テキスト&グラフィックス部会」カテゴリーアーカイブ

2012年度 テキスト&グラフィックス研究会 レポート

2012年度 テキスト&グラフィックス研究会 レポート 

4月10日 ◆EPUB書籍の制作と印刷連携
  「FUSEeを使ったEPUB制作の現状」
  「電子雑誌「OnDeck」の制作方法と印刷連携」
4月23日 ◆電子書籍と日本語組版
 「W3C日本語組版処理の要件」発刊に際して
 W3C日語組版ノートとEPUB3.0
 W3C日本語組版ノートとCSS 
5月14日 ◆Web to Printを活用したソリューションと印刷会社の役割
 印刷会社にとってのデータベース活用ビジネス
5月22日 ◆drupa2012に見る印刷新潮流
  デジタル印刷機 vs. VLFの予感
  drupa2012に観る真実
6月12日 ◆drupa2012に見るデジタル印刷テクノロジー最前線
6月26日 ◆日本語組版の基本ルールとアプリケーション
 
JIS X 4051からJLREQへ
7月24日 ◆デジタルワークフロー時代のポストプレス
 
drupa2012に見るポストプレス最新動向

 
ホリゾンのポストプレス最新動向
7月30日 ◆iPad版医薬品ハンドブックの開発
8月27日 ◆徹底討論!『未来を破壊する』とは何か
  「未来を破壊する」の紹介
  「未来を破壊する」の衝撃
  「未来を破壊する」を読み解く
  徹底討論!『未来を破壊する』とは何か
9月11日 ◆リモートプルーフの最前線
9月25日 ◆オンラインジャーナルの動向とXML、電子書籍
 XMLパブリッシングの最新事例と今後の展開
 オンラインジャーナルとXML出版サービス
10月16日 ◆新時代の校正を考える
 デジタル印刷で新ビジネスを
10月22日 ◆個人向けブックオンデマンドのビジネス
 誰でも本をつくり、読むことができるBCCKS
10月25日 ◆講談社のデジタル戦略(トピック技術セミナー)
11月13日 ◆「Print to Web」とは-ARで拡大する印刷ビジネス
11月27日 ◆印刷会社のための動画ビジネスの基礎
 動画コンテンツ制作のイロハ
 動画制作の基本(これだけわかればスタートできる)
12月4日 ◆拡大!デジタル印刷の新未来【特別セミナー】
12月14日 ◆本格化する電子コミックとデジタル化技術
 コミックの電子化と出版の変遷
12月25日 ◆LED光源を正しく理解しよう
1月29日 ◆印刷の新表現と可能性 -トリックプリントと3Dプリントの最新事例-
2月18日 ◆デジタル入稿の新常識
3月21日 ◆印刷会社におけるクラウド型サービス
3月22日 ◆乾燥時間短縮がもたらす効果
3月26日 ◆XMLによるコンテンツの一元化とEPUB制作
3月28日 ◆UVインキがもたらす効果

 

2013年度 テキスト&グラフィックス研究会 レポート

2013年度 テキスト&グラフィックス研究会 レポート 

日程   タイトル
4月23日 ◆Webファーストの実現と電子カタログの有効利用
 電子カタログの活用とPrint to Web
 Webファーストの実現と電子カタログの有効利用
5月14日 ◆動画コンテンツの活用とビジネス
 動画ビジネスに必要な基礎知識
 ウェアラブルカメラの魅力と可能性
 小型・防水・防塵の高画質ビデオカメラ「GoPro」
5月27日 チャイナプリント2013報告
6月12日 ◆アマゾン電子書籍が出版に与えるインパクト
 インプレス NextPublishingから見たアマゾンのインパクト
 KDPによる新たなビジネスの可能性(鈴木みそ)
6月17日 ◆EPUB制作現場の実態と課題
 EPUB制作環境の推移と三陽社の取り組み
 EPUB制作に取り組んだ経緯と制作実務(デンショク)
 シーティーイーの電子書籍制作への取り組み
 EPUB制作に取り組んだ経緯と制作実務(ティアオ)
 パネルディスカッション
7月23日 ◆情報を視覚的に伝えるインフォグラフィックと新世代GS1データバー
 グラフィックス自動生成とインフォグラフィックス
7月30日 ◆デジタル印刷ソリューションと最新海外事例
 デジタル印刷を活用するためのWeb to Print
8月30日 オンデマンドカタログを可能にするPPO
9月26日 すぐわかる3Dプリンタと実践
10月8日 ◆EPUB3製作環境の進展と課題
  電子書籍の最新動向と印刷会社の課題
  緊デジ事業とEPUB制作環境
10月22日 ◆Web to Printの実状
  スキルレスのデザインと受発注ワークフローの意義
11月19日 SHOTSで行う枚葉印刷の品質管理
11月25日
◆オフセット印刷の乾燥促進を科学する
  乾燥に必要な版材、湿し水の機能
  版材によるインキのセット性、乾燥性の実証テスト
  パネルディスカッション
11月29日 ◆デジタルメディアのビジネス展望 2014【東京開催】特別セミナー
  イノベーション発想とマーケティング思考
12月17日 デジタルメディアのビジネス展望 2014【大阪開催】  特別セミナー
12月10日 ◆デジタル出版時代のドキュメント管理ソリューション
  新旧文書比較とWord文書を活用するソリューション
  コンテンツの編集管理とWeb連携、印刷物制作の課題
12月12日 ◆JAGAT トピック技術セミナー 2013
  3Dプリンター技術と印刷業界における新ビジネス
  富士ゼロックスの最新デジタル印刷ソリューション
  小森コーポレーションの最新デジタル印刷システム
  ミヤコシの最新デジタル印刷ソリューション
  キヤノンの最新デジタル印刷システム
  オンデマンド・バインダー Polaris(ポラリス)
12月13日 クロスメディア人材教育の考え方と実践
3月19日 page2014にみる技術の視点、ビジネスのヒント
3月24日 CES2014に見る最新デジカメ動向と4K、動画、360°パノラマ
3月27日 デジタル印刷の成功モデルを探る
<デジタル印刷レポート2014から豊富な成功事例を解説>
3月28日 page2014のトレンドとデジタル印刷ソリューション (大阪開催)
<page2014とデジタル印刷レポートから豊富な成功事例を解説>

■澤田 善彦 略歴

sawada2■澤田 善彦 略歴

1930年7月15日生まれ 東京都出身

【学歴】千葉大学中退
【職歴】 1945年 大日本印刷(株)入社
ベントン彫刻母型による「秀英体」の改刻、全自動モノタイプの実用化および活版、オフセット関連の生産管理部門の管理職歴任。

1967年~75年 香港勤務後、(株)CTS大日本の工場長に就任。
1985年 同社退社。リョービイマジクス(株)に入社。取締役情報システム部長を経て顧問に就任。 1995年 ダイナラブジャパン(株)に入社し取締役副社長就任。
1998年1月 同社退社 その後リョービイマジクス(株)顧問。
1994年以降、JAGAT DTPエキスパート認証制度に認証委員として参画。
2014年7月 没

【著書】 MONZキーワード/ページネーションのすべて/変わるプリプレス技術/この一冊でDTPがわかる’98版/DTPエキスパート用語1200/ほか著書多数

【JAGATのサイトに執筆したコラム】 ● DTP玉手箱 ● フォント千夜一夜物語 ● 印刷100年の変革

【DTP玉手箱】【フォント千夜一夜物語】澤田善彦 コラム集

sawada2澤田 善彦

 

★ DTP玉手箱 ★

DTPはコンパクトカメラと違う(1999/8/2)
組版ルールは何のためにある(1999/8/16)
組版ルールと可読性(1999/9/3)
組版の良し悪しの物差し(1999/9/20)
かな漢字変換のミス(1999/10/18)
原稿は正確に書き,文字は正しく入力(1999/11/1)
直しはサービスではない。コストがかかる(1999/11/15)
DTP時代の校正ワークフロー (1999/11/29)
フォントデザインとつめ組みの功罪(1) (1999/12/8)
フォントデザインとつめ組みの功罪(2) (2000/1/21)

文字の特性とフォント(2000/1/24)
印刷メカニズムとフォント(2000/2/6)
和文フォントデザインの基本(1)(2000/2/18)
和文フォントデザインの基本(2)(2000/3/5)
和文フォントデザインの基本(3)(2000/3/19)
和文フォントデザインの基本(4)(2000/4/2)
欧文フォントデザインの基本(1)(2000/4/16)
欧文フォントデザインの基本(2)(2000/5/5)

欧文書体の歴史(2000/5/21)
ポイント・システムの由来(2000/6/4)
ジャスティフィケーションとハイフネーション(2000/6/19)
和欧混植の問題点(2000/7/1)
ポイント・システムの由来(2000/7/15)
ポイント・システムの由来(2000/8/12)
紙とインキの科学─知らないと損をする印刷の知識(1)(2000/9/1)
紙とインキの科学─知らないと損をする印刷の知識(2)(2000/9/25)
水を使うオフと水なしオフ─知らないと損をする印刷の知識(3)(2000/10/8)
版なし印刷と紙なし印刷─知らないと損をする印刷の知識(4)(2000/10/23)
印刷に関する雑学─知らないと損をする印刷の知識(5)(2000/11/05)
製本の知識が必要なDTP─知って得する製本の知識(1)(2000/11/18)
製本工程と様式─知って得する製本の知識(2)(2000/12/4)
製本様式と面付け─知って得する製本の知識(3)(2000/12/18)
製本様式とノドあき─知って得する製本の知識(4)(2001/01/05)
製本のトラブルと表面加工─知って得する製本の知識(5)(2001/01/19)

★ 印刷100年の変革 ★

●その1 文字処理システムの変遷(1)(2001/2/3)
●その2 文字処理システムの変遷(2)(2001/2/17)
●その3 近代活字母型製作の歩み(1)(2001/3/11)
●その4 近代活字母型製作の歩み(2)(2001/3/24)
●その5 活字組版の機械化の動き(2001/4/7)
●その6 テープ式自動モノタイプの登場(2001/4/21)
●その7 自動モノタイプの問題点(2001/5/12)
●その8 日本語入力方式の歴史 (2001/6/11)
●その9 写植組版の誕生(2001/6/30)
●その10 活版印刷のCTS(2001/7/16)
●その11 電算写植の歴史(2001/7/28)
●その12 電子式第3世代出力機の登場(2001/8/11)
●その13 国産化が進んだ第3世代出力機(2001/8/25)
●その14 ワープロから電子組版へ(2001/9/15)
●その15 ワープロから電子組版へ(2)(2001/9/30)
●その16 DTPは印刷を変えた(1)(2001/10/13)
●その17 DTPは印刷を変えた(2)(2001/10/27)
●その18 DTPは印刷を変えた(3)(2001/11/17)
●その19 DTPは印刷を変えた(4)(2001/12/8)
●その20 DTPは印刷を変えた(5)(2002/1/12)
●その21 DTPは印刷を変えた(6)(2002/1/28)
●その22 DTPは印刷を変えた(7)(2002/2/23)
●その23 DTPは印刷を変えた(8)(2002/3/9)

★ フォント千夜一夜物語 ★

●その1 デジタルプリプレスの黎明(2002/4/2)
●その2 写植フォントのオープン化(1)(2002/4/16)
●その3 写植フォントのオープン化(2)(2002/5/4)
●その4 写植フントのオープン化(3)(2002/5/25)
●その5 フォント戦争の幕開け(1)(2002/6/8)
●その6 フォント戦争の幕開け(2)(2002/6/22)
●その7 ポストスクリプト・クローンフォントの登場(2002/7/16)
●その8 Macシステム7とTrueType(2002/7/27)
●その9 Mac OS漢字Talk 7.1とTrueTypeの登場(2002/8/10)
●その10 Windows 3.0とWIFEフォントの登場(2002/8/24)
●その11 Windows 3.1とTrueType(2002/9/7)
●その12 平成フォント誕生物語(1)(2002/9/28)
●その13 平成フォント誕生物語(2)(2002/10/19)
●その14 平成フォント誕生物語(3)(2002/11/9)
●その15 平成フォント誕生物語(4)(2002/11/23)
●その16 フォント関連の知的財産権(1)(2002/12/7)
●その17 フォント関連の知的財産権(2)(2002/12/21)
●その18 フォント関連の知的財産権(3)(2003/1/11)
●その19 フォント関連の知的財産権(4)(2003/1/25)
●その20 フォント関連の知的財産権(5)(2003/2/5)
●その21 フォント関連の知的財産権(6)(2003/6/10)
●その22 ドットフォントの雑学(1)(2003/3/15)
●その23 ドットフォントの雑学(2)(2003/4/12)
●その24 ドットフォントの雑学(3)(2003/4/26)
●その25 ドットフォントの雑学(4)(2003/5/17)
●その26 ドットフォントの雑学(5)(2003/5/31)
●その27 ドットフォントの雑学(6)(2003/6/14)
●その28 ドットフォントの雑学(7)(2003/6/28)
●その29 アウトラインフォントの雑学(1)(2003/7/19)
●その30 アウトラインフォントの雑学(2)(2003/8/2)
●その31 アウトラインフォントの雑学(3)(2003/8/16)
●その32 アウトラインフォントの雑学(4)(2003/8/30)
●その33 アウトラインフォントの雑学(5)(2003/9/13)
●その34 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(1)(2003/10/4)
●その35 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(2)(2003/10/18)
●その36 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(3)(2003/11/1)
●その37 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(4)(2003/11/22)
●その38 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(5)(2003/12/13)
●その39 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(6)(2003/12/27)
●その40 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(7)(2004/2/21)
●その41 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(8)(2004/3/6)
●その42 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(9)(2004/3/20)
●その43 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(10)(2004/4/3)
●その44 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(11)(2004/4/17)
●その45 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(12)(2004/5/1)
●その46 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(13)(2004/5/15)
●その47 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(14)(2004/5/29)
●その48 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(15)(2004/6/12)
●その49 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(16)(2004/7/3)
●その50 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(17)(2004/7/24)
●その51 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(18)(2004/8/7)
●その52 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(19)(2004/8/25)
●その53 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(20)(2004/9/11)
●その54 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(21)(2004/9/25)
●その55 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(22)(2004/10/9)
●その56 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(23)(2004/10/23)
●その57 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(24)(2004/11/6)
●その58 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(25)(2005/1/1)
●その59 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(26)(2005/1/15)
●その60 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(27)(2005/2/19)
●その61 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(28)(2005/3/5)
●その62 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(29)(2005/4/9)
●その63 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(30)(2005/4/23)
●その64 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(31)(2005/5/14)
●その65 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(32)(2005/5/28)

【澤田善彦:プロフィール】

1930年7月15日生まれ 東京都出身

【学歴】千葉大学中退
【職歴】 1945年 大日本印刷(株)入社
ベントン彫刻母型による「秀英体」の改刻、全自動モノタイプの実用化に携わる。活版、オフセット関連の生産管理部門の管理職を歴任。
1967年~75年 香港勤務後、(株)CTS大日本の工場長に就任。

1985年 同社退社。リョービイマジクス(株)に入社。取締役情報システム部長を経て顧問に就任。 1995年 ダイナラブジャパン(株)に入社し取締役副社長就任。

1998年1月 同社退社 その後リョービイマジクス(株)顧問。
1994年以降、JAGAT DTPエキスパート制度に認証委員として参画。印刷業界の人材育成に貢献。

2014年7月 没

【著書】 MONZキーワード/ページネーションのすべて/変わるプリプレス技術/この一冊でDTPがわかる’98版/DTPエキスパート用語1200/ほか著書多数。

HTMLBookから印刷とEPUB変換する方法

教育や法令、学術論文など構造的な文書を組版する手法として、XML技術は根強く利用されている。近年では、Webや電子書籍と印刷向けにコンテンツの一元化とマルチユースを実現する手法としても、注目されている。

XMLによる出版・制作を独自に調査しているXMLパブリッシング研究会の活動について、株式会社ウェブインパクトの西河貴史氏に聞いた。

■XMLオーサリングと組版・EPUBツールの開発

XMLパブリッシング研究会は、2010年4月に発足し、XMLコンテンツのオーサリング、自動組版、電子出版などのサンプル制作やツール開発を通じて、情報交換やスキルアップを目指す有志の集まりである。
実際のメンバーは20数名で出版社や印刷会社・制作会社、IT会社など多方面からの参加がある。

主な活動は、サンプル制作やワークフローを検討するワークフロー・グループとツール開発をおこなう技術グループがある。技術グループは、当初、XML技術を詳しく理解するため、仕様を限定したXML変換ツールを開発した。それがXMLオーサリングツールと、XML組版ツールである。
その後、機能を拡張してEPUB変換にも対応している。

日常的にSNSやFacebookで情報交換しているほか、月1回JAGATに集まってミーティングをおこなっている。
これまでに、これらのツールを使用して盲学校の教科書をXML化し、視覚障がい者向けの大活字本や背景色を反転させたPDFを制作し、全日本盲学校教育研究大会での発表したこともある。

DAISY(アクセシブル情報システム)のセミナーでは、DAISY4からXML経由でPDFを生成するという発表もおこなった。

また、減災行動手帳というコンテンツのXML化に取り組み、スマホやPCで利用できるための手法を検討した。

このようなワンソースマルチユースによる電子化、アクセシビリティ対応などを目的とした勉強会をおこなっている。

XMLオーサリングツールの「Jepasspo」とXMLからPDFやEPUBを作成するツール「FANTaStIKK」は、Vectorで無償公開している。
機能限定のため業務用に使うのは難しいが、ワンソースマルチユースのトライアル用としては十分である。
動作環境としてはJAVAが必要で、MacでもWindowsでもLinuxでも動作する。

「Jepasspo」は、日本電子出版協会が規定したJepaXに限定したオーサリングツールである。
GUIベースでXMLオーサリングが可能であり、ボタンを押すとタグが出るような方式である。JepaXのコンテンツに対して、版型や書体、サイズなどの組版指定を設定し、組版データ(XSL-FO)、またはEPUBに変換するツールが「FANTaStIKK」である。
XSL-FOは、Apache FOPやAH Formatterというツールを経由して印刷用のPDFを生成することができる。

組版指定はユーザーがGUIで変更することができる。例えば、本文とタイトル、目次・前書・後書きなどの単位で設定する。版型やページサイズ、余白などや書体・文字サイズ、インデント、段落間なども設定可能である。
組版指示はユーザーが一から設定することもできるが、プリセットの仕組みもある。プリセットをカスタマイズして、自分用のセットとして保存することもできる。
EPUBに変換する場合、EPUBは版型の設定がないし、文字サイズも相対的となる。

■HTMLBook対応

HTMLBookはXHTML5のサブセットであり、コンピュータ関連の専門書出版で著名な米国オライリー社が提唱し、XHTML5ベースで書籍を執筆・制作するための規格である。

XMLパブリッシング研究会では、現在HTMLBook規格の調査・習得とツール開発、サンプル制作を計画している。
HTMLBookの詳しい内容はWebで公開されており、その日本語訳を作成して公開した。今後のツール開発は、XHTML5の入力対応とDAISY対応、ユーザーインタフェースの多言語対応もおこなう。現時点のHTMLBookへの対応状況は9割方完成しているが、一部に未対応の部分が残っている。

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(JAGAT 研究調査部 千葉弘幸)

HTMLBookとCSSを利用した書籍組版の可能性

現在の電子書籍は、まず印刷の本を作り、そのデータを加工してEPUBを作るというやり方が多い。しかし、この方法ではマスターが2つになるため、管理面やコスト面でもムダが多い。

未来の書籍出版では、コンテンツを一元管理し、そこから印刷の本の組版と電子書籍を同時に作るというワンソースマルチユースが可能になる。
アンテナハウス取締役の村上真雄氏にそのための技術、HTMLBookとCSS組版について話を伺った。

■書籍出版のワンソースマルチユース

Webも電子書籍もHTMLというマークアップ言語で作られている。このHTMLをマスターデータにするという考えがHTMLBookである。

EPUB・Kindle・Web・PDF(印刷データ)など各媒体向けにCSSというスタイルシートでレイアウト指定し組版することをCSS組版と言う。CSSを使えば、マスターのHTMLからEPUB、Kindle、Webへと展開することができる。
ただし、現時点ではCSS仕様が未完成であり、PDF(印刷データ)を生成するには不十分なところもある。

現時点でCSS組版エンジンを提供、または公開しているのは、世界で3社だけである。
アンテナハウスのAHフォーマッターは日本語組版、縦書き、多言語にも対応しており、アメリカのオライリー社でも採用されている。
YesLogic社(オーストラリア)のPrinceは、アメリカの有名な出版社のアシェットブックグループ(HBG)等で採用されている。Princeは、CSSの生みの親であるホーコン・リー氏が関わっている。
オライリー社はブラウザ上で編集環境を共有し多媒体向けに組版する仕組み、Booktypeという書籍制作サービスを提供している。

■CSS組版のユーザー動向

日本のW3C関係者と有志がまとめた「W3C技術ノート 日本語組版処理の要件」(通称:JLreq)というドキュメントがある。XHTMLで作られ、W3Cのサイトで英語と日本語で公開されている。日本語版は書籍としても出版されているが、その際にAHフォーマッターでCSS組版を行い、PDF 出力している。

アシェット社は、世界的に巨大な出版社グループである。米国のアシェット社では多くの書籍において印刷版と電子版を同時制作するために、CSS組版に取り組んでいる。
アシェット社では、著者と編集者はMS Wordで編集作業をおこなっている。構造化を施して制作システムにインポートすると、その時点でHTMLに変換され、それ以降はHTMLでマスター管理する。制作システムはIGP:Digital Publisherというソフトで、CSSでレイアウトし、PDFを書き出す仕組みである。マスターが完成次第、電子書籍用のEPUBも生成することができる。

コンピュータ関連の書籍で世界的に有名なオライリー社では、以前からHTMLとAHフォーマッターのCSS組版で印刷用PDFが作られており、電子書籍用のEPUBも同時生成していた。
新しいバージョンが「Atlas」というシステムで、HTMLBookに対応する予定となっている。

HTMLBookとは、オライリー社が定義したHTML5で本の内容をマークアップする方法である。HTML5に書籍用のタグを追加している。また、XMLの文書変換技術であるXSLTを利用して目次や索引ページを自動生成することができる。
HTMLBookの一番の特徴はオープンソースで仕様やツールが公開されていることである。

■CSSの標準化動向とHTMLBookとCSS組版の可能性

CSSで本を組版する仕様の基本が「CSS3 Page」である。
「CSS3 GCPM」はその一部で、柱、脚注、相互参照など書籍組版に必要な機能を定義する。 現時点のCSSは未完成のドラフトである。CSSの標準化に向けた動きとして、WHATWGグループのCSSBooksという仕様やW3C内での標準化も進められている。

CSS組版の実用化が進むと、DTPに依存しないワンソースマルチユースなど、いろいろな可能性が大きくなる。Web ブラウザ上でCSS組版も可能になる。リフロー型の電子書籍でもページのレイアウトが色々できるようになるだろう。

(JAGAT 研究調査部 千葉 弘幸)