浜野製作所は墨田区の製造業が9800社から1600社に減少するなか、取引先を4社から4500社に増やした。地域連携や産学官連携など、新たな顧客と仕事を生むために、工場を舞台に新たな繋がりを構築する事例が増えている。連携で需要を創る成功事例から考える。
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情報サービス産業としての印刷物
「デジタル印刷機を使う印刷ビジネスというのは情報サービス産業だ!」にフォーカスしたpage2020カンファレンスについて紹介。
続きを読む“働き方改革”は経営にとってボトルネックなのか ~生産性向上と働き方改革、雇用に波及する多能工化への取り組み
地域イベントでお目にかかったある印刷会社の経営者の方が「印刷需要の減少、材料の値上げ、価格競争に加えて働き方改革でもう四重苦だよ」とおっしゃる。たしかにワークライフバランスなどと言って、時短や残業カット、有給休暇消化を迫られても、単純にそれだけでは現状の利益の確保ですら難しいであろう。
2019年4月より順次施行された働き方改革関連法に基づき、印刷会社も対応が求められているが、働き方改革が経営のボトルネックになってしまっては、推進していくことはできないであろう。
会社、社員双方にとって利益ある改革のためには、なんといっても業務の効率化を図らなければならず、そのためには、仕事の標準化や共有化が重要であり、その仕組みを構築する必要がある。
ここでは印刷会社の生産部門の改革として最近よく耳にする多能工化について注目してみたい。
「多能工とは生産・施工の現場において、1人が一つの職務だけを受け持つ単能工に対し、1人で複数の異なる作業や工程を遂行する技能を身につけた作業者のことをいう。多品種少量生産や品種・数量の変動に対応しうる柔軟な生産体制を維持し、生産性の向上を実現するためには多能工の確保が欠かせません。」(日本の人事部より)
実際に多能工化に取り組み、CTP出力機のオペレーターが印刷のサポートをし、逆に印刷機のオペレーターがCTP出力機を操作できるようになって仕事の幅を広げている例がある。製本関連でも断裁機、折り機、無線綴じ機、中綴じ機など製本機器の操作に加え、印刷機やCTP出力機のオペレーターが携わり後工程の技能を習得している例もある。
多能工化を進めるにあたっては、経営者が考慮しないといけない課題がある。例えば、時間がかかることだ。OJT、OFF-JTで実務の経験を多く積ませながら教育しなければならない。
また、多能工化に取り組んでいる間に、評価制度が伴わないなどにより、社員のモチベーションが低下してしまうことを防ぐ必要がある。大事なのは社員とコミュニケーションを取りながら進めていくことだ。トップダウンで一方的に命令するだけでなく、彼らの身になって意見を聴き、会社の体質に合った改革を進めていくべきである。
ただし、一概に印刷工場の多能化といっても、印刷会社の規模や事業領域によって、取り組み方も様々である。そこでJAGATでは、page2020で働き方改革をテーマにしたセミナーを開催し、実際の取り組みにおける具体的な事例をもとに、多能工化による働き方改革の成功への道筋を示したいと考えている。
「4S」「機械設備の保全」「品質」「多能化」のー連の活動の中、多能工化を位置づけし、職場環境が人材育成と製品の品質にも結びついている例。さらに、徹底した「見える化」への取り組みにより、コスト意識を高め、目標管理を行い、効率的に仕事を進めるしくみづくりをしている例など、業務管理システムの構築を通じ、生産性向上の中での複数の工程をカバーした多能工化について紹介する。
(CS部 伊藤禎昭)
●関連情報●
◆page2020セミナー最新情報
◆【S2】印刷工場の生産性向上実践 ①~多能工化編~
◆【S4】印刷工場の生産性向上実践② ~品質管理と改善活動編~
◆【S7】トラブルを未然に防ぐ入稿データのチエックポイント~最新のAdobe CCにおける注意点~
◆【S9】アイデアを形にする紙加工の製品開発
◆【S14】印刷学会共催「色評価用LEDガイドライン」とカラマネ・照明の基本 ~LEDガイドラインセミナー~
出版印刷ビジネスの未来を語る注目カンファレンスを紹介
今回はpage2020の中でも出版印刷ビジネスの未来を議論する4本のカンファレンスを紹介します。 続きを読む
色評価用LED知識は印刷技術者とメーカー技術者の必須常識
色関係のセミナーを毎年page展では行っているが、今回は印刷学会とタイアップして、実践的且つ必須情報の決定版セミナーとして開催する。
続きを読む相手の本音を引き出す「笑い」のコミュニケーション
印刷会社がビジネスをする上で、社内外へのコミュニケーション能力がこれまでに増して必要となった。相手の本音を引き出す方法として、「笑い」を生かして相手の感情へアプローチするコミュニケーションが注目されている。
■顧客の抱える課題を引き出すコミュニケーション
現代の印刷営業に求められることは、印刷を軸とした顧客のビジネスを包括的に支援できるようになることである。相手に物事を「伝える」ためには、まず相手が何を求めているのか、相手の現状を知り、抱える問題を引き出すことが求められる。顧客が求めるものをいかに引き出すか、コミュニケーションを図り信頼関係を築き提案していくことが必要となる。
しかしながら、具体的にどのように顧客の懐に飛び込み、会話を持続させ、結果として的確なニーズを引き出したらよいのだろうか。案外そうしたことが苦手で、そのノウハウを学びたいと思っている営業パーソンも多いであろう。
■上司、同僚、部下の本音を引き出すコミュニケーション
一方で、社内でのコミュニケーションがしっかり行われていることによって、顧客への提案に関する重要な情報をきちんと共有することが出来、よりよい提案ができる。また、部下、同僚など話しやすく、相談しやすい環境を作り出すことで社内の雰囲気が良好になり、業務効率化や生産性向上、離職率低下なども期待できる。
しかし、実際には上司と部下の間には壁が立ちはだかり、お互いの本音が分からず、円滑な情報共有ができにくいと感じているケースも多いであろう。また、人間関係になじめず若手が早期退職してしまうなど、コミュニケーション不足によって会社としての一体感が生まれにくくなってはいないだろうか。
では、コミュニケーションが活発な組織を作るためには、具体的に何をすればよいのだろうか。
そこで、page2020では、組織の課題としてのコミュニケーション不足を解消すべく、お笑い芸人・人事系コンサルタント・起業家という異色の経歴を持つ中北朋宏氏から「笑い」のスキルを体系化しコミュニケーションへ転用、そして心理的安全性を生み出す笑顔と明日から実践できる手法を学ぶセミナー「“ウケる”は人に好かれる最強のビジネススキル ~相手の心を一瞬でつかむコミュニケーション技法~」を開催する。
コミュニケーションの重要性はもちろんのこと、人気番組から学ぶ空気の作り方や笑いのメカニズム、自己プロデュース技術など、社内外における“今必要なビジネススキル”としてのコミュニケーション能力向上に特化した内容で伝えます。
JAGAT 加治 寛子
■page2020セミナー
当たり前のコミュニケーションスキルは聞き飽きた!こんな人におすすめです!
● 笑いで相手の感情を動かしたい
● リアクションを引き出したい
● メンバーと本音でしゃべりたい
● 相手のモチベーションをあげたい
● チームを一つにまとめたい
<講師>
中北 朋宏 (株式会社 俺 代表取締役社長)
NSC(吉本お笑い養成所)に入学。大阪から東京へ拠点を移し、浅井企画に所属する。テレビ・舞台で活躍し、東京タワーのイベントにて約3,000人前で司会進行を行うお笑い芸人解散後、人事系コンサルティング会社に入社する。入社後は、コンサルティング営業を担当。中小企業コンサルティング実績はNO.1を獲得する。その後、インバウンド系事業のスタートアップにて人事責任者を任せれ、制度、採用、研修を設計し実施をする。2018年2月9日 2社から出資を受け、株式会社俺を設立。夢諦めたけど人生諦めていない人の支援を掲げ、元芸人などのセカンドキャリアを支援する転職サービス「芸人ネクスト」、笑いの力で組織を変える「コメディケーション」を展開している。2019年6月日本経済新聞出版社より『「ウケる」は最強のビジネススキルである。』を出版。1ヶ月で3刷を記録しAmazon新着ビジネス書ランキング1位を獲得する。
■関連情報■
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地域資源のストーリー化に求められる「聖地創生」の視点
聖地創生が注目されている。勿論、ここでいう聖地は宗教的意味ではない。近年、映画や小説など作品の舞台を訪ねるコンテンツツーリズムの一種として、アニメやマンガの舞台となった場所をファンが訪れる行為が聖地巡礼と呼ばれるようになり話題になった。コンテンツツーリズムが成立するような作品の舞台に選ばれるかは偶然に寄るところが大きかったが、ここから一歩進んで、作品を待つだけではなく、地域の元々持っている地域資源を武器にストーリー化やコンテンツ化し「聖地」を自ら作っていこうというのが聖地創生である。
聖地巡礼とは
聖地創生はコンテンツを作るところから考えていく手法であるが、まずはコンテンツが地域を活性化させた事例として聖地巡礼を元に考えてみたい。
作品の舞台になった場所を訪ねたいと思うのは自然な感情であり、作品のファンがモデルとなった場所を訪ねる行為は昔から行われていた。そんな自然発生的な行為が改めて注目を浴びるきっかけとなったのが、2008年のアニメ作品『らき☆すた』である。作中に登場した鷲宮神社にはファンが押し寄せた。2007年の正月三が日の参拝者数が13万人だったのに対し、2008年は2.3倍の30万人に増加。その後も2009年には42万人、2010年は45万人と増え続け、2011年に47万人を記録。以降は2017年までこの数字を維持している。一時の流行ではなく持続的な人気を得たと言えるだろう。
聖地創生の成功事例
では、実際に聖地となった場所ではどのように作品が展開されていくのだろうか? よくあるのが、作品に登場する場所をまとめた観光MAPの配布。地域限定グッズの販売などである。
鷲宮神社の場合も、イベント開催やポストカードやストラップなど鷲宮限定のグッズの販売などをするようになった。一時の流行では終わらせず、作品を地域の活力へと繋げるためには地域の協力が不可欠である。
聖地巡礼が地域活性に繋がった成功事例では、地域の積極的な働きかけが目立っている。2011年放送の『花咲くいろは』もその一つである。富山県南砺市に本社を置く制作会社のP.A.WORKSはアニメによる地域活性に意欲的な会社であり、放送前から舞台となる金沢の湯涌温泉とは協力関係にあった。そんな中、湯涌温泉から提案したのが作中最終話で登場する「ぼんぼり祭り」を実際に行うことである。これが実現し、「ぼんぼり祭り」は以降毎年開催されるようになる。今年の令和元年7月が第九回の開催となり、地域のお祭りとして根付き始めている。
印刷会社の関わり方
コンテンツツーリズムは作品の力で人を動かし、地域経済を刺激するものとして大きな注目を集めている。聖地創生の視点で考えた場合も、地域の持っている魅力をそこを舞台にした作品と掛け合わせてアピールすることは有効である。その際、地域に根差した印刷会社には様々な部分で強みを発揮できる。
例えば、観光MAPの配布はコンテンツツーリズムの定番だが、数度の配布で終わってしまうことが多い。後はWEB上でPDFを公開しファンが各自に印刷する形になりがちである。だが、地域の印刷会社であれば制作会社の知らない地域資源と橋渡しをしたり、印刷物を適宜補充するなどして継続的に展開することも可能となる。
こういった作品を呼び込むためには、ただ待つだけではなくフィルムコミッションのように積極的に誘致するという方法もある。そのためには、自分の地域の魅力を改めて問い直し、その地域のストーリーを分かりやすく伝えていく必要がある。また、地域の魅力を発見することができれば、作品にするという以外にも様々な手法が考えられる。
page2020では、そういった聖地創生の具体的な方法や事例、考え方のヒントなどを考えていく。今回は特に 富山県南砺市におけるアニメを活用のまちづくり事例などから、地域資源の再発見とストーリー化による地域活性化について議論する。
(JAGAT 研究調査部 松永寛和)
関連カンファレンス
【PM3】地域資源をストーリー化する「聖地創生」 ~コンテンツツーリズムによるまちづくりの理論と事例~
紙加工製品の商品開発に欠かせない、デザインとブランディング
経営者が自ら取り組む商品開発とデザインへの取り組み
印刷業を取り巻くビジネス環境では、デザインの重度が増している。販売促進ツールをはじめとするBtoBや生活者を豊かにするBtoCの商品開発を手掛ける印刷、紙加工業の事例も増えてきている。商品開発に欠かせないのが、アイデアとそれを形にするデザインだ。
page2020セミナー「アイデアを形にする紙加工の製品開発」では、紙加工製品の商品開発に取り組む2社に実践でのプロセスとブランド展開について解説する。
加藤製本株式会社では、ブランド「クルーシャル」を立ち上げている。クルーシャルは、文具、朱印帳などの紙加工商品を開発し、提供する会社だ。プロダクトデザイナー、グラフィックデザイナー、CADエンジニア、一級技能士の資格を持つ社員によりものづくりに取り組む。社員がアイデアを出すこととデザイナーを採用や育成することに力を入れている。同時に、大手文具量販店や文具店、女子博、販促アイデアグランプリ展など業界の枠を超えた販路開拓にも力を入れている。マーケティングとアイデアとそれを形にするデザインの相乗効果で成果を上げている。紙加工技術、レーザーダイカットシステムを活かした微細な細工の朱印帳やマカロン(付箋)などは記事や話題として取り上げられことも多い。
福永紙工株式会社では、この2020年1月29日までの期間で昨年11月にオープンした渋谷スクランブルスクエア10Fの東急ハンズが運営する「208HANDS」で販売会を実施している。ブランディングへの取り組みだ。クリエイターと共にこの12年間でつくりあげた紙製品の22日間限定販売会だ。同社は、印刷から加工までのパッケージの印刷加工会社として1963年に創設された。転機は、アパレル商社勤務経験とノウハウを持つ現在の山田社長を中心とした2006年の「かみの工作所」プロジェクトスタートだった。多くのクリエイターと恊働して工場の技術を活かしたオリジナル製品の企画、開発、製造、販売への挑戦をはじめたことだ。第一線のクリエイターとの人脈も広い。他にも1/100スケールの模型ブランド「テラダモケイ」の製造販売など、新たな紙の価値を模索する取り組みを様々な形で行っている。海外の美術館でも取り上げられるような「空気の器」「MABATAKI NOTE」などの製品は、ブランド価値をさらに高めている。
デザインがビジネスチャンスへ
印刷会社がマーケティングや製品においてデザイン能力を重要視しているように顧客側の企業もデザインノウハウを重要視している。印刷業でもビジネスチャンスとして捉えるべきだ。また、消費者ニーズが複雑化し課題がわかりにくい市場においては、デザイン的な発想やデザイナーが重要になってきている。商品開発の決め手はアイデアだ。モノや情報が溢れた時代では、ユーザーの想定を超えた製品やサービスが必要なる。〝今までにない”紙製品を創り〟で販路開拓し、ブランディングを展開するポイントを紹介する。また、アイデアやデザイン的な発想は、簡単に出せるものではない。アイデアを生み出すために取り組むべきことは何か、そのためのポイントも解説する。
CS部 古谷芸文
関連情報 page2020セミナーhttps://page.jagat.or.jp/sessionList/seminar.html
【S9】アイデアを形にする紙加工の製品開発
page2020 出展社数・小間数が確定しました
【page2020】基調講演・カンファレンス・セミナー情報を公開!!
page2020では国内最大級の展示会とともに、合計31本に及ぶセッションを通じて、テーマ「デジタル×紙×マーケティング for Business」を実現するためのヒントを提供する。
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