文字や図版などの各要素をレイアウトフォーマットに沿って配置し、最終出力の体裁に整える。また、出力に適したデータ処理を行う。
目に見える文字以外はスペースや改行、タブコードだけを使って構成されたファイルをプレーンテキストという。
プレーンテキストは異なるコンピューター環境や、異なるアプリケーションでも文字コンテンツが変わらないので、文章原稿データの整理の段階や原稿データの保存に使われている。ただし、テキストのエンコードによっては、データ交換が正常に行われない。近年はWindows標準のテキストエディター「メモ帳」でもUTF-8が使われるようになり、改善されている。
組版とは、文章読解の妨げにならないように文字を配列する技術の総称である。
文字組版の要素には、組み(縦組・横組)、文字サイズ、書体、字送り、字詰、行間などに加え、禁則処理、約物処理などを考慮して行う。
日本語組版の基本的アルゴリズムは、JIS X 4051:2004「日本語文書の組版方法」に規定されている。W3C(World Wide Web Consortium)は、2012年Requirements for Japanese Text Layout(日本語組版の要件)という技術ノートを英文、および日本語で発行した。JIS X 4051:2004の平易で実用的なガイドとして、世界的に参考にされている。
欧文文字は、文字によって高さや幅が異なる。高さはいくつかの基準線に揃えられている。文字幅は各々で異なるため、一定の字間で組むだけで、プロポーショナルな組版ができる。
欧文では、文字はベースラインに揃うように設計され、また、アセンダライン、キャピタル(キャップ)ライン、ミーンライン、ディセンダラインという基準線をもつ。
字間や語間の調節を行わず成り行きで組む組版形式を、ラグ組みという。
行末の単語を音節に従いハイフンで分割し次行へ送ることを、ハイフネーションという。各言語の辞書を参照して処理される。
和文は、縦組・横組ともフォントのセンターラインを基準に配置することが原則である。欧文フォントはベースラインを基準に配置する。横組で和文と欧文が混在する(和欧混植の)際は、使用するフォントに応じて文字サイズ・ベースラインなどを調整することがある。
InDesignやIllustratorには、「漢字」「かな」「半角欧文」「半角数字」など文字種ごとにフォントを選択する合成フォント機能がある。
個々のフォントに対して、水平・垂直サイズ(%)、ベースラインの調整値を設定できるため、和欧文フォントのバランス調整が容易である。
和文フォントは仮想ボディと呼ばれる正方形の外枠内にデザインされている。書籍などでは、この正方形の外枠を隙間なく配置するベタ組みが基本である。
日本語組版には、特定の文字を行頭や行末に配置してはいけないなどの禁止事項があり、それを回避するため、次の行に送り出す・前の行に追い込むなどの調整が必要となる。この禁止事項を禁則、調整することを禁則処理という。
禁則には、行頭禁則・行末禁則・分離禁止・分割禁止の4種類がある。
句読点や括弧類などの約物が連続する場合、その組み合わせによって配置や字間を調整する。
行の長さを一定に揃えることを、ジャスティフィケーション(行頭行末揃え)という。約物の前後や禁則処理、文字クラスごとのアキ指定にしたがって、文字と文字の間隔を増減し、行長を調整する。
InDesign やIllustrator に搭載されている「文字組みアキ量設定」は、文字と文字が並んだ際の間隔(アキ量)を指定する機能である。和字、欧字、句読点など、20種類以上の文字クラスに分類されており、それぞれの組み合せごとに間隔と調整範囲、優先度を指定することができる。
漢字などの読み方を示すために文字の傍らに配置する振り仮名をルビという。児童書や少年・少女向け漫画のほか、一般書籍でも難読の人名地名や特殊な読み方をする場合などに用いられる。
ルビ文字のサイズは、一般に親文字の1/2である。縦組の場合は親文字の右側に、横組の場合は親文字の上側に配置される。親文字の中央にルビを配置する方法を中付きという。親文字の先頭とルビ文字列の先頭を揃える方法を肩付きといい、縦組でのみ使われる。
日本では、雑誌や書籍、カタログ・パンフレット、企業や官庁の書類などで表組(table)が好まれ、多用されている。
表組とは、縦・横に罫線などで区切られたコマ(セル)を二次元に配列し、各コマにテキストや画像を配置する組版方法、またはそのオブジェクトの総称である。
InDesignなどのページレイアウトソフトには表組機能が搭載されている。Microsoft ExcelやGoogleスレッドシートなどの表計算ソフトからのデータ読み込みやリンクにも対応している。
ページレイアウトソフトウェアとは、文字データ・線画データ・画像データを1ページにレイアウトしてまとめるソフトウェアを指す。レイアウトだけでなく、カラーの指定や画像の入出力、印刷、分版出力などの機能まで備えているものが多い。
ページの基本デザインに従って、各ページを組み上げていくページネーションは、自動レイアウトをするバッチ方式と、画面に対して貼り付けの指示を個別にしていく対話方式がある。
あらかじめ一括した指示(スクリプト)を作成して所定の場所に文字や図版を自動的に割り付けるバッチ処理は、文章量の多いマニュアルなどの制作が効率的に行える。
DTPによるページネーションの主体は、オペレーターが画面を見ながら文字を流し込んで割り付けるWYSIWYGによる方法である。これはレイアウトの細部のコントロールが行いやすい。
大量ページ処理に向いているのはバッチ処理であり、ビジュアル中心の端物制作や修正作業に向いているのはWYSIWYGである。
ページレイアウトソフトやプレゼンテーションソフトの多くには、マスター(親)ページ機能があり、レイアウトフォーマットの反映、各ページに共通するオブジェクト類の配置が可能である。ページ番号の自動生成にも対応していることが多い。
レイアウトデータと配置されたデータを個別に管理し入稿するとリンク切れや先祖返りなどのミスが生じることや、受け取る側も管理が煩雑になるため、PDFとしてすべてのコンテンツを1ファイル内に埋め込み、完全データとして入稿する形式が一般化している。
IllustratorやInDesignではオブジェクトに透明の概念を持たせることができる。通常(デフォルト)の塗りつぶしのオブジェクトは不透明度100%であり、不透明度を0%にすると下のオブジェクトが完全に見えるようになる。オブジェクトごとに不透明度や下のオブジェクトとのブレンド方法(描画モード)を設定することができる。「ドロップシャドウ」「ぼかし」なども透明の機能を利用したものである。
Adobe PDF Print Engine(APPE)などのPDF-RIPでは、透明を含むPDF(PDF/X-4)をそのまま解釈し、出力することができる。
PostScript-RIP、およびPDF/X-1には透明の概念がないため、IllustratorやInDesign上で設定した透明をそのままでは出力することができない。その場合は「透明効果の分割・統合」という方法で、透明オブジェクトを不透明化する必要がある。
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