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今後CAD/CG化が進むなかで、顧客に対して印刷会社側からCG化を逆提案した場合は高確率での受注が期待できるということなので重要だ。
7月上旬に名古屋、大阪、東京で「印刷、写真、広告業界向けデザインビズ セミナー」が開催された。CAD/CG技術・マーケットをリードする世界的なソフトベンダーAutodeskが、印刷業界をターゲットにセミナーを開いたことは、DTPの歴史的には重要なことである。
「デザインビズ」のビズとは、ビジネスのことではなく、ビジュアライズを意味する。まだ耳慣れない横文字だが、今後の画像ビジネスのキーポイントはビジュアライズ(ビジュアライゼーション)になることは間違いない。
セミナーは、Autodeskの印刷業界に対しての方針説明から始まった。大手印刷会社の事例、写真スタジオの事例、デザイナーの事例、メーカーの事例報告などが行われ、パーチ代表の長尾健作氏の濃縮された話につながっていった。長尾氏のポイントは「コストダウンの論理に従えばCAD/CG化が進むのは自明であり、もし印刷会社サイドからCG化を逆提案した場合、長尾氏の経験では100%の成功率で受注できる」という。
次に、AutodeskのCGソフト「3 Ds MAX」のデモンストレーションが行われた。CGと言うとワイヤーフレームにテクスチャーを貼ればでき上がるように思われているが、CGで一番難しいポイントはライティングで、かつては2次反射や3次反射も予想してマニュアルライティングしていたことに始まり、最新版のソフトは自動計算で何重反射も計算してしまうことを非常にわかりやすく見せていた。専門的なCG知識より、デザイン的なセンスが重要であることが納得できるデモ内容であった。「いかに現実的、リアルなCG画像を作れるかはCGソフトのオペレーション習熟度ではなく、オペレーターの感性であることが明白になった」という。つまり印刷業界の入り込める余地はまだまだあるということだ。
特別協賛の日本ヒューレット・パッカードから「最新ワークステーション、Zシリーズのご紹介」が行われたが、最近生産現場に大量納入されるワークステーションはHPかDELLの2社に集約されつつあることを印象付けていた。
最後の「JAGATプレゼンテーション・印刷業におけるCGの重要性」は、長尾氏の確認的な内容で、「スキャナからデジカメに移行したように、デジカメからCGへの移行は避けられないことであり、それならばオイシイところを取れるように振る舞うのが得策である」というのが趣旨である。メーカー系の仕事は確実にCGになっていくのは間違いがないわけであり、CGのネイティブファイルで印刷会社に入稿できれば、撮影アングルや色、陰影表現などのクライアントから見た時の自由度が格段に大きくなり、さまざまなメリットが生まれるはずなのである。このレベルだと100点満点で80点、優良可で良という感じだろうか? もし優を目指すなら、メーカーと守秘契約を結びCADデータを開示してもらい、CG制作ビジネスそのものを始めればよい。これだけでも95点、やり方によっては120点のビジネスに発展するはずだ。真のデジタルサービス業的なビジネス展開が可能になるはずである。(郡司秀明)
余りに大反響だったので9月9日仙台・9月15日福岡でもデザインビズセミナーを開催することになった。申込はURL:http://www.autodesk.co.jp/adsk/servlet/item?siteID=1169823&id=13310631 で簡単に行えるので是非ご参加いただきたい。なおテキスト&グラフィックス研究会では長尾健作氏をメイン講師に招いて「3DCG技術とデジタル画像制作ビジネスの実践 」というセミナー「を開設している。次回は9月28~29日に予定しているので、3DCGを考えている会社はぜひ受講していただきたい。
(『JAGAT info』2009年8月号より)