[DTP]1-7 出力用データ処理

  • 印刷データを生成する際には、トンボや塗り足し(ブリード)、ノセ(オーバープリント設定)やヌキ、また場合によってはトラッピング、カラーパッチ(カラーバー)を設定、または配置することがある。

  • 色の上に文字や別の図形を重ねるときには、画面とCMYK 出力の間で、ノセ(オーバープリント)やヌキの関係に食い違いがないことを確認しておく。

  • CTP出力の際に、RIP上でKを一律にオーバープリントに設定すると、制作者の意図しないところまでノセにしてしまう場合があるので注意する。

  • 品質管理用のカラーパッチなどの管理スケールや印刷製本用のトンボは、レイアウトソフトウェア上、面付けソフトウェア上、RIP上などで付加することができる。

  • ダブルトーンや2色分解をする場合は、出力前工程で各版への分解・分版やトーンカーブ調整などを行う必要がある。

ノセとヌキ

  • 写真や平網、ベタ刷り部分の上に、文字や線画などを刷り重ねることをノセという。写真や平網・ベタ刷り部分の中で、文字や線画などを白く抜き、紙白で表現することを白ヌキ、色をつけることを色ヌキという。

  • 掛け合わせや特色のノセは下色の影響を受けて、ノセたインキとは違う色で仕上るため注意する。色ヌキは抜いた部分にピッタリの色版を必要とするため、トラッピングを行う必要がある。

トンボ

  • トンボは位置の基準という意味では、英語のregister markに相当し、その役割はセンタートンボと角(コーナー)トンボの2種類で異なる。

  • 角トンボは2本の平行線で構成され、1本は製本の段階で化粧断ちをするための仕上り線を表し、もう1本は化粧断ち線の少し外側で製版処理に必要な面を示す製版寸法線を表す。

  • 写真を仕上り寸法いっぱいに入れる場合、画像部分が仕上り線までしかないと、断裁時のズレなどで写真の回りに白い部分が出てくることがあるため、データ作成時にあらかじめ断ち落としの処理をしておく。

  • 一般に仕上り線と製版寸法線の間は3mm程の隔たりがあるが、この間の断ち落とし部分は、印刷会社や印刷物の種類によって5mm程度まで差があり、あらかじめ確認してからデータ作成作業をする必要がある。

  • リーフレットでは折トンボが用いられる。これはアプリケーションで自動的にトンボを入れることができないので、制作者が制作の前に自作する必要がある。

トラッピング

  • プロセスカラー印刷ではCMYK の各色の版が別々にあり、これらの色が隣り合って接している部分は、印刷時のわずかな見当ズレによって紙の白地が出ることがある。それを防ぐために、プリプレス側でトラッピングという補正が必要になる。

  • トラッピングの刷り重ね部分の作成は、その方向や幅、印刷条件、隣り合う色の色合いや網点パーセントの大小によって異なる。輪郭線のどちらか一方、または輪郭線を中心に重なり合う部分を形成し、輪郭領域に前面と背面の色が重なった細い帯が形成される。

  • トラッピングにはチョークとスプレッドの2つの処理がある。前面のオブジェクトの色の領域を拡大することをスプレッドといい、背面からオブジェクトを抜いた領域を縮小することをチョークという。

  • 本文文字のように太らせるわけにはいかないオブジェクトには背面のヌキを縮小するチョークが適用される。トラッピングの幅は印刷機の種類や精度に依存し、太過ぎると擬似輪郭となり不自然となる。一般に薄い色の領域を拡大する。

プリフライトチェック

  • ページレイアウトソフトには出力前のプリフライトチェック機能があり、フォントや色、貼り込みデータのファイル形式などの内容をチェックすることができる。

出力処理の流れ

  • かつてはPostScript出力・PostScript-RIP方式が主流であったが、現在ではPDF出力・PDF-RIP方式が一般的となっている。

  • PostScript出力では、出力データとRIP搭載フォントの不整合によるトラブルが多発していた。PDF出力ではフォントエンベッド方式が一般的となり、このようなトラブルはほとんど解消された。

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