［印刷技術］3-4　プリプレス

2024.12.9修正

• プリプレス工程は、より短い時間で作業を遂行しなければならないため、新たなワークフローの設計や分業体制の改善や、そのコントロールが必要であることを理解する。

3-4-1　ワークフロー

• デジタル化してシームレスなワークフローになると、文字、イラスト作成、画像処理、ページレイアウトなどの諸作業の分担に合わせて、責任範囲を決めておくのがよい。

• 出版印刷の場合、編集者は出版物の設計に責任をもち、全体の進行・管理を行って、編集作業を通して印刷物を統一感のあるイメージに仕上げる。

• 編集者は、文章量のバランス、文体、用字用語、表現が適切であるか、図版類や写真原稿が揃っているかなどのチェックをして必要な修正の指示をする。

• 完成したページのデータを出力する前には、ページに貼り付ける画像や線画等がすべて揃っているか、また、解像度や形式が適切なものとして保存されているかをチェックしなければならない。

3-4-2　製版

• カラー印刷における色分解から刷版焼付用の分版フィルムの大貼り、刷版製版までの工程をプロセス製版と呼んでいた。DTPによってこの工程は統合された。作業手順は変わっても、その機能・目的および原稿の再現のためにどのようなコントロールがなされているかは同じである。

デジタルプリプレス

• DTPソフトウェアにより、文字、図形、画像などをページ上でレイアウトし、どのように表示するかを指定する。出力処理をする段階で、ページ・サイズのPDFファイルを生成する。現在、PostScript様式で出力することは少なくなっている。

• 近年のデジタルプリプレスは、ワークフローRIPと呼ばれるシステム上で遂行される。主にページ・サイズのPDFファイルに対して、校正・検版・面付け・網点生成などを行い、版サイズのデータをプレートセッターなどに出力する。

PDFワークフロー

• Adobe PDF Print EngineはPDFベースのRIP技術である。PostScriptでは対応していない「透明」を含むPDFに対応している。

• PDFはページ単位の独立性が高いため、RIP上でのページの入れ替えや面付けが容易となった。

ラスター出力

• デジタル方式の画像システムでは、画像を構成する要素の中でいちばん細かいものをピクセル（pixel）と呼ぶ。RIPなど画像プロセッサーは、ピクセルの場所を処理空間のアドレスで管理し、画像に従って、どれをオンにして、どれをオフにするかを指定していく。

• RIPは画像のピクセルを、x軸あるいはy軸に沿って取り出し、ラスターデータ化する。

• レーザープリンターのようにラスターデータを受け取って、光の点の点滅するビームにして出力（露光）するものをラスター出力装置という。

3-4-3　刷版

CTP

• RIP処理したデータを、直接オフセット印刷用の刷版として出力する機器をプレートセッターといい、この工程をCTP（コンピューター・トゥ・プレート）と総称する。

• CTPでは、フィルムからPS版への転写という中間工程を省くため、画質の劣化が起こらず、高品質が得られる。

• 近年、現像レスタイプのプレート（無処理版）が普及しつつある。現像工程を削減することができ、廃液も排出しないメリットがある。

水なし平版

• 湿し水を使用しない平版印刷技術を水なしオフセット印刷という。インキ反発層として最上部にシリコーンゴムを塗布し、その下に画線部となる感光性樹脂層が作られた専用の版材（水なし平版）を使用する。現像工程でシリコーンゴムを除去する。残留したシリコーンゴム部分はインキをはじく非画線部となり、画線部にのみインキが着く。

• 画線部は凹状になっているため、ドットゲインが少ない。

• 湿し水を使用しないため、版上の砂目が不要で、通常のPS版に比較すると網点再現性が向上する。また、湿し水によるインキ乳化がないため、光沢とボリューム感のある印刷物が得られる。

• 湿し水装置・湿し水自体のコストを削減することができる。また、有機溶剤を含む湿し水の管理が不要であり、環境負荷が軽減される。