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2007年印刷・同関連業の売上高(製造品等出荷額)は7兆1417億円、1人当たり売上高は年間1932万円であった。
経済産業省「平成19年工業統計表」によれば、2007年印刷・同関連業の売上高(製造品等出荷額)は前年比1.7%増の7兆1417億円と、実に1997年以来の増加で7兆円台を維持した。全製造業の2.1%相当のシェアを占めている。
印刷・同関連業の1人当たり売上高は年1932万円で2006年より0.3%程度改善し、毎年少しずつ改善が進んでいる。背景には印刷技術やネットワーク技術の進化、印刷設備の高度化、印刷会社の合理化努力などがあると思われる。
ただし上がってきているとはいえ、全製造業の平均3776万円の51.2%で、製造業としては高い部類とは言えない。印刷製品は受注生産が主流で繰り返しの連続生産より小ロット生産が多いこと、輸出によって市場を開拓してきた外需産業と違って内需産業であること、1製品当たりの単価が耐久消費財などのように高くないこと、などの要因が考えられる。
しかし、印刷産業のこのような業種特性は逆に、3万事業所にも及ぶ印刷会社が割拠して活力を生む土壌でもあり、印刷産業の多様性をはぐくむ魅力にもつながっている。
印刷・同関連業の1人当たり売上高は年間1932万円で、内訳を見ると、印刷業と製版業の2業種が高く、その他の3業種とは開きがある。印刷業が2089万円と唯一2000万円を超え、製版業が1663万円、印刷関連サービス業が1063万円、印刷物加工業が1029万円、製本業が985万円と続く。
しかし1人当たり売上高の差が業種の優劣を意味するわけではもちろんない。各業種における資源やサービスのあり方などが1人当たり売上高の違いに大きく影響していると捉えたほうがよい。
例えば製造時に使う資材料や薬品、設備が多いほど原価が上昇し、それが売上高を押し上げる面があるからだ。そのような意味で、印刷業と製版業の1人当たり売上高の高さは装置産業的な色彩の強さが影響していよう。逆に、製本業、印刷物加工業、印刷関連サービス業の3業種はサービス業的な色彩が強いと言えるかもしれない。
売上高に占める原材料使用額等の割合を見てみると、印刷業が最も高く(53.3%)、製版業(36.5%)が続く。以下、印刷物加工業(35.0%)、製本業(30.8%)、印刷関連サービス業(30.7%)になる。
(「JAGAT info」2009年9月号より)