印刷産業の労働【印刷界OUTLOOK2015/2016】

掲載日:2016年10月24日

印刷業の定期給与平均は2014 年時点では製造業全体より5%程度低い水準にあります。

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2014年の印刷業所定内給与は25 万円台

厚生労働省「毎月勤労統計調査 年報2014 年」の常用労働者1 人平均月間現金給与額(事業所規模5 人以上)を見ると、印刷業の2014 年の所定内給与(定期給与のうち残業代を除いた額)は25 万5737 円で、2013 年の25 万6587 円から850 円(前年比0.3%減)の微減となりました。

残業代を含めた定期給与は29 万863円と913 円(同0.3%減)減少、所定内給与、定期給与ともに微減となりました。ただし、2 年連続の減少とはいえその減少幅は小幅であり、定期給与ベースの推移は実質的に2011年から29万円台と横ばいです。

製造業全体では、定期給与は30 万5866 円(所定内給与27 万3469 円)で、2013 年と比較して4381 円(同1.5%増)の増加となりました。2013 年は所定内給与が5 年振りに減少したものの2014 年は再び増加、2006年以来8年振りに30万5000円台を回復しました。印刷業の定期給与平均は2014 年時点では製造業全体より5%程度低い水準にあります。

印刷周辺業界、関連業界と比較すると、広告業(38 万7768 円、前年比2.5%減)や情報サービス業(37 万548 円、同0.4%減)は下回っているものの、パルプ・紙業(28万3787円、同2.2%増)は上回っています。

2014年の印刷業労働時間は月間168.7 時間

常用労働者1 人平均月間実労働時間数(事業所規模5 人以上)を見ると、2014年の印刷業の総実労働時間(所定外労働時間を含む)は168.7 時間、年間では2024.4 時間でした。2013 年の月間170.7 時間、年間2048.4 時間と比較し、月間では2.0 時間、年間では24.0時間(前年比1.2%減)減少しました。

印刷業の労働時間を周辺業界と比較すると、製造業全体(同163.2 時間、同0.5%増)やパルプ・紙・紙加工品(同162.5 時間、同0.2%減)、情報サービス業(同164.8時間、同0.4%増)や広告業(同162.9時間、同1.5%減)より長くなっています。

全産業、全製造業と比較すると、流通業やサービス業などを含めた産業全体の総実労働時間は、月間145.1時間(2013 年:145.5 時間)、年間では1741.2 時間(2013 年:1746時間)と、前年と比べて4.8 時間(前年比0.3%減)減少しました。

製造業全体の総実労働時間は、月間163.2時間(2013年:162.4 時間)、年間では1958.4 時間(2013 年:1948.8時間)となり、前年から9.6時間(前年比0.5%増)の増加になっています。印刷業の労働時間が他業種と比較して長くなっているのは、顧客の要望の複雑化・多様化によって年々進行している多品種小ロット化や短納期化の影響、印刷業が受注生産であるためスケジュール化やシステム化が難しく、他産業と比べて計画生産が困難であることなどが理由として考えられます。

仕事の増減によって労働時間が変動するのは避けられませんが、他産業と比較した場合、多品種・小ロット・短納期という印刷会社が抱える課題をいかに収益に結び付けていくのか、営業手法のあり方や効果的な生産システムの構築を模索していく必要があるでしょう。

(「印刷界OUTLOOK2015/2016」より)