[印刷技術]3-6 ポストプレス

3-6-1 製本

  • 製本様式には、中綴じ・平綴じ・無線綴じ・あじろ綴じ・糸かがり綴じなどがある。綴じ方が変われば、企画・デザイン・レイアウトの段階で配慮が必要になる。各製本様式で版面や面付けに関してどのような調整が必要であるかを知っておく。

  • 用紙は、書籍が仕上った状態で紙の目がヨコ目であると、ページがめくりにくくなるので避けねばならない。

  • 用紙サイズを決めるときには、印刷上必要なくわえ代や、製本の裁ち代、無線綴じの場合のミーリング部分などを考慮する必要がある。

  • 綴じが終わった印刷物の天、地、小口を裁断することを三方仕上げ裁ちという。

並製本

  • 雑誌や簡易な冊子は、一般に表紙の用紙が薄く、表紙と本文のサイズは同一であり、このような製本方式を並製本という。

  • 並製本の綴じ方には週刊誌のような針金中綴じや平綴じ、あるいは接着剤を使って表紙をくるむ無線綴じがある。いずれも製本後に仕上げ裁ちをする。一般に雑誌では表紙を1ページ目(あるいは表1)とすることが多い。

上製本

  • 上製本では、表紙は本文よりもひと回り大きく、三方裁ちの背固めのあとで表紙をつける。表紙をページ数には入れない。

  • 上製本では書籍の用途や耐久性に合わせて、多様な背や表紙の方式がある。本文の綴じられる部分と表紙の背が一体になっているものと、表紙の背と本文の綴じの部分に空隙を作って開きやすくしたホロー・バックがある。

面付けと折丁

  • 文字組方向によって綴じ方式が右開き・左開きであるか、また平綴じ・中綴じであるか、また印刷サイズによって面付けや製版寸法が異なる。縦組、横組の典型例を覚えておく。

  • 折ったときに正しいページ順になるよう、印刷版のサイズに合わせて各ページを配置することを面付けという。

  • 面付けの際の数・順序・位置は、本の綴じ方、折り方など製本仕様によって決まる。

  • 台割は、片面8ページ、両面(裏表)で16ページを1台としている場合が多い。

  • 面付けで縦組の場合、本は右綴じ・右開きになり、折丁の袋が地になるように折る。横組の場合、本は左綴じ・左開きで折丁の袋が天になるように折る。

  • 面付けを行うときは、背丁・背標を入れる。背丁には書籍名・折数などが入る。背標は折丁の順番を示す標識で、1折から順に縦長の四角ベタを上から下へずらして入れていく。

  • 背丁・背標は、あじろ綴じや無線綴じでは、背に入れる。中綴じはノドまで開き、背丁・背標を入れることができないため、天袋や地袋に入れる。

  • 面付け計算は、仕上り寸法に裁ち落とし分(3mm)を加えた製版寸法で、見開き2ページ単位で行う。

  • A列本判(625×880mm)にA5判(天地210×左右148mm)の面付けをする場合は、天地の製版寸法は216mmで、左右の寸法は302mmとなる。その結果、左右の面付け寸法の合計は604mmとなる。

  • 印刷方向にはくわえ先・くわえ尻を加え、印刷の左右方向には針先・針尻を加えて用紙を決める。

3-6-2 折り

  • 商業印刷物で仕上げに折りの入るものは一般にはリーフレットと呼ばれる。

  • 二つ折り、巻き三つ折り、外三つ折り、経本折り、観音折りなどがある。

  • 巻き三つ折りは折った内側の短辺の寸法を2~3mm小さくする必要がある。

  • 外三つ折りの場合は正確に1/3ずつになるように入れる。

  • 観音折りは左右対称に内側へ折り、内側の寸法は外側より2mm程度小さくする。見開きのページに絵柄がまたがる場合は裁ち代部分の絵柄は重複させる。

3-6-3 表面加工

  • 雑誌の表紙や商品パッケージなどは、印刷終了後に印刷物の保護、艶、堅牢性という機能面や、デザインの差別化のために表面加工をする場合がある。その方法を大きく分類すると、1)ニス等を塗布する光沢コート、2)ニス等を塗布し熱と圧を加えるプレスコート、3)フィルム類を熱圧着するラミネートの3つに分けられる。

  • 光沢コート加工は、水性ニスや溶剤系のニスを塗布し熱風で乾燥する方法や、UVニスを塗布し紫外線照射で硬化させる方法がある。オフセット印刷機にニスコーターを取り付け、4色印刷と同時にニスを塗布するインライン方式やニス引き機やグラビア印刷機を使用した方式がある。またニスを印刷面全面に引く方法と、部分的に行うスポットコーティングがある。

  • プレスコート加工は、熱硬化性のニスを塗布した後に鏡面板に熱プレスをする。表面を鏡面光沢の仕上げにできる。

  • ラミネート加工は、通常PP貼りと呼ばれる。印刷物の表面に接着剤を塗布した薄い樹脂フィルムを加熱圧着する方法で、光沢やマットにすることができ保護性にも優れている。ただし、インキ層からの光の反射率が変化することによる色調再現の変化に注意を要する。

  • 箔押しは、文字や模様の凹凸対の型を作り、表側に当たる型に金箔、銀箔、色箔、アルミ箔などを貼り付けて熱と圧を加え、書籍の表紙など比較的厚い紙に凹凸をつけるものである。ホットスタンピングとも呼ばれ、隠ぺい性も高く下地の色に影響されない。箔押し用の版は金属でできた凸版であり、箔押し加工される部分が作られる。

  • エンボス加工は、凹凸模様を彫刻したプレートまたはロールで印刷物に凹凸の模様を生じさせるもので、箔押し機を用いて作業する。

3-6-4 デジタル加飾

  • インクジェット技術によってスポット・ニスコーティング加工や金・銀の箔押し、透明厚盛などを実現すること、またはその機器をデジタル加飾という。

  • 版や型が不要のため、自由度の高いデザイン表現と短納期でのサンプル製作や製造が可能である。

  • プレミアム感のあるデザインや手触りを表現し、付加価値の高い印刷物を提供することができる。高級ブランドなどの商業印刷分野やパッケージ分野などでの利用が増えている。

3-6-5 製函

  • 紙器は、印刷後には紙器の展開図の形に打ち抜き、くせ折り、接着剤付けによる貼り合わせ、折りたたみなどの加工によって組み立てる。

  • 用紙を無駄にしない密集した面付けが望ましい。後加工工程の作業内容によって、紙の目や余白などの制約がある。紙器デザインの段階でも、印刷の後工程の仕様を念頭に置く必要がある。

  • 貼り合わせたときに印刷濃度差が目立つ場合は、面付け方法やデザインそのものを再考しなければならない。

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