研究調査」カテゴリーアーカイブ

透かしインキとはどういうものですか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:その他

Q:透かしインキとはどういうものですか。 

A:通常の透かしは、白すかしまたは黒すかし(黒すかしはお札のみ)のように、用紙の表面の凹凸で表現されます。しかし、紙を抄紙するときからでないと透かしは得られないとなると、印刷物の単価が高くなり限られた印刷物にしか表現できないことになります。しかし、もっと簡単な方法で透かし模様を表現し、偽造防止等の役割を果たす手段はないものかと開発されたのが透かしインキです。 

 透かしインキは、透かし模様を樹脂凸版または平版オフセットで印刷できるインキです。OPニスやメジウム等では、繊維層に浸透する前に固化乾燥してしまうため、充分な透かし模様が表現できませんでした。
 透かしインキは、常温で固化しない液状の樹脂を用紙の繊維層に浸透させ、光の透過率を変えることで透かし模様を表現します。
 例えば、通行権・入場券などに印刷されている場合があり、最近の例では、一部の地域振興券にも印刷されていたものもあります。

【印刷上の注意点】
 用紙は非塗工紙を使用し、事前に透かし模様ができるかどうかテストすることが必要です。インキ量が、少な過ぎても充分な透かし模様は表現できませんし、盛りすぎても裏移りし、印刷していない部分にも透かし模様ができる可能性があるからです。塗工紙では、用紙の繊維層に液状の樹脂が浸透しませんので、塗工紙には印刷できません。
 まず、印刷前には印刷機のローラー洗浄を充分に実施することが重要です。事前テストでは、本紙を使用しインキ盛り量を3~5段階に変えて印刷しますが、この時にインキ盛り量(元ローラー回転数とインキツボ開閉度)を記録し、翌日、透かしの状態を確認して印刷条件を決定するといいでしょう。
 また、透かしインキの中には固化乾燥しない部分が残るので、透かし模様の上にプリンタ等で印字してもうまく印字されませんし、後加工性・箔押し適性・耐熱性等がありません。逆に乾燥すると透かし模様が得られなくなります。
 つまり、紙の繊維の中に浸透したインキは乾燥していない状態で、表面がさらっとしているという特長をもったインキということです。ですから、手で触ってもべとつきません。

資料提供:株式会社T&K TOKA 埼玉事業所
     埼玉県入間郡三芳町竹間沢283-1  TEL 0492-59-6422 

 

(2002年5月27日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

コンピュータの読取用の印刷物に用いられるドロップアウトカラーとは?

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:その他

Q:コンピュータの読取用の印刷物に用いられるドロップアウトカラーとは?

A:光学的文字読取装置OCR(Optical Character Reader)と光学的マーク読取装置OMR(Optical Mark Reader)は、日常生活の中でも身近にあります。例えば、OCRだと通販や生協の申込用紙などがあり、OMRだとスピード宝くじの申込み書や馬券の申込み書、入学試験の解答用紙などがあります。これらの読取用紙の印刷物における読取り欄の枠などには通常とは違うインキが使用されます。
 この用紙に光を当ててコンピュータで読取る場合に墨インキにあたった光は吸収されますが、記入枠の罫などはドロップアウトカラーという照射光にあった分光反射率のインキを用いることで、人間の目では認識できますが機械には白と同じになるようになるという特長があります。
 読取機械は分光反射率の差を認識することにより,意味のある文字や記号と枠など用紙に記入されている情報を正確に読取っていきます。
 つまりコンピュータ読取り用の印刷物には、人間が読む領域は墨インキを用い、また読取らないためのインキであるドロップアウトカラーの2種類が使用されます。
 ドロップアウトカラーは読取機械の仕様で決まるので、いくつかの色の種類があり、それぞれ違った分光反射率をもっていますから、テストをしてハードとの相性を確認するべきでしょう。

 

(2002年8月5日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

プライバシーマークの取得について

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:その他

Q:プライバシーマークの取得について

A:プライバシーマークとは、個人情報を保護する企業を示す信頼のマークのことです。インターネットを活用したりビジネスによって企業が個人情報を集積できるようになると、その個人情報をいかに保護するかというプライバシーが重要な問題となってきます。 
  民間企業も、それぞれのマーケティング活動によって得た個人情報について、企業が適切な保護体制を整備しているかどうかを外部の第三者機関が評価・認定し、認定の証として、企業が個人情報に関して適切な保護対策をとっていることを消費者にわかりやすく示すことが必要です。
  財団法人日本情報処理開発協会のプライバシーマーク制度とは、個人情報保護JIS Q 15001に適合した 注)コンプライアンス・プログラムを整備し、個人情報の取扱いを適切に行なっている事業者を、第三者機関であるJIPDEC(及びその指定機関)が評価・認定し、その証としてプライバシーと称するロゴの使用を許諾する制度です。
  プライバシーマーク取得により、社会的信頼性を向上させ顧客に安心感を提供することで信頼関係を強固にし、社内の教育より従業員(関連スタッフ、外部委託者)による万が一の事態を未然に防ぐというメリットがあります。

  プライバシーマーク取得にあたって
【付与の対象】
  国内に活動拠点を持つ民間の事業者で、JIS準拠のコンプライアンス・プログラムが策定され、それに基づき個人情報の適切な管理が実施されていることが必要です。
  申請の日前2年以内に、個人情報を漏らしたり、認定を取り消されたり、その他情報主体の権利を侵害したり恐れのある事業者などの欠格事由に該当していないこと。
 【認定手続き】
1. 事業者から指定機関または日本情報処理開発協会(以下認定機関)へ12種類の申請書類を添えて申請します。
2. 実際に認定機関が現地調査を行ない評価します。
3. 審査項目、調査項目に適合していれば付与認定され、契約が締結されます。
 【認定に係る費用】
  事業所の規模(小規模・中規模・大規模)により異なり、申請手数料、現地調査料、使用料を合計して、15万円~60万円(消費税別)必要です。その他、現地調査にかかる旅費、宿泊費は別途請求になります。
 【マークの受け取り方法】
  実際に認定されると、印刷用原稿としてはプライバシーマークの清刷りと共に、色・アミ・書体等の指定が記された規定書が渡されます。この規定書は印刷業界用語でいうと製版指定にあたります。これに、付与された認定番号を入れて規定書通りに印刷されることになります。
  データ原稿としてはイラストレーターで付与されますが、背景が透明であること、電子透かしがかけられていることから、あくまでもWeb上のみの使用となります。
  Web上のマークは電子透かしが入ったデータを支給されますので、清刷りに基づいて印刷会社でトレスその他の方法で作成したデータをWeb上に掲載することはできませんので注意して下さい。
 【マークの使用】
  使用契約による2年間の有効期限があります。マークは、店頭・契約約款・マニュアル・広告・封筒・レターヘッド・名刺・ホームページなどに活用されていあます。
 【認定後の調査等】
  消費者からのクレームを受けた場合実施されます。
1. 報告書の提供を求める。
2. 実態調査の実施。
3. 改善勧告。
4. 改善の要請。
   上記に従わない場合、認定が取り消されます。

 注)コンプライアンス・プログラム:
  もともとコンプライアンス(Compliance)とは法令遵守のことをいいます。
この場合、その事業所が個人情報を取り扱うにあたって、どうやって個人情報を保護していくのかという方針のことをいいます。例えば監査・社内教育・情報の収集、利用・提供・委託先選定基準・廃棄基準・安全管理等の規程を明確に設定し従業員に徹底させることなどがあげられます。

プライバシーマーク取得の詳細については、下記にお問い合わせ下さい。

財団法人日本情報処理開発協会
 〒105-0011
  東京都港区芝公園3-5-8 機械振興会館
    情報セキュリティー部プライバシーマーク事務局
    電話:03-3432-9387
   FAX:03-3432-9419
    http://privacymark.jp/

資料提供:財団法人日本情報処理開発協会

 

(2002年8月26日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

仕上がり寸法を伝票上表示するのに「A×4」と「A4」どちらが良いでしょうか?

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:その他

Q:仕上がり寸法を伝票上表示するのに「A×4」と「A4」どちらが良いでしょうか?

A:日本工業規格(JIS)によると、仕上がり寸法を表示するのに  
「A1 594×841」「A2 420×594」「B1 728×1,030」「B2 515×728」等といった表示方法になっています。
 世の中のビジネスで使われている伝票等をみると「×」を使って表現しているものもあり、「A×4」よりは「A4」と表示すべきでしょう。JISでは「×」を使用することまで言及していないからです。

 

(2002年10月7日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

ショッピング用の紙の手提げ袋の制作について教えて下さい。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:その他

Q:ショッピング用の紙の手提げ袋の制作について教えて下さい。

A:紙製の手提げ袋の用紙は、殆どが(注1)クラフト紙か晒クラフト紙(白いクラフト紙)が使われています。通常の上質紙は強度の関係であまり使用されていません。わずかにケント紙が使われているケースもあります。
 化粧品等の高級感をもたせるための手提げ袋には、(注2)キャストコート紙に印刷していることもあります。最近は再生紙へ印刷することも多く行なわれています。

 印刷方式は平版オフセット印刷が主流で、大量に製造される場合は製袋ラインに組み込まれた水性フレキソ印刷がされます。クラフト紙、晒クラフト紙、キャストコート紙、再生紙ともどの印刷方式でも印刷可能です。
 製袋するための糊はホットメルトが多く使用されて、乾燥した後は公害対象にはなりません。 ですから、他のポスター・カタログ等に比べ用紙の強度が求められますが、通常の印刷設備で対応できるでしょう。

 しかし、こうした手提げ袋でよくあるトラブルが袋からの移染です。特に再生紙だとインキの乾燥が遅い為、一応製品化してもインキの表面だけ乾燥していて、中身が乾燥しきれていない場合があります。この時にこうした事故が起こりやすいです。
 また、水性フレキソ印刷の場合だと水に濡れると色落ちすることもあります。こうしたトラブルを防ぐ手段としては、UVコーティングをかけることも一つの方法です。PPを貼ると廃棄処分にの問題が発生する場合もあるので、公害の出ない樹脂を使ったPP貼りをした表面加工をしてもいいでしょう。
 他に、ポリエチレンワックスを加えて耐摩擦性をもったインキや(注3)IRインキ、UVインキで印刷してもいいでしょう。特にUVインキだと専用の装置が必要になりますので、だれでも簡単にできるというわけにはいきません。しかし、UVインキだと速乾性がありますので一番無難だともいえます。

 

(2002年11月18日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

水性インキの用途と現状について

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:その他

Q:水性インキの用途と現状について

A:【版式と用途】 
  水性インキとは石油系溶剤を使わない印刷インキで、印刷する版式としては、グラビアとフレキソで使われています。
  水性グラビアインキの用途は、雑誌などの出版印刷、パッケージなどの紙器印刷、建装材としてのチタン紙や塩ビフィルムへの印刷、アルミはくやプラスチックへの印刷などの用いられています。
  水性フレキソインキの用途は、セメント袋などのクラフト袋への印刷、段ボール印刷、牛乳やコーヒーなどの紙器容器への印刷、ナプキンやティッシュペーパーへの印刷、プラスチックフィルムへの印刷などがあります。
 【組成】
  水性インキは、樹脂(水溶性樹脂・コロイダルディスパージョン・エマルジョン)、水溶化剤(アンモニア水・有機アミン類)、顔料(有機顔料・無機顔料)、助溶剤(アルコール類など)、耐摩擦性向上剤(ワックス類)、あわ消し剤、水といった成分から成り立っており、必要に応じて、かび防止剤、可塑剤、さび止め剤が添加されることがあります。
 【長所と短所】
  石油系溶剤インキと比べたときの水性インキの長所は毒性、臭性が少なく不燃性であり資源的に豊富で安価です。
  短所としては、加熱乾燥したときの費用が高い、蒸発速度が遅く湿度に影響されたすい、紙のしわ・波打ち・カーリングの原因となり寸法安定性を劣化させ、さび・かびの発生・腐敗などを助長することなどがあげられます。
  水性インキへの期待と、水性インキの抱える問題を考えるとき、だだインキの問題だけでなく、被印刷体・刷版・印刷機・乾燥装置などの印刷システムといった見地から考えを進めなければならないということです。
 【日本と欧米の現状】
  日本において食品包装は油性インキが大半を占めます。紙・ダンボールなどは近年では油性インキによる印刷から水性化が進み、特にダンボールの業界では、約95%が水性化されています。他にも、包装紙や紙ニスなどの業界でも水性化は進んでいます。一方、グラビア印刷業界では約3%足らずしか水性化は導入されていません。
  また日本においてインキの出荷量が一番多いのは、グラビアインキですが、グラビアインキの水性化はあまり進んでいないようです。

  アメリカでは油性インキと水性インキの比較で水性インキの割合は6割を超えています。ヨーロッパでのそれも3割強が水性インキです。ちなみ日本は1割にも達していません。欧米では、日本と違いフレキソ印刷が多く、またフレキソCTPの性能も進歩しているので、水性化しやすいという背景があります。
  では、なぜ欧米ではフレキソが多いのかというと、色に対する価値観が日本とは全く異なるからです。欧米では日本ほど印刷再現の問題がないからです。
  また、欧米では化学物質に対する規制が厳しく、業界全体での総量規制が行われていることろもあります。日本もようやく排出を抑えようとする動きが出てきています。国レベルで、PRTR法やグリーン購入法を導入しました。地方独自で条例等を制定する動きもあります。
  こうした背景には、環境問題に対するニーズが急速に高まり、また商品に対する安全性を求めるニーズも高まっていて、陳列されている商品にも環境対応をうたったものが多くなってきています。将来的には確実に有害な化学物質は規制され、使用しにくくなると考えられます。水性インキの使用は必要とされているニーズであるといえます。

 資料提供:㈱トップ堂  URL:http://www.topdou.com/

 

(2003年1月6日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

紙ナプキンの規制について教えてください。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:その他

Q:紙ナプキンの規制について教えてください。 

A:紙ナプキンをよく見るとスポットで印刷されているものも多く目にします。普段意識することはありませんが、これもまた印刷物です。紙ナプキンは日常生活の中で多く使われ頻繁に人間の肌に触れる用紙なので、材料の製造には法律の規制を受けでいます。 

  ナプキン原紙は食品の容器になっています。食品衛生法第10条には「厚生労働大臣は公衆衛生の見地から、販売の用に供し若しくは営業上使用する器具若しくは容器包装若しくはこれらの原材料につき規格を定め、又はこれらの製造方法につき基準を定めることができる。」と明記されており、これを受けて食品・添加物等の規格基準(昭和34年12月厚生省告示第370号)に蛍光物質の使用については第3器具および容器包装のB器具および容器包装の製造基準の2が適用されることになり、紙ナプキンを製造するに際し、蛍光物質を使用することは原則として認められていません。
  蛍光反応がゼロでなければいけないということは、バージンパルプでなければいけないということです。再生紙だと必ず反応があります。環境にうるさい世の中で再生紙を使いたいところですが、使えないというのが現実です。

  インキについても、用紙と同じ規制をうけています。通常インキの色の素には顔料が使用されていますが、ナプキン用インキには食用色素が使われています。食用色素は顔料に比べ色相に冴えがなく、濃度が低く、耐水性と耐光性が弱く、蛍光灯などの光でも退色しやすいといった特長があります。
  また、ナプキン用インキは食用色素が使われていますが、使用されている全ての原料が食品添加物として認められているわけではありません。

  薄い紙は凸版の輪転機で印刷されます。凸版の輪転機は専用機で、インラインの機械です。紙へのエンボス・印刷・型押し・折り・カット・包装という作業がおこなわれます。この製作については各社独自のノウハウがあります。

 【参考】
★食品衛生法第10条
 〔器具又は容器包装の規格、基準の制定〕
 第10条 厚生大臣は、公衆衛生の見地から、販売の用に供し、若しくは営業上使用する器具若しくは容器包装若しくはこれらの原材料につき規格を定め、又はこれらの製造方法につき基準を定めることができる。
 (2)前項の規定により規格又は基準が定められたときは、その規格に合わない器具若しくは容 器包装を販売し、販売の用に供するために製造し、若しくは輸入し、若しくは営業上使用<し、その規格に合わない原材料を使用し、又はその基準に合わない方法により器具若しは容器包装を製造してはならない。 
★食品・添加物等の規格基準(昭和34年12月厚生省告示第370号)
 第一が食品、第二が添加物、第三が器具及び容器包装、第四がおもちゃ、第五が洗浄剤で構成されており、器具及び容器包装などは第三の適用を受けます。

 

(2003年6月9日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

世界の印刷に関連する博物館を教えてください。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:その他

Q:世界の印刷に関連する博物館を教えてください。

A:世界各国にはいろんな博物館がたくさんありますが、その一部をご紹介します。 

★イギリス
【国立科学博物館】
  印刷と紙のギャラリーが設けられ、印刷と製紙に関する実物や解説が総合的に展示されている。印刷関連では、18世紀の印刷工房が再現されているほか、初期から現代までの印刷機、モノタイプ、タイプライター、複写機などの機器類、印刷見本などがある。モノタイプの実演も見ることができる。製紙関連では2台の大きな製紙機模型を中心に、手漉き紙から現代の工業製紙までの原料や工程、実物など、またさまざまな紙加工品の実物が展示されている。

 【オックスフォード大学出版局博物館】  URL http://www.oup.com/
 1478年から現代までのオックスフォード大学出版局の印刷の歴史をたどることができる。展示品としては、ジョン・フェルがオランダから持ち込んだ17世紀の活字、当時の印刷の作業台、19世紀の印刷機、オックスフォード年鑑の見本、オックスフォード英語辞典をはじめとする多数の書物などがある。また、過去に印刷所が使用していた大学構内の建物の詳細などが紹介されている。見学は、予約が必要。

 【セイントブライド印刷図書館】  URL http://stbride.org/
 1895年に開設された、蔵書・コレクションともに世界有数の印刷図書館。ウィリアム・ブレイズやタルボット・リードが収集した初期印刷時代の印刷物、活字見本帳、カタログ、商工名録などをはじめ、木版、活字、印刷機などの歴史的に貴重なコレクションが多数保有されている。蔵書数は約40,000冊、購入している逐次刊行物は200タイトルを数える。収集の分野は、印刷のほか紙、製本、グラフィックデザイン、タイポグラフィーなど広範に及んでいる。

 【活字博物館】
  グーテンベルク以来500年にわたって蓄積されてた欧文活字書体設計や組版技術など、タイポグラフィーに関する膨大な資料と機材が収集されている。主要なコレクションは、英国印刷史で特に重要な役割を占めたスティンブンソン・ブレイク、デリトル、モノタイプの3体系。また、単なる資料館ではなく人類思考言語伝達の大切なツールである文字を適切に扱う実技を学ぶための教育施設としての役割も担っている。 

★ ドイツ
【ドイツ出版印刷博物館】  URL http://www.ddb.de/
 15世紀から19世紀の稿本、印刷物や活字見本などを収蔵したクレムコレクション、20世紀の書物工芸を集めた工芸印刷コレクション、広告、活字、カリグラフィーなどのグラフィックコレクション、透かし模様やカラーペーパーを収めた製紙歴史コレクション、造本と製紙に関する原料や機材、道具を集めた文化史コレクションなどから構成されている。また、本の都市ライプチヒを解説する常設展示がある。

 【MAN博物館】 
  印刷機とディーゼル・エンジンのメーカーとして知られるマン社が1953年に設立した博物館。1846年製のラインヘンバッハ印刷機、1877年製のウェブ輪転機、1912年から1980年まで使用された平台ストップシリンダー印刷機など、歴史的な印刷機が展示され、併せて機械の使用方法が図解されている。また、19世紀から20世紀の印刷機や開発者に関する図版や写真などの歴史資料が紹介されている。

 【クリングスポール博物館】
  カール・クリングスポールとヴィルヘルム・クリングスポールのコレクションを母体に開設され、20世紀の書籍美術、タイポグラフィー、カリグラフィーを所蔵している。オッフェンバッハ派の手写本や装飾本、シュツットガルト派のカリグラフィー、製本職人イグナッツ・ヴィマーの100冊に及ぶ革装本など、豊富なコレクションを有している。また、製本術や印刷および文字の歴史、紙などに関する幅広い分野の専門書が収集されている。

 【ケーニッヒ・バウアー工芸博物館】  URL http://www.kba-print.de
 ケーニッヒ・バウアー社製の歴史的に貴重な印刷機が展示されている。代表的なコレクションとしては、版の上に円筒を転がして印刷するシリンダー印刷機を発明したフリードリッヒ・ケーニッヒが最初に作った機械式の手引き印刷機、ロンドンでアンドレアス・バウアーとともに製作した初の円圧印刷機、1814年に製作され「タイムズ」紙の印刷に使用された初の両面印刷機、ドイツに戻り製作した初の二回転機などがある。

 【グーテンベルク博物館】  URL http://www.gutenberg.de
 グーテンベルグ生誕500年を記念して1901年に開館した博物館で、15世紀から20世紀の印刷に関する資料が展示されている。グーテンベルクに関する資料のほか、印刷機、植字及び鋳造機、写字、筆記用具、製本、紙に関する資料など展示内容は多彩。書物コレクションは特に評価が高く、2種類の「グーテンベルク聖書」を所蔵している。また、グーテンベルク時代を再現した工房では当時の印刷技術が実演されるなど、多角的な紹介が行われている。

 【ドイツ博物館】 URL http://www.DEUTSCHES-MUSEUM.DE
 印刷部門は「手工業的印刷技術」、「機械印刷技術」、「現代の印刷技術」などのコーナーが部屋ごとに分かれ、歴史的な印刷技術から現在の印刷技術までを見ることができる。展示は技術に重点が置かれ、18世紀の印刷工房を実物を用いて再現したコーナーのほか、ライノタイプなどの印刷機やフルセットのDTPシステムなどがある。製紙部門では、18世紀の製紙工程がジオラマなどにより紹介されている。

★ フランス
【国立工芸博物館】  URL http://www.cnam.fr/
 国立工芸学校の一部門として1975年に設立され、僧院を敷地として1986年から公開されている。道具や装備のコレクション、印刷技術などが展示され、18世紀末から19世紀初頭にかけての歴史的に貴重な印刷機が多く所蔵されている。代表的なコレクションとして、マリノニ輪転機、スタンホープ印刷機、ドラカンブルの組版機の5分の1縮尺模型などがある。2000年3月にリニューアルされた。

 【リヨン印刷博物館】 URL http://www.bm-lyon.fr/musee/imprimerie.htm
 マインツのグーテンンベルク博物館、アントウェルペンのプランタンーモレトゥス博物館と並び称でられている。1964年に設立されたが、当初は「印刷・銀行博物館」と呼ばれていた。ルネサンス建築の館内を一巡すると、印刷物の歴史をたどることができる。修復・復元品を含むが、歴史的な母型、道具類、印刷機、揺籃本時代の活字印刷機など、貴重な品々を数多く所蔵している。書物や版画の資料も豊富である。

  ★ ベルギー
【出版印刷博物館】 URL http://www.kbr.be
 ベルギ王国図書館の一画に、長い回廊と踊り場を使って展示されている。ベルギー印刷界の協力を得て、スタンホープ印刷機、マリノニ輪転機、ケルナーオフセット印刷機、ライノタイプなどの歴史的な印刷機や図版、書籍印刷用の刷版や印刷見本、製紙に関するコレクションのほか、活字や書体、凸版などを所蔵。同じ建物の中にある書籍博物館には、中世の写本や稀覯本などが展示されている。

 【プランタン-モレトゥス博物館】URL http://dma.be/cultuur/museum_plantlnmoretus/
 16世紀の印刷業者クリストファー・プランタンの居館「金のコンパス」が、アントウェルペン市に譲渡され1876年に開館した博物館。約1万5,000点の活字の母型、80種類に及ぶフォント、約3,000点の銅版、約1万4,000点の木版や1600年頃まで遡ると言われる印刷機などを所蔵している。約2万5,000冊の古書も有し、16~18世紀にアントウェルペンで印刷された書物のほか、インキュナブラた稿本も所蔵されている。

★ オランダ
【印刷博物館】
  小規模ではあるが、組版や印刷に関する充実したコレクションを有している。ヨハネスバーガー印刷機、ジュリアンシリンダー印刷機をはじめとして、活版植字機、ライノタイプ植字機、校正刷り機、木製手動印刷機、鉄製手動印刷機、鉄道切符専用の小型印刷機、レバー式断裁機、製本機などが展示されており、印刷の歴史に触れることができる。ほかに、リトグラフなどの印刷や写真なども紹介されている。

 【エンスヘデ博物館】
  18世紀に設立された活字鋳造所と印刷所を経営する企業が所有する博物館。エンスヘデの著書に書かれている母型コレクションや、現存する最古のものといわれているオレンダの母型(1491年頃のレターシュナイダー活字)など、活字に関するコレクションが多い。ほかに、印刷に関する機械や道具、書体見本、紙幣、切手や、この企業の歴史を物語る古文書なども所蔵されている。見学は予約が必要。

★ イタリア
【書物損傷中央研究所博物館】
  書物が印刷所や製本所を離れて世の中に出た後、どのような損傷をうけるかを研究、その修復も進めている。戦火による損傷、地震、火事などの自然災害による損傷、湿度や光・熱による損傷、酸性インキなどの化学反応による損傷、虫による損傷など、書物が被る数々の損傷が対象になっている。2001年には、啓蒙的な配慮を加えリニューアルされたスペースで展示された。見学は予約が必要。

 【ボドニ博物館】 URL http://www.bibpal.unlpr.it
 パルマ王立図書館の一室に、1963年に開設された博物館。父型彫刻工であり印刷工であったジアンバッティスタ・ボニドの約80,000点の作品コピーを所蔵し、ボドニが使用した彫刻や鋳造用の道具、型押し機と紙型、活字見本、手稿や活字デザイン、再現された印刷機などが展示されている。ボドニの業績の全体像が示されていると同じに、パルマやイタリア全体の印刷史を示す資料も展示されている。

★ スイス
【バーゼル製紙印刷博物館】 URL http://www.papiermuseum.ch
 製紙、印刷、製本、に関する歴史的な資料の展示とともに、実演が行われていたり、来館者による体験が可能となっている。展示は木製印刷機、シリンダー印刷機、オフセット・凹版・石版の図版印刷機などのほか、活字、製本、装幀などがある。修復・再現された製紙工房では、18世紀後期の紙漉きの様子をみることができる。また、金属活字鋳造の実演も行われている。来館者が紙漉きや、図版印刷機による印刷を体験することができる。

 【グーテンゲルク博物館】 URL http://www.gutenbergmuseum.ch
 ベルンからフリブールに移転し、2000年11月に開館した。さまざまな時代の印刷機や当時の様子を伝える蝋人形のほか、ヨーロッパにおける印刷術の発達が展示されている。工房では、組版、印刷、製本の実演を見ることができる。言語と文字の歴史をテーマにしたマルチメディアショー、企画展示、レクチャーなどが行われ、印刷に関する幅広い知識を得ることができる。図書館も併設されている。

★ スウェーデン 【スカンセン野外博物館】 URL http://www.skansen.se
 世界初の野外博物館として知られる1891年に設立されたスカンセン野外博物館には、広大な敷地にスウェーデンの各地から運ばれたさまざまな伝統的建造物が点在し、歴史を偲ばせている。そのうちのひとつに、再現された19世紀の印刷工房がある。組版室や印刷室、製本室などがしつらえており、当時のストックホルムの印刷工房の様子を伝える印刷機をはじめとした機械類や道具類をみることができる。

★ デンマーク
【デンマーク印刷博物館】 URL http://mediemuseum.dk
 印刷業に携わる経営者団体や労働組合に支えられている博物館、現在でも十分な仕事のできる歴史的な印刷や製本に関する機械、道具が揃えられ、長い経験をもつ現役を引退した印刷職人たちにより、昔ながらの技術が伝えられている。石版や銅版の版作りから印刷まで、活字鋳造や植字、装幀のためのマーブルペーパー作りから手製本まで、手漉き製紙など、多岐にわたる技術の実演を見ることができる。

★ アメリカ
【スミソニアン、アメリカ歴史博物館】
   URL http://americanhistory.si.edu/youmus/ex25prgr.htm
 スミソニアン協会が経営する複合的施設の一つ、アメリカ歴史博物館の3階に「印刷とグラフィック・アーツ」のコーナーばある。1865年頃の印刷所、1880年代の新聞印刷所などを再現、道具や設備が展示されている。ベンジャミン・フランクリン時代の木製印刷機、19世紀の蒸気エンジンによるホー型輪転機、19世紀のライノタイプをはじめとする18世紀から20世紀にいたる印刷機や活字鋳造機などのほか、木版、銅版、や写真などのグラフィックアートがある。

 【国際印刷博物館】 URL http://www.printmuseum.org/
 歴史的な印刷機などが多数所蔵されている。ベンジャミン・フランクリンの時代の印刷工房の再現があり実演も行われているのをはじめ、アメリカで3番目に古い印刷機、1813年製のコロンビア印刷機、1890年製のライノタイプ組版機などがある。見学には予約が必要で、ガイドツアーに参加することができる。

 【ヘンリー・フォード博物館】 URL http://www.hfmgv.org./village/crafts/print.html
 自動車王として知られるへんりー・フォードが1929年に設立した、化学技術や工業の歴史に関するさまざまなコレクションを有する博物館の一部門として印刷工房が設けられている。1800年代から1900年代初頭にかけてのアメリカの新聞、名刺、チラシなどの印刷物があるほか、手動印刷機、手動や機械式の組版機、電動印刷機などの実演をみることができる。また、ポスターや商品カタログなどのコレクションも豊富である。

 【フランクリン科学博物館】 URL http://www.fi.edu/franklin/printer/index.html
 ベンジャミン・フランクリンの遺産を守ることを目的に活動するフランクリン協会が、フランクリンの科学技術に関する数々の業績の紹介を中心に、科学の啓蒙活動を行っている。印刷については、18~19世紀の印刷工房が再現され、当時の印刷や製本の実演を見ることができる。また、フランクリンの印刷機のレプリカや、フランクリンが発行した新聞「オーロラ」などが展示されている。

 【コロニアル・ウィリアムズバーグ】 URL http://www.history.org/
 コロニアル・ウィリアムズバーグ(歴史地図)は、18世紀のウィリアムズバーグの町やその生活の様子が再現されている。印刷に関しては、この地で最初の印刷業者であり、「ヴァージニア・ガゼット」紙を発行したウィリアム・パークスの印刷工房が再現され、手動印刷機による印刷や製本の実演が行われている。また、「ステッチ・ブック」と呼ばれた小さく、安価な書物の印刷から製本までの製作工程なども紹介されている。

 【印刷博物館、マサチューセッツ】 URL http://www.museumofprinting.org/
 豊富な所蔵品を有し、印刷関連機器、印刷技術、グラフィックアートの歴史が紹介されている。所蔵品は、歴史的な印刷機。製本機からマッキントッシュのパソコンまで多岐にわたっている。校正刷り用印刷機やステロタイプ新聞印刷機、ホー型輪転機、製本機などが展示されているほか、モノタイプ、ライノタイプ、写真植字機、グラビア印刷機、断裁機などを所蔵。また、さまざまな印刷物や印刷の歴史に関する蔵書も多い。

 【ハミルトン木活字・印刷博物館】 URL http://www.woodtype.org/
 ツーリバーズ歴史協会のボランティアにより、印刷産業の遺産である印刷機や印刷物、印刷技術の保存を目的に運営されている博物館。木活字を中心とした展示がされており、木活字を製作するための機械類、ナンシー・ニールコレクションやレオ・カプランコレクションから成る木活字がある。また、ライノタイプを含む印刷機や、20世紀初頭の木活字を用いて製作されたサーカスのポスターなどが紹介されている。

★ カナダ
【カナダ科学技術博物館】
  印刷と製本が、幅広い科学技術のテーマのひとつになっており、カナダにおける250年に及ぶ印刷と製本の歴史を知ることができる。新聞や書物の印刷に用いられたレタープレス印刷やレリーフ印刷、またリトグラフ印刷や写真製版、グラビア印刷などさまざまな印刷技術が紹介されている。また、製本に関しては断裁、折り、綴じ、パンチング、糊づけなどの工程のほか、ブックカバーの装飾やマーブルペーパーの作り方などが紹介されている。

  ★ 中国
 【中国印刷博物館】
  3,000㎡の敷地に、4階建て、総床面積5,000㎡の規模で展開する博物館。中国の印刷技術について、誕生から発明、発展したすがたまでを系統的に再現している。紙、墨などの材料や印刷技術発明の社会的背景をテーマにした源頭館、唐以降の離版や活字印刷の発展を展示した古代館、西洋印刷術の摂取をテーマにした近代館、現代印刷技術をテーマにした現代館などで構成されている。各年代にわたる多彩な展示が行われている。

★ 韓国
 【清洲古印刷博物館】 URL http://www.jikji.or.kr
 1377年に、世界最古の金属活字本『白雲和尚抄録仏祖直指心体要節(略称、直指)』を印刷したという清洲興寺址に設立され、1992年に開館した古印刷に関する専門博物館。古書、印刷器具、興徳寺から出土した遺物など1,100点余りを所蔵している。地下1階、地上2階の建物には、興徳寺址の出土遺物や『直指』に関する遺物が展示されたり、印刷機器室、古印刷図書館、印刷文化室、映像館、古印刷の体験室、東西印刷文化室などが設けられている。

 【三省出版博物館】
  出版社付設の私設博物館。国宝を含む歴史的書物が展示されている。1階には、宝物758号指定で1239年刊行の金属活字復刻本『南明泉和尚頌證道歌』、同じく877号指定で1357年刊行の木版巻子『金剛般若波羅蜜経』、745号指定で15世紀に刊行された木版『月印釋譜』などのほか、木版、木活字、鉛活字、硯、筆、紙など、2階には1914年に京城斯道館が刊行した『朝鮮風俗集』などの出版物が展示されている。

 【誠庵古書博物館】
  趙炳舜が1974年に設立した、韓国の活字印刷物を最も多く所蔵する博物館。蔵書約2万冊、古簡牘及び古文書約2万点、印類、金属活字、木活字、陶活字などを所蔵している。高麗初雕本『大方広仏華厳経』、癸未字本『東莢先生校正北史詳節』などの国宝のほか、木版印刷物では751年に新羅で刊行された『金剛般若波羅蜜経』など、数多くの貴重な資料が揃えられている。

★ 日本
 【お札と切手の博物館(印刷局記念館)】
  財務省印刷局の主要印刷物である紙幣や切手を中心に、印刷技術やその歴史が紹介されている。展示は、製紙、製版、印刷などの製造工程で使用される原材料や機械(模型を含む)、紙幣や切手、政府刊行物などの製造工程を紹介するビデオ、カラースライド、太政官札から始まる代表的な紙幣、紙幣の原版及び原版刷り、紙幣の偽造防止技術など。紙幣や印刷局の歴史的な技術などをテーマにした企画展示も行われる。

 【財務省印刷局王子展示室】 
  財務省印刷局の印刷物である紙幣、切手が、歴史、印刷技術を中心に紹介されている。印刷技術に関しては、ドライオフセット凹版印刷機の動くミニチュア模型、グラビアシリンダー、凹版彫刻の用具やその原版、原版刷り、彩紋彫刻、紙の原料(みつまた)、印刷インキなどのほか、国内外の紙幣の主な偽造防止技術などが展示されている。また、明治以来の旧紙幣や現行紙幣の下図、原版刷りなどもある。

 【ミズノ・プリンティング・ミュージアム】 URL http://mizunopritech.co.jp
 ミズノプリテック社長の水野雅生のプライベート・コレクションを母体に開かれた、日本の印刷博物館の先駆的存在。スタンホープ印刷機をはじめとする印刷機、李朝活字など古活字、浮世絵や西洋木版の版木、国内外の貴重な印刷物などが収集、展示されている。印刷物としては『グーテンベルク聖書』、『百万塔陀羅尼』、ダヴス・プレス『英訳聖書』、アシェンデン・プレス版『ダンテ著作集』などが並ぶ。見学は予約が必要。

 【印刷博物館】 URL http://www.printing-museum.org/
 凸版印刷㈱が、2000年10月に開館した博物館。「印刷文化学」を揚げ、コミュニケーションメディアである印刷が果たした社会や文化、歴史、文明への役割と、情報技術との融合で開かれる未来への可能性を調査、研究し、展示公開している。ディドロ『百貨全集』、ケルムスコット・プレス刊本『チョーサー著作集』、ヨンストン『禽獣魚介蟲図譜』、『鯰絵』などの印刷物、ケリー自動高速輪転印刷機などの機器類をはじめとするコレクションを有している。

 【うらわ美術館】 URL http://www.uam.urawa.saitama.jp/
 「本をめぐるアート」を収集方針の一つに掲げ、美術作品としての「本」に関わる展覧会を積極的に開催している。

   参考資料:凸版印刷株式会社発行(2001.7)「印刷博物誌」より抜粋

 

(2003年9月22日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

凹凸の曲面に表示されている部分にはどうやって印刷されていますか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:その他

Q:凹凸の曲面に表示されている部分にはどうやって印刷されていますか。

A:市販されている様々な製品のコントロールパネルやスイッチャー等の表示部分を印刷し曲面に成形することをインサート成形といいます。インサート成形されたものは、あくまでも製品の中の一部品です。ここでは、どうやって曲面に印刷され加工されているのか順序について簡単に述べたいと思います。 

 被印刷体である素材はフィルム状のポリカーボネート又はPETがありますが、ポリカーボネートが多く使用されています。
第一に、平面のフィルム素材の裏面から逆像で多面付けされて印刷します。版式は孔版印刷です。
第二に、印刷されたフィルム素材の絵柄をホーミング(型をはめ込んで成形すること)という作業で曲面の型に変形させます。
第三に、変形されたフィルム素材の裏面から高熱の樹脂を流し込みます。工業部品などは腰が必要なので、強度をつけるために凹部から樹脂を流し込みます。流し込む樹脂はABS、ポリカーボネート、ナイロンです。 
 基本的には、面付けされている状態にそのまま流し込めないので、この段階で個別にカットします。カットした状態で一個一個に樹脂を流し込み製造します。
 
 成形の過程では、フィルム素材をホーミングしてインキが伸ばされた時にインキが割れず、しかも高温で溶かした樹脂を型へ流しこんだときにその熱でインキも流れださない専用のインキが使用されます。
 製造された部品の断面は、フィルム素材・インキ・樹脂という三層になっています。結果的にフィルム素材によって表面加工された状態になっていますのでインキは剥がれることはありません。
 従来から曲面への印刷手法としてはいくつか方法はあります。コントロールパネルやスイッチャー等のように人の手が触れて耐磨耗性が要求され、且つ成形できるものについてはインサート成形で製造することが多いでしょう。

 

(2004年5月24日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

ミラーインキとはどんなインキですか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:その他

Q:ミラーインキとはどんなインキですか。

A:ミラーインキは特殊な形状のアルミの粉末を使用しておりこれをインキ化したもので、鏡面のような効果を出すインキです。 
 それまで、鏡面のような効果を出す方法は、メッキ塗装とかアルミ蒸着という手法でしか表現できませんでした。しかし、これをインキで表現できないかという発想から考えられたインキです。製造にはインキメーカーが特許をもっています。

 印刷はスクリーンで印刷されます。被印刷体は、ポリカーボネート、ポリエステルフィルム、アクリル、ガラス、ポリプロピレン等で透明素材の裏面から印刷します。基本的にはすべて裏から印刷し、その上に透明性を出さないための印刷をします。そして被印刷体の平滑性を利用して鏡面に近い効果をだしています。
 用途としては、物をはさむ透明ファイルや、電子レンジのような家電製品のスイッチの部分や、パチスロのリールの部分やメーカーのロゴなど用途は多枝にわたります。
 このインキのねらいはインパクトを与えて目立たせることを目的としているインキといえます。

 

(2004年6月21日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)