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多方式のテキスタイルプリンティングを武器にデジタル展開を図るパイオニア

JAGAT info 2月号ではテキスタイル印刷でデジタル展開を進める堀江織物株式会社の事例を紹介した。 今回はその一部を抜粋して紹介する。

堀江織物の成り立ち

堀江織物は愛知県北西部の一宮市に位置している。染色業は水の豊かな土地に集積してきた歴史があり、一宮市にも木曽川・長良川・揖斐川の木曽三川が流れている。これら尾州エリアの河川は尾張工業用水として整備されており、かつては染色業専用の排水設備も作られるなど、地域の繊維業を支えていた。

堀江織物は元々撚糸業を営んでいたが、1950 年には合繊維物製造業に進出。しかし、アパレル関係の売り場に中国製品が進出してきたことで一度は廃業を経験することになった。

しかし、廃業の翌年、1975 年のぼり旗や紅白幕の印刷に参入。1988 年にいち早くオートスクリーン捺染機の4色機を導入し、機械化・効率化に力を入れていくことになった。捺染業の世界では、どのような技術が使われているのか。今後の課題や展開をどのように考えているのか。堀江織物株式会社の取締役マーケティング部部長であり、家業に入る前は広告代理店に勤め、伝統的な染物に留まらない発想を持つ堀江賢司氏にお話を伺った。

複数の印刷方式が生んだ機動力

紙と同じようにテキスタイルにおいても、印刷する対象や用途によって印刷方式を使い分けていく必要がある。では、堀江織物は、どのようにさまざまな印刷方式を使いこなしてきたのだろうか。のぼり旗製造業に参入した同社が最初に導入したのが、紙の印刷で言うところのオフセット印刷にあたるオートスクリーン捺染機であった。インクは主力製品がのぼりであるため、顔料インクを使用している。

現在の堀江織物では、オートスクリーン捺染機は6色機と8 色機が置かれている。機械のスケール感は、輪転機をイメージするとかなり近い。実際に機械を見るとイメージしやすいが、ロールに巻かれた布をセットし、巻き取りながら染色していく。印刷が終わった布はそのまま乾燥部へと移動していく。なお、堀江織物では特色を自社で作成している。グラデーションなどは苦手だが、コーポレートカラーの再現などは得意としており、発色の良さも手伝って現在も主力印刷システムとして活躍している。

堀江織物がインクジェットプリンターを初めて導入したのは2000 年である。当時の主要な取引先にはパチンコ関係が多かった。曜日ごとに催し物が変わり、それに合わせてのぼりも切り替えるため、多種類の注文が入ったという。2010 年にはインクジェット工場を増築。その2 年後には工場を移転し、設備増強を行った。現在ではダイレクト印刷機が10 台と、昇華転写印刷機が15 台稼働している。近年では、昇華転写印刷の品質を生かして、アニメや芸能人のグッズなども作成している。

ラテックスインクプリンターを導入したのは2014年と、比較的最近である。堀江織物ではシルクスクリーンやインクジェットプリントはポリエステルに絞っていたが、塩ビ系のターポリンのニーズもあり、当初は溶剤プリンターを導入していた。だが、ラテックスインクプリンターを導入したことで、塩ビ系以外のさまざまな素材への印刷が可能になった。アイデア次第で気の利いた商品を作れるのが利点である。

また、堀江織物では、比較的小型の機械を使い、DTG(Direct-To-Garment)も行っている。これは、無地のT シャツなどすでに縫製が済んでいるものに印刷を施すというものだ。今後、世界的にデザインの細分化や在庫レスなどの動きが進むことでデジタル印刷の割合は増えると考えられており、堀江織物でも投資を続けてきた分野である。そういった準備のかいもあり、コロナ禍においてはオンデマンドのオリジナルT シャツプリントが一気に伸びた。インクジェット印刷でも、急きょ製作した布マスクが大きな売り上げを生んだそうだ。自由に印刷方式を選べることが、商品展開の機動力を生んでいる。堀江織物では昇華転写印刷やダイレクト印刷を含め、売り上げの約50%をデジタル印刷で作っている。同社はこの動きをさらに加速させ、T シャツをはじめとしたさまざまな製品をオンデマンドで製造する新工場を、本社前に建築中である。

印刷会社のテキスタイル導入

堀江氏いわく、最近、紙の印刷会社がテキスタイル印刷に興味を持ち、相談を持ち掛けてくることが増えているという。その際には、ラテックスやUV であれば可能ではないかと勧めるそうだ。求められる設備投資や技術が比較的少なく、印刷対象も自由度が利く分、ノベルティ的な小物やDTG にも適したラテックスやUV が、投資としては成功しやすいのではないかとのことだ。

ビジネスモデルとして考えられるのは、販促企画を一括して受注した際の+ αとしてテキスタイルを導入するというパターンである。テキスタイルの業者からすると、印刷会社の多くが校正刷りのやり取りや納品でラストワンマイルを握っている点はうらやましく見えるそうである。

もう一つ考えられるのが、テキスタイルの印刷会社とアライアンスを組むという方法である。発注時に紙の販促物と布の販促物を同時に頼めれば、顧客としても利便性が高い。実際、堀江織物では、直接間接をまとめると、印刷会社からの外注は売り上げの大きな割合を占めるそうだ。

印刷媒体を超えたウェブ連携へ

紙と布の印刷会社の境界線は、デジタル印刷によるスキルレス化やIT の連携により、これまでより薄くなっている。堀江織物も変化を体現している会社の一つである。

堀江氏は2013年に株式会社OpenFactoryを設立した。OpenFactoryは現在、製造工場1社だけではまかないにくい個別製造の発注プラットフォームを作るべく紙の印刷会社とも協力してデジタルプリントのプラットフォーム「Printio」というサービスを立ち上げている。これは、ユーザーと工場とを仲介する小ロット印刷のBtoB サービスである。ユーザーがウェブサイトやバックオフィスなどでPrintio に発注すると、内容に合わせてPrintio が適切な工場に注文を行い、必要な個数が生産、納品されるという仕組みを目指している。

Printio が構築しようとしているビジネスモデルについては、「page2021」のオンラインカンファレンスにて2 月22 日開催のセッション「デジタル印刷で切り開く新規ビジネス」で詳細に語られる予定だ。

テキスタイルの印刷では、紙とはまた違った技術が使われているが、適切な印刷方式を選ぶことが事業の幅を持たせ、会社を強くしていく点では同じである。堀江織物も積極的に新しい方式や技術に挑戦し、経営を前進させてきた。デジタル印刷機の活用にも先進的に取り組んでおり、デジタルの強みを生かす事業を構築するため、紙の印刷会社とも協力しながらオンデマンドのWeb to Printを強化しようとしている。

(研究調査部 松永 寛和)

BPOと高付加価値のデジタル印刷で新規市場とビジネスモデルを開拓する

JAGAT info 1月号では取引先の業務に深く関わり、BPOとして仕事の一部を請け負うことで成長を続ける研文社の事例を紹介した。 今回はその一部を抜粋して紹介する。

BPO を得意とする印刷会社

研文社は1946 年に、現社長である網野勝彦氏の祖父が大阪市で設立した。まだ活版印刷が主流だった時代に日本で2 番目にオフセット印刷機を導入(1952 年)した会社であり、新しい技術を積極的に取り入れてきた歴史がある。大きな転機となったのが、得意先の銀行が軸足を東京へと移すのに合わせて、東京進出を勧められたことである。文京区にあった印刷会社と現在でいうところのM&A を行い、1960 年に東京研文社というグループ会社を立ち上げることになった。

研文社の特徴の一つが、顧客の仕事の一部を改善や効率化を含めて請け負うBPO(Business Process Outsourcing)が成果を結んでいる点である。元々は印刷だけを請け負っていたが、徐々にテキストの作成や配送業務など周辺の業務を含めて受注するようになっていった。同社では、BPOのために人材の育成や配送センターの設立などの投資を行っている。

このBPO は、印刷業務だけではなく関連する業務も合わせて一括受注している。そのため、印刷需要が減少する時代にあっても、売り上げを伸ばすことが可能である。また、業務に深く関わり、他の印刷会社では提供が難しいサービスを行っていることから、クライアント側も別の印刷会社に業務を移管することは簡単にはできなくなる。結果的に価格競争を免れることから、印刷会社が生き残るための一つの戦略と考えられよう。

研文社がデジタル印刷分野に進出したのは、網野勝彦氏の父である現会長・網野博氏がスクリーン社のロールタイプのインクジェット機、Truepress Jet520 を、2012 年の尼崎工場新設時に導入したのが始まりだった。

もともとはフォーム印刷用として想定したものだったが、網野勝彦氏の代になり、尼崎への工場集約を機にデジタル印刷を軌道に乗せるため編み出したのが、デジタル印刷ならではのサービスを提供・販売していくことだった。その最たるものが、現在もデジタル印刷の主力製品となっている福祉用具のカタログである。

福祉用具は、自治体によって補助率などの制度が異なるため、価格が自治体ごとに変わってくる。個別かつ細かな仕様変更が必要であり、小ロット・バリアブルの極みともいえる印刷業務である。これら福祉用具カタログの業務の仕組みやZ 折の機体構成については、過去にも本誌2013 年8 月号や2017 年11 月号で詳細に紹介している。

この福祉用具カタログを中心に、尼崎工場では利益の半分をデジタル印刷が生み出すようになった。アナログ印刷よりも少ない業務量で同規模の利益を稼ぎ出せており、デジタル印刷の特徴に合致したビジネスモデルのケースといえる。

東京の本社工場をデジタルに特化

尼崎工場が軌道に乗り、デジタル印刷のビジネスモデルが分かったことで、現在改革に着手しているのが新宿区の本社工場である。建物の地上部分には本社機能や営業部門などがあり、地下1 階と地下2 階が工場となっている。

地下2 階部分では、主にメインクライアントの一つである銀行の印刷部門から移管された業務を行っている。地上2階部分にはコールセンターを設置、全国の銀行支店や担当部署から受注が随時集まる仕組みができている。

地下2 階の設備は、リコーのデジタル印刷機、RICOHPro C7210Sが2 台とRICOH Pro 8320Sが1 台置かれており、その他に製本機や折機、断裁機が一式そろっている。

そして、本社地下1 階にはオフセット印刷機2 台を売却して、同じ場所にImpremia IS29とJETvarnish 3Dを導入した。Impremia IS29 は1200dpi の解像度を持ち、585mm × 750mm までの大きさの紙に印刷できる。幅広い用紙適性と、パッケージ印刷にも対応可能な紙厚適性を持つ。

これに加えて、JETvarnish 3D で箔やニスを装飾することができる。研文社では現在、8 種類の箔を用意している。価格は高くなるが、他社との差別化が可能な、高級感のある印刷物の制作が可能となる。実際に目で見て触ってみれば、その差は歴然であり、提案営業をしていく糸口の一つとなっている。

また、地下1 階では、デジタル印刷の特性を生かし、顧客が立ち合って実際の刷り上がりを見ながらデータを修正し、再度その場で印刷することもできるようにした。大きな修正の場合、オフセット印刷では、また後日の確認ということになりがちだが、デジタル印刷であれば、データを修正した後は印刷・箔押しまで含めてもその場で修正された印刷物が出来上がる。刷り上った印刷物とサンプルをお互いに見比べながら、イメージを共有していく場となる予定である。

アライアンスでIT を強化

研文社は、(株)グーフと2020 年8 月に資本業務提携を締結した。グーフはパーソナライズされた印刷物を最短24 時間で発送可能な印刷プラットフォーム、Print of Things®を展開しており、その生産部分や付帯サービスを同社が担う格好だ。こちらでもImpremiaIS29、JETvarnishの活用が検討されている。

研文社では、グーフのようなIT を得意とする企業とアライアンスを結ぶことで最先端のサービスを提供している。今回はその連携を一歩先へ進めた格好であり、同社としてもこれまで培ってきた自社の技術、ノウハウが生きる業務提携となっている。もちろん、個人情報を取り扱うためセキュリティーなどには注意が必要だが、古くから銀行と仕事をしてきた同社にとっては、むしろ得意分野だろう。また、配送センターを複数運用してきた実績もあることから、印刷から発送までを迅速に行うことも可能だ。

つまり、ここにImpremia IS29 とJETvarnish 3Dを組み合わせていくのが、研文社の狙いである。Printof Things® では定型のハガキ類を送ることで成果を上げているが、絞り込みの条件によっては、より確度の高い見込み客を抽出することも可能である。送付対象が多い場合は通常のDM、少ない場合は高付加価値印刷のDM といったように、幅広い選択肢が作れるようになれば、サービス強化につながる。このアライアンスでは、IT と広色域+ 加飾の組み合わせで、印刷の新しい可能性を広げようとしている。

販促企画のBPOで案件単価を上げる

また、Impremia IS29の活用については、他社との協業だけではなく、もともと強みとしてきた営業を武器に、自分たちからも仕掛けていくつもりである。そこでもメインの商材の一つとして考えているのが、高級DM である。

研文社の関連会社には、事業開発部クリエイティブ室を移管した(株)ケンズがあり、広告・販促物の制作やプロモーション戦略の立案、プロデュースなどを行っている。Impremia IS29とJETvarnish 3Dで印刷するプロモーションメディアは、企画段階からケンズとともに起案している。企画から編集、制作、印刷までトータルで売り込むことで、一つのBPO として案件の単価を上げていく考えだ。

まだ手探りの段階であるが、大ロットの印刷物が減少していくなかで、印刷物+ αの価値を提案していくことは、今後ますます重要となる。原価から値付けを決めるのではなく、広告効果や付加価値をアピールし、利益率の高い商品に育てていく戦略だ。 研文社は、印刷業務を核としつつ、IT の活用やBPOで業務領域を広げ、売り上げを伸ばしてきた。高単価・高付加価値のデジタル印刷は研文社にとっても新たな挑戦となるが、新しいアライアンスや販促企画などを含めた営業活動で利益率の高い事業を開拓しようとしている。

(研究調査部 松永 寛和)

クリエイティブ路線に進む印刷会社の、コロナ禍での生存戦略とは

JAGAT info 12月号ではアワードを受賞するような一品もののポスターなどを手掛け、ブランド力の向上や新たな受注に繋げているショウエイの事例を報告した。今回はその一部を抜粋して紹介する。

製版の技術でクリエイティブ分野に進出

ショウエイは製版会社として培った技術を元手に近年はクリエイティブ路線に舵を切り、海外の賞を受賞するような印刷物を手掛けるようになったことで、業態転換に成功した。今回のコロナ禍では、他の印刷会社と同じく、ショウエイの主力である大判プリンター系の印刷受注も苦境に立たされている。そのような最中にあって、ショウエイらしさを模索しつつ、どのような展開につなげているのだろうか。

ショウエイは1952 年に、東京都文京区小石川にある印刷会社の集積地で創業した。技術革新によって製版業界は全体の規模が縮小し、業態の転換を迫られるなか、2009 年に導入したのが大判インクジェットUV プリンターのTruepress Jet2500UVだった。最大印字幅は2500mm ×1300mm。厚みも50mm まで対応することができる。最大7 色での印刷が可能であり、高度なデザインや他にはないアイデアを実現することが可能だ。

大量印刷の分野に新規参入しようとすれば、設備投資はどうしても大規模になりがちであり、ロットの確保も難しい。しかし大判プリンターであれば、製版会社として培った技術力をベースに、1 枚から勝負することができるのは大きな強みである。

そして2015 年には、本社を文京区の江戸川橋に移転した。受賞歴を競うようなデザイナーとコラボし、世界三大広告賞の「CLIO AWARD」ブロンズ賞と「One Show」シルバー賞を受賞した。

大判プリンターの導入を振り返って

まず大きかったことは、最終成果物を自分たちの手で作れるようになったという点である。大判インクジェットUV プリンターを導入したことで、直接顧客から発注を受けて、製品を納品できるようになった。結果、顧客層は大判プリンター進出以前とは8 割変化したとのことである。

ショウエイに持ち込まれる、アワードを狙うような案件では、最初は漠然としたアイデアであることも多い。そういったアイデアベースの相談でも、一緒に試行錯誤していくなかで具体的な形となっていく。大判プリンターの導入という設備面での変化だけではなく、それに伴う業務の変動に合わせて、受け身的な営業体制から能動的で提案型の営業へと会社の体質を変えていった。このことが、ショウエイの成功の秘訣であるといえよう。

「CLIO AWARD」「One Show」の受賞以降も、毎年大きな賞を受賞している。アワードのビジネスとしての波及効果から積極的にデザイナーとコラボしてきたショウエイであるが、何度となく刷り直しを行うことを考えれば、採算度外視だともいえる。それでも同社がアワードに向けて協力するのは、ブランド力の向上や、営業の接点につながるからだ。

賞を取ったり個展を開いたりするようなデザイナーは、プロジェクトの中でもそれなりの地位にあることが多く、ゆかりのあるデザイナーからの指名により交通広告やイベントの仕事を受けることもある。また、デザイナーは横のパイプが太いため、新規顧客にも関わらず「一度ショウエイと仕事をしてみたかった」と話をもらうことも多い。先行投資が“ 収穫” に結び付く流れができている。

コロナ禍での新しい挑戦

そのようななか、コロナ禍はショウエイのビジネスモデルを直撃した。それでも、できることをやっていくしかない。そこでショウエイが行っているのは、「改めて種をまく」である。2020 年6 月にデザイン事務所とコラボしたNHK番組のポスター「浮世絵 EDO-LIFE -The HiddenEssence-」が、第99回ニューヨークADC賞で3 部門を受賞した。

これまでの仕事を丁寧にこなしつつ、新しい仕事も始めている。その一つが2020 年4 月から開始した、抗菌印刷によるオリジナルの飛沫防止シートだ。今はどのお店に行っても設置されている飛沫防止シートであるが、美観を損ねているのは間違いない。そこでショウエイでは、きちんと設計して印刷も施し、無粋ではなく、業務上も使いやすい飛沫防止シートを設置している。

コロナ禍が長期化する恐れももちろんあり、デザインと機能さえきちんとしていれば、今後常設することを念頭に、設計・印刷したものを設置するニーズも出てくるだろう。日本中にある飛沫防止シートの何割かでも印刷物に変わるのならば、ビジネスチャンスとなる。もちろん、何の実績もないところに入っていくのは簡単ではない。そこでショウエイでは、これも先行投資と割り切って、まずは自社の持ち出しもありで設置した。これを実績として、営業活動を行っているところだ。

その他に新規事業の中心として考えているのが、動画である。ショウエイではYouTube チャンネルを以前から開設しており、実験的な印刷などを紹介していた。そのチャンネルでJAGDA(公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会)の新人賞も獲得した田中せり氏を招いて、「田中せりに聞きたい10 のこと」という企画を行っている。動画の視聴者はデザイナーが中心であることから、ショウエイにとっては“ 見込み客”でもある。

デザイナーが定期的に訪れるようなチャンネルにできれば、一つのコミュニティとして機能させられる。デザイナーからの受注の強化にもつながるだろう。また、デザインの教科書的な動画の販売も考えている。危機的な状況だからこそ、ただ待つだけではなく、自分たちから積極的に動く提案型の営業を行ってきたという経験を生かしている。ショウエイらしさとは何かを見つめ直しつつも、クリエイティブという自社の強みとともに、印刷だけにとどまらない業態へと変化する道をショウエイは模索している。

(研究調査部 松永 寛和)