット残りは起き易くなる。ブランケットのヘタリ,パッキング不良などにより,仕立て量が変わっている可能性もある。各仕立て量をパッキングシリンダーゲージでチェックし,正常でない場合は正規の量にする。
また,インキのタックが強過ぎたり転移性の悪いブランケットを使用していても,ブランケット残りは起きやすい。
 特にインキについては,インキメーカー,種類により適・不適があるので,その選択は重要な課題である。また,用紙の良・不良にも影響する。

 

「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

モアレと節目について(065)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:パイリング・紙むけ・ヒッキー

 

モアレと節目について(065)

【概要】
モアレと節目について詳しく教えて欲しい。

 【解決方法】
モアレとは,網点や細線が幾何学的に規則正しく配置されたパターンを重ね合わせた際に生じる濃淡の縞模様である。
 原因は製版のスクリーン角度によるものが多く,特にシアン(藍)とマゼンタ(紅)の角度の差が30°以上離れていない時にモアレは出やすい。モアレを防ぐには、ダブルトーンのスクリーン角度は主色版は45°補色版は75°または15°とし、主色版と30°の差にする。
 機械調整不良によるものに,爪抜けによる網点ダブリがモアレの原因になることがある。紙伸びによる極端な見当不良もモアレの原因になる。

 節目あるいは条目は,ローラ目,水目,ギヤー目とショック目に分類される。
ローラ目は,ローラ調整不良によって起きる。例えば着ローラがシリンダーの切欠部のくわえ側に強く当たり,バウンドした場合などは,絵柄のくわえ側に数本の節目が出る。また,版をシリンダーに装着した時にシリンダーに対してくわえ側が浮いている時にも発生する。 着ローラの1回転目,2回転目に筋状の目が出易い。ローラ調整である程度矯正できる。

 水目は,湿し水を版面に上げ過ぎている場合,インキローラと版面間で水がしごかれるために発生する筋目である。湿し水量を少なくすると直る。連続給水機構の場合,着けローラや,クロームローラーにインキがからむと印刷方向に垂直に筋目が出る。これは,水の膜の不均一さが原因で生じる。クロームローラは特にインキが絡まないようにしておく必要がある。
ギヤー目は印刷胴ギヤと同じピッチで筋目が発生する。原因はギヤーの摩耗による噛合せ不良による。ギヤーは摩耗していなくても胴仕立て不良(特に過圧)によって噛合せが悪くなる。ローラの過圧(対バイブレーションローラ)によってもローラ目・ギヤー目が出る事がある。
ショック目は,機械に対して,何らかの衝撃によって起きる節目である。

 詳しくは,日本印刷技術協会から出されている,「オフセット印刷技術のトラブル解決法」P62~65までを読まれる事を薦めます。

 

「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

パイリングと紙粉,パウダーの関係(065-2)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:パイリング・紙むけ・ヒッキー

 

パイリングと紙粉,パウダーの関係(065-2)

【概要】
 紙粉やスプレーパウダーの使用とパイリングの関係が知りたい。

 【解決方法】
パイリングとは,パイル=積むの意味で,ブランケット表面,版面,画像やインキローラーに堆積する事です。
ブランケット残りを「ブランケットパイリング」,版残りやローラ残りを「パイリング」と言います。
 原因は(1)インキ練肉不良や粗い顔料を使った場合,転移が悪くなる。例えば金インキの印刷などは顔料粒子が粗く,重いため顔料がブランケット表面に残り転移が悪くなります。
 (2)インキの乳化が進み,流動性が悪くなると転移も悪くなる。ブラン残りが生じる。
 (3)紙粉の出易い用紙や紙面強度が低い用紙などで印刷中にブランケットに紙粉や,紙ムケした部分が残る
(4)先に刷った時に裏移り防止,スプレーパウダーを多く散布した後に,後刷印刷を行った時ブランケット上にスプレーパウダーが堆積してインキ転移不良を起す。特にスプレーパウダーを加工して水に溶けないものを使用する場合,散布量を少なくしなければブランケットパイリングが起き,度々,ブランケット洗浄をしなければならなくなります。

いずれにせよ,紙粉の多い用紙やスプレーパウダーの大量散布は,版残り,ローラ残り,他,ブランケットパイリングを起こし,印刷品質が低下しますので,注意してください。

 

「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

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グラデーションがきれいに刷れない。(070-2)

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印刷技術情報:パイリング・紙むけ・ヒッキー

 

グラデーションがきれいに刷れない。(070-2)

【概要】
グラデーションがきれいに刷れない。

 

 【解決方法】
 湿し水のエッチ液とインキが合わない場合も考えられますのでエッチ液を取替えてみて下さい。また,水棒の調整を行うことなどで,この問題は解消するでしょう。

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ヒッキーが目立つ(067)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:パイリング・紙むけ・ヒッキー

 

ヒッキーが目立つ(067)

【概要】
1胴目はスミを2胴目にアイを入れて印刷していますが,ヒッキーが目立ちます。もう少し紙離れの良いブランケットを使用したほうがよいのでしょうか。インキはやわらかな物を使用しています。

 【解決方法】
ヒッキー(中心部にインキが付着した小さなドーナツ状の白点)の原因と対策は次のとおりです。
 (1)インキローラが古くなると,ゴムローラ表面やゴムローラ端についたインキカス等が再び剥離され,印刷面に運ばれてしまう。
→インキローラ表面がツルツルに見えるようになったら,ローラの交換時期です。
 (2)インキローラのセッティング不良
→ローラ間,ローラと版胴間の各ニップ巾をもう一度確認し,適正量に調節する。
 (3)版面表速とダンプニングローラ表速が等しいのでゴミが取れにくい。
→ダンプニングローラの表速(表面速度)を3%ダウンさせるようにして,改善した例もあります。但し,この際には,ギヤの摩耗が激しいので,沢山のギヤをストックをしていました。
また,紙離れの良いブランケットはどちらかというと,網点品質が良くないのでおすすめできません。

 

「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
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紙ムケと紙取られの区別(068)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:パイリング・紙むけ・ヒッキー

 

紙ムケと紙取られの区別(068)

【概要】
 紙ムケと紙取られは対策も非常に類似していますが,紙ムケのひどいものが紙取られと考えて良いのでしょうか?

 【解決方法】
 紙ムケとは,印刷時インキのタックが大きかったり,また,印刷用紙の表面強度不足や,塗工層の接着力不足などの原因で,紙がムケることです。対策としては,インキのタックを下げます。また,乾燥助剤としてのドライヤを入れ過ぎると,インキがしまり,同様になるので注意が必要です。
その他,印圧(過圧)をチェックします。古いブランケットを使用しているならば取替えます。古くなると,ブラン表面が平滑になり,その為インキ保有量が減り,かえってインキを盛りすぎてしまうからです。
 紙取られはベタ刷りの後,ブランケット上のインキが乾きその状態で紙を通した時に,インキがベタつき、紙がブランケットに取られたり,爪の圧の調整が不良の為に紙が取られる時のことを言います。

 

「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
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(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

水幅が狭い金インキ印刷時の注意点(316)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:パイリング・紙むけ・ヒッキー

 

水幅が狭い金インキ印刷時の注意点(316)

【概要】
 金や蛍光などを印刷すると濃度が出ないため、インキを盛るとインキが余り、汚れます。そこで、水を上げるのですが、今度は水上りをしてしまうので困っています。金・銀・蛍光を印刷する時の注意点を教えて下さい。また、なぜそのようなことが起こるのですか。

 【解決方法】
 金インキは顔料に真鍮の粉末を用いています。インキの比重は銀インキ(アルミ粉末)よりも重くなりますので、インキローラー上のインキの流れ(フロー)が悪くなります。そのため、ツボより多くの金インキを出しても絵柄は濃くなりません。レジューサーを5%程度入れてインキの流れを良くすることと、水巾を増やすことが大切です。
ただし、腰切りコンパウンドは絶対に入れないでください。蛍光インキは顔料に尿素やメラミンなどの樹脂に蛍光性の染料を溶かし込んだ染料のため、溶剤や湿し水に耐性が低い難点があります。耐光性も弱いです。
 注意点として、一般インキと混ぜると効果が下がります。ドライヤーを入れると変色し易いので注意してください。下刷りに同色の色を印刷すると濃度感が得られ耐光性も増します。金インキ・蛍光インキ共に刷りずらいインキです。水上がり量は少なめにすることが大切です。

 

「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
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紙面への水,油,パウダーの落下を防ぐ方法(066)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:パイリング・紙むけ・ヒッキー

 

紙面への水,油,パウダーの落下を防ぐ方法(066)

【概要】
 水落,油落,パウダー落を防ぐ決定的な方法を教えて下さい。

 【解決方法】
 掃除以外決定的なものはありません。しかし,水たれ,油たれ,パウダー落ちそれぞれに原因があります。水落では,水槽(水タンク)の回りに結露した水玉が落ちる事があります。湿し水を冷却すると起きる現象で,対策として水槽の回りを発砲スチロールなどでくるみ,結露を防ぎます。
 連絡給水方式の水調整ローラー(メタリングローラ)とクロームローラ,それと着ローラの端から水がハネル場合があります。その時は,ゴムローラの端の部分を,サンドペーパーなどで若干削ると直ることがあります。ただし,ほんの端の部分だけです。
もうひとつは,冬期連休の後などシリンダーに結露することから水たれが起きます。それは機械が冷えている時に急に暖房などで部屋を暖めた時に起きます。この対策には,夜間や休みの日でも工場内温度は20℃を下回らないようにします。水たれのクレームが多いのは冬の厳寒期に多いことでも判ります。
 油落ちは給油後,オイルニップルやグリースニップルの油を拭き取ることが大切です。しかし,シリンダーの爪軸に一ヵ所で給油する方式がありますが,給油パイプの中の圧力は非常に強く,ブルドーザーの油圧アームと等しい程の圧力になる事もあります。それが機械回転中にオイルニップルなどから遠心力によって飛び散ることがあります。爪軸の集中給油の場合,銅パイプによるものは,パイプを取り外し,オイルニップルだけに取替えることをすすめます。デリバリの爪竿の給油は,注油後ウエスで拭き取ることが大切です。油を注ぐから油落ちがあると給油を止めてしまう会社がありますが,とんでもない間違いです。給油は決められた手順通り行って下さい。
 給油不足のための機械事故は意外にも多いものです。
パウダー落ちは,ほとんど爪竿から落下するものです。1日の作業終了時には必ず爪竿のパウダーは,ハタキとかコンプレッサーからのエアーなどでキレイにして帰る習慣をつけると良いでしょう。これでほとんど無くなります。
 印刷インキ(枚葉)は普通に使用していると裏付き事故は発生しない様に設計されています。スプレー粉はなるべく少なくしましょう。

「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)