DITA活用とXMLパブリッシング
掲載日: 2009年10月08日
※大規模なマニュアルや技術文書に適したXMLドキュメント構造
DITAとは、技術文書作成のためのXML構造の規格である。元々はIBMの社内文書を記述するために考案され、後に国際的な標準化機関のOASIS によって国際標準となった。
アンテナハウス の小林具典氏にDITAの概要について伺った。
■DITAとは
Darwin Information Typing Architectureの略で、XMLベースの技術文書の生成及び管理仕様、つまりXMLでマニュアル等を記述、表現するものである。2005年5月にOASIS標準として承認された。
DITAの意義は、情報のモジュール化をおこなうことで、積極的に再利用することである。主に大規模なマニュアルのドキュメント管理に適している。例えば自動車整備マニュアルは、1車種あたり3,000~5,000ページになるが、そのような大規模なマニュアルの製作に適している。
DITAを使うと、マニュアルを多言語化した際の、翻訳コストを大幅に下げることができる。DITAは情報を細分化するので、小さい単位で、変更箇所だけを翻訳に回せば良いため、大幅なコストダウンが実現する。
DITAは、元々はIBMの社内仕様だったが、2004年からOASISのDITA技術委員会が、その仕様を定義してきた。日本国内におけるDITAの普及はこれからという状況であるが、アメリカやヨーロッパではDITAの採用が進んでおり、NokiaやIBMなどは特に積極的に採用している。
■トピックとマップ
DITAは、トピックとマップという2種類のファイルで構成され、これを組み合わせて1冊のマニュアルを表現する。
トピックとは、モジュール化された情報の単位である。情報をできるだけ小分けにして、トピックファイルをたくさん作る。
マップファイルは、制作物単位に作成し、トピックの並びや階層構造を記述する。エンドユーザー向け、社内向け、またはバージョンごとなど、制作物単位でマップファイルを用意することで、出来るだけトピックを再利用する。
トピックは、タイトルと内容を持つ情報の単位であり、原則として1ファイルの中に1つのトピックを記述する。1つのトピックファイルをあまり膨らまさないほうが、再利用が簡単ということである。
大規模なマニュアルでは、数千とか数万というトピックファイルが作られる。そのトピックファイルの目次とかアウトラインに相当する情報がマップファイルである。
たとえば、ユーザー向け、社内の技術部門向け、営業向けなど、用途や制作物によって掲載内容が異なる。流用するトピックとその順序などを制作物単位でマップファイルを用意し、トピックをできるだけ再利用する。つまり、ワンソースマルチユースが実現する。
IBMの場合、1つの製品に対して入門編から管理者向けなど、10-20種類というマニュアルを作らなくてはいけないが、トピックの再利用率が80%を超えているとのことである。
(※詳細は、JAGAT Info 2009年10月号およびText & Graphics No.286に掲載)