リアルタイムで動画を配信しながら商品のPRをして販売する「ライブコマース」が注目されています。本記事では、2018年に注目のキーワードとしてライブコマースについて紹介します。
ライブコマースとは
ライブコマースとは、「live(生の、実況の) commerce(取引)」という名のとおり、生放送で紹介しながら商品を販売することです。タレントやインフルエンサーだけでなく、誰でも配信ができるサービスもあります。ジャンルはハンドメイド作品、洋服、コスメなどさまざまで、アプリからすぐに商品を購入できるようになっているものが多いです。
中国ではこのライブコマースが非常に盛んで、KOL(Key Opinion Leader)と呼ばれるインフルエンサー達がライブコマースでさまざまな商品を販売し、大きな市場になっています。
一般的なテレビショッピングは配信側が一方向で情報を伝えるのに対し、ライブコマースでは、配信する側と視聴している側が、コメントなどリアルタイムでコミュニケーションを取れることが特徴です。
例えば、配信側(の人)が生放送で商品の紹介をしているときに、視聴しているユーザーが「これ、横から見るとどんなふうになってます?」と質問コメントを送ります。
するとコメントを見た配信者は、横から商品が見えるようカメラの向きを変えて対応する、といったことができます。視聴している人は、商品が気に入ったら「いいね」や「ハートマーク」を送って気持ちを伝えることができます。
国内でも2017年に入りLive Shop!(Candee)がスタートしたのをはじめ、多くの企業がライブコマース領域に参入しました。メルカリチャンネル(メルカリ)、BASEライブ(BASE)、SHOWROOM(SHOWROOM)、PinQul(Flatt)など、次々とサービスが開始していることからも、ライブコマースの勢いを感じることができます。
つくられていない情報を好むユーザーたち
では、なぜライブコマースが拡がってきたのでしょうか。理由として、以下のような点があげられます。
スマホでの動画視聴があたりまえになった
いまは通信環境も良く、スマホで動画視聴をするのがあたりまえになっています。さらにECサイトでの動画活用が増えていることから、動画で商品を説明することに対してユーザーの抵抗が少なくなっていると考えられます。
売り手の顔が見える安心感
どんな人が商品を作っているか、またどんな人が商品を売っているか、相手の姿がわかるので、視聴者は安心感を持つことができます。なかには自分が気に入っている配信者をフォローして、「この人が紹介する商品だったら信頼できるから購入する」というユーザーもいます。
配信側でも、ターゲットに親近感を持ってもらえるよう、同世代のインフルエンサーを起用したりすることもあります。
商品の背景が見える
生放送なので、作り手のこだわりや素材のすばらしさなど商品の裏側にある情報を温度感を持って伝えることができるのもライブコマースならではです。視聴者も、モノを購入するだけではなく、制作過程の苦労やストーリーを知ることで、より商品の魅力を理解し購入意欲が増します。
わからないことにその場で答えてもらえる
商品の色の感じや細かいディティールなど、視聴側が気になったことがあればすぐにコメントで質問することができ、それに対してリアルタイムで配信者は回答できます。購入前の疑問点をクリアにすることで、購入へのハードルが下がります。
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それともうひとつ、いまは「つくりものでない情報」を求める流れがあることもライブコマースが拡がる理由のひとつとしてあげられるかもしれません。
きれいに加工された写真やアピールポイントを強調した動画は魅力的ですが、一方で「リアルじゃない」「盛っている」と感じる人もいます。ライブ配信は生の(誇張されていない)情報なので、うそのない情報だと感じてもらいやすいのではないでしょうか。
まとめ
生放送で商品をPRして販売するライブコマースは、新しいECのかたちとして注目されています。ライブコマースを使いたいという企業も増えていくと考えられます。
ただ短時間ではない、視聴者とコミュニケーションを取る必要がある、など従来のスマホ向け動画とは異なる作法があります。始める前にサービスを実際に試してみたり、成功事例を調べたりすることが有効です。またサービス運営社の話を聞く機会があれば活用することも役立つでしょう。
(JAGAT研究調査部 中狭亜矢)
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日時:2018年3月15日(木) 14:00-16:40(受付開始:13:30より)