野村総研でもAIを独自開発して企業の業務効率化を支援している

掲載日:2018年1月11日

チャットボットは社内業務の効率化においても活用され始めている。野村総研でも独自にAIソリューションを開発・提供している。

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JAGATでは、1月16日にチャットボットをテーマに取り上げる研究会を開催する(→参考)。そこで取り上げるのは主にBtoC、顧客が利用する用途での活用だ。一方で、企業内でのチャットボット活用事例も増えており、業務効率化の手段として注目されている。

これは事前に自社のマニュアルや、よくある問合せ、ルールなどをチャットボットに学習させてから「〇×の申請書類はどこにあるか」「パスワードを忘れてしまった」等、社員から管理部門への問合せを自動対応するものだ。

ベンチャーを含む多くの企業がチャットボットを開発しているなか、野村総合研究所(以下、野村総研)では、2016年より自社でAIソリューション群「TRAINA(トレイナ)」を開発・提供している。シンクタンクの印象が強い同社だが、実は企業向けにシステムを提供するシステム開発企業でもある。

培った言語処理技術からAIツールへ

もともと野村総研では、2000年頃からテキストマイニングツール「TRUE TELLER(トゥルーテラー)」を開発しており600社以上の導入実績を持つ。そこで蓄積した言語処理技術や対話要約といったノウハウを発展させて独自にTRAINAを開発した。

TRAINAは大きく3つの機能を持つ。テキストを分析して有用な情報を取り出したり、音声会話を自動でテキスト化して要約したり、チャットボットで自動応答するなど、どれも同社が強みを持つ日本語の言語処理技術を活かしたものだ。特にチャットボットは、シナリオを持たずに質問者と対話を重ねながら、過去の対応履歴を参照してニーズに合った回答を自動で作成、返信することができるのが特徴である。

一般的なチャットボットは、シナリオ型とも呼ばれるように質問に対する回答は事前に設定する必要がある(→参照)。想定される質問への対応を行うためには、大量の質問と回答のセットが必要なうえ、あいまいな質問に対応するためにはひとつの質問に対して何十個もの類似表現を設定する必要がある。インターネット上の会話データで学習し自然な対話ができるチャットボットもあるが、質問者が求める適切な回答を行うことはまだ難しい。

TRAINAのチャットボットでは、既存システムやマニュアル、過去の接客ログなどから自動生成した知識データベースを参照する。あいまいな会話であっても人とAIが会話のやりとりをすることで、相手が求めるものを把握し、的確な質問や回答を返す仕組みを実現している。

導入先は主に大手企業で、社内問合せ対応やコールセンターのサポートで活用されている。サッポロホールディングスのグループ企業では、TRAINAを導入することで約6000人のスタッフから寄せられる社内問合せ対応を45%削減することができた。(→リリース


TRAINA運用イメージ:野村総合研究所リリースより引用

どんな企業もAIと関わる時代へ

言語処理技術を軸とするこのようなAIソリューションは、社内業務をいかに効率化していくかが求められるこれからの時代にマッチしたAI活用である。企業の課題解決をシステム開発で支援してきた野村総研がAIに取り組むのは自然な流れなのだろう。

AI技術は、どんな業種、あらゆる企業にとって無関係ではいられない。page2018カンファレンス「企業はどうAIに向き合うか~業務効率化、新サービス創出などAI活用の今を知る~」では、同社でTRAINAを開発担当する堀宣男氏が登壇する。企業がAIを活用するメリットなど、2018年に企業がAIとどう向き合い、取り組むべきかを議論したい。

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