効率化の強い味方、定型業務を自動化するRPAとは

掲載日:2018年4月19日

毎月のリスト登録や集計作業など、同じような作業を繰り返し行うことはプログラムで自動化することができます。今回は「RPA」についてかんたんに紹介します。【初心者向け】

RPAとは、なにか

AI(人工知能)と共に、最近よく聞く言葉が「RPA(Robotic Process Automation)」です。

これは、ロボットを使ってホワイトカラー業務(プロセス)を自動化したり、効率化することを表すコトバです。トータルで時間がかかる事務での入力や定型フォーマットへの登録などを効率化する手段として注目されています。

細かいプログラムを記述する必要がないのでプログラムの専門知識がなくても使えます。Excelのマクロ記録ボタンのようにユーザーが操作をプログラムに記録したり、対象を指定したあと「クリックする」などの操作や変数を組み合わせて、あとから同じ作業を自動処理できるようにします。

データ入力や集計などを自動化する手段としてはExcelマクロが広く使われていますが、基本的にOffice製品間の操作を自動化するマクロに対して、RPAツールではソフトウェアやツールをまたがって、より幅広い作業ができるようになります。

どんなメリットがあるか

RPA導入によって、次のような利点があります。

・業務の効率化
→定型業務を自動化することで、今まで作業に費やしていた時間をより価値が高い業務に使うことができます。データ入力など処理量が多い業務は一気に時間を削減できます。

・ミスの軽減
→手作業だとミスが発生するおそれがある業務でも、自動化することでミス発生確率は格段に低くなります。

・プログラミングの知識が不要
→多くはツールを使って作業内容を記録するので、プログラムの知識がなくても利用できます。

 

「誰がやっても同じ(標準化されている)」
「作業ルールが決まっていて、定期的に行う(定型業務)」
「作業時間が多い、処理する量が多い」

などのルーチン業務はRPAに向いています。逆の言い方をすると、

「イレギュラー対応がある」
「人によって作業が異なる」
「量が少ない、頻度が少ない」

ような業務は、向いていないと言えます。

どんなところがRPAを導入しているか

国内でのRPA導入比率はそれほど高くないなか、銀行、生命保険会社などの金融業界では積極的にRPA導入を進めています。

損保ジャパン日本興亜では、RPAツール大手UiPathが提供するツールを導入してコールセンター業務や社内の申請・承認業務など、マニュアル化できる定型業務を自動化することで年間40万時間以上の時間創出をめざすと発表しました。(→リリース

東北銀行でも、NTTグループが開発したRPAツール WinActorを導入して預金照会や決算処理の業務自動化の導入をめざすと発表しています。(→リリース

また東北地方のデパート 藤崎では、お中元・お歳暮時期における商品マスタ登録業務にRPAを導入したと導入支援サービスを提供するキーウェアが発表しました。NEC Software Robot Solutionを導入、今までは3人がかり&手作業で行っていた商品マスタ登録や通信販売の注文処理を自動化することで、3人×20日分の業務量削減を見込んでいます。(→リリース

人手不足や働き方改革の流れに合わせて、今後もRPAの導入は増えていくと予測されています。

まとめ

「人が足りない」「忙しくて作業に時間がかけられない」という悩みは、多くの企業が持っています。

ツールを使って定型業務を自動化することで、企画や分析などの業務により多くの時間を使うことができます。RPAが拡がっていくことで、小規模な組織でも使えるような安価で操作性も良いツールも今以上に登場していくでしょう。

そのときには、既存の業務フローを見直して自動化しやすく変更したり、イレギュラーな処理をしないで済むようにするなど、業務を自動化しやすくするための事前準備も大事になります。

(JAGAT 研究調査部 中狭亜矢)