2025年度が始まって約2週間が経過し、新入社員の皆さんは各部署に順次配置されて上司や先輩の指導を受けながら試行錯誤している頃ではないかと推察する。 続きを読む
「JAGAT info」カテゴリーアーカイブ
仕事ぶりを点検する機会として
日本の季節と色と形(5)
会員誌『JAGAT info』の表紙のデザインは、印刷文化を語る上で欠かせない、色と形をテーマにしており、現在は「日本の形シリーズ」として、本誌の発行時期の歳時や風物をモチーフを主体にして、季節感と日本情緒が感じられるようなものとしている。
参考:『JAGAT info』バックナンバー →
では最近のバックナンバーから、表紙に描かれたモチーフについて解説し、制作手法を紹介しよう。
2025年2月号 「タンチョウ」

タンチョウはツルの仲間の中でも大型の種である。一時は絶滅したと考えられていたが、大正時代に再発見された。現在は釧路湿原などに生息しており、国の特別天然記念物に指定されている。
タンチョウを漢字で書くと「丹頂」。これは頭頂部(頂)に羽毛がなく皮膚が露出しているため、血管が透けて赤色(丹)に見えることによる。
冬場に繁殖期を迎えると、雄と雌が互いに頭を掲げて翼を広げたり飛び跳ねたりと、ダンスをしているような姿が見られるが、これは求愛、あるいはつがいの絆を深める行動だと考えられている。
つがいができると春に湿原の中に巣を作り産卵する。
制作に当たっては、タンチョウの絵を色鉛筆で描いてスキャンし、Phtoshopでバックのテクスチャーと合成、文様はPhtoshopで描いた。
バックの大きな輪は雪輪文様で、その中に季節の植物である南天、椿、梅の絵をあしらった。
2025年3月号「桜餅」

お彼岸にちなんで、関東風の桜餅と、道明寺と呼ばれる関西風の桜餅を並べて描き、桜の枝と緑茶を添えた。
関東風は小麦粉の生地をクレープのように薄く焼いてあんを巻いたもの。江戸時代に向島(現・墨田区向島)の長命寺の門前で売り出されたのが始まりだという。
一方、関西風はもち米を原料とする道明寺粉を蒸してあんを包んだものである。
いずれも桜の葉の塩漬けを巻いているので、春らしい香りを楽しむことができる。この独特の香りは塩漬けしている間に生成される「クマリン」という成分によるものである。
なお、塩漬けに使われる品種はオオシマザクラである。
制作に当たっては、色鉛筆で描いてスキャンし、photoshopで色調などを調整した。
表紙絵を担当していると、日本文化の歴史や他国との関係などを知ることができ、対象となるものを観察することで思わぬ発見もある。今後もさまざまな題材を通じて、日本の風物の魅力を伝えていきたい。多忙な日々を送る読者の方々が、本を手に取る一瞬にホッと一息ついていただければ幸いである。
(『JAGAT info』制作担当 石島 暁子)
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2025年3月15日発行 A4判 60ページ オールカラー
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小誌では「デジタル印刷最前線」という連載を行っている。これはデジタル印刷に関連する多種多様なトピックについて、メーカーや印刷会社、関連企業などを訪問し、その取り組みをレポートするものだ。 続きを読む
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日本の季節と色と形(4)
会員誌『JAGAT info』の表紙のデザインについて紹介する。
会員誌『JAGAT info』の表紙のデザインは、印刷文化を語る上で欠かせない、色と形をテーマにしており、現在は「日本の形シリーズ」として、本誌の発行時期の歳時や風物をモチーフを主体にして、季節感と日本情緒が感じられるようなものとしている。
参考:『JAGAT info』バックナンバー →
では最近のバックナンバーから、表紙に描かれたモチーフについて解説し、制作手法を紹介しよう。
2024年10月号 「キノコ」

そろそろ肌寒くなる時季であることから、鍋物や煮物などの温かい料理に活躍する食材であるキノコをテーマにした。
料理にキノコ類を入れるとうま味が増すし、シンプルに、バター焼きやホイル蒸しにしてしょうゆを垂らしてもおいしい。制作中は、我が家の食卓でもキノコを入れた炒め物や自家製の「なめたけ」の出番が増えた。
表紙に描いたのは椎茸・エリンギ・松茸・舞茸・ブナシメジ・エノキタケだが、他にも多くの種類がある。品種によって色も形もさまざまであり、それぞれの特徴を出すのは難しくもあり楽しくもあった。
制作に当たっては、色鉛筆で手描きした後、スキャンし、ptohoshopで色調を調整した。
なお、キノコで思い出すのは、2024年12月19日に逝去された絵本作家・いわむらかずお氏による『14ひきのあさごはん』。どんぐりパンときのこのスープを囲んだ朝食風景が微笑ましかった。
2024年11月号 「サザンカ」

サザンカとツバキは、どちらもツバキ科ツバキ属に属していることから、区別がつきにくい。
しかしよく観察すると明らかな違いがある。
例えばツバキの花弁は付け根が合着して筒状になった、いわゆる合弁花であるが、サザンカの花弁は一枚ずつ分かれている。そのため花が終わるとツバキは咲いた形のままポロリと落ち、サザンカは花弁が1枚ずつ散る。
雄しべの形も、ツバキの場合、花の中心部の花糸(雄蕊の中で、先端の花粉嚢を支える部分)同士が接着して筒形になっているのに対し、サザンカの花糸は一本一本が離れている。
また葉を見てみると、ツバキの場合、先が尖った卵型でつやと厚みがある。一方サザンカの葉はツバキより小ぶりで、表面に艶はなく、葉の縁がギザギザしている。
制作に当たっては、11月号と同様、色鉛筆で手描きした後、スキャンし、ptohoshopで色調を調整した。
2024年12月号 「白蛇」

2025年の干支にちなみ白蛇をテーマとした。
白蛇はアオダイショウなどが色素異常で白化した個体(アルビノ)のことを指す。山口県岩国市には古くから白蛇が多数生息し、白化が子孫に受け継がれている希少な例であることから「岩国のシロヘビ」として国の天然記念物に指定されている。
日本の絵画ではたびたび、琵琶に絡み付いた白蛇が描かれている。その由来は、白蛇が弁財天の使いであり、弁財天が持っている楽器が琵琶であることによるとされている。
筆者は爬虫類が苦手ではある。しかし白蛇の顔をよく見ると、目は丸くて赤く、口元は笑っているようにも見えなくもない。そのため、描き上げた白蛇の表情は可愛げのあるものとなった。
制作に当たっては、白蛇と琵琶を色鉛筆で描いてスキャンし、和紙のテクスチャーに色を乗せた画像を背景に合成した。
表紙絵を担当していると、日本文化の歴史や他国との関係などを知ることができ、対象となるものを観察することで思わぬ発見もある。今後もさまざまな題材を通じて、日本の風物の魅力を伝えていきたい。多忙な日々を送る読者の方々が、本を手に取る一瞬にホッと一息ついていただければ幸いである。
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2025年1月15日発行 A4判 84ページ オールカラー