9月7日〜9日に開催中の「第94回東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2022」に出展している印刷関連会社を紹介する。
(株)ビジネスガイド社が主催する、日本最大のパーソナルギフトと生活雑貨の国際見本市「第94回東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2022」が東京ビッグサイトで9月7日(水)〜9日(金)まで開催されている。
同時開催展の「第12回LIFE×DESIGN」「第32回グルメ&ダイニングスタイルショー秋2022」「LIVING&DESIGN2022」と併せ、総出展社数は1986社。
会場では新型コロナウイルス感染症拡大防止対策に留意しながらも、初日から出展者・来場者双方の熱気を感じるものとなっていた。
印刷会社や製本会社などの出展も多く見られ、印刷物製造で培った資産を活かした独創性のある商材をアピールしていた。その一部を紹介する。
株式会社ケープランニング
同社は紙卸と印刷物の企画制作を手掛けながら、卓上日めくり付せんカレンダーをはじめとするステーショナリーブランド「himekuri」を展開し、海外輸出や企業の依頼によるOEM生産も手掛けている。
販路は主にECサイトだが、リアル店舗での販売機会を増やすため、TSUTAYA・蔦屋書店のPOP UPストア「とっておきの文房具STORE」で、小規模メーカー数社と共同で商品を販売し、ブランドの組み合わせによる新しい文房具ライフを提案している。
欧文印刷株式会社
同社はUVニス加工などの技術を生かしたステーショナリーを多数開発している。ノート型ホワイトボードの「nu board」は2021年11月に発売10周年を迎え、その記念として、表紙に明るい色合いの用紙を用いたスクエアタイプのアイテムなどを発売した。
本展では、さらにポップな色合いの用紙を表紙に用いた新商品を発表し、若い層への浸透を図る。
そのほか、QRコードを利用した音声メッセージシステム「Voice-it」、2・3・7・8 の目盛り数字が付いて読み取りやすい「2378定規」などを展示している。
株式会社第一印刷所
レーザー加工を施した緻密な表情が特徴のブランド「き/ざ/む」を中心に出展した。
本社のある新潟県で開かれる長岡大花火大会の感動を紙で表現した「かみはなび」、和柄を刻み彩色した御朱印などの実績のほか、日本製紙の抗菌素材「ミネルパ」を使った製品のプロトタイプも紹介している。
協和紙工株式会社
同社はステーショナリーと日用品の分野で、紙製品の製造販売を手掛けている。
本展ではステーショナリー分野から折り紙、ノート・シールなど、日用品ではポケットティッシュ・綿棒、ウェットティッシュなどの幅広いラインナップを紹介している。
木野瀬印刷株式会社
同社が発行している、地元愛知県春⽇井市の⽣活情報フリーマガジン「月刊はるる」で、雑貨デザイナー・絵本作家のShinzi Katoh氏を取材したことが縁となり、昨年から同氏がデザインしたステーショナリーを制作・販売している。今回は「Shinzi Katoh Design」ブースに共同出展し、「絶滅危惧種」「宮沢賢治の世界」などのシリーズから、メモ帳、ノート、レターセット、クリアファイルなどの多彩なアイテムを紹介した。これらは自社ECサイト「こころとどむ」のほか、文具店・書店などでも販売している。
株式会社シール堂印刷
木野瀬印刷と共に、「Shinzi Katoh Design」ブースに共同出展。マスキングテープをメインに出展。
同社はシール・ラベルのOEM制作を手掛けながら、マスキングテープなどの独自製品を企画・販売している。自社ECサイトのほか書店などでも販売している。
株式会社イメージマジック
Tシャツ・雑貨のプリント加工、受注システム導入、プリンター機器導入のサポートなどの事業をアピールした。
プリンター機器導入のサービスでは、小売店舗が商品にカスタムプリントして販売する仕組みづくりをサポートしている。消費者に、世界で一つだけのアイテムを提供する体験を提供する試みだ。
これまでに、3COINS 原宿店、ロフトの銀座店・渋谷店などへの導入実績がある。
加藤製本株式会社
製本で培った技術を生かしたステーショナリーブランド「CRU-CIAL(クルーシャル)」から、人気の御朱印帳やマカロン付箋などを出展。
また新シリーズ「ChouChou Cadeau(シュシュキャドー)」を披露している。これは、髪飾りのシュシュに羊毛フェルトのマスコットをつけて、カップケーキのようにデコレーションしたギフト商品。シュシュもマスコットも社内で手作りしたという。
渡邉製本
上製本・並製本の両方を手掛ける製本会社。今回は「町工場プロダクツ」ブースに共同出展し、独自製品2アイテムをメインに展示している。
「BOOK NOTE」
2016年発売。「糸かがり」製本で360度開く仕様、本紙は「OKフールス」、表紙はナチュラルな風合いのリネンクロスを使い、上質かつ書き心地の良さにこだった。
この間、コロナ禍の「おうち需要」で売れ行きが好調だという。
「えぽっけ」
子供が描いた絵を束ねてゴムバンドで綴じ、絵本のような冊子にできるポケットフレーム。ゴムバンドを外せば、一枚だけを取り出して飾ったり、順番を入れ替えたりすることも可能。自分の子供の成長記録としてだけでなく、友人や祖父母へのプレゼントの需要も見込む。
以上、紹介した企業の多くが、印刷市場の低迷に危機感を抱き、新たな事業の創出、新たな顧客の獲得を求めて挑戦を続けている。企業全体の売り上げに占める独自商品の割合を高めていくのは簡単ではないが、短期的な利益ではなく企業の将来を見据えて取り組んでいることが印象的だった。各社の今後の発展に期待したい。
(JAGAT 研究調査部 石島 暁子)