10月の売上高は△0.5%。2-3月以来の2カ月連続マイナス。10月は平日が昨年同月より1日多かったにも関わらずプラスに転じ切れなかった。 続きを読む
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印刷業定点調査 各地の声(2018年9月度)
9月の売上高は△3.9%。2016年10月以来22カ月ぶりの落ち込み幅となって4カ月ぶりのマイナスに転じた。9月は平日が昨年より2日少ない18日だったカレンダー要因と、西日本で相次いだ台風・豪雨災害と北海道地震が影響した。 続きを読む
アプリレス、ゴーグルレスで利用できるWeb AR/VR
AR(拡張現実)は新たなユーザー体験を提供し、印刷物の効果をより高める技術として注目され、取り組む印刷会社も多い。しかしながら、利用するにはアプリのダウンロードが必要なことからユーザーからは敬遠されることも少なくない。エイシス株式会社は、2016年11月に設立されたベンチャー企業で現在の従業員は8名と小所帯ながら、Webデザイン、Webシステムの企画、開発、運用を行っている。柱となっている事業がWebAR、WebVRである。JAGAT印刷総合研究会において代表取締役の齋藤瑛史氏に取り組み状況を伺った。
アプリレス、ゴーグルレスが強み
一般的にARやVRを利用するにはヘッドセットやARグラスを身に着けるか、スマホの場合は、アプリをダウンロードして利用することになる。しかし、ヘッドセットを購入するには費用がかかるし、メガネをかけている人や髪形を気にする人には敬遠されがちである。また、アプリのダウンロードについては、最近アメリカで行われた調査では、スマートフォン所有者の最近1か月の新規アプリインストール数の平均はほぼ0であった。そして、1日に使用するアプリ数の平均が約3であった。したがって、スマートフォンにたくさんのアプリが入っていても普段使うものは非常に限定されている。かつ、アプリの8割から9割は一度使われただけで削除されている。
また、開発者側の視点からすると、どんどん登場する新しいデバイスへの対応やAndroidとiOSのどちらにも対応し、かつOSのバージョンアップに対応し続けるというのはかなりの開発負荷である。
これらの課題をクリアするものとして、当社が力を入れているのがWebAR/VRである。アプリをインストールする必要がなく、そしてヘッドセットを装着することもなくARやVRの体験が可能である。
WebVRのサンプルとして「寿司ぽっぷ」というゲームを紹介する。渋谷のスクランブル交差点の3D空間を舞台に空から降ってくるお寿司に視線を当てて地面に落とさないようにするという簡単なゲームである。3D空間のデータとシステムを組み合わせてWebブラウザ上でより気軽にVR体験することができる。
WebARのサンプルとして、「ウェブモン」というゲームを紹介する。マーカーであるカードをかざすと、ARコンテンツとしてモンスターが現れる。それを自分のキャラクターとして登録し、別のカードをかざすと敵役のモンスターが現れ3Dで対戦がはじまる。
多くの人にリーチ可能で拡張性が高い
WebAR/VRのメリットを整理する。一つ目は多くの人にリーチ可能であること。当社の事例ではアプリインストール型と比べて数倍のアクセス数となった実績がある。アプリをインストールするためにパスワードを入力したり、指紋認証したりという手間と新たなアプリを入れるという心理的障壁はかなり大きい。QRコードを読み取るだけで簡単にアクセスできるというWebARのメリットは大きい。
二つ目は開発や保守が容易であること。iOSとAndroidの双方に対応したり、複数のVRコンテンツストアに対応するのは大変である。OSのバージョンアップやストアの審査への対応もある。Webで動作すれば審査はないので、VRコンテンツを状況にあわせて柔軟に修正することができる。
三つ目はWebならではの拡張性があることである。既存のWebサイトに組み込むことができ、ECサイトとの親和性が高い。また、ブックマークやSNSシェアなどWebの機能をそのまま利用できる。Webの新しい技術でAndroidではWebサイトからユーザーにプッシュ通知ができるようになる。Webの進化に合わせていずれはアプリと同等の機能が実現されるだろう。
活用事例としては、人気ミュージシャンのライブプロモーションにWebARが採用されたケースがある。ライブグッズにQRコードが印字されており、そのリンクからミュージシャンのグッズや本人たちの映像が再生されるなど、よりライブを盛り上げる演出がされている。
また、食品メーカーのキャンペーンでWebARの採用が検討されている。お菓子のパッケージにマーカーが印刷されていて、読み取るとキャラクターが出現する。キャラクターと写真を撮ったりSNS投稿すると抽選でプレゼントが当たるというものである。アプリ不要という点が高く評価されている。
さらに製品メーカーのパンフレットにおいても採用する方向で検討が進んでいる。パンフレットを渡した相手だけでなく社内でもコンテンツを共有してほしいので、アプリ不要は魅力的である。印刷物との親和性が非常に高いので、今後の動向に是非、注目していただきたい。
(研究調査部 花房 賢)
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