ツーリズムEXPOは、来たる10月下旬に初めて大阪で開催される。全国の地方創生・地域活性化が集結するイベントとして注目度が高い。会場は人と印刷物などの媒体で埋め尽くされる。工場見学など産業を観光資源に生かす手法についての事例紹介も展開される。
印刷会社による地域活性化と地場産業支援、その事例と手法
■会場が人と印刷物で溢れるツーリズムEXPOとは
「ツーリズムEXPOジャパン」は「旅の祭典」として毎年9月に東京ビッグサイトで開催されてきた。出展者が各地の魅力を様々な媒体と試食試飲で訴求するため、実質的に全国の地方創生・地域活性化が凝縮する。2018年は136か国から1441の企業・団体もの出展があり、4日間に207,352人が来場した。どの自治体がどのような地域資源をどのように訴求しているかを見るだけでも参考になる。各出展ブースは印刷物などを盛んに展示・配布するので、会場は印刷物で溢れ、来場者は両手にいっぱいのカタログやパンフなどを持ち帰ることになる。
■2019年10月のツーリズムEXPOは初の大阪開催
会期は10月24日(木)から27日(日)、会場はインテックス大阪。東京はオリンピックを機に経済のピークアウト懸念が囁かれるなか、大阪への期待は高まっている。人口転出超過の数十年ぶりの低減が報じられ、地理的にも東南アジアからの近さがインバウンド誘客に有利に働き、外国人観光客の増加率は世界一とも言われる。現在進むIR(統合型リゾート)誘致、2025年大阪万博のほかにも、大阪中之島美術館(2021年)、ヨドバシ梅田タワー(2020年)竣工など多くの大型再開発案件が相次いでいる。
■地域活性化と工場見学を結びつける「産業観光」
page2019カンファレンス「企業価値を高める工場見学」では、工場が製品だけでなく顧客を創る拠点にもなることを議論した。同じく「産業観光による地場産業活性」では、工場見学を観光資源に活用する手法について議論した。印刷会社においても工場見学を戦略的に活用する例が増えている。活用次第で工場は営業拠点になりうるし、地域一体型オープンファクトリーを開けば観光資源にもなる。こうした考え方が筆者の言う「工場見学マーケティング」であり、さらに発展したものが「産業観光」あるいは「産業ツーリズム」といえる。観光活性、産業活性、自社営業の役割を3つ同時に果たすことができ、難易度は高いが効果も大きい。
■産業観光フォーラムとワークショップを含む1泊2日ツアーも
来たる10月下旬のツーリズムEXPOでは、全国の優れた事例を紹介する第13回産業観光フォーラムも開催される。何の変哲もない工場や産業を観光資源に活用する手法は、観光界においても注目度が高い。今回は古墳群の世界遺産登録で沸く堺市を舞台に、日本観光振興協会とJAGAT共催の産業観光ワークショップも開催される。講師は産業観光の第一人者であり実質的な提唱者でもある須田寛氏、丁野朗氏、望月照彦氏など。JAGATでは堺市内の観光資源視察も含め、産業観光を学ぶ1泊2日の大阪視察ツアーを企画した。初の大阪開催になるツーリズムEXPOに参加される方、ご希望の方はともに参加してともに勉強する機会としたい。
(JAGAT 研究調査部 藤井建人)
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