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®がついていないと登録商標として認められないものなのでしょうか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:知的財産権

Q:®がついていないと登録商標として認められないものなのでしょうか。

A:®は、その商標が登録商標である旨の表示を行うとする際に略称として使われています。商標の登録表示の仕方を定めた商標法施行規則第5条には、「登録商標第○○○○号」という表示が望ましいとされていますが、デザイン的なことを考慮して®という表示を使用しています。
  また、商標法第73条にも「付するよう努めなければならない」とし、登録商標である旨の表示を努力目標としていますが、商標権の効力とは関係ありません。
  いいかえれば、日本では慣用的に用いられているものあり、あくまでも商標として登録されているということを公に表しているだけで、この®がないからといって商標権がないということではないということです。
  重要なのは商標登録されているか否かが問題であり、商標登録されていれば®の表示にかかわりなく、他人が勝手に使用してはいけないことになります。
 

(2002年3月11日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

著作権者が誰か判らないときはどうしたらいいのでしょう。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:知的財産権

Q:著作権者が誰か判らないときはどうしたらいいのでしょう。

A:著作権は著作物を創作したときに自動的に発生し、その存続期間は原則として、著作者の死後50年を経過するまで存続します(著作権法51条)。この存続期間中、著作物の利用にはその権利者からの使用許諾が必要です。 
 しかしながら、著作権者が誰なのか、またどこにいるのか判らない場合もあります。こうした場合はまず、印刷媒体等で発行されているときは発行者へ問い合わせたり、その他の場合は著作権等関係団体や著作権等管理事業者に問い合わせるやりかたもあります。(※下記参照)
 しかし、了解を得て使用料金を支払う意思があるにもかかわらずどうしても著作権者が判らない場合があります。
 この場合、著作権法第67条に「著作者不明等の場合における著作物の利用」という規定があります。これは、文化庁長官に対し「相当な努力を払っても著作権者と連絡することができない理由」を申し立て、その裁定をうけて補償金を供託すれば利用できるという制度です。
以下この制度について述べます。
【要件】
1.既に著作物が「公表」されていることが必要です。ここで「公表」とは、出版・貸与・上演・演奏・口述・展示・上映・放送・有線放送・インターネット等での送信などが既に行われているものをいいます。
2.裁定を申請するためには、「相当な努力を払ってもその著作権者と連絡することができないこと」を疎明する資料が必要です。「相当な努力」とは、例えば役場、出版社、関係団体等へ問い合わせたり、人事興信録、著作権台帳、インターネット等から検索することです。これらについては、利用する著作物によって異なりますので、担当窓口に確認されることをお勧めします。
【手続き】
 「裁定申請書」を作成し、必要な資料を添えて文化庁著作権課へ提出します。申請を受けて、裁定の可否を文化庁長官が判断します。これらの手続きの標準処理期間は「3ヶ月」となっています。
 そして、「裁定」と「補償金の額」について通知があったときは、最寄の「供託所」に補償金を供託してから、著作物の利用ができます。
 裁定は、文化庁長官が著作権者に代わって申請者の利用行為に「了解」を与える制度ですので、申請者に「利用権」を与えるものではありません。したがって、利用できる立場を第三者に譲ったりすることはできません。
 上記のように、著作権者がだれか判らず連絡がとれないときには、一定の手続きが必要です。「裁定申請書」は文化庁著作権課でいつでも受けつけています。各自、様々な事情や都合があると思いますので、事前に相談されたほうがよいでしょう。

 ※参考資料:文化庁長官官房著作権課「著作物利用の裁定申請の手引き」より
     tel 03-5253-4111(代表)内線2847
  著作権等関連団体については、社団法人著作権情報センターホームページ                       http://www.cric.or.jp/ 
  著作権等管理事業者については、文化庁ホームページ                       http://www.bunka.go.jp/
  で確認するといいでしょう。

 

(2002年3月11日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

著作権、著作者人格権などを侵害した場合、どんな刑罰がありますか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:知的財産権

Q:著作権、著作者人格権などを侵害した場合、どんな刑罰がありますか。

A:他人の著作物(財産権)や著作者人格権などの私権を侵害した場合、一般に民事救済としては、その行為の停止とその行為に用いられた施設等の廃棄を求める差止め請求が行われ、それが不法行為によるときは損害賠償の請求が行われるのが普通です。 
 また、このような行為は犯罪でもあるため、これらの権利の侵害者は処罰も受けます。ただし、これらの罪は被害者が訴えなければ処罰されない「親告罪」が一般的です。このほか検察当局が独自の判断で起訴できる「非親告罪」もあります。
「親告罪」
1.著作者人格権、著作権、出版権、著作隣接権を侵害した者
   3年以下の懲役または3百万円以下の罰金 (著作権法119条)
2.営利を目的として、自動複製機器を著作権等を侵害する複製に使用させた者
   3年以下の懲役または3百万円以下の罰金 (著作権法119条)
「非親告罪」
3.著作者が存しなくなった後においてその著作人格権を侵害した者
   3百万円以下の罰金 (著作権法120条)
4.著作者名詐称の複製物を頒布した者
   1年以下の懲役または百万円以下の罰金(著作権法121条)
5.出所明示に違反した者
   30万円以下の罰金 (著作権法122条)

2.の自動複製機器とは高速ダビング機などを指し、最近ではwebサーバーにデータをアップロードした事も含まれており、こうした複製をさせた者にも罰則が適用されます。3.の著作者の死後の人格権の侵害とは、例えば作品の内容を改変したりする同一性保持権の侵害等を指しますが、この著作者人格権は永久に持続することを留意しなければなりません。これは、遺族などがいなくても、検察庁などが告訴できる非親告罪です。同じく5.の出所明示違反も非親告罪ですから、著作者に限らず、出版社などが警察へ告発して処罰してもらうことができます。

 

(2002年4月22日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

社員が仕事の上で創作した物の著作権は会社にあるのか、個人にあるのか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:知的財産権

Q: 社員が仕事の上で創作した物の著作権は会社にあるのか、個人にあるのか。

A:著作物の著作者は自然人が普通で、著作権者も自然人というケースが多いのですが、法人が著作者でかつ著作権者の場合もあります。
 著作権法15条は、「法人その他使用者の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成のときにおける契約、勤務規則その他別段の定めがない限り、その法人等とする。」と規定しています。
 これは、職務著作といわれ、従業員が法人その他使用者の発意に基づいて職務上作成した著作物である場合、法人等が自己の名義で公表するものです。
 例えば、新聞記者が書いた記事や会社員・公務員が書いた雑誌・報告書等の記事などのように、会社や国・地方公共団体の職員などによって著作物が業務上創られた場合は、法律上その職員が著作者となるのではなく、会社や国・地方公共団体が著作者となります。この場合、会社や国・地方公共団体が著作者となるには下記のように一定の要件が必要です。

【要件】
第一に、使用者の意思に基づいて作られるということです。これは、上司がいちいち命令を出すという狭い意味ではなく、個人が自分でアイディアを出して制作し、上司の了承を得た場合でも該当します。
第二に、会社と雇用関係にある従業員の作成物だということ。
第三に、職務上作成するものであること。
第四に、法人等が「自己の著作の名義の下に公表するもの」であること。

 あと、契約、勤務規則等で、作業員の著作物とする旨の別段の定めがないことです。また、公表するものという意味は、公表されたものに限らず、公表することを予定して創作した物全部ということです。 
 以上の全部を点検すれば、その著作物の著作者が会社であるか、個人であるかが分かるはずです。通常、作成された物の著作権は会社に帰属することが多いと思われます。
 いっぽう、上記4つの要件を満たしていなくて、その結果、著作者=著作権者が個人である場合でも、後に会社側がその個人と契約することによって、著作権を会社側に譲渡して貰うこともできます。しかし、この場合、あくまで著作者は個人ですから、会社側が作品を勝手に改変することはできません。なぜなら、著作者には同一性保持権があるからです。
 あとその個人が退職した場合、これは単なる雇用契約の解除ですから、それ以前に取得した著作権は動きません。

 

(2002年6月17日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

印刷物の受注時に顧客との契約書を作成にあたり記述する基本項目とは。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:知的財産権

Q:印刷物の受注時に顧客との契約書を作成にあたり記述する基本項目とは。

A:契約とは、当事者の意思表示の合致です。そのとき、先になされた意思表示を申込、申込に応じて契約を成立させるための意思表示を承諾といいます。 
 契約は約束のことと言われますが、法律上の「契約制度」は、単なる約束を言い換えたものではなく、その内容が法律によって保護されたものです。
 そして、当事者の意思を合致させ具体的に詳細な条件を煮詰めていく場合、書面に記録しておいたほうが好都合です。なぜなら、後になって契約条件に争いが生じたときに有力な証拠になりますし、裁判上で訴訟資料となるからです。
 契約書の解釈について、公序良俗などの強行法規や関連法規に違反することはできません。それがクリアされれば、原則として契約書の文言通りの効果が生じます。
 問題とされる項目が、契約書に記載されていないときは、その業界・地域の慣習、任意法規の順番で適用されます。もっとも一般的には、契約書の協議条項に基づいて、当事者間の協議で解決することがいいでしょう。

 契約書作成にあたり一般的に記載されている基本項目は下記の通りです。
・目的・価格・納入・受入検査・不合格品への処置
・支払い・危険負担・品質保証責任・図面等の管理・工業所有権の帰属
・第三者の工業所有権の侵害・秘密保持・委託・権利義務の譲渡・契約の解除
・期限の利益の喪失・損害賠償・残存義務・有効期間・協議 

 

(2002年7月8日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

写真の合成は著作権上問題はありませんか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:知的財産権

Q:写真の合成は著作権上問題はありませんか。 

A:写真の著作物を分断、合成することは、その著作物の同一性保持権に触れるので無断で使用はできません。 
 ただ、自社のカメラマンやフリーのカメラマンであっても、特にカメラマンの名義を出さないような写真ならば、その著作者は法人である会社になるので、それをどう合成しても問題ありません。
 問題になるのは、外部のカメラマンが撮影したもので、目的以外の用途に使われてそうした使われ方をカメラマンが全く予想していなかった場合です。
 極端な例が、雑誌やポスターに発表された写真を勝手に修正・加工し、別の世界を現出することです。この場合は、著作者の同一性保持権を侵害することになります。
 また、フォト・ラボを通じて写真を入手し、使用料を払って使う場合にも問題は起こります。著作者が許可しているのが写真をそのまま使うことを前提としていたとするとします。もし使用者が合成などの変形をすると、この変形は単に著作物を複製することだけではなく、改変することですから同一性保持権に触れることになります。
 著作者の承諾を得て合成し、でき上がった合成写真は新たなる著作物ですから、会社はその著作者として自由に活用できますが、それはあくまで「2次的著作物」ですので、使用するたびに原著作者の権利が働くため、原著作権者へも断らなくてはなりません。

             「商品企画のための著作権」日本印刷技術協会」

 

(2002年11月4日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

版の所有権についての裁判例はありますか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:知的財産権

Q:版の所有権についての裁判例はありますか。

A:平成13年7月9日、東京地方裁判所にて平成7年以来争われてきた製版フィルムの所有権についての訴訟判決があります。下記のサイトへアクセスしてください。 

http://www.jagat.or.jp/story_memo_view.asp?StoryID=4421 

 

(2003年3月24日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

広告チラシにライバル会社の同品種の価格より安いことを表示してもよいのでしょうか

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:知的財産権

Q:広告チラシにライバル会社の同品種の価格より安いことを表示してもよいのでしょうか

A:上記事項は不当景品類及び不当表示防止法(以下景品表示法)第4条2号の取引条件についての不当表示の規定に留意しなければなりません。以下、比較広告についての基本的な考え方を述べたいと思います。 

【比較広告とは】
 自己の供給する商品又は役務(以下商品等という)について、これと競争関係にある特定の商品等を比較対象商品として示し、商品等の内容又は取引条件に関して客観的に測定又は評価することによって比較する広告をいいます。
これ以外の形態により比較する広告については、個々の事例ごとに参酌して景品表示法上の適否を判断しています。

【比較広告に関する景品表示法上の考え方】
 景品表示法は、「商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(通常「独占禁止法」と略称している)の手続的な特例を定めることにより、公正な競争を確保し、もって一般消費者の利益を保護すること」を目的として、昭和37年に制定されました。

 同法第4条は、自己の供給する商品の内容や取引条件について、競争事業者のものよりも、著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認される表示を不当表示として禁止していますが、競争事業者の商品との比較そのものについて禁止し、制限するものではありません。
 したがって、比較広告が不当表示とならないようにするためには、以下の要件を満たす必要があります。
① 比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること
② 実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること
③ 比較の方法が公正であること

逆に、以下のような比較広告は、商品の特徴を適切に比較することを妨げ、一般消費者 の適正な商品選択を阻害し、不当表示に該当する恐れがあります。
① 実証されていない、又は実証され得ない事項を挙げて比較するもの
② 一般消費者の商品選択にとって重要でない事項を重要であるかのように強調して比較するもの及び比較する商品を恣意的に選び出すなど不公正な基準によって比較するもの
③ 一般消費者に対する具体的な情報提供ではなく、単に競争事業者又はその商品を中心に中傷し又は誹謗するもの

【不当表示の規制】
同法4条に規定されている内容は優良誤認(1号)、有利誤認(2号)、誤認されるおそ れのある表示(3号)についてです。
 このうち2号の有利誤認とは、商品又は役務の価格その他の取引条件について実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示、競争事業者の供給する商品又は役務の取引条件よりも自己の供給する取引条件の法が、取引の相手にとって著しく有利であると誤認される表示のことをいいます。
 例えば、招待旅行でもないのに招待旅行としたり、観光土産品にアゲゾコ、ガクブチ等の過大包装をした場合や、実売価格に対する比較対照価格を周辺地域で販売する同種商品よりも、いかにも自分の店のほうが安いように見せかける表示をした場合などがあります。
よって、設問の内容もこの規定に違反する可能性があります。
 また、2号の有利誤認の規定で二重価格表示も問題になります。これは、小売業者が商品について実際に販売する価格にこれよりも高い価格を併記する等、何らかの方法により実売価格に比較対照価格を付すことです。例えば、実際の市価が500円程度のものを、「1000円の品を500円で提供」「市価の半額」と表示する場合です。

 また、条文の中で「著しく」という表現がありますが、この程度については個別の事件ごとに行政庁又は裁判所が判断する事です。

【参考】
景品表示法第4条 抜粋
(不当な表示の禁止)
第4条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の名号に掲げる表示をしてはならない。

 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示

 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示

 前2号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認めて公正取引委員会が指定するもの

不当表示に関する団体

 社団法人全国公正取引協議会
 〒105 東京都港区虎ノ門1-19-10 第6セントラルビル6階
  TEL 03-3501-6047

 

(2003年5月19日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

(C)マークは必ず表示しなければならないものでしょうか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:知的財産権

Q:(C)マークは必ず表示しなければならないものでしょうか。

A:(C)のCはCopy rightの頭文字で、この記号と著作権者の氏名あるいは法人名、第一 発行年の3つを相互に接近して見やすく表示するものです。 
 日本国憲法では、表現の自由が保障されており出版についても何の制約もありませんし、本の奥付けについての表示義務もありません。ただし、この本は誰が著作したものか、どこで印刷し、誰が発行したのか、いつ発行され、価格はいくらか等を表示することは、著作物を公にする者にとって当然の社会的責任だと解されてます。
 それだけでなく、著作者名等が表示されていないと、第三者による権利侵害が起きた場合、それを止めたり損害賠償を求めたりすることが困難になります。ですから、自己の利益を守るためにも著作者名等の表示は必要だということになるでしょう。
 一般に、印刷物の奥付に著作者名を入れておくと、その人が著作権者だと推定されます。しかし、写真集などの場合だと撮影を外部のカメラマンに委嘱することもあるでしょう。その場合出版社はカメラマンから著作物を買い取らなければ自己の著作権を主張できません。つまり、著作者と著作権者とが別であるケースもあります。そこで、著作権者が誰であるかを示すために、(C)表示をすると非常に便利です。
 この(C)の表示は、もともとは、わが国と保護の仕方が違うアメリカで、わが国の著作物を保護してもらうための便法として採用されたものですが、著作権が著作者から他へ譲渡されている場合に役立ちます。また、これは著作物であるから無断複製はまかりならんというデモンストレーションにもなります。
 (C)表示があるだけで、以上のような意味をもつわけですから、その上わざわざ「無断転載禁ず」と念を押す必要はないでしょう。
 しかし、実際上発行物は著作物として保護されていますから、(C)表示がなくても法的に保護されています。

参考文献:「商品企画のための著作権」 社団法人日本技術協会 編

 

(2003年7月28日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

新聞記事をそのまま引用してもいいのでしょうか

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:知的財産権

Q:新聞記事をそのまま引用してもいいのでしょうか

A:新聞記事に著作権があるかどうかという問題があります。新聞記事には、一般の報道記事・解説・社説・署名入り記事などがあります。このうち、「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」は言語の著作物に該当しないと著作権法10条2項に規定があります。ここでいう雑報とは、どこそこで地震があったとか、交通事故があったとかいう簡単なニュース、人事往来、死亡記事などです。 
 こういうものは、著作物ではないとされているのですが、それ以外の記事は殆ど著作物と考えた方がいいでしょう。
 日本新聞協会は昭和53年5月、次のような見解を発表しました。 
「最近の紙面における記事は背景説明の伴った解説的なもの、あるいは記者の主観、感情を織り込んだ記事が多く、紙面構成も高度な創意・工夫がはかられており、、独創的な紙面づくりが行われているのが実情である。したがって報道記事の大半は、現行著作権法に規定される著作物と考えるのが適当である」 
 これを細かくみていくと、雑報以外の記事の一つ一つは著作物です。そして、著名のあるものはその筆者の著作物ですが、無署名のものは記事が職務上作成した法人著作(著作権法15条)と解されますので、新聞社が著作者でかつ著作権者です。このほか掲載されている写真も、外部のカメラマンが撮ったものはその人の著作物、社内カメラマンのものは新聞社の著作物です。
 一方、紙面の構成にも創意・工夫がはかられているので、その紙面全体は新聞社の「編集著作物」と解されます。新聞全ページを営利的な目的で無断で複製したとすれば個々の記事や写真の著作権のほかに、全体の編集著作権をも侵害したことになります。 
 新聞のニュースといっても項目だけを箇条書きしたものと、解説文つきの二つが考えられます。解説文つきでは著作物となり新聞社の許諾を得なければなりません。しかし、箇条書きだけだと、本の題名とか記事の見出しと似ていて、それだけでは著作物とはみなされませんから、新聞社もクレームをつけにくいでしょう。 
 しかし、記事は新聞社の報道活動の成果であることを考えれば、断っておくほうが無難です。「○○新聞より」という名称を入れておけば高い使用料を請求されることはないと思われます。

  「商品企画のための著作権Q&A」社団法人日本印刷技術協会編 より

[参考資料] 
著作権法 抜粋 
(著作物の例示) 
第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。 
  一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物  
  二 音楽の著作物  
  三 舞踊又は無言劇の著作物  
  四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物  
  五 建築の著作物  
  六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物  
  七 映画の著作物  
  八 写真の著作物  
  九 プログラムの著作物  
2 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。
3 第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。  
  一 プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。  
  二 規約 特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。  
  三 解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。  
(昭六〇法六二・1項九号3項追加) 

(職務上作成する著作物の著作者)  
第十五条 法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。  
2 法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。  

(昭六〇法六二・見出し1項一部改正2項追加)

 

(2003年9月8日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)