カンファレンス」カテゴリーアーカイブ

ここに注目page2020

JAGATではこの2年あまり「デジタル×紙×マーケティング(digital×paper×Marketing)」というスローガンを掲げてきた。 page2020では、この路線をより強固に、より具体的に“飯の種”にしようという決意を込めてfor Businessを加え「デジタル×紙×マーケティング for Business」をテーマとした。

紙はデジタルメディアである

デジタルVSアナログで考える時代はもう古く、少なくとも情報が届いた顧客にとっては、デジタルとアナログの区別は問わない。そしてデジタルマーケティングの施策によって生成されたデータに基づいて制作されたDMやチラシは、もはやデジタルメディアといっても過言ではない。

昨今のマーケティング施策にマッチしたメディア

昨今のマーケティング施策はマスから始まるファネル型に加え、SNSの普及によって購入済み顧客から情報が拡散するダブルファネル型に移行している。また、購入までの過程で何らかの理由によって購入を見送った見込客への再アプローチも重要視されている。Eメールに比べて開封率が高く、じっくり手に取って見てもらえる紙メディアは、顧客のロイヤリティ化や、購入見送り客への再アプローチには、最適なメディアといえる。

印刷の知見を持ったデジタルマーケターに

マーケティング施策における紙メディアがもたらす効果にデジタルマーケターは気づき始めている。しかし印刷物の制作に関する知見を持ち合わせたデジタルマーケターはまだ少ない。様々なデジタルマーケティングツールが汎用化された現代においては、デジタルマーケティング施策に紙メディアを加えてもらうのではなく、アナログとデジタルの知識を兼ね備えたマーケターを目指すべきであり、ここにこそ、印刷関連企業が価値を発揮できるビジネスチャンスがある。

皆様のビジネス直結のイベントに

page2020のカンファレンス・セミナーは、マーケティング施策を実践する企業や、こうした施策を実践する方々に多数登壇いただく予定になっている。また展示ホールには出展企業が過去最多の163社(2019年12月17日現在)となり、皆様のビジネスに直結する何かが必ず見つかるはずである。

page2020の会場でお待ちしております。

(日本印刷技術協会 page事務局)

YouTuberビジネスの進化

YouTuber(ユーチューバー)とは、動画共有サービスであるYouTube  に動画を投稿し、広告収入などを得る人のことである。近年、日本でも有名YouTuberの存在や高収入が知られており、小学生の「なりたい職業ランキング」の上位に挙げられるほどである。

有名YouTuberの場合、ほとんどはプロデュースやマネジメントを代行する事務所に所属し、活動していると言われている。人気が高く莫大な視聴回数を得られるクオリティを維持するには、専門的なチームやスタッフ力が必要と言うことだ。

ライアン・トイズレビュー(米国)は、7歳のライアン君がおもちゃを紹介する大人気のYouTubeチャンネルである。累計の再生回数は200億回以上であり、数10億円の収入を得ていると言われている。実際には、30人規模のスタッフが支えているようだ。
おもちゃ製品のレビューと言うことは、事実上はメーカーとのタイアップであると推測される。

https://www.youtube.com/channel/UChGJGhZ9SOOHvBB0Y4DOO_w

日本国内では、YouTuberの視聴対象は小中学生や10代が中心という印象が強い。
しかし、米国や中国などではあらゆる年齢層に向けた動画マーケティングであり、大きな広告ビジネスに進化しているようである。

(JAGAT 研究調査部 千葉弘幸)

関連セッション

【CM2】企業の動画活用トレンド2019~SNS世代に響く動画と販促への展開

動画チャンネルの運営、動画制作・配信、YouTuberプロデュースなどの立場から、動画マーケティングの近未来をテーマにディスカッションを行います。

出版にも広がるデジタル×紙の連携

出版の世界で、本作りの常識が変わろうとしている。

デジタルの世界でマーケティングを進め、紙の書籍の売上を伸ばす。そんな流れが大きな市場を形成している分野がある。

今回は小説投稿サイト大手の一つである「エブリスタ」を紹介し、出版業界の進化の方向性を探っていく。

Web小説がなぜ売れるのか

『恋空』などに代表されるケータイ小説のブームを覚えている方も多いのではないだろうか。2005年にWeb上で発表された小説が書籍化され200万部を超えるヒットとなった。こういった、ケータイ小説ブームは一時の流行で終わってしまったが、Web上で小説を発表し、書籍化に繋げる流れは現在も続いている。

今回紹介するエブリスタは2010年に始まった小説投稿サイトである。DeNAとNTTドコモとの共同出資によって生まれ、誰でも小説やコミックを投稿できる。「王様ゲーム」や「奴隷区」といった作品がベストセラーとなり、アニメ化や映画化なども行われている。

どちらも、小説版に関してはWeb上で無料閲覧することができる。だというのに、お金を出して書籍を買う人間がおり、次々とメディアミックス化されていったのだ。これは、一体どういうことだろうか?

ケータイ小説のブームの際には、コアなファンが自分の感動を形にする宝物として書籍を買い求めているのだろうと分析されていた。勿論、そういった需要があることも間違いないが、現在は無料のWeb小説で市場を調査し、そこで反応のあったものに予算を投下することでヒットに繋げているという考え方が主流になっている。

Web上で人気といっても、そこで読む人間はまだコアな層である。しかし、そういったコアな層の中で人気の出たものが書籍化され、書店に並べばそこで初めて目に触れる人間も出てくる。コア層の中で人気を勝ち得た作品は書店でも読者を掴みやすい。さらに言えば、編集者はその作品のどこに読者が付いているのか知っている。その反応に合わせて、パッケージングや宣伝戦略を考えることができる。言ってみれば、Web発の小説はある程度マーケティングが済んだ状態で書店に並んでくるのである。この差は大きい。

書籍の中で人気を得た作品はコミカライズされ、さらにはアニメ化、ドラマ化、映画化へと様々な展開へ繋がっていく。このWeb→書籍→コミカライズ→アニメ化、ドラマ化といった流れは、必要な予算や関わる人間が段階的に増えていっていることも重要である。半ば自動的に、人気の度合いに従って適切な予算投下が行われるようになっているのである。この仕組みは、個々の出版社やアニメ制作会社を超えたコンテンツ業界全体のビジネスモデルになりつつある。

無料のWebと有料の紙

コンテンツ業界では「0を1に、1を100に」という言葉がある。「0を1に」とは新作発掘のことであり、「1を100」にとはメディアミックスや宣伝、グッズ展開などで作品の利益を最大化する仕事のことである。これまで小説は初期投資の少なさから、コンテンツ業界では原作の提供側にいることが多かった。しかし、Web小説の登場で、より0に近い場所が生まれたのである。一方で、基本無料のWeb小説をマネタイズするために紙は有効という事実もある。これら市場の変化は印刷業界にいる人間も知っておきたい情報である。変化の傍には常にビジネスチャンスが眠っている。

では、その小説投稿サイトとはどのような場所なのだろうか? 小説投稿サイトに作品を掲載する作者の多くは、自分の作品を読んでくれる読者を求め、コミュニケーションを期待している。ポジティブな関係が築かれ、作品が生まれるコミュニティを如何に作り、運営していくのか。実際、そこではどのようなやり取りが行われているのか。

page2019のカンファレンスでは、エブリスタのエース級編集者である松田氏が登壇し、市場の変化や小説投稿サイトの実際の様子、未来像などを講演して頂く。他にも、今後の出版の行く末を占う新しい展開を議論するカンファレンスになっている。

(JAGAT 研究調査部 松永寛和)

■関連イベント

2月6日~8日に開催するイベント「page2019」では、2019年の印刷マーケティングを知るためのカンファレンスを開催します。同人誌、自費出版、デジタル印刷、地域活性などの情報をビジネスに活かしたい方はぜひご参加ください。

【PM3】WEB と地方で広がるデジタル出版の可能性~プラットフォーマーと同人誌新規参入会社の視点から~
出版市場が縮小する外側で、投稿小説サイトや同人誌即売会ではコンテンツが増え続けている。投稿小説サイトは既存の出版では埋もれていた作品をヒット作へと繋げ、文学フリマは百都市構想を掲げて地方での開催を模索する。デジタル印刷で小ロットのマネタイズを支援して新たな市場を創出できないか。プラットフォーマーと印刷会社、新興市場に精通するシンクタンクを交えて出版の新しい成長可能性を議論する。

【PM1】地域活性ビジネス①地域の課題解決による新たな価値の創り方
【PM2】地域活性ビジネス②産業観光による地場産業活性の可能性
【PM4】印刷ビジネスとメディアの展望2019

出版業界において新たに成長する分野【印刷マーケティングの進化の先】

近年出版市場の縮小が進んでいる。そんな中、既存市場には含まれない分野の出版活動がかつてなく盛んになっている。デジタル印刷技術で、こうした市場を活性化させることで出版界へのインパクトを与えられるのではないだろうか。

小説投稿サイトからベストセラーが生まれる時代

近年の書籍の市場において、おそらく最も大きな変化と言えるのが小説投稿サイトの成長である。小説投稿サイトでは、自分の書いた小説を誰でも自由に投稿することができ、投稿された小説を無料で読むこともできる。「小説家になろう」というサイトに投稿され、現在アニメ化されている『転生したらスライムだった件』という作品は、書籍化されて累計1000万部を突破した。この作品に限らず、小説投稿サイトからは数百万部というベストセラーが立て続けに生み出されている。

小説投稿サイトに注目するべき理由は、これが単発にヒット作という話題に留まらず、新人作家発掘の魅力的なルートであり、出版というシステムの構造自体を変化させつつあるからだ。これまで出版社では各社が新人賞を開催し、入賞者を作家としてデビューさせてきた。今後も新人賞がなくなる訳ではないが、現在、特にライトノベルなどの分野においては既存の新人賞に加え、各編集部の人間が投稿小説サイトの動向に目を向け、有望な人間には即座に声をかける態勢が整っている。

投稿者にとっては受賞を逃せば、ほとんど誰の目にも止まらず消えていく新人賞よりも、多くの読者の目にとまる可能性のある小説投稿サイトの方が魅力的に映るだろう。一方出版社にとっても、既に読者に受け入れられることが分かっている作品を拾って出版した方が効率的である。事実、小説投稿サイト発の作品はヒット率が高く、市場において存在感を強めている。

現状では、特に現状の小説投稿サイトと相性の良い分野に偏っているが、これがより広い分野に派生していくのかどうか、ヒット作をどこまで継続的に生み出せるかなどが注目される。

同人誌市場の一般化

もう一つ注目は同人誌市場である。毎年夏と冬に行われ、毎回約60万人を動員するコミックマーケットはニュースなどでご存知の方も多いだろう。しかし、同人誌即売会はコミックマーケットだけではない。同人誌のイベント情報などで検索すれば、毎週日本中で数十のイベントが開催されるまでの市場が形成されていることが分かる。こういった同人誌即売会でやり取りされる書籍はISBNコードなどは基本的に付されず、出版統計などには反映されない。しかし、そういった統計外の部分で無数の書籍、印刷物が生まれているのである。同人誌は少部数のものが大半であり、ノウハウや工夫が必要な部分もあるが、比較的の新規参入がしやすいという面も、地域に根ざした中小の印刷会社にとっては見逃せない市場である。

出展者の大半は数十部~数百部の小ロットの本を自腹で作り、同人誌即売会に参加する。作者と読者の直接的な交流が大きな魅力であり、創作者が直接印刷会社とやり取りするため、印刷会社が感謝を伝えられることも多く、やりがいも大きいという。

同人誌即売会では、アニメやゲームの人気コンテンツのキャラクターを使用した二次創作が目立つが、オリジナル作品で出展する人間も多く、ここでも各社の編集者が新人の作家を探している。読者との交流がモチベーションを生み、そこで成長した書き手がヒット作を生み出していく構図も生まれている。

求められる出版活動多様化への対応

かつての出版業界では、編集者や大作家など、所謂目利き的な人間が才能ある若手を見出し、世の中に発信していくという構図になっていた。これは偏に、不特定多数の読者に作品を届ける出版という行為が限られた人間にしか不可能だったからである。しかし、現在では作品を不特定多数に向けて発信することは個人でも可能なほど簡単になっている。その結果、編集者や作家といった目利きよりも読者が直接才能を見出すということが多くなっている。

現状ではこのような変化に対し、明らかに目立っている作品を既存の出版のルートに乗せ直し、ヒット作にしていくという形になっているが、デジタル印刷による小部数の印刷が一般化すればより大きな構造の変化が生まれる可能性がある。構造の変化はビジネスチャンスに繋がる。作品が生み出される源流を誰が押さえるのか、2月8日の下記セッションでは関係プレイヤーが一堂に会して議論する。

(JAGAT 研究調査部 松永寛和)

■関連イベント

2月6日~8日に開催するイベント「page2019」では、2019年の印刷マーケティングを知るためのカンファレンスを開催します。同人誌、自費出版、デジタル印刷、地域活性などの情報をビジネスに活かしたい方はぜひご参加ください。

【PM3】WEB と地方で広がるデジタル出版の可能性~プラットフォーマーと同人誌新規参入会社の視点から~
出版市場が縮小する外側で、投稿小説サイトや同人誌即売会ではコンテンツが増え続けている。投稿小説サイトは既存の出版では埋もれていた作品をヒット作へと繋げ、文学フリマは百都市構想を掲げて地方での開催を模索する。デジタル印刷で小ロットのマネタイズを支援して新たな市場を創出できないか。プラットフォーマーと印刷会社、新興市場に精通するシンクタンクを交えて出版の新しい成長可能性を議論する。

【PM1】地域活性ビジネス①地域の課題解決による新たな価値の創り方
【PM2】地域活性ビジネス②産業観光による地場産業活性の可能性
【PM4】印刷ビジネスとメディアの展望2019

伝えたいことは、図で表してみよう

情報を視覚的に表現するインフォグラフィックスは、社会と生活のあらゆる場面に役立っている。その習得は一朝一夕にできるものではないが、絵の上手さは絶対条件ではなく、もっと大切なことがある。 続きを読む

page2018基調講演3「他業界から見た印刷業界」

印刷業界以外を経験されて、家業の印刷業界に戻った経営者(息子)やその能力が評価されて印刷業界にやって来た方々を集めて、印刷業界が変えないとマズイ点、弱み、こうすればビジネス的な強みになるのではないか?と言った事をpage2018の基調講演3では徹底的に討論したい。 続きを読む